黄泉の国に、三人のジャックが集まって居た。
「兜甲児か・・・奴も何れは、朱紗真悟同様、奴のイメージの中心になりうる男だな・・・今は礼を言おう!!」
「そうね、彼が望むなら、私も可愛がってあげるんだけどねぇ!ウフフ」
女ジャックは、楽しそうにクスリと笑みを浮かべた。少年ジャックは尚も不安そうに、
「でも、この世界と黄泉の国を繋ぐこの道を封じなければ、奴がまた・・・」
「分かって居る!だから俺達は此処に来た!!既に二人の神の巫女、ハニーとジルも気付いた筈だ!!この世界と黄泉を繋ぐ物を断ち切る方法に・・・」
三人のジャックが、金色に輝く八つの光を見た。
甲児を、皆の居る場所に届けたハニーとジルは、主であるアマテラス、並びにツクヨミを呼び出す為に、何かの模様を描くと、その上で舞を始めた。
「あの娘達、何してるのかしらね?」
身堂が合田に話し掛けるが、合田に聞いたのは間違いだったなと苦笑を浮かべた。そこに、後から身堂の尻に蹴りが飛んだ。身堂がムッとして振り向くと、そこにはモサとミーコの姿があった。モサは軽く手を上げ挨拶するが、ミーコは怖い顔で身堂を睨んだままだった。
「身堂ちゃん、関東での事・・・忘れてないでしょうね?」
身堂は、直ぐにモサを見捨てろと言った事だなと理解したが、知らない素振りで惚け、
「関東!?ゴメンなさいねぇ・・・最近色々あって覚えて無いのよねぇ?覚えて居るとすれば、ミーコが門土と・・・」
ミーコは、目を見開いて驚き、慌てて身堂を手で遮り、
「ちょ、ちょっとこんな所で、ヤメテよぉぉ!本当に覚えてないの?でも、一言謝って欲しいなぁ・・・そうすればあたいも、この事は水に流すからさ!!」
身堂は、ミ-コが本心から言って居ると悟り、からかうのは止めて真顔になると、深々とミーコとモサに頭を下げ、門土を止められなかった事の詫びを入れた。そんな時に、向こうで兜甲児の悲鳴が沸き起こった。
「イッテェ~!何しやがる、このじゃじゃ馬ぁぁ!!」
「何ですって~~!人を散々心配させて・・・さっきのは何よ!デレデレしちゃってさ!!」
さやかは、戻って来た甲児に、先程のハニーとジルにして貰って居た甲児の行為が許せず、頬を膨らませて甲児に抗議する。
「何って・・・俺が地面に墜落するのを、ハニーさんとジルさんが・・・」
「キ~~!惚けちゃってぇぇ!!いいわよ、ハニーさんとジルさんに何されたか聞いて来るから・・・フンだ!!」
さやかは、甲児にプイと背を向けて、ハニーとジルの方に向かうが、さすがに場の空気を読み、ハニー達の舞いを見続けて居た。
一方、その場に座り込む甲児の側に、ボスやアイラ、ヤマトが近寄る。ボスは辛そうな表情の甲児に上着を脱いで風を送り、
「兜ぉ~!俺は、お前が勝つと信じてたぜ~!!」
「ああ、ありがとな、ボス!!」
「甲児様、あれは、ひょっとするとムーの守り神、マジンガーでは?」
アイラに聞かれた甲児は、コクリと頷き、
「どうやらそうらしい・・・詳しくは俺にも分からないけど、マジンガーは、俺のZと同化し、マジンガーZとなったんだ!!ウッウウ」
甲児が辛そうになってきたのを見て、思わずアイラがしゃがみ込み、心配そうに甲児を介抱する。甲児は苦しみながらも、目を開けた目の前に、アイラの胸の谷間が目に入り、思わずニヤケ顔になる。だが、その表情をさやかが見逃さなかった・・・
「甲児の野郎!!!」
瓜生は肩を竦め、障らぬ神に祟りなしと言うように、さやかから遠のいて見て居たが、そこは年の功で、和子と咲苗がさやかを宥めに掛かった。ビビっていた甲児だったが、さやかを宥めてくれた和子と咲苗に、苦笑しながら二人に感謝した。甲児は自分の手を見つめ思わず呟く、
(くそう、俺の身体はどうしちまったんだ!?まるで、全身がバラバラになるようだぜ?)
