※この作品はR-18です。

真説・凄ノ王   作:鳳凰009

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第12話:豹変(その2)

 数日後、M市のとあるホテルの一室に、二十代ぐらいの二人の男女が相談をしていた。

 

「ねえ、ニック!このM市に今到着したけど、例の超能力巨人の気を感じた?」

 

 そう話し掛けた女性は、金髪の髪を腰まで伸ばし、胸は和子や咲苗をも遙かに上回り、今にも服からはみ出そうな巨乳をしていた・・・名前をレイ・ミランダと言う!

 

「いや、まだ感じない・・・だが、この町には凄い数の超能力者の存在を感じる!我が国のお偉方が、我々を調査によこした事にも納得がいくよ」

 

 そう言って答えたのは金髪で優男風のニック・ボーマン、二人はA国のスパイであり、超能力者であった。二人はA国から命じられ、超能力の巨人についての探索を命じられて日本のM市へとやって来た。ニックは更に言葉を続け、

 

「超能力の巨人が、このM市に存在しているのは確かなようだ!レイ、早速この町を探索して見よう!」

 

「分かったわ、ニック!」

 

「だがその前に・・・レイ、もう少し君の胸が目立たないような格好をしてくれないか?今の君の格好じゃ、この町の男達に刺激が強すぎるよ!」

 

「まあ・・・フフ、了解!」

 

 二人は笑い合い、レイはシャツの上にゆったりしたジャンバーを着たものの、それでも巨乳だと言う事は丸わかりで、ニックは微妙な表情を浮かべた。こうしてニックとレイは、夜のM市に超能力の巨人を探索に出た・・・

 

 暴力と権力が支配すM市、その実体を目の辺りにし、ニックとレイは、眉根を曇らせながらも、超能力の巨人を捜した。そこでニックは、3人の女の子を侍らせて歩く、不思議な少年を目撃した。

 

「何だ、あの少年は!?別に超能力者とは思わないが、心の奥底に何か・・・物凄い何かが潜んでいるような?」

 

 レイは、またニックの悪い癖が出たとばかり、両手を広げ溜息を付き、

 

「ニック、趣味の心理学はそこまでにして!私達には別の任務があるでしょう?」

 

 ニックは苦笑いを浮かべ、再びレイと共に夜の街に消えた・・・

 

 ニックが気に掛けた少年、それ朱紗真悟の事であった。真悟は、最近の真悟に好意を持った3人の1年の女生徒を引き連れ、夜の町を徘徊していた。この日は、取り巻きの一人にクラブに誘われ、真悟は気分転換で一緒に遊びに来ていた。一人は茶髪でセミロングの少女、もう一人は黒髪にショートヘアーの女の子、もう一人は眼鏡を掛けた三つ編みの女の子、三人は、応援団を相手にした真悟の勇姿を目撃してから、すっかり真悟のファンになっていた。

 

「この間の朱紗君、格好良かったわ!アッ!?あそこのクラブよ!」

 

 茶髪の少女が、お目当てのクラブ見付けて指差し、真悟をクラブに案内する。中に入ると、店内は踊り狂う客で混雑していた。

 

「朱紗君、踊りましょう!!」

 

 この店に案内してきた少女は、そう言って真悟の右手を掴んで誘うと、真悟も、二人の少女も、踊り狂う輪の中に消えた。

 

 テーブル席で、人相の悪い四人の男達が、酒を食らっていた。その中の二人は、侍らせた女の身体をまさぐりながら酒を飲んでいたが、それは、雪代母娘を輪姦した青沼と特攻服の男だった。踊り狂う人々の中から、獲物を探すように目を光らせる二人組は、青沼のアニキ格で、学ランの串田と2メートルの大男蛭川、二人はヤリマン女には見向きもせず、犯せば怯えるような女を狙い、物色していると、

 

「おい、あそこに居るの・・・ウチの学校の生徒じゃねえか?」

 

「本当かよ!?おい、青沼ぁ!あれ、ウチの学校の奴だよなぁ?」

 

 女と酒を飲んでいた青沼は、串田と蛭川に聞かれ、二人が指さす方向に目を向けてみた。三人の女と踊り狂う真悟を見て、目を見開き驚愕する。

 

(あ、ありゃあ、朱紗じゃねえか!何であの野郎がこんな所に!?拙いぜぇ、あの野郎と関わったら、また瓜生の野郎に・・・)

