第123話:亡者の影(その1)
世界は闇に覆われて行った・・・
地上には、再び魔が溢れようとして居た。だが、黄泉と繋がったこの世界に舞い戻って来たのは、魔だけでは無かった・・・
小百合の身を案じ、何度も休憩を入れながら、龍の洞窟を目指していた青沼一馬と雪代小百合は、突然空が闇に覆われた事に驚きを隠せなかった。
「こ、これは、迂闊に動けないぞ・・・ハレンチ砦に戻るとしても、これじゃ・・・雪代さん、俺の手でも服でも良いから、必ずしっかり握って居るんだよ!!」
青沼の言葉に、小百合は何度も頷いた。
二人は、遠くの方で八つの金色に輝く物を見た。青沼も小百合も、その光から発せられる輝きに、本能的に恐怖を覚えて居た。特に小百合の脅え様は凄かった・・・
「ど、どうしよう!?和子さん達と合流出来れば、心強いんだけどね・・・」
小百合は、八つの金色に輝く物体から斜めの位置を指差した。どうやら、あっちに行きたいと言っているようだと悟った青沼は、
「雪代さん、あっちの方角に行きたいんだね?どうせ此処に居てもしょうがないし・・・よし行こう!!」
小百合は、青沼の服をしっかりと握り、二人は足元を確かめながら、ゆっくり歩き出す。暫くすると、正面から不気味な呻き声を発しながら、歩いてくる者が居た。青沼は咄嗟に小百合の手を引き、身を隠した。
「・・・沼、青沼~!隠れても無駄だ!お前だけ、お前だけ!!」
不気味な声は、青沼を捜しているようであった。青沼はゾッと背筋が冷たくなった。今の声に、青沼は聞き覚えがあった。
(い、今の声は・・・安!?)
身を隠す青沼と小百合の直ぐ側に、七つの人影が姿を現す。さながらそれはゾンビの行進のようであった。
「ヒィヒィヒィ!女だ、女の匂いだ!!」
「本当だ、この匂い、覚えて居るぞ・・・」
「そうだ、俺達が犯した女!」
「雪代小百合だ!!!」
不気味な笑い声が辺りに響き渡る。小百合は恐怖でガタガタ震え始め、青沼にしがみ付居た。青沼は、慌てて自分の口を塞ぎ、声が漏れないようにした。青沼の目は、嘗ての仲間達の無気味な姿を見た。
(お、おかしいぞ!?あいつらは確か・・・ま、まさか、幽霊!?)
その時、青沼の頭上から不気味な声が聞こえた。
「み~つ~け~た~ぞ~!!青沼!!!」
「ウワァァァァァ!」
青沼と小百合は、頭上の安村の顔を見て思わず悲鳴を上げた。その顔は醜く崩れ、蛆が湧いて居た。
青沼は小百合の手を掴み、強引に無我夢中で走り出した。
だが、行く手を遮るように、青沼は嘗ての仲間達に追い詰められて行く。皆この世の者とは思えない仲間達に・・・
青沼達は、目的とは違う方向に追い詰められて行くのだが、今の青沼達はこの状況を脱したい為に気付く事は無かった。
(な、何だ、あれは・・・と、とにかく逃げよう!!)
「ゆ、雪代さん、こっちだ!こっちは大丈夫のようだ!!」
必死に逃げる青沼と小百合を、七人の亡者は不気味な唸り声を上げながら、ジワリジワリと追い詰めて行った。
「ヒィヒヒヒィ、青沼~、逃がさないぞぉぉ!!その女は前よりも・・・雪代~お前も俺達の物が忘れられないだろう?ヒィヒヒヒィ~」
7人の亡者のペニスは、小百合を見て勃起していく。小百合は再び忌まわしき出来事を思い出し脅えた。
「青沼~、思い出せぇ!その女を犯していた時の事を・・・共に雪代小百合を犯そうぜ~!!ヒィヒヒヒ」
ピグが下衆な笑い声を響かせ青沼を誘惑する。小百合は震えながら、思わず青沼の顔色を窺うが、
「違う!この人はあなた達とは・・・私は、青沼さんを信じます!青沼さんは変わったわ!!」
心を閉ざした筈の小百合が、青沼を信じて居ると7人の亡者を睨みながら言った。青沼は呆然としたものの、
(雪代さんが・・・俺を・・・俺を信じてくれて居る!?)
青沼は、心の底より嬉しかったし、小百合に勇気を貰った気がした。
「大丈夫だよ、雪代さん!こんな奴らの言う事何て聞くもんか・・・俺は、俺は、変わったんだ!!逃げよう、雪代さん!!!」
小百合は頷き、青沼の手をギュッと握り共に逃げて行った。
「青沼の野郎・・・既に雪代を調教済みなのか?奴だけに良い思いはさせねぇ~!!」
亡者達は、青沼と小百合を執拗に追いかけて行った・・・
ようやくと言いますか、やっとと言いますか、最終章突入しました!
広げすぎた風呂敷を畳んで行きますので、最後までお付き合い下さいませ!!