その時、マジンガーが甲児の脳に語り掛けて来た。甲児はハッとし、聞き耳を立て、側に居たアイラにも、マジンガーの声が聞こえるのか、神妙な面持ちをして居た。
(甲児、良く戦ったな!あのゼノンは、君の身体を触媒に、世界中の生き残った人々の力を吸収し、その力を一気に放出した為に倒せた、ギリギリの勝利だった!だが、その無理が君の身体を蝕んでしまった・・・申し訳ない!!)
マジンガーの謝罪の言葉を聞き、甲児は目を瞑り、今までのZでの戦い、マジンガーZでの戦いを思い出して居た。
(そうか・・・仕方ないさ!後悔はしない!!じゃあ俺の身体は、もう二度と立ち上がる事すら出来ないのか?)
(いや、それは大丈夫だ!戦士としての力は失ったが、君の日常生活には影響は無い!!少し休めば、歩ける事も可能だろう!!!)
(そうか・・・それを聞いて安心したぜ!)
(甲児様・・・・)
甲児は頷き、愛しそうにマジンガーの仮面を撫でて居た。甲児とマジンガーの会話が聞こえて居たアイラは、甲児に愛しさを感じて居た。もしヤマトが側に居なければ、アイラは甲児の顔を胸に埋め、心の底から感謝した事であろう。
だがそこに、険しい表情を浮かべたさやかが再びやって来ると、
「あ~ら、今度はアイラさんにチョッカイ掛けてるの?相変わらずスケベねぇ!!」
さやかの冷ややかな挑発を受けるが、甲児は痛みでさやかを無視する。無視されたさやかが、更に顔色を変え、甲児に何か言おうとした時、アイラの平手打ちがさやかに炸裂した。周りに居た甲児も、ボスも、ヤマトも、そして、殴られたさやかも、殴ったアイラも、時が止まったようだった。涙ぐむさやかに、アイラは詫びながらもさやかを諭し、
「さ、さやか様・・・ゴ、ゴメンなさい!私、カッとなってつい・・・でも、甲児様の気持ちも考えて上げて下さい!甲児様は、あの悪魔との戦いで、戦士としての力を失ってしまったのですよ!!」
「エッ!?」
思わずさやかが甲児を見ると、甲児は悔しそうに俯き、アイラの言葉が事実だとさやかにも分かった。アイラは更に言葉を続け、
「Zは、お爺様の形見だと聞きました!でも、もう・・・甲児様は、それを装着する事も出来ないのですよ!甲児様を許してくれませんか?」
アイラの言葉に聞き入り、俯きながら涙ぐんで居たさやかは、甲児を見つめながら話し掛け、
「甲児くん・・・今の話・・・本当なの?」
「ああ、さっきZと一体になった、マジンガーの魂が俺に語ってくれた!もう二度と、マジンガーZは装着出来ない・・・何だよ、その顔は?でも、日常生活は問題無いそうだぜ!!」
甲児はニィと笑みを浮かべると、さやかは益々涙ぐみ、甲児に抱き付いて詫び続けた。
「甲児くん、ゴメンね・・・ゴメンねぇ!甲児くんの気持ちも知らないで、ヤキモチ焼いて・・・甲児くん・・・遅くなったけど・・・ありがとう!!」
さやかは、人前なのも忘れたかのように、甲児に熱い口づけをした。甲児も痛む身体を堪え、さやかを抱きしめた・・・
「や~れやれ、ようやく騒がしいのも終わったようね・・・ン!?」
身堂の言葉を聞いたさやかが、身堂の顔を怪訝そうにジッと見て居ると、突然思い出したように、
「アッ!思い出したわ!あなた、早乙女門土と一緒に居た・・・」
さやかの言葉に、甲児も思い出したのか、身堂を険しい表情で睨みつけると、
「俺も思い出した!さやかさんを無理やり犯そうとしてた奴の・・・テメェ、よくも抜け抜けと・・・」
身堂は、顔から冷汗を流し、両手を突き出して、ちょっと待ってと言うようなジェスチャーを加え、
「あれは、門土が勝手に・・・二人共、落ち着いて!!」
さやかの怒りの矛先は、どうやら身堂に向かったようだった。悲鳴を上げながらさやかから逃げ回る身堂と追うさやか、しばらくして、十兵衛、八十八、ガイデル、竜子、そして、和子の取り成しで、ようやく許された身堂だが、その顔にはさやかの爪痕がクッキリと付いて居た。
「ハニー、うるさくて集中出来ないな?」
「エエ、でも、私達にも責任の一端はあるし、ここは我慢しましょう!!」
ハニーとジルは、一同の騒動に苦笑しながらも、舞いを続けて居た・・・