真悟の怒りを知ってか、再びカーミラがテレパシーで真悟に話し掛け、
「我らノスフェラトゥが、超能力によって新人類文明の尖兵となる壮大な野望がね!!その為にもこの腐りきった世界を破壊するのさ!!!」
カーミラはテレパシーで語る・・・
超能力者は、まだ幹部連中だけだが、全員カーミラの訓練を受けて、直に皆超能力者に覚醒すると、真悟に対しても、超能力者なら従えと再度真悟を仲間に誘うが、
「ふざけるな!姿を見せろ、カーミラァァァ!!」
真悟は拒絶し、カーミラに姿を見せろと絶叫する。小百合は鎖で縛られ苦痛なのか、目を閉じてグッタリしていた。それを見た真悟は鎖をがむしゃらに切ろうと暴れ回るも、
「フフフ、例え貴様が拒もうと、伝説の魔神凄ノ王ならどうかしらねぇ?凄ノ王なら我らに力を貸し、この腐りきった文明を根絶やしにしてくれる事だろうさ!!」
真悟は、カーミラからのテレパシーで、凄ノ王と言う言葉を聞いたが、どこかで聞いた事があった気はするのだが、思い出せなかった。ノスフェラトゥの幹部達が嘲笑する声が響く中、旧体育館の屋根をぶち抜き、天空より火の鳥が舞い降りた!
「ノスフェラトゥ!あなた達の好き勝手にはさせない!!」
「み、美剣さん!!」
実体を現わした千草と美剣十人衆を見て、思わず真悟の表情が緩んだ。千草と美剣十人衆に気を取られた、幹部連中達の一瞬の隙を真悟は見逃さず、ここぞとばかり超能力で鎖を引き千切ると、今目覚めた空中浮遊で宙に浮き、捕らわれていた小百合を救い出した。
「朱紗くん、此処は私達に任せて!」
「ありがとう!美剣さん!!」
互いに見つめ合い笑みを浮かべた真悟は、テレパシーで千草と美剣十人衆に礼を言うと、美剣も頷き微笑み返した。小百合は二人を見た時、自分以上に真悟と千草の絆は深いのではと複雑な表情を浮かべた。そんな事に気付かない真悟は、小百合と共に旧体育館から空中浮遊で脱出し、外へと飛び出した。
白髪の男は、自分達の油断を悔やみ絶叫し、
「クッ、ファイアーバードか・・・美剣めぇ!どこまでもわれらの邪魔をする気だな・・・」
11人の少女達が、ノスフェラトゥ幹部達と対峙する。仕込刀を引き抜いた竜子は、
「千草様は、朱紗真悟の方へ行って下さい!あの少女を庇いながらでは、いくら朱紗真悟でも、この包囲を突破するのは難しいと思われます!!」
「そうですね・・・竜子、此処は任せました!」
「ハッ!菊乃、カオル、さつきは、千草様の護衛に付いて!他の者は・・・私に続けぇぇ!!」
竜子は、仕込刀に念動力を込めると、群がるノスフェラトゥの手下達を念動剣で一蹴して、千草達が向かう先の道を斬り開き、千草、菊乃、カオル、さつきは、そんな千草に付き従い、真悟の下へと向かった。その後を追おうとする手下達には、ゆり、あけみ、鏡子が、バイクを巧みに操り、行く手を遮り、動きが止まった所に、
「我が能力・・・受けてみなさい!鳴神おとし!!」
緑の長い黒髪目掛け雷が降り注ぎ、緑の髪が発光して頭を振ると、周囲に雷の嵐が吹き荒れた。いぶきが雄叫びを上げながらパンチを放てば、前方に居たノスフェラトゥ達が、無様にその衝撃で吹き飛ばされた。
「調子に乗るなよ、美剣一族!」
白髪の男が激昂し、遂に幹部達も動き始めた・・・
千草のお陰で危機を脱した真悟は、草むらの中で辺りの様子を窺って居た。相手は超能力集団ノスフェラトゥ、小百合を連れたままでは、このまま逃げ切れるかどうかは疑問だった。小百合は、少し物悲しそうな表情をしながら、
「私はいいから、美剣さんに力を貸してあげて!私は、大丈夫だから・・・」
小百合の寂しそうな微笑に、真悟は首を横に振ると、
「そうは行かない!美剣さんには、大勢の味方が居るが・・・君には、君には、俺が必要何だ!今度こそ俺は・・・君を守る!!その思いが合田さんに勝てたんだ!!だから、そんな事言わないでくれ・・・」
真悟はそう言うと、小百合を思わず抱きしめキスをした。小百合は、涙を流しながら真悟にしがみ付いた。もしこのまま敵が現われなければ、真悟と小百合は一つに交わったであろうが、現実には敵の真っ直中である。手下達が逃げた真悟達を必死に捜していた。真悟は小百合の目を見つめると、
「俺が囮になるから、雪代さんはその間に逃げてくれ!カーミラや幹部連中が居なきゃ、今の俺でも何とかなるから心配しないで!!」
真悟は、もう一度小百合にキスをして、ノスフェラトゥの手下を引き付ける為、わざと見つかり、小百合の居る場所から離れた。若干超能力を使える者も混じっていたが、真悟の敵では無かった。粗方敵を倒し、ホッと安堵した真悟は、小百合と別れた場所に戻って来るも、そこに小百合の姿は何所にも無かった。
(雪代さん・・・無事に逃げ延びて暮れよ!!)
「朱紗くん!無事!?」
「美剣さんか・・・あんた達のお陰で助かったよ!」
互いに笑みを浮かべた真悟と千草、そんな千草を見た菊乃、カオル、さつきの三人も、ホッと安堵した瞬間、五人の目の前にノスフェラトゥ首領、カーミラが姿を現わした!
