天浮舟では、激闘を続けるマジンガーZを装備した甲児と、悪魔王ゼノンの戦いが映し出され、皆が甲児に声援を送って居た。
「何か、マジンガーって、戦っている間に徐々に大きくなってない?」
十文字菊乃の言葉に、そう言えばと鳴神緑も答える。
「おそらく、人々の意思を吸って居るのでしょう・・・皆、しっかり兜甲児君を応援しましょう!」
千草の声に皆が同意する中、梵天翁はマジンガーと言う言葉が気になって居た。
(マジンガーか・・・確か、ムー大陸の守護神がそんな名前だと・・・いや、今は考えるのは止そう!頑張れ、少年!!)
梵天翁も甲児に声援を送った。
「ねえ、私達のお色気で、甲児君に声援送ろうよ!!」
「馬鹿ねぇ、そんな事したら、マジンガーの一部分しか大きくならないじゃないのよ?」
「アハハ、嫌ぁねぇ、二人共、イヤらしいんだから・・・」
弁天ゆり、神薔薇あけみ、万華鏡子のトリオが、その場の空気を和ませる。千草も微笑み、
(私達も応援に向かいます!負けないで!!)
天浮舟は急ぎ山陰地方を目指し進んだ・・・
和子と咲苗は、甲児の言葉を聞き、ハッとすると、
「か、和子さん、甲児君は無事だったのですね!」
「そのようね、良かったわ!」
和子と咲苗が喜び合うと、青沼と小百合は小首を傾げる。
「和子さん、甲児君って?」
青沼の問い掛けに、和子や咲苗が甲児達との出会いや、今までの事を語って聞かせた。
「皆、大丈夫そうね・・・此処に何時までも居ても埒が明かないわ!皆の所に行きましょう!!」
和子は三人を連れ、戦士達の下にテレポーテーションするのであった。
突然現れた和子達に、皆が喜びの声を上げ、
「小百合、無事だったのか?良かった・・・」
瓜生が、竜子が、ガイデルが、そして、ミーコやモサが、小百合の無事な姿を見て喜ぶ。そして、動けない真悟も、目で小百合の無事な姿を確認する。
(雪代さん・・・良かった、無事に生きて居てくれて・・・)
真悟に気付いたのか、小百合も真悟を見て涙を流した。だが、この場を動けない真悟は、小百合を抱きしめる事は出来なかった。
(雪代さん、今は皆と共に、兜甲児の勝利を信じよう!!)
小百合は頷き涙を拭った・・・
「甲児く~~ん!皆、あなたの勝利を待ってるからね~~!!」
さやかが絶叫し、皆が口々に甲児に声援を送り続けた。そんな中、複雑そうなヤマトの表情を見て、アイラは訝った。
「ヤマト様、どうかなさったんですか?」
不安そうなアイラを見て、ヤマトはアイラの肩を抱き、何でもないと答えるも、
(おそらく、これが甲児さんの・・・)
ヤマトは、この戦いを見届けねばと思って居た・・・
自分でも、何故そう思うのかは分からなかったが・・・
悪魔王ゼノンとの壮絶な死闘を続ける兜甲児にとって、これがマジンガーZと同化しての、最後の戦いになるとは、まだこの時本人にも知る由は無かった!!
人々の意思を吸い込み、マジンガーZは悪魔王ゼノンにも引けを取らないぐらいに巨大化して居た。さすがのゼノンも、マジンガーZの力に脅威を覚えて居た。
「貴様は何だ!?我と戦える者が、奴以外にも居るとは・・・信じられん・・・信じられぬ!」
「ヘン!マジンガーZは、人々の希望、平和を願う心を吸収し、強くなる!そして、最後にはお前を倒す!!ロケットパ~ンチ!!!」
甲児のロケットパンチは、ゼノンの超能力の前に再び弾かれる。ならばとZブレードで切りかかるも、ゼノンの超音波で砕け散る。一方のゼノンは、強大な攻撃力のエネルギー波で甲児を追い込むが、甲児がブレストファイヤーで相殺する。
「おのれ~!この我が・・・悪魔王ゼノンが・・・おのれ、おのれ~~!!」
自分と対等に戦える者に遭遇し、怒り狂うゼノンが、自然の力を利用し甲児に攻撃を仕掛ける。嵐が、雷が、甲児を襲う。
「チィィ!負けるかよぉぉ!!」
甲児は、左右の角に雷を吸収し、Zの身体が光輝くと、
「ゼノン、お返しだぜ!サンダーブレェ~ク!!」
甲児は雷を吸収し、逆にゼノンにサンダーブレークをヒットさせると、さしものゼノンも苦悶の表情を浮かべた。
「おのれ~!ならば、貴様の力の源を・・・断ち切ってくれるわ!!」
悪魔王ゼノンが甲児に踵を返すと、眼下で戦いの行方を見守る戦士達に狙いを定めた。
「クッ、皆!?奴が、ゼノンが・・・」
瓜生の叫びも虚しく、強大なゼノンの攻撃が、戦士達の居る場所に直撃を喰らうと思った時、甲児がその身体でゼノンの攻撃を受け止めた。
「ヘ、ヘヘヘ、待てよ!お前の相手は・・・俺だろう!?」
「グゥゥゥゥ!?」
ゼノンは、明らかにマジンガーZ、いや兜甲児に恐怖を感じて居た。さやかが、ボスが、皆が悲鳴を上げ、必死に甲児に声援を送る。
「皆悪ぃ~!もう、限界だ・・・だが!!」
「ヌゥゥゥ!?貴様、何を?」
甲児は、ゼノンの身体を羽交い絞めにすると、上空高く舞い上がった。ゼノンは藻搔くも、甲児を振り解く事は出来ず、激しく動揺した。
「は、離せ~!き、貴様、何をする気だ~~!?」
何とか逃れようと暴れるゼノンを、甲児はしっかり掴みながら、
「ヘヘ、俺とマジンガーZの力の全てを・・・お前にぶつける!!」
マジンガーZを装着した甲児の身体が、目映い光を周囲に輝かせた。まるでゼノンを光の中に飲み込むように・・・
「グゥゥゥ・・・バ、バカな~!我が、我が・・・この悪魔王ゼノンがぁぁぁ!!」
ゼノンを光の中で消滅させたマジンガーZは、その力を使い果たし、元の大きさに戻りながら落下して行った。甲児の視界に、マジンガーZの頭部が映った時、甲児は微かに微笑んだ。
(朱紗真悟・・・後は任せた・・・ぜ!)
