翌日・・・
真悟は姉涼子と共に、合田の入院する病院に見舞いに行った。此処は青沼も入院している総合病院で、合田が全治一週間で済んだのは、常日頃鍛えた身体だからだろうと医師も驚いていた。真悟と涼子は、ベッドで安静にしている合田に頭を下げると、
「合田さん、すいませんでした!!」
合田は、苦笑混じりに右手を振り、
「おいおい、朱紗も涼子も頭など下げるなよ!俺達は力一杯戦ったんだぜ?俺は満足だ!!それに、俺はボクシングで負けた訳じゃないからな」
そう言うと、合田は真悟を見てニヤリとした。
「知っていましたか・・・」
真悟は思わず驚き、涼子は何の話か分からずキョトンとしていた。合田は口元に笑みを浮かべながら、
「ボクシングでお前に負けたなら、キャプテン何か今日で辞めてるさ!俺は、凄い力を持ったお前に負けたんだ!!だがその力・・・無闇に使うなよ、朱紗?」
合田はそう言うと、真悟に右手を差し伸べ、真悟もその手をがっちり掴み握手する。見て居た涼子はジーンと心を打たれたようで、
「良いわねぇ、男の友情ってさ!合田君、何か欲しい物ある?退院するまでは、毎日来て上げるね!!」
「エッ!?い、良いのか?」
合田の顔が思わず綻び、真悟は少し意地悪そうな表情で、合田の耳元で小さな声で話し掛け、
「合田さん、姉ちゃんが欲しいって言っちゃえば?」
「おい、朱紗!からかうなよ・・・これでも病人何だぜぇ!?」
「「「アハハハハハ」」」
合田の病室から、三人の笑い声が響いた・・・
翌日の放課後、真悟は涼子と共に合田を見舞った帰りに、美剣からテレパシーを受け取り、涼子に先に帰っているように告げ、自分は美剣に呼ばれた公園へとやって来た。そこは嘗て、美剣と共に瓜生一味に襲われた場所だった・・・
「美剣さん、俺に何か用かい?」
真悟の問いかけにブランコが揺れると、ブランコに乗った美剣が姿を現わした。上は薄い白い長袖シャツの上に、薄いピンクのカーディガンを羽織り、下は赤いスカートを穿いていた。美剣も合田の事は気に掛けて居たようで、
「合田君の具合はどう!?あなたの超能力パンチを、全身に受けてしまったんですものね・・・」
「合田さんは、一週間で退院出来るそうだ!」
「本当!?それは何よりね!」
真悟と美剣が二人で会っているのを、草むらの中から六つの目が覗いていた。おしゃれな黒い帽子を被った宝塚の男組に居そうな美女は、瞬きしながら二人を見つめ、
「ねぇ、ゆり!あれが千草様の?」
「そう!千草様お気に入りの朱紗真悟よ!」
「へぇ、千草様ったら、年下もいける口だったんだぁ?」
半透明で羽衣のような長い薄いマフラーをしている、セーラー服姿の美女は、少し口元に笑みを浮かべた。
「あけみ、鏡子、あんた達が一目見てみたいって言うから、千草様に内緒で付いて来たんだからね?」
「「分かってるわよ!!」」
弁天ゆりに、あけみと呼ばれたのは神薔薇(かんばら)あけみ、鏡子と呼ばれたのは万華鏡子(まんげきょうこ)、二人共ゆりと同じ美剣十人衆で、ゆりに集合を掛けられ、M市にやって来ていた。三人は、美剣十人衆の中でも仲が良く、他のメンバー達からはお笑いトリオと呼ばれていた。残りのメンバーがやって来るまで、数日掛かりそうな状況に、ゆりはあゆみと鏡子に、美剣が執着している真悟の事を見せようと、こうして覗き見をしていた。
まさか、三人に覗き見られているとは思っていない美剣と真悟、美剣は話を続け、
「あなたはあの試合で、超能力に目覚めたわ!まだ、全部では無いけど・・・その力をどう使うつもりなの?」
美剣の問いかけに、真悟はさて、と答えると、愁いを帯びた美剣は、
「あなたの超能力は強力すぎる・・・だから、間違った使い方をして欲しく無いのよ!あなたがその力を犯罪に使っても、人間に罰する事は出来ない!!」
真悟はニヤリと笑うと、
「それは、良い事聞かせてもらったぜ!例えば、こんなのはどうだい?」