 

「青、ヤバイゼ!」

 

 特攻服の男も真悟に気付いたようで、青沼とヒソヒソ話を始めた。蛭川は小首を傾げ、

 

「どうした、青沼?知り合いなら紹介しろよ!」

 

 青沼は、真悟に関わったら、また瓜生達に酷い目に遭わされるのを恐れ、慌てて手を振り、真悟の事など知らない素振りを見せ、

 

「し、知りませんよ、あんな奴!」

 

 蛭川と串田は、青沼の妙に煮え切らない態度を不審に思ったが、

 

「まあいい、串田!学生がこんな所に女連れて来ちゃ行かんって事を、あの坊やに分からせてやろうぜ!!」

 

 蛭川に聞かれた串田は、口元をニヤリとさせ、

 

「全くだぜ・・・おい青沼、行くぜ!!」

 

 青沼は大慌てで二人を宥めるが、蛭川も串田もそんな言葉に耳を貸さず、真悟達の踊る所に歩いて行った。その為、青沼と特攻服も渋々後に従った。

 

「おいおい、兄ちゃん!こんな所で子供が遊んでちゃいかんぜ?」

 

「おじょうちゃん、ママが心配しちゃうよ?」

 

 そう言うと、蛭川と串田は、茶髪の子の手を掴み、自分達の方に連れてくる。それを見た真悟は、口元に笑みを浮かべ、

 

「なるほど、目的は女か・・・良いぜ、連れて行きな!!」

 

 真悟はそう言うと、恐怖に引き攣る残りの二人を、串田と蛭川に投げ渡した。少女達は信じられないと言った表情を浮かべ、必死に真悟に手を伸ばし、

 

「い、いやぁ、朱紗君!助けてぇぇ!!」

 

「お願い、手を放してぇぇ!」

 

 だが、そんな言葉を蛭川も串田も聞く筈も無く、三人の少女は胸を触られながら、強引に出口に向かって無理矢理歩かされる。蛭川は真悟を見てニヤリとし、

 

「物分りの良い兄ちゃんだな!ありがたく頂戴して行くぜ!!」

 

 青沼は、真悟の行動に驚きを隠せなかった・・・

 

 嘗て、雪代母娘を守る為、身体を張ったあの時の真悟と、今の真悟が同一人物だとは思えない程だった。

 

(な、何だぁ!?あいつ、どうしちまったんだ?)

 

 呆然としていた青沼だったが、蛭川に行くぞと言われ、特攻服と共にその後を追った。女達の悲鳴が響く中、遠のいて行く串田達を、真悟は突然ダッシュで追いかけ、後ろから不意打ちを仕掛け、蛭川と串田に強烈な蹴りを放ち、女達に逃げろと命じて逃がした。

 

「バカか!?そう上手くいくか!テメェらの根性・・・叩き直してやる!!」

 

 真悟の不意打ちを食らった串田と蛭川は、逆襲する事無く呆気なく真悟に気絶されられるが、真悟は殴るのを止めなかった。見かねた青沼が、近くに居た女の喉元にナイフを近づけて、

 

「朱、朱紗ぁ!止めねえと、この女を刺すぞぉ!!」

 

「アァ!?俺の知らない女だぞ?」

 

「構うもんか!手前が俺達に、無抵抗のまま殴られるなら、この女を解放してやるよ!じゃなきゃ・・・」

 

 青沼は、女の胸元をナイフで切り裂くと、女の胸が露になる。女は泣き叫び、悲鳴を上げた。その時、真悟の目に人質の女が雪代と重なった・・・

 

「うぅぅぅ・・・ウゥゥゥオオオオ!!」

 

 涙を流した真悟の叫びと共に、店は停電し、店内は大パニックになった!

