龍の洞窟を遠巻きに見える崖の上で、二人の美女が向かい合って居た。一人は朱紗和子、もう一人は女ジャックであった。和子が、涼子や光子と合流しようと二人を捜していた時、女ジャックは突然和子の前に舞い降りて、和子をこの場所まで導いたのであった。
「今、七大将軍の一人が死んだわ!七大将軍も残りは4人・・・確かに人は、朱紗真悟を欠いた状態で良く戦っているわ!でも、残った4人の内2人はそう簡単にはいかない・・・バラバラに戦って居ては龍神魔王には絶対に勝てない!!」
女ジャックの話に和子も同意すると、
「そうね、真悟を欠いている状態で、バラバラに龍神魔王に戦いを挑んでも、被害が増えるだけだわ」
「そう言う事よ・・・この人々の力を一つに結集する必要があるわ!私が見る限り、その力を持つ者は、朱紗和子・・・あなたよ!!」
女ジャックに指を指されながら断言された和子は、思わず表情が強張る。女ジャックは更に言葉を続け、
「瓜生麗と二人の仲間、兜甲児、如月ハニーとジル、合田源児と火野ヤマト、この力を一つに纏め上げ、ライガー、そしてザンガーに捕らわれた者達と、そして、朱紗真悟を救出する!!あなたも感じているのでしょう?邪神の接近を・・・時間は無いわよ!」
女ジャックは、和子の反応を楽しむように薄ら笑いを浮かべる。和子はそんな女ジャックの心の中が読めず困惑しながらも、
「私に、その人達と接触しろと言う事ね?あなたの言うように、邪神の気配が近づいて居る・・・やるしかないわね!!でも、一つだけ教えて・・・あなたは一体!?」
和子の問いかけに、女ジャックは含み笑いを見せるだけで答えず、
「何れ分かるわ・・・あなたが、スサノオウノミコトと同化すればね!!私達も動き始めなければならないかも知れない・・・では!!」
マントを翻し、女ジャックは鳥となって大空に舞い上がった。和子は空を見上げながら、飛び去って行く女ジャックを見届け、
(バイオレンスジャックか・・・さてと、今は彼女の事では無く・・・先ずは瓜生麗と接触してみるか・・・)
和子は、精神を集中して、強大な力を持った三人の超能力者を捜した!
竜子達と合流した瓜生は、自分を探るような気配を感じた。その気配は、竜子とガイデルも感じたらしく、思わず三人に緊張が走った。
「瓜生・・・これは?」
「君達も感じたか・・・何者かが、俺達を探索して居る!ムッ、来るぞ!!」
三人が身構える中、朱紗和子が姿を現す。和子が着ている戦闘服を見て戸惑いながらも、三人の表情は和子を警戒して居た。和子は慌てて手を振り、
「待って!いきなりゴメンなさい・・・私の名は朱紗和子!あなた達に話があって、ここに伺ったわ!!」
瓜生は、和子が発した朱紗という名前に驚き、思わず和子に尋ねると、
「朱紗だって!?そうか、あなたが朱紗真悟の・・・」
「ええ、母親よ!時間が無いので単刀直入に言うわ・・・あなた達三人の力を、私に貸して!龍神魔王と七大将軍の手に捕らわれた人々を解放するには、個々で戦って居ては勝ち目が無いわ!!今、龍の洞窟に向かう戦士達が居る・・・その力を結集して、龍神魔王達と戦うのよ!!幸い、私が面識ある人達も居るから何とかなる筈よ!!!」
瓜生は、和子の話を腕組みしながら聞き入って居た。何度か頷き、和子に話し掛けると、
「確かに・・・だが、具体的にはどうするんだ?あなたも感じて居るのでしょう?嘗ての凄ノ王以上の強大な力を持った者が、この星に迫っている事を!!」
「ええ、もちろん!我が朱紗一族の宿敵とも言える・・・邪神ヤマタノオロチがね!!」
瓜生も竜子達も、思わず生唾を飲み込んだ。
(邪神・・・ヤマタノオロチか、そう言えば昔、千草の爺さんに聞いた事があったような気がする)
瓜生も思い当たる節があるらしく顔が強張る。竜子に取っても、その名は忘れる事の出来ない名前だった。
(邪神ヤマタノオロチ・・・私達美剣一族が、英雄神と共に打ち倒さなければならない相手・・・)
「今の質問だけど、些か考えがあるわ!部隊は二つに分ける・・・敵の囮となって陽動する者、龍の洞窟に突入する者とね!ただ、ライガー部隊は何を考えて居るか分からないわ!ハレンチ砦のリーダー、山岸八十八と言う人が戦って居る筈なので、一人援護に向かってもらう事になると思う・・・出来れば早い方が良いので、あなた達二人のどちらかにお願いしたいわ!!ライガーを倒したら、そのまま陽動部隊に合流してもらいたいの!!」
和子は、竜子とガイデルの二人の顔を見る。二人は顔を見合わせ、瓜生とアイコンタクトを取り、和子が信用できると判断した。ガイデルはコクリと頷き、
「分かりました!その山岸って言う人の所には、俺が行きましょう!瓜生さん竜子を頼みます!竜子、無茶はするなよ?」
「分かっているわ!ガイデル、あなたこそ気をつけて!!」
竜子とガイデルが抱擁し、ガイデルは、ライガーのアジトの位置を聞き、一足先に旅立った。その姿を見送ると、瓜生は再び和子に問い掛け、
「さて、俺はどちらの部隊でも構わんが、既に決めて居るのか?」
「龍の洞窟には、どんな罠が仕掛けられて居るかも分からないから、メンバーは多い方が良いわ!あなた達二人には、突入部隊に加わって欲しいわね!!」
瓜生と竜子が頷くと、和子は満足げに微笑み、
「ありがとう!では2時間後に、私の居る場所に瞬間移動して来て!!私の気はもう分かったでしょうから・・・私は今から、兜甲児君に会いに行って来るわ!!」
そう言って甲児の気配を探る和子は、戦闘状態の集団を探知した。
(これは、既に甲児君は戦闘の真っ最中のようね・・・)
戦闘の真っ只中にテレポーテーションしては、万が一という事もあるので、和子は様子を見ようと甲児の気配に精神を集中させた。