真悟の目が怪しく輝くと、美剣の乗るブランコが激しく揺れ出し、咄嗟に飛び降りた美剣を、真悟の念動力が襲った。哀れ美剣の着ていた私服は全て塵となって消え去り、美剣は真悟の前に、モデル並のスタイルを持ったヌードを晒した。咄嗟に覗き見て居たゆり、あけみ、鏡子の顔付きが変わり、
「「「あいつぅぅぅ!!」」」
守るべき主である美剣の事を、あろうことか超能力を使って衣服を消滅させ、公園内で美剣を全裸にさせた真悟に怒り、今にも草むらから飛び出そうとした三人だったが、美剣は上手い具合に両腕で胸と股間をガードし、
「キャアァァ!!止めて朱紗くん・・・こんな事、エッ!?」
真悟は、美剣の行動を先読みしたかのように、瞬間移動で逃げようとした美剣の動きを封じると、真悟は美剣を草むらに押し倒した。美剣は、頬を染めながら髪を振り乱して嫌々をし、
「朱紗くん・・・ダメェェェ!許してぇぇ!!」
美剣が、真悟に哀願しているのを聞いた三人は、
「「「オォォォォ!?」」」
覗き見て居たゆり、あけみ、鏡子は、思わずそのまましゃがみ込み、
「千草様なら、逃げようと思えば逃げれるよねぇ?」
「て事は・・・千草様、ちょっと期待してたりして?」
「嫌よ嫌よも好きの内って言うわね!」
「「「もしかしてぇ!?」」」
ゆり、あけみ、鏡子の三人は、美剣の処女喪失シーンを見られるのではと、三人は興奮気味に身を乗り出しながら成り行きを見守った。真悟は、少し怯える美剣に対し、笑みを浮かべると、
「フフフ、良い眺めだぜぇ、美剣さんよぉ?」
美剣は、予想以上の真悟の力に恐怖した。哀願するような目で真悟を見つめ、
「お、お願いだから・・・イヤァァァ」
「どうだ!?俺の事が憎くなっただろう?もう、関わりたく無くなっただろう?」
「エッ!?」
更に真悟が力を加えると、美剣の両足が大きく開かされ、美剣の処女肉が、真悟の前に披露される。そのまま真悟は美剣に覆い被さり、豊かな乳房を愛撫する。
「こ、こんな事止めてぇぇ!」
「だったら、もう俺に関わらないと此処で誓え!じゃなければ・・・」
真悟は、美剣の乳首を舌で弄り、指先で美剣の大事な所をなぞる。
「アッアァァ・・・ダメェェ・・・酷い!どうしてぇ!?どうしてそうまでして・・・私の事を嫌うの?ウッウゥゥゥゥ」
美剣は、顔を覆ってシクシク泣き出すと、美剣を犯すかに思われた真悟の手がピクリと止まり、
「嫌う!?その逆だ!」
「エッ!?」
「逆だからこそ、俺はあんたに嫌われなきゃならねぇんだよ!」
「ど、どうして!?どうして私に・・・」
「俺の口から言わせる気か?勝手に俺の心を読めば良いだろう!」
そう言うと、真悟はプイッと顔を横に向けた。美剣は、言われるまま真悟の心の中を覗いて驚いた。真悟は、美剣を嫌っては居なかった。逆に美剣の存在が、心の中で小百合と並ぶ程大きくなっていた。だがあの悪夢の日、真悟は目の前で、青沼達に輪姦される雪代母娘を救う事が出来なかった。それが真悟の心に大きな傷となり、真悟は、一生を掛けて小百合を守れる男になろうと誓った。だが、美剣の側に居ると、その決心が揺らぐ程、美剣の存在は、真悟の中で大きくなっていた。
「それで朱紗くんは、私を遠ざけようとこんな酷い真似を・・・」
「あぁ、済まなかったな!」
真悟はそう言うと、着ていた上着の学ランを脱ぎ、美剣に着せて上げ、手を差し伸べて立たせた。立ち上がった美剣が動く拍子に、引き締まった魅力的な尻が見え隠れして、真悟は頬を染めながら、目のやり場に困り、美剣も恥ずかしそうに頬を染めた。真悟は草むらをジィと見つめると、
「それより・・・さっきから俺達の事を、覗いてる奴らがいるようだぜ?」
「エェェ!?」
さっきの痴態を覗かれていたのではと思うと、益々美剣の顔は真っ赤になった。目を閉じ、覗いている者達の心を読んで、美剣はハッとして、呆れた表情を浮かべた。そうとは知らない三人は、
