一方、ジル軍団を迎え入れたハレンチ砦に、新たに怪我人が収容されて居た。その人物は・・・身堂竜馬であった!
身堂は、顔の右半分に大怪我を負い、嘗ての美貌は失われて居た・・・
「どうだい、そいつの容態は?」
身堂を見つけて来たタランチュラは、介抱する京子に容態を聞くも、京子は神妙な面持ちで、
「命に別状は無いですけど・・・酷くうなされて居て・・・」
京子の言うように、身堂はうわ言を繰り返して居た。タランチュラも思わずゴクリと唾を飲み込み、身堂の様子を見ていると、
「門土~!何故だ、門土~~!!俺は、俺は・・・ウッウゥワァァ」
行き成り飛び起きた身堂を、京子が優しく布団に再び寝かせる。身堂はハッとするも、側に付きそう京子の優しげな顔持ちに安心したのか、そのまま京子の言う通り、横になった。
「傷に触りますよ!すみません、タランチュラさん!お水の取替えお願い出来ますか?」
「ああ、分かった!おい、お前は病人何だから、その女の言う事を聞いて居ろよ!!」
口は悪いものの、タランチュラは案外優しい心を持っていて、ジルが苦しんで居た時も、真っ先に心配していたのは彼女だった。
(あいつは・・・魔!?何故魔が人間と?)
身堂は、タランチュラが京子と共に居る事に驚き、表情を険しくすると、京子はそれに気付いたのか、身堂に説明するかのように話し掛け、
「ウフフ、不思議なものですよねぇ?姿は魔物なので、見ただけでは恐ろしい人達も、話してみると皆良い人達何ですよ!私、考えが改まりましたわ!!」
身堂は、京子の話を聞いているのか聞いていないのか、曖昧な反応だったが、
「迷惑を掛けている様ね・・・此処は一体?」
「此処は、魔物の攻撃から逃れて来た人々が集まるハレンチ砦ですわ!もっとも、此処を預かっていた人々は、魔物を退治に向かわれて、今はあの方々達が守ってくれて居るのですけどね!!」
そこに、子郎をあやしながらスネークがやって来る。あやしているよりは、子郎に手を焼き、京子に助けを求めて来たのだが・・・
「お、おい、この子を何とかしてくれ!さっきから私の頭の蛇を・・・キャア!おもちゃじゃないのよ!あ、危ないから・・・」
京子が慌てて子郎をスネークから引き離すと、スネークはホッと安堵し、
「た、助かったわ!どう、そいつの具合は?」
「ええ、今目を覚ましたところですわ!」
「そうか、私は再び砦内の警護に当たるから、その子を頼んだぞ!!」
スネークは、頭の蛇を撫でながら、子郞から逃げるように去った。京子はクスリと笑い、
「子郎、遊んでくれていたお姉さんに意地悪しちゃダメよ?」
身堂は、そのやり取りをジッと見ていたのだが、子郎は身堂に気付くと、京子の腕の中で暴れ、下に降ろされるとハイハイしながら身堂に近づいた。
「駄目よ、子郎!そのお兄さんは怪我をなさっているんだから・・・ごめんなさいね!!そう言えば、まだ名前を聞いてませんでしたわね!私は柴京子です・・・あなたは?」
「あたしは身堂竜馬!京子さん、ずいぶんご迷惑掛けたみたいね!」
二人の会話に興味無さそうに、子郎が身堂の怪我をしている右側の顔に触れると、ゆっくりだが、身堂の傷口が塞がり始めた。京子は、呆然と息子子郎の不思議な力に驚いて居た。身堂も呆然とし、思わず呟き、
「何なの?この子に触れられたら、痛みが引いていくわ・・・この子は一体!?」
身堂もまた、子郎の不思議な力に驚く、だが、子郎を抱き上げると優しくあやし始める。
「ウフフ、オチビちゃんに感謝しなきゃね・・・あなたを見ていると、失い掛けてた人の心が、再び戻ってくるようだわ・・・」
身堂はゆっくり起き上がり、手足を動かし身体の様子を見る。既に痛みは引き、顔の酷い傷もすっかり治って居た。改めて身堂は、子郎の不思議な力に驚きを隠せなかった・・・