動揺する真悟を挑発するかのように、ノスフェラトゥの幹部達は不敵な笑みを浮かべていた。真悟の頭巾を超能力で剥ぎ取った白髪の男が真悟に話し掛け、
「朱紗真悟、貴様の聞きたい事は分かっている!何故安村に、雪代を襲う事を命令したのかだろう?それが聞きたければ・・・お前がノスフェラトゥに入団するのだな!!」
「何だと!?ふざけるな!!テメェら、自分達のした事分かってんなら、俺がお前らの仲間になる気なんざ、更々無い事も分かってるんだろうが!!!」
真悟はノスフェラトゥの言動に激昂した。雪代小百合を犯すように指示を出した、ノスフェラトゥになど誰が入るかとはらわたが煮えくり返る程だった。その時、ノスフェラトゥ首領、カーミラのテレパシーが真悟の脳内に響いてきた・・・
(ならば、此処で死ぬが良いわ!我らに比べれば、お前の超能力など・・・まだ目覚めたばかりの赤子同然だと分からせてあげるわ!!)
カーミラは、そう真悟にテレパシーを発すると、何処かにテレポートして消えた。真悟が追うのを幹部達が立ちはだかる・・・
真悟の行く手を真っ先に塞いだのは、2メートルはあろう大男、真悟は邪魔だとばかり、
「退けよ!デカぶつ!!」
真悟が大男に触れた途端、真悟の身体は大男に吸収され始める。真悟は焦り藻搔くも、益々大男の体内に吸収されはじめた。
「ウゥゥ、こ、こいつの身体の中に・・・吸い込まれる!?」
「クックック、そいつの超能力は、セル・イーター・・・別名人食い細胞、お前はそいつに吸収されちまうのさ」
不気味に笑うノスフェラトゥの幹部達、苦悶の表情を浮かべた真悟の上半身が、完全に吸収されていくが、途端にセル・イーターと呼ばれる大男は苦しみ出すと、真悟の上半身がセル・イーターを突き破り現われる。思わずノスフェラトゥ幹部達が響めいた。鼻の大きな男が驚愕しながら、
「な、何だと!?セル・イーターが破られるとは・・・あいつ、高度な壁抜けをやりやがったんだ・・・こんな奴、始めてみたぜ!」
呆然と見て居た白髪頭も頷くと、
「そうだな・・・だが、だいぶ今ので力を使っちまったようだ!最早、貴様に戦う力は残されていまい?」
白髪男の言うように、真悟は慣れて居ない壁抜けを使ったせいもあり、今の壁抜けで肩で激しく息をし、疲れきっていた・・・
(ハア、ハア・・・確かにあいつ等の言う通りだ・・・逃げねば確実にやられる!!)
真悟は、残りの力で起き上がると走り出すが、逃がすまいとノスフェラトゥ幹部達が追ってくる。風の超能力が、雷の超能力が、そして炎の超能力が、次々と真悟を襲うが、真悟はただ逃げ回るのみだった。一瞬の隙に、真悟はバイクを奪い逃走したが、その目の前に再びカーミラが現われ、真悟に念動力をぶつけると、真悟の乗ったバイクは破壊され、地面に叩き付けられた真悟は意識を失い、その周りを、ノスフェラトゥ幹部が取り囲んでいた・・・
昨夜真悟と美剣が会った公園に、険しい表情をした霞竜子が立って居た。その目の前には、正座をさせられたゆり、あけみ、鏡子の姿があった。
「りゅ、竜子、あたし達に何か用かなぁ?」
「エェと・・・何で正座をさせられるのか、理由が良く分からないんだけど?」
「黙りなさい!あなた達・・・千草様と朱紗真悟の事を・・・覗き見てたそうね?」
(((ギクッ!?)))