「何やってるのよぉぉ!良いところなのにぃぃ?」
「あのヘタレェェ!あそこまで押し倒して、何も無い何て・・・」
「あけみ、ゆり、そんなに身を乗り出すと・・・アッ!?」
興奮して覗き見て居たゆりとあけみは、身を乗り出しすぎて、草むらから思わず出てしまい、気付いていた真悟と美剣にジィと見られ、ゆり、あけみ、鏡子の目が点になり困惑する。今までの出来事を、三人に覗かれていたと知った美剣は、顔を再び真っ赤にすると、
「朱、朱紗くん、あなたの本心が聞けて良かった!と、取り敢えず今日は・・・ゆり!あけみ!それに鏡子!!」
「「「ハ、ハイ!!!」」」
「三人共、家に帰ったら・・・あなた達に話があります!良いですね?」
「「「は、はい・・・」」」
美剣の声に怒気が含んでいた事で、三人は悄気返りながら返事を返した。真悟は呆気に取られて居たが、軽く咳払いをして視線を美剣に向けると、
「美剣さん・・・恥ずかしい目に合わせて済まなかった!この詫びは必ずする!!それと・・・あんたの言う通り、瓜生麗には近づかない!俺もあいつには、何か引っ掛かる事があるしな!!」
「本当!?それを聞けただけでも・・・今日の事は気にしないで!・・・朱紗くん、じゃあ!」
美剣は、俯く三人を連れ、テレポーテーションでこの場を離れた。真悟は、学ランを美剣に渡したままだったのを思い出したが、シャツ姿のまま家路へと向かった・・・
美剣家では・・・
自分の部屋に戻った美剣は、三人に部屋で待っているように伝えると、埃まみれになった身体を清める為、浴室に向かった。真悟は自分に好意を持っていてくれた事が分かり、先程辱めを受けた事も忘れたかのように、美剣は嬉しそうな表情を浮かべていた。だが、それを三人が覗いていた事を思い出すと、プルプル身体を震わせ、勢い良く湯船から立ち上がり、お湯が零れた。ピンクのネグリジェに着替えた美剣は、自分の部屋に戻ると、ベッドの上に立ちキッと眼下で正座して座るゆり、あけみ、鏡子を見つめた。
「三人共、何か言う事は無いの?私を助けるどころか、覗いているだけだ何て・・・恥を知りなさい!!」
「いやぁ、何か千草様、朱紗真悟と良い雰囲気でしたし、邪魔しちゃ悪いかなぁって・・・ねぇ?」
「そうそう」
「黙りなさい!」
珍しく怒った表情を浮かべる美剣に、鏡子は恨めしそうにゆりとあけみを見ると、
「だから、身を乗り出し過ぎだって言ったでしょう?」
「鏡子!黙って見て居たあなたも同罪です!!」
「エェェ!?分かりました・・・スイマセン」
「全く、何の為の美剣十人衆何だか・・・十人衆のリーダーである、霞竜子(かすみりゅうこ)が到着したら、今日の事は報告しますからねぇ!!」
美剣が、十人衆のリーダー、霞竜子の名を出すと、三人の顔から見る見る冷汗が流れだした。普段は冷静沈着で、的確に指示を出し、正に頼れるリーダーと仲間達に慕われている竜子だったが、その真面目さ故か冗談が通じず、ゆり、あけみ、鏡子は、何度か竜子を怒らせた事があり、刀の錆にされかけた事を思いだし、思わずブルブル震えた。
「ち、千草様!それだけは!!」
「竜子は、冗談が通じない生真面目だから、今日の事知ったら・・・」
「きっと刀の錆にしてあげるわ!て言われるのがオチよ!!」
「「「千草様、もう二度と覗きませんから、竜子に知らせるのだけは許してぇぇ!」」」
美剣は、ジィと三人の様子を伺うと、ゆり、あけみ、鏡子の三人は、両手を組んで半泣きし、目をウルウルさせながら美剣に哀願の眼差しを送り、
「「「もう絶対しませんから、許してぇぇぇ!!!」」」
三人は、もう一度念を押して反省の言葉を述べた。美剣は溜息を付くも、もう一度三人をキッと睨み、
「良いですか、今回だけですよ?もし、次に同じような真似をすれば・・・分かってますね?」
「「「はい!!」」」
美剣に脅され、三人は抱き合いながら、コクコク何度も頷いた・・・