(甲児さん・・・)
甲児からのテレパシーを受けた真悟の瞳からは、ポロポロ涙が零れ続けた・・・
兜甲児とマジンガーZは、分離しながらも側を離れず、共に地上向けて落下して行った。
弓さやかが、ボスが、絶望の表情で絶叫する。
「イヤァァァ!甲児くん、甲児く~ん!!」
「か、兜~~!ちくしょう、ちくしょう!!」
瓜生と和子が、慌てて甲児を救おうとテレポートさせようとした時、甲児の身体を、羽衣を纏った二人の美女が優しく抱え込んだ。それは、如月ハニーとジルだった。
「甲児君、大丈夫?あなたを死なせたりしないわ!!」
「ああ、ハニーの言う通りだ・・・素晴らしかったぞ、兜甲児!!」
ハニーとジルが、甲児の両頬にキスのプレゼントをすると、気を失って居た筈の甲児は徐に目を見開き、
「ヘヘヘ、キスも良いけど・・・どうせなら、二人の魅力的な胸に挟まれたいな~~!」
何時の間に意識を取り戻したのか、甲児にリクエストされたハニーとジルは、思わず顔を見合わせて苦笑を浮かべた。
「まあ、甲児君ったら・・・さやかさんに叱られますよ?それでも良いなら・・・ねえ、ジルお姉さま?」
「そうだな、英雄のささやかなリクエストなら・・・答えてやるかハニー?」
二人は顔を見合わせると、
「ハニーフラ~ッシュ!!」
「エェェイ!!」
ハニーとジルが光に包まれると、二人は一糸纏わぬ姿になり、ハニーは甲児の左頬に右胸を、ジルは右頬に左胸を当てた。思わずスリスリして感触を味わう甲児だった。
(ああ、この感触・・・生きてて良かったぁぁ!!)
二人の柔らかな胸に挟まれ、心の底からそう思う甲児だった。
「イヤァン、甲児君ったら・・・はい、もう終りよ!!」
ハニーの合図で、ハニーとジルの身体を再び羽衣が覆った。朱紗真悟は、そんな行為を見ると、心の底から兜甲児が羨ましいと思い、自分も邪神を倒せば、ハニー達のサービスが受けられるのだろうかと、ふと思うのであった。
一方、ハニーとジルが甲児を救出してくれた事を知り、モサの双眼鏡で甲児の無事な姿を見て居たさやかだったが、突然震えながらモサの双眼鏡を真二つにする。モサは涙目になり、
「ああ!俺の双眼鏡がぁ・・・さやかさん、何するんだ・・・よ!?」
振り向いたさやかの般若のような顔に、思わず文句を言うのを恐れたモサは後退り、
「モサ、何か今のさやかに触れない方が良いよ!何か見たくない場面見たみたいだからさ」
モサに近付いたミーコが、小声でモサに告げると、モサは只黙って頷いて居た。
「アンニャロ~~!戻って来たら覚えてろ~~!!」
さやかの物凄い殺気に、ボスはもちろん、アイラやヤマトも、さり気無くさやかの側を離れて行った。
さやかの妙な雰囲気は、甲児、ハニー、ジルにも伝わって居た。甲児は思わず背筋がゾッとし、
「ハ、ハニーさん!ジルさん!もう一つ、お願いがあるんだけど?」
「エッ、お願い?何かしら!?」
ハニーとジルが、不思議そうに甲児に聞くと、甲児は引き攣った表情を浮かべながら、
「俺を、日本の反対側に降ろしてくれないかなぁ!?さやかさんには、遠くに旅立ったと伝えてよ!!」
「「む、無茶言わないで~~!!」」
ハニーとジルに却下され、兜甲児は、さやかが爪を研いで待つ、皆の下へと帰って行った・・・