※この作品はR-18です。

真説・凄ノ王   作:鳳凰009

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第一章:目覚め・超能力の巨人編
第1話:目覚め(その1)


 東京近郊のM市、近年の開発ラッシュにより人口が急激に増えたM市から物語は始まる・・・

 

 普段街中に居そうな普通な高校生である朱紗真悟は、夜中とある夢を見て大量の寝汗をかきながら魘されていた・・・

 

「朱紗・・・朱紗真悟よ!この世界でのお前は・・・英雄神となるのか?それとも破壊神となるのか?お前の生き様、見物させて貰うぞ・・・フフフ、ハハハハハ」

 

「ウゥゥゥ・・・ウワァァァ!!」

 

 慌てて飛び起きた真悟は、思わず辺りをキョロキョロ見回すが、そこは何時もと変わらない自分の部屋だった。顔から流れてくる汗を、真悟は着ていた薄いブルーのパジャマで擦り、

 

「な、何だ夢か!?どうせ見るなら・・まあいいや」

 

 真悟が時計を見ると、まだ午前1時を過ぎたばかりだった。起きるにはまだ大分早く、真悟は再びベッドに横になると、

 

「何だまだ、こんな時間かぁ・・・どうせ夢を見るなら、今度は雪代さんと・・・エヘへ」

 

 ニヤニヤしながら真悟は目を瞑ると、やがてスヤスヤ寝むり始めた・・・

 

 

 真悟は、日も昇り起きる時間になっても、まだ気持ち良さそうに、スヤスヤ寝息を立てていた。中々降りてこない真悟を、姉である涼子は、既に制服に着替えて居り、真悟の部屋の前まで来てドアをノックしてみるも、中から反応が返ってくる事は無かった。涼子は溜息を付き、再び真悟の部屋のドアをノックすると、

 

「真ちゃん、開けるわよ?」

 

 涼子は真悟の部屋のドアを開けた・・・

 

 思春期の男の部屋ではあったが、涼子は高校生になっても時折真悟の部屋に来ていたので、さしたる焦りも無く、真悟が寝ているベッドの前に来ると、真悟の身体を揺すりながら、真悟に声を掛けた。   

 

「・・ちゃん、真ちゃん、何時まで寝てんのよ!真ちゃん!!」

 

 涼子は、真悟の身体を揺すって起こそうと試みるも、真悟が起きる気配を微塵も無かった。涼子はハァと溜息を付くと、

 

「呆れたぁ!?この寝ぼすけ、まだ寝てやがんの・・・真悟ぉぉ!!」

 

 涼子は荒々しく、真悟の掛け布団を無理矢理剥ぎ取ると、思わず頬が朱に染まる。真悟はようやく目覚め、

 

「うわぁぁ、いきなり何すんだよ?姉ちゃ・・・ン!?」

 

 涼子は、少し頬を染めながら、真悟に合図を送るかのように、真悟の股間を指差した。涼子が指さす位置に顔を向けた真悟は、見る見る真っ赤になって、慌てて股間を隠した。真悟の股間は、パジャマ越しからも勃起しているのが明らかで、涼子は真悟をからかうような視線を向け、

 

「イヤァねぇ、エロ真ちゃんったら・・・いくら魅力的なお姉さまを見たからって・・・フフフ」

 

 涼子はそう言うと、意地悪そうな視線を真悟に向けながらクスクス笑った。真悟は激しく動揺し、慌てて涼子に説明を始め、

 

「バ・・バカ!これは、女にゃ分からぬ男の元気な・・・って、うわぁぁもうこんな時間じゃないかぁ?」

 

 真悟は慌てて飛び起き、急いで制服に着替え始めると、涼子はやれやれといった表情で下に戻った。真悟がベルトをカチャカチャ鳴らしながら降りて来ると、涼子は真悟をからかう様に母親に話し掛けた。

 

「ねえ、聞いてよママ!真ちゃんったら、変なクラブに入部したのよ?」

 

 涼子が話し掛けた母親の名前は和子、高校生の子供が二人も居るとは思えない程、和子は若々しい容姿をしていて、モデルのように出るところは出て、括れる所は括れている理想的なプロポーションをしていて、涼子も、真悟も、そんな和子を心の中で自慢気に思っていた。和子は、涼子が今話した内容を、真悟にパンを渡しながら聞き返し、

 

「まあ、変なクラブですって!?SM変態クラブか何かかしら?」

 

 和子はそう言うと小首を傾げ、和子に聞かれた真悟と涼子は、思わず互いに変顔しながら見合わせ、慌てて涼子はブルブル首を振り、

 

「ち、違うわよママ!大体、そんなクラブを学校で認める筈無いでしょう?・・・そうじゃなくて、何と超能力クラブですって!!笑っちゃうでしょう?」

 

 涼子の口から、超能力と言う言葉が出た咄嗟、和子の顔色が変わった事に、真悟も涼子も気づかなかった。涼子は更に話を続け、

 

「もっとも、正式に学校から認められてないから、同好会何だけどね?」

 

