※この作品はR-18です。

雪の家の灯火   作:白浜 真砂

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 第五話です。一応最終回です。

 この後は……まぁメインクエストであんな感じになってしまうんですが、個人的には光の戦士が盟友としてオルシュファンに愛でられていた日々は、スノーグローブ(よくお土産屋さんとかクリスマスの季節とかに見かける、水の中にキラキラしたものと建物等のフィギュアが入っているアレ)に入れたつもりで、時々スノーグローブをつついたりひっくり返したりして、幸せな二人の妄想をしています。
 その妄想を気が向いた時に書き貯めて、番外編として出せればいいかなぁ……とも思っているのですが、その辺はぼちぼちw




第五話 新しい朝と二人の約束

 ……微かに鳥のさえずりが聞こえてくる。

 ああ、もう朝になったのかと思って起き上がろうとしたけれど、体が重だるい上に下腹の奥に鈍い痛みを感じて思う様に動かない。

 横たわっている寝台の布団の心地よさに取り込まれる様に二度寝を決め込もうとしたその時、不意に部屋の扉がノックされて思わず飛び起きた。

 

「おはよう、我が愛する人よ。……よく眠れたか?」

 

 部屋の扉が開いて、湯気の立った紅茶と、表面に胡麻がまぶしてあるパンに鶏肉のローフとクリームチーズを挟んだサンドイッチを乗せたトレイを持ったオルシュファンが入ってきたのを見るのと同時に昨夜の出来事を思い出して、思わず顔が真っ赤になった。

 それと共に今居る部屋がオルシュファンの私室で、この寝台で……激しく愛し合った後、疲れきって彼の腕の中で泥の様に眠ってしまったのを思い出して、恥ずかしさのあまり布団に顔を埋めてしまう。

 

「朝食を持って来たのだが……。体は大丈夫か?……昨夜は、色々と無理をさせてしまったからな………。」

 

 オルシュファンは少し頬を赤らめながらそう言うと、私にトレイを手渡して寝台の縁に腰掛けた。

 シャインアップルの香りのする熱い紅茶を飲み、サンドイッチを食べている私を微笑ましく見ている彼に胸がドキドキして、まともにその方向を見られない。

 それでも運んでくれた朝食を食べ終えると気持ちも落ち着いてきて、いつもと変わらないホーバージョンに身を包んだオルシュファンの顔も何とか見る事が出来た。

 

「……ご馳走様でした。朝ごはん、美味しかったです。……あの、オルシュファン様………」

 

 そう話しかけた私の頬を、少しムッとした表情になった彼の手が軽く摘まむ。

 

「………寝台の上では、ただのオルシュファンと呼べと言ったではないか。」

「ひゃう!?……お、オルシュ、ファン………。」

 

 私が戸惑いながら彼の名を呼ぶと、オルシュファンは白い歯を見せて嬉しそうに笑った。

 

「うむ、それでイイ!……で、どうした?我が愛しい人よ。」

「……そういう風に呼ぶのも、呼ばれるのも……恥ずかしい、っていうか……。」

「フフフ、そう照れるな。……そんなに可愛らしい仕草をされると、この部屋から出したくなくなるぞ?」

「ええっ!?そ……それは、ちょっと困っちゃうなぁ………。」

 

 今までの様な、ある意味愛玩の意味で見られているのとは違う純粋な愛情が込められた彼の態度と表情に、幸せで胸がいっぱいになる。

 

「……それで、どうかしたのか?何か言いたそうだったのだが………。」

「うん。……あ、あのね………?」

 

 私は空になった食器の乗ったトレイを見つめながら、昨夜から気になっている事を思い切って聞いてみた。

 

「……オルシュファンは、強いものが好きなんだよね?それなら、私………昨夜は、すっごく弱い所を見せちゃったから、その……がっかりさせちゃったかな?って。凄く大泣きしちゃったし………。」

 

 気を落とした様に呟く私の話を黙って聞いていたオルシュファンは、ややあってからゆっくりと話し出した。

 

「……そうだな、確かに私は弱いものは好かない。……だが、どんなに強固なものでもずっと負荷がかかっていればいずれは歪み、脆くなって壊れてしまう事くらいは知っているぞ。」

 

 そう言うとオルシュファンは私の頭に手を置いて優しく微笑んだ。

 