思わず図星をさされた三人はビクリと身体を震わせた。鏡子は伏し目がちに竜子に話し掛け、
「竜子・・・千草様から聞いたの?」
昨夜は黙って居てくれるって言ったのにと、少し不満そうな表情を浮かべる鏡子に気付き、竜子は仕込刀を地面にドンと突くと、三人は思わず正座のままジャンプし俯いた。
「私はさっき、千草様に頼まれて朱紗真悟に会ってきたわ!彼に念動力のコントロールの仕方を教えてやって欲しいって・・・まあ、それは置いといて、その朱紗真悟から、あなた達三人が、千草様と朱紗真悟の事を覗いていたと聞き・・・私は大変恥ずかしい思いをしたわ!!」
(((あいつかぁぁぁ!?)))
竜子に喋ったのが真悟だと知り、三人は目を吊り上げた。だが思い返せば、真悟には黙って居て貰う事を伝えて居なかった事を思い出した。竜子はそんな三人の表情の変化を見逃さず、
「朱紗真悟が告げ口したのかって顔してるわねぇ!?自分達が悪い事を棚に上げて!」
「「「し、してない!してない!!」
同時に首を左右に振るゆり、あけみ、鏡子だったが、竜子は仕込刀をゆっくり引き抜くと、思わずゆり、あけみ、鏡子は、身を寄り添いながら震えだし、
「りゅ、竜子!?落ち着いて!」
「私達、反省してるから!ちゃんと反省してるから!!」
「刀を治めて!」
「黙れ!そこに直れ!!刀の錆にしてあげるわ!!!」
「「「ヒィィィィィ!」」」
竜子が頭上に刀を振り上げると、ゆり、あけみ、鏡子は、震えながら悲鳴を上げたその時、
「フフフ、竜子!ゆりも、あけみも、鏡子も、反省しているようだし、その辺で許して上げたら?」
突然公園内に声が響き渡り、竜子は口元に笑みを浮かべると、
「フフフ、菊乃!今着いたの?」
「エエ、ついさっき!もう白鳥や緑、カオルにいぶき、それにさつきも着く頃よ!!ゆり、あけみ、鏡子、ちゃんと反省してるわよねぇ?」
暗闇の中からゆっくり姿を現わしたのは、美剣十人衆の副リーダーである十文字菊乃(じゅうもんじきくの)だった。何処か教会に勤める修道女のような出で立ちをしていて、形の良い胸には、十字のペンダントをしていた。菊乃を見たゆり、あけみ、鏡子は、地獄で仏にあったかのように、両手を組んで懺悔のポーズをしながら、菊乃をウルウルした目で見つめた。竜子は頭上に振り上げた刀を鞘に収めると、
「フフフ、三人共、菊乃に感謝する事ね!菊乃、あなたも来て!千草様に報告したい事があるの・・・」
「報告!?分かったわ!」
五人揃った十人衆は、千草の家へと向かった・・・
美剣千草はベッドの上で魘されていた・・・
就寝していた千草だったが、真悟の危機を感じて目が覚めた。
「何!?今の嫌な感覚は・・・朱紗くんの身に何か!?」
千草は直ぐに意を決し、超能力で衣服を着ると、庭に出て、黒いバイクに跨り、真悟救出の為走り出した。
(朱紗くん・・・早まった真似をしなければ良いのだけれど・・・)
真悟の身の上を心配する千草に、霞竜子からテレパシーが届き、今千草の家へと向かっていると聞き、千草はバイクを止めると、竜子にテレパシーを返し、
(竜子、他の十人衆は集まれそうですか?)
(はい、今私の下には菊乃、ゆり、あけみ、鏡子が居ります!菊乃の話によれば、いぶき、さつき、カオル、緑、白鳥ももうすぐ着くそうです!!)
(それは何よりです!竜子、朱紗真悟に危機が迫っています!!直ぐに耳宇高校のノスフェラトゥアジトに強襲を掛けたい!!!)
(分かりました・・・霞竜子が命じる!美剣十人衆は、これより耳宇高校に向かう千草様に合流し、朱紗真悟を救出に向かう!!)
竜子のテレパシーが他の十人衆の下にも届き、今美剣千草の下へ、美剣十人衆が集結しようとしていた・・・