どれくらい寝ていたのだろうか、朱紗真悟はようやく意識が戻った・・・
だが真悟は、用心深く目を開けず、自らの感覚を確かめた。身体は身動きが取れず、動こうとする度にジャラジャラ音を立てて、真悟は自分が鎖で縛られているのを悟った。真悟は、捕まった事を理解し、目を見開くと、その眩しさに一瞬目が眩み、目を細めた。ようやく目が慣れた事で、状況を確認しようとした時、思わず真悟は目を見開いた。
「エッ!?ゆ、雪代さん?」
真悟は驚いた・・・
何故なら、自分の真上で鎖に繋がれ、宙に浮いた雪代小百合を発見したのだから、会いたいとは思っていた。あの時の事を謝りたいと思っていた。だが、こんな形での再会など、真悟に取って想定外の事だった。意外な小百合の出現に真悟は戸惑い、あの日の悪夢を思い出した・・・
青沼グループに犯される雪代母娘の姿を・・・
悲鳴を上げながら陵辱され続ける雪代母娘を、陵辱されただけでは無く、その美しい身体に、マジックで卑猥な文字を書かれた事を、そんな泣き続ける雪代母娘を、ただ情けなくもその場で見て居る事しか出来なかった自分の事を・・・
そして真悟は、ポロポロ涙を流した・・・
一方の小百合も、真悟の顔を見ると涙を流していた。あの悪夢の夜から、二人は正式な対面を不本意ながら果たした・・・
「雪代さん・・・君が何故こんな所に!?」
再会出来た事は嬉しい事だが、真悟には、何故小百合まで捕らわれたのかが理解出来なかった。真悟の問いかけに、小百合は首を振り、
「私にも分からないわ・・・学校帰りに、後ろからハンカチで口を塞がれ、そのまま気を失い、気付いたら此処に吊るされていたの・・・そして、私の足元に・・・懐かしい朱紗君の顔が見えたの・・・」
小百合はそう言うと、ポロポロ涙を零した。その涙が、真悟の身体にも触れ、真悟はノスフェラトゥのやり方に怒りを覚え、拳を強く握りしめた。
「しかし、何故奴らは雪代さんばかりを狙うんだ?」
「私にだって分からないわ!そんな事をする人達の事何て・・・私を襲う人達の気持ちなんて・・・ウッウウ・・・」
小百合は言葉に詰まり、いっそう泣き始めると、体育館の扉が開き、悠然と十数人のノスフェラトゥ幹部連中が現われた。幹部達は、真悟と小百合の会話を盗み聞きしていたようで、白髪の男が口元に笑みを浮かべながら、
「それは、雪代・・・お前が朱紗の恋人だからさ!青沼グループを利用して、お前を犯させたのも、それは朱紗真悟!お前の超能力を目覚めさせる為だ!!もっとも、雪代でなくても、お前が愛する者なら誰でも良かったんだけどなぁ・・・お前の母親や姉でもなぁ!?ハハハハハ!!」
真悟は思わず、自分の母和子や姉涼子が、青沼グループに輪姦され、犯されまくる姿を想像してしまった。
白髪の男は更に言葉を続け、
「つまり朱紗、お前がその事で苦しみ、悲しむ事で、お前の心が憎しみや怒りに震えた時、お前の中に眠る強大な超能力が目覚める・・・その為にカーミラ様は、雪代を利用しただけだ!!」
「何だとぉぉ!?」
真悟の中で、怒りが沸々湧き上がって来た・・・
そんな事の為に、小百合や、その母親咲苗まで犠牲になった事を知り、真悟の表情が一輝に険しくなり、髪の毛が揺らめいた。
「きさまぁぁ!それだけの為に・・・俺の超能力を目覚めさせる為だけに・・・雪代さんを利用しただと!?雪代さんは、人間何だぞぉぉ!!心も、身体も、傷つきやすい人間何だぞぉぉ!!道具何かじゃない、人間何だぞぉぉぉ!!!」
小百合は、真悟の言葉に俯き、涙を流すだけだった・・・
こんな理不尽な奴らに、これ以上小百合を巻き込めないと思ったのか、真悟は激しく暴れ、鎖を引き千切ろうとするが、びくともしなかった。白髪の男は再びニヤリとすると、
「無駄だぜ、朱紗!ククク、我らノスフェラトゥにとって、カーミラ様に取って、お前の超能力は、それ程してまで必要なのさ!!いくら暴れても無駄だ!お前が超能力で鎖を切ろうとしても、その鎖は、我ら全員の念で縛り付けてあるのだからなぁ?」
「クッ!?」
白髪の男の言う通り、今の真悟ではこの鎖を断ち切る事は出来なかった。真悟は無念の表情を浮かべながら、
「おい、カーミラとは何者だ!?貴様らの目的は何だ?何の為に俺の超能力をそこまで欲する!?」
鼻の大きな男は不気味に笑い、
「ククク、それは直接カーミラ様に聞くのだな?」
「ただこれだけは教えてやろう・・・我らノスフェラトゥは、ただの不良グループでは無い!大いなる夢、野望を持っている・・・・とだけ教えてやろう!」
白髪の男はそう言うと、右手を高々と上げ、人差し指を突き立てた・・・
一方、ノスフェラトゥのアジトに向かう美剣千草の元に合流した霞竜子、十文字菊乃、弁天ゆり、神薔薇あけみ、万華鏡子の五人、更に残りの陽炎(かげろう)カオル、鳴神緑(なるかみみどり)、銀狼(ぎんろう)いぶき、夢魔(むま)さつき、和泉白鳥(いずみはくちょう)が合流した。
カオルは、黒髪のショートヘアーの少女で、白いノースリーブシャツと黒の短パンを穿いていて、緑は、肩まで伸ばした黒髪のセミロングの少女で、セーラー服の上に、白いマントを羽織っていた。いぶきは、男性に負けないくらい逞しい体付きをしていて、何処かインディアンを思わせる容姿をしていた。さつきは、太股まで伸びた長い黒髪をしている色白の少女で、服装も全身黒一色で統一し、顔の白さが何処かミステリアスな雰囲気を醸し出していた。白鳥は、金髪のショートカットをしていて、さつきとは対照的に、その名を表すかのように、全身を胸元の開いた白いワンピースを着ていた。
滑走する11台のバイク・・・
千草は、遂に揃った美剣十人衆に対し、
「みんな、私のテレパシーは届いてますね?事態は一刻を争います!ノスフェラトゥは・・・今正に悪神凄ノ王を復活させようと計画しています!それだけは何としてでも食い止めなければなりません!!超能力飛行、ファイアーバードで・・・一気にノスフェラトゥ本部に突撃を掛けます!!!」
「ハイ!!」
千草の決断に、美剣十人衆は全員同意し、11人の少女達は、超能力を一つにすると、一同の身体をバイク事炎が纏い、一同の姿が炎の化身、ファイアーバードに変化した。11人の少女達は、ノスフェラトゥ本拠を奇襲する為飛び立った!!