「……会う度に強く逞しく成長していくお前を見て、最初はこれ程までに生命力に溢れる強靭なお前を友と呼べる事を誇りに思っていた。……だが、お前がこのエオルゼアにとって重要な人物になっていくにつれて、ある疑問が湧いてきたのだ。………この誰からも頼られる強く美しい人は、その身に背負わされた様々なものを一時でも軽くする術はあるのだろうか?……とな。」

 

 その言葉に驚いて顔を上げる私の髪を撫でながら、彼は言葉を続けた。

 

「お前が他人の為以外で私を頼ってくる事はないのは分かっていたのだが、それでもお前の力になれるのならと出来うる限りの事はしてきたつもりだ。……だが、どんなに手を尽くしてもお前の心を軽く出来たとは思えなくてな。………まるで止まない吹雪に晒された砦を見ている様な気持ちだったよ。」

「オルシュファン……。」

「ここに逃げ延びてきた時もそうだ。お前自身女王暗殺の犯人にされた挙げ句、ずいぶんと痛めつけられたそうではないか。なのにお前は普段通りの顔でアルフィノ殿とタタル嬢の保護を私に頼み、表向きにはお尋ね者にはなっていないから。と、ここを離れて行ってしまった。………事の真相は昨夜聞いたが、あれは流石に寂しかったぞ。」

「う……。ご、ごめんなさい……。」

 

 再びしょんぼりとうなだれる私の頬に触れたオルシュファンは私の顎を軽く持ち上げて顔を上げさせる。

 

「………だが、昨夜はお前の本当の心の支えになる事が出来た。そして、お前と愛を交わす事も……。お前を愛し、愛される事でお前の支えになれるのであれば、これ程嬉しい事はない………!」

 

 そう言った彼は、とてもイイ笑顔で私を抱き締めた。

 

「……さあ、これでお前をこのキャンプに立ち寄り難くするものは無くなったのだろう?

 …………お前に改めて問おう。我がキャンプで、共に暮らす気はないか?」

 

 真剣に、でも優しく私を見つめるオルシュファン。いつも私の事を案じてくれて、困った時には手を差し伸べてくれる………私の愛しい人。

 暁の皆は私の事を希望の灯火だと言うけれど、エオルゼアの為に、そしてハイデリンの為に孤独に戦い続ける私にとって、目の前を明るく照らしてくれる暖かい灯火は彼だった。

 そんなオルシュファンと、例え短い間だとしても平和に暮らせるのなら今までの様々な物事も報われる様な気がして………私の目から、気がつかないうちに涙が零れていた。

 

「これからもお前の前には様々な困難が待ち受けているだろうが、どんな時も私はお前の味方だ。……そして私の掲げる一角獣の盾にかけて、この命が続く限りお前を支え、護り通すと誓おう!」

 

 そう言いながら彼の指が私の涙を優しく拭い、まるで誓いの証の様に長く甘い口づけを交わす。

 

「……うん。……ありがとう、オルシュファン。………大好き…………!」

 

 顔を赤らめて泣き笑いをしている私の額に額を押し当てて、オルシュファンは優しく微笑みながら私を見つめる。

 

「ふふふ………お前の居る明け暮れは、きっと素晴らしくイイものになるのだろうな。私も務めがある故ずっと一緒に居る事は出来ないが、余暇にお前と何をしようかと考えるだけで興奮が止まらんぞ………!

 お前に剣の稽古をつけてもらったり、一緒にチョコボの調教をしたり………そうだ!共にチョコボで遠乗りをするというのも………イイな………!」

 

 そして子供の様に目を輝かせた彼が、とても嬉しそうに言葉を続けた。

 

「………早速だが、今日は急に予定が空いたのだ。そこで今日一日、お前と共に何をして過ごすのか相談したいのだが………。」

「えっ?……私は貴方と一緒に居られるのなら、何だって……。でも昨日は皇都に行っていたのなら、キャンプの仕事が結構溜まっているんじゃ………?」

 

 ふと疑問に感じてオルシュファンに問い掛けると、彼は少し困った様にはにかんだ。

 

「……その事なのだが、昨夜の………私とお前が交わっている際の声や音が、どうやら私室の外まで漏れていたらしくてな。………夜間に巡回している者に聞かれていたそうだ。

 ………私とお前との初めての夜を聞かれてしまったのは遺憾だが、部下が気をきかせて私の仕事を引き受けてくれると言うのでな。……それで先程まで私がやらねばならぬものを急いで片付けて、ここに戻ってきたのだ!」