 

 

「な、何だ!?凄まじい怒りのパワ-だ・・・レイ、君も感じたか?」

 

「ええ、ニック!これは、噂の超能力の巨人じゃないかしら!?行きましょう!」

 

 ニックとレイの二人は、慌てて元来た道を引き返し、怒りのパワーの出所に向かって駈け出した。一方、入浴していた美剣も、その気配を察知した。慌てて浴槽から上がり、脱衣所で身体を拭いていると、お手伝いが美剣を呼びに来た。

 

「お嬢様・・・御当主様がお呼びです!」

 

「分かりました!」

 

 風呂から出たばかりであったが、美剣は冷水で身を清め、白い長襦袢を着て庭の離れにある祖父の部屋へと向かった。その姿は、どこか神秘的でもあった。ドームのような建物の中に美剣が入ると、祭壇には巨大な剣が祭られていた。

 

「来たか、千草!見よ、神剣美剣を・・・神剣美剣から稲妻が放たれておる!これは、凄ノ王の怒りに、聖剣美剣が呼応しておるのだ!!」

 

 美剣は、祖父の言葉を聞き、ハッとして今一度聖剣美剣から放たれる雷を見た・・・

 

 

 暗闇の中、青沼の絶叫が店内に木霊していた。従業員が恐る恐る懐中電灯で青沼を照らすと、青沼と特攻服は宙に浮き、特攻服は壁に思いっきり叩き付けられ、血反吐を吐いて失神し、青沼の右腕は自然にへし曲げられる姿が、人々の目に飛び込んでくる。人々は、野獣のような叫び声に恐怖して、我先にと慌てて店から逃げ出し始めた。

 

 救急車が何台も駆けつける中、真悟は更に絶叫をすると、その身体から紅蓮の炎が立ち上り、ビルを炎で覆い尽くし、数分後消防車が何台とやって来て消火活動をするが、火は消える気配を見せなかった・・・

 

 ようやく現場に着いたニックとレイは、炎の形が巨人のシルエットのように燃えている事に驚き、

 

「み、見ろ、レイ・・・あの炎は、まるで炎の魔神だ!日本の消防設備がどんなに優れていようとも、簡単には消えそうに無いぜ!!」

 

 レイはコクリと頷き同意した。あの超能力の炎が、そう容易く消えるとは思えなかった。

 

「悲しいわね・・・あの炎は悲しみで一杯だわ・・・きっと、とても悲しい事があったんだわ・・・それがあの超能力の巨人を目覚めさせたんだわ!」

 

 だが、この炎の巨人をこのままにしておく事は出来なかった。ニックは、この魔神は更なる厄を呼び寄せるのではないかと危惧した。ニックは後時をレイに託し、炎の巨人に接触してみようと試みた。

 

「ダメよ、ニック!危険すぎるわ!!」

 

「だが、このままにはしておけない・・・」

 

「だったら・・・私も行くわ!」

 

「レイ!?・・・・・分かった!俺から離れるなよ?」

 

 頷きあったニックとレイは、消防士達が止めるのも聞かず、炎に覆われたビルへと入っていった。クラブのドアを開けた瞬間、二人の身体は底見えぬ闇の中に落ちていった・・・

 

 暫くすると真悟は、自分の部屋にテレポーテーションして戻って来た。雪代の事を思い出した真悟は、只泣き続けた・・・

 

 

 ニックとレイは、不可思議な空間の中を漂っていた・・・

 

 レイは不安そうにニックの右手にしがみつき、

 

「ニック・・・此処は一体!?」

 

「お、俺にも分からない!だが、この闇の中は・・・悲しみで覆い尽くされている!!此処は一体!?」

 

 困惑する二人の前方に、光が舞い降りてきた。光はやがて人の姿を形成し、長い金髪の少女の姿となった。闇の中に舞い降りた天使の少女、それが雪代小百合だとは、ニックとレイには知る由も無かった。更にその光を追うように、もう一つの光が舞い降り、その姿が雪代咲苗の姿となった。二人はこちらに歩いてくるようで、ニックとレイは、彼女達に話を聞いてみようと思った刹那、今度は彼女達の足下の闇が蠢き、人の形を形勢した。それは青沼グループで、彼らは一斉に雪代母娘に襲い掛かり、彼女達は為す術もなく身に付けていた衣装を剥ぎ取られ、その美しい身体に群がった青沼達は、醜い怪物の姿へと変化していった。

 

「これは!?」

 

「彼女達を助けなきゃ!」

 

 ニックは驚愕し、レイが雪代母娘を救おうと思った時、二人の側で巨大な鎖がジャラジャラ動く音が聞こえてきた。レイはニックにしがみつき、ニックは辺りを警戒して探ると、そこには、首と両手、胴体に鎖をグルグル巻にされた巨人が咆哮して居た。暴れる巨人の影響で周囲が揺らぎ、

 

「ウワァァァァ!」

 

「キャァァァァ!」

 

 ニックとレイは、再び闇の中へと落下して行った・・・

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