 黙ってパンを食べながら涼子の話を聞いていた真悟だったが、椅子から立ち上がると涼子に抗議を始めた。どんなクラブに入ろうと、それは涼子に口出しされる謂われは無いのだから、

 

「俺がどんなクラブに入ったって良いじゃないか!姉ちゃんに関係無いだろう?大体そんな事母さんに言わなくて良いだろう!!それに、まだ正式には入ってねぇ!!!」

 

 真悟が顔色変えて抗議した事で、涼子は手で真悟に落ち着けと合図するも、尚も話を続けた。

 

「まあ、真ちゃんが何で入ったのかと言うと・・・雪代さんって言う、真悟と同じ中学から、耳宇高校に来た子が居るじゃない?真悟は、その女の子にお熱で、その女の子が超能力クラブに入ったから、自分も入部を決めたんだって・・・バカみたいよねぇ?」

 

 真悟は、涼子に図星を指されて、食べていたパンを喉に詰まらせ、慌ててオレンジジュ-スで流し込むと、キッと涼子を睨み、涼子の長い髪を引っ張った。涼子は半泣き声で、

 

「イ、イタァァい!真悟止めてぇぇ!!」

 

「うるせぇぇ!テメェ、さっきから黙って聞いてりゃ・・・」

 

「アァァン、ママァ!助けてぇぇ!!」

 

 涼子は和子に泣きつくと、和子は涼子を庇い、真悟に叱責が飛んだ。

 

「真ちゃん、止しなさい!涼子も、あまり真悟をからかうもんじゃありませんよ・・・さあ、早く食べて学校行きなさい!涼子はともかく、真ちゃんは自転車乗れないんだから・・・」

 

 朝からの姉弟喧嘩を始めて、時間が経つのを忘れていた真悟と涼子は、共に大慌てで家を出て行った。一人家に残った和子は、ぼんやり考え込み、心の中で呟き、

 

(もしかしたら・・・真悟の力が目覚め始めたのかも知れない!そろそろ涼子にも話した方が良さそうね)

 

 和子はそう心の中で思うと、ハァァと色っぽい溜息を付き、子供達が食べ終わった食器の後片付けを始めた。

 

 一方、自転車に乗った涼子に置いて行かれた真悟は、超能力の事を考えながら走って居た。超能力には色々な種類がある事は、最近買った本で真悟にも薄々分かって居た。真悟は、こんな時に便利な超能力な事を考えると、

 

(ウ~ン・・・こんな時は、テレポーテーションっていうのを使えたら、遅刻なんかしないのになぁ?)

 

 真悟はそう考えると、駄目元で試して見たい衝動に駆られた。真悟は立ち止まり、目を閉じて精神を集中させると、

 

「エイッ、ヤァ!!・・・ダメかぁ・・・・・いけねぇ!?これじゃ今日も遅刻だぁ!」

 

 真悟は、再び慌てながら学校目掛けて駈け出した・・・

 

 

 M市にある私立耳宇高等学校・・・

 

 近年のM市人口増により、大幅に生徒数を増やしてマンモス校になった高校だった。真悟や涼子もこの高校に通っているが、大規模な人数に教師の目は次第に行き届かなくなり、耳宇高校には悪い噂も流れる程であった。優秀な生徒が多数居る反面、まるでヤクザ予備軍かのようなゴロツキな不良達まで在席し、教師はそんな生徒に怯え、ますます耳宇高等学校は二極化していった・・・

 

 放課後になり、真悟は、クラスメイトの雪代小百合と、超能力クラブの初会合に出席する為、今回の会合場、生物室に向かっていた。超能力クラブは正式な部活ではない為、週二回空いている部屋を借りて、会合を開いて居た。

 

「ごめんね、朱紗君!超能力クラブに無理やり付き合わせたようで・・・」

 

 小百合は、申し訳無さそうな表情で、真悟の様子を窺うように話し掛ける。長い金髪、高校生になったばかりとは思えない抜群なスタイルは、陰ながら男子生徒に人気があった事を真悟も知っている。真悟は、小百合と一緒のクラブに入れるだけでも幸せなのに、小百合は、同じクラスメイトの中でも、真悟に良く話し掛けてくれて、真悟は鼻高々だった。

 

「いやいや、前から俺、超能力とか未確認物体って奴に興味あったし、雪代さんに誘ってもらって良かったよ!!」

 

 真悟は、心底嬉しそうに小百合に答えると、小百合はホッと安堵したような表情を浮かべて、

 

「本当!?良かったわ、正直一人じゃ不安だったし、朱紗君が入ってくれるって言ってくれた時は嬉しかったわ・・・ウフフ」

 

 端から見れば、恋人同士に見える二人は、和気藹々と生物室のドアを開けた。中には既に人が集まっていて、

 

「おっ、また来たぞ!!15・・・16人目か・・あれ、朱紗も入部したんだ?」

 