 

 ……私は彼の言葉で思考が停止して、一瞬何を言われたのかが分からなくなる。

 

「………は?えっ?ど、どういう事?……まさか、ドラゴンヘッドじゅうの人が……私とオルシュファンが………こういう仲になった、っていうのを………知っているって事………?」

「そういう事になるな。……だが、案ずる事はない。私だっていい加減な気持ちでお前を抱いた訳ではないのだ。……お前は普段通り、何にも臆する事なく堂々としていればイイ!………我が愛を受け入れた者としてな。」

 

 そうは言われても、彼の私室から一歩出ただけでドラゴンヘッドに居る人々が私に好奇の視線を浴びせてくるのを考えただけで、恥ずかしさのあまり頭を抱えてしまう。

 

「ど……堂々とって言われても………。確かにやましい事はしていないけど、やっぱり恥ずかしいよぉ………。」

「ふふ、狼狽えるお前もイイ……!心配せずともお前を煩わせる様な事は、この私がさせないぞ!……我が部下も、その辺りの事はわきまえている筈だ。」

 

 オルシュファンは私を安心させる様に微笑むと、少し考え込む様な表情になった。

 

「……煩わしい事と言えば、この事が本家の知るところとなれば説明がいささか面倒になる事くらいか……。お前との仲を裂こうとする程狭量では無いだろうが、何分フォルタン家はイシュガルド四大名家の一つなのでな。……実は皇都へ出向いたのも、我がフォルタン家当主にお前達の後見人になる様掛け合ってきたのだ。お前の事は親友の命を救ってくれた、私が愛して止まない友とのみ伝えてあるのだが……。

 フフフ……そう心配そうな顔をするな。ただ………父にお前の事を恋人として紹介するのが、何とも面映ゆくてな……。」

「えっ?ち、父って……?」

 

 私がオルシュファンに尋ねたその時、突然私の荷物の中からけたたましくリンクパールの着信音が鳴り響いた。

 

「ひゃあっ!?……び、びっくりしたぁ……。どうしたんだろう?……………もしもし、私です。」

 

 寝台から降り荷物を探ってリンクシェルに出てみると、黒衣森の北部森林に蛮神オーディンが出現したので至急応援に来て欲しいという要請の連絡だった。

 

「……はい、分かりました。準備が出来次第そちらに向かいます。」

 

 リンクシェルの通話を終えると、少し寂しそうな表情をしたオルシュファンと目が合った。

 

「……そうか。私よりお前の方が忙しいというのを失念していたな。」

「ごめんなさい、オルシュファン……。でもここからならすぐそこだし、オーディンの討伐だけなら多分夕方までには戻れると思うから……。」

 

 私は手早く下着を身に付け、ギアセットを展開して装備を整えながらオルシュファンに謝ると、彼は私の目を見つめながら微笑んだ。

 

「……私の事なら気にするな。私はいつでも、困難に立ち向かい続けるお前が更に強くなってここへ戻ってくるのを待っているぞ。………だが、お前の為すべき事が終わったら、必ず私のもとへ戻って来てくれ。……お前はもう盟友ではなく、私にとって誰よりも大切な人になったのだから………。」

 

 そう話す彼の真摯な言葉と、信頼と愛情のこもった真っ直ぐな眼差しが泣きそうな程嬉しくて……。私はオルシュファンに飛び付いて彼をきつく抱き締めた。

 

「もちろん、なるべく早く帰りますよ。……愛しい貴方の側に、必ず戻りますから。」

 

 私を眩しげに見つめながら力強く頷く彼の首に腕を回し、彼の唇に唇を重ねる。

 ……少しの間口づけを交わした後、私は彼から少し離れて転移魔法を詠唱した。




 後書きです。

 未だに一部で物議を醸しているメインクエストの件ですが、私はオルシュファンに復活して欲しいかといえばそうでもなくて、むしろあれだけプレイヤーに愛されているキャラクターを、あんな安っぽい盛り上げの為に使った訳じゃないよね?もっと深い考えがあっての事なんだよね?とニラヲチ中ですw
 まぁ所詮は素人目線なのですが、せっかく月額を払って遊んでいるのになぁ……。と少しだけ思ってしまうのです。

 ともかく、これからも細々と妄想を頑張って作品に昇華していきたいと思いますので、お付き合い頂けましたら幸いです。
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