 そう答えたのは、真悟と小百合のクラスメイトである茂坂公司であった。真悟は、茂坂とは妙に気が合い、休み時間などには、テレビや漫画の話、Y談などの話で盛り上がる事が出来る。真悟に取っては悪友とも呼べる存在で、真悟は知っている顔を見つけてホッと安堵した。心に余裕が生まれた真悟は、

 

「入部希望の朱紗真悟と雪代小百合です!あのう、部長さんはどなたでしょうか?」

 

 真悟はそう言うと、一同の顔を見回すが、

 

「それが、まだなようだよ・・・ここに居るのは、君達と同じで、ポスターを見て集まった入部希望者だけだからね」

 

 眼鏡をかけた太目の男が、真悟にそう答えた。手にはESPの本やら、SFの本などを何冊か持っていた。まだ部長が来ていないと分かり、一同が超能力談話でそれぞれ盛り上がる中、小百合が真悟に話し掛けた。

 

「朱紗君は、どんな能力に興味あるの?」

 

 小百合の問いかけに、真悟はちょっと考え込むとニヤニヤしながら、

 

「エヘへ・・・やっぱ透視能力かな?」

 

 真悟はそう言うと、スケベそうな顔で雪代の胸元を凝視し、小百合は慌てて胸元を手で隠し、悲しげな表情を浮かべながら、

 

「そんな事言う人・・・嫌いよ!」

 

 小百合はそう言うと、プイと真悟からそっぽを向け、真悟は慌てて小百合に謝り、超能力クラブの面々からは笑い声が上がった。皆が和気藹々と、ESP談義に沸いている所に、荒々しく扉を開けて、二人の男が乱入してきた。一人は長髪、もう一人は長髪よりアニキ格なのか、少し偉そうにしていて、見るからに柄の悪い不良グループのようで、一同はシンと静まりかえった。

 

「おい、お前らが超能力クラブの者か!?これで、全員か?」

 

 二人組みの男は、そう言うとタバコを吹かしながら問い掛ける。この中では年長である、太めの大松しげるが代表して答え、

 

「は、はい・・・今の所は・・・何せ、今日出来たばかりの生まれたてのクラブですから」

 

 だが男達は、そんな大松の話を無視するかのように、二人でジロリと室内を見渡し、

 

「美剣の奴は居ない様ですねぇ?」

 

 長髪の男が話し掛けると、

 

「そのようだな・・・」

 

 兄貴分の男が頷くも、改めて一同をジロリと見渡したアニキ格は、

 

「しかし、超能力クラブねぇ・・・おい、何かやって見せろよ?」

 

「早くやれよ!」

 

 男達は、ニヤニヤしながら部員達を挑発するも、超能力など使えない一同に、そんな事が出来る筈も無かった。

 

「そ、そんな無茶なぁ・・・」

 

 大松は、手で無理無理とジェスチャー混じりに答えると、長髪の男はニヤリとし、

 

「いや、出来るぜ・・・ほら、念じてみろ、ちょっと貸せよ」

 

 長髪の男は、大松の眼鏡を取り上げて、これを曲げてみろと合図を送る。大松は、渋々ながら言われるまま念を込めると、

 

「おお!?こいつは凄ぇ、曲がっていくぜ・・・ほらほら」

 

 明らかに長髪の男が手で曲げて大松の眼鏡を壊すも、スゲェと大松を茶化し、アニキ格がニヤニヤ笑って眺めて居た。大松は情けない声で、

 

「そ、そんな殺生なぁ・・・」

 

 大松が壊れた眼鏡を受け取り、途方に暮れながら落ち込むと、

 

「いい加減にしてください!邪魔するなら・・・出て行ってください!!」

 

 大松の背後からそう声が掛かった。声の主は小百合で、男達はギロリと小百合を睨むと、

 

「何だと!?まあいい、お前の顔は覚えたぜ!今度は、俺の超能力でお前の腹を孕ませてやるよ・・・覚えとけぇ!!」

 

 そう捨て台詞を残し、男達は出て行った。小百合はガタガタ震えだし、真悟はそんな小百合に大丈夫と声を掛け励ました。残された超能力クラブの面々は、先程とは打って変わり静まり返った。それを打ち消すように、皆の頭の中に声が聞こえてくる。

 

「超能力は・・・誰にでもあります!!」

 

 確かに頭の中に声が聞こえて来た。皆が騒ぎ始めると、窓は自然に閉まり、更に言葉が響いてくる。

 

「人は、皆超能力を持っています。ただ、何時しか人はその力を退化させた・・・訓練すれば、誰でも思い出せる!」

 

 声がハッキリそう断言した時、教室内の空間が歪み、そこに誰かが現れた。だが、一同は息をするのも忘れたかのように呆気に取られ、呆然と現われた長い黒髪とモデルのような容姿をした女生徒を見ていた。

 

「そう、私のようにね!ようこそ皆さん、私がこのクラブの主催者、美剣千草です!!」

 

 突然現れた美剣千草と名乗る女性に、超能力クラブの皆は、驚きを隠せなかった・・・

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