一方、残りの美剣十人衆と、ノスフェラトゥ幹部との戦いは、ほぼ互角の展開をしていた。竜子は、緑にテレパシーを送ると、
「緑!あなたの雷を私の刀に・・・」
「了解!鳴神おとし!!」
緑は再び鳴神おとしを使うと、緑の髪が発光し出す。緑は髪を自在に操り、竜子の刀に巻き付けると、竜子の刀が放電を始め、緑は髪を刀から戻し、再び別の幹部と戦い始めた。竜子は前方の数十人に狙いを定めると、
「雷の舞!受けて見ろ!!」
竜子が刀を横に撫でるように一閃すると、その衝撃で雷が前方に飛び、前方の敵達を一掃した。フゥと一息付いた竜子の隙を付き、目以外顔に包帯を巻いた、ノスフェラトゥ幹部ガイデルが竜子に組み付いてきた。
「俺に雷は効かねぇ!」
「ウッ!?しまった?」
竜子はその衝撃で刀を手から離してしまい、両者はそのまま地面に倒れ込みゴロゴロ転がった。
「何でカーミラ様を苛めるんだ!?俺みたいな者でも、あの人は良くしてくれた!」
「クッ!離せ!!」
揉み合う竜子とガイデル、次第に竜子のライダースーツは乱れ、竜子の白い乳房が片方露になると、ガイデルの様子がおかしくなった。
(な、何なの!?こいつ・・・何で攻撃を止めたの?)
ガイデルは、突然竜子の胸に顔を埋め泣き出した・・・
動揺する竜子は、思わずガイデルの心をテレパシーで探ると、竜子の表情は見る見る悲し気になり、ガイデルの不遇に共感し涙を流した。
ガイデルは、母親の不義で生まれた子で、生みの親である母にも疎まれていた。幼き頃、母はガイデルが寝入っている間に、家に火を放ち男の元に去った。泣き叫び母の助けを待つガイデルだが、助けは無くガイデルは死に掛けた。死の恐怖を体験したガイデルは、超能力を身に付け、奇跡的に生き延びたが、顔に大火傷を負い醜い顔になった。そんな彼を、世間は化け物扱いしていた。それでもガイデルは耐え、きっと母親が自分を助けてくれると信じ、待ち続けた。だが、実の母親と再会した時、信じて居た母親さえも、彼の事を化け物と呼び、再び姿を消した。自暴自棄になった彼を、同志として迎えたのがカーミラだった。
竜子も、超能力のせいで友達など出来ず、常に孤独だった・・・
中学時代は、スケ番として幸せそうな者を忌み嫌った。だが彼女には、千草を始めとする一族の者達が居た為、更生する事が出来た。
(あなたも、私と同じなのね・・・)
竜子は、愛しそうにガイデルの顔を覆う包帯を取った。化け物扱いされると思ったガイデルは、慌てて顔を隠そうとするが、竜子はガイデルを引き寄せると、焼き爛れた顔を愛しそうに撫で、その唇にキスをする。驚くガイデルに竜子は囁き、
「私があなたの傍に居てあげる・・・だから、あなたもこれ以上人を傷つけるのは止めて!あなたは、本当は優しい人・・・お願い!!」
動揺したガイデルも、またテレパシーで竜子の本心を知り、二人の心は繋がった・・・
(千草様、私はこの人を、このままにして置く事は出来ません!私は・・・この人と共に、新たな道を歩みます!!ゴメンね、十人衆のみんな・・・)
美剣十人衆霞竜子と、ノスフェラトゥ幹部ガイデルは、この日を境に姿を消した・・・
真悟を追いかけ合流した千草、菊乃、カオル、さつきだったが、一同の前にノスフェラトゥ首領カーミラが現われ、両者に緊張が走った。
「美剣千草、並びに美剣一族の者よ!私の邪魔をする忌々しき者達、後一歩の所で・・・」
「女王カーミラ!何故あなたは凄ノ王の力を欲する!?凄ノ王は、人間に扱えるような者では無いわ!!」
千草も凄ノ王の事を知っているようで、真悟はハッとした表情で千草を見た。他の三人も知っているような状況に、真悟は焦りだし、
「美剣さん、あんたも凄ノ王の事を知っているのか?教えてくれ!凄ノ王とは何だ!?」
真悟に凄ノ王の事を聞かれた千草は答えに窮した。それを察知したさつきは、咄嗟に真悟の心を読み、真悟が小百合を逃がす為に囮になっていた事を悟り、
「朱紗真悟、あなたは雪代小百合の安否を調べた方が良いわ!この乱戦の中を、彼女一人で逃げ出せたかどうか・・・」
真悟は、さつきに言われハッとした・・・
目の前にカーミラが現われた事で、そちらに集中力を取られて居た。確かにさつきの言うように、もしまたノスフェラトゥに捕まって酷い目に合わされていたらと考えると、真悟の背筋はゾッとした。
「あんたの言う通りだ・・・美剣さん、此処は任せて良いか?」
「エエ、あなたは雪代さんを!」
真悟と千草は、互いにアイコンタクトをして頷き合うと、真悟は空中浮遊して上空から小百合の姿を捜索した。千草はカーミラを指差し、
「女王カーミラ!あなたの正体分かったわ!!さっきも言ったように、凄ノ王は、幾らあなたの力でも扱えるものでは無いわ!魔神凄ノ王が現われた時、どのような事が起きるか・・・あなたにも分かるはずよ!!それでも野望を捨てないと言うのなら・・・私は・・・」
千草はそう言うと、複雑そうな表情でカーミラを見た。菊乃、カオル、さつきは、そんな態度を取る千草に決断を促すかのように、
「千草様、私達三人も手を貸します!」
「女王カーミラが、どれ程凄い超能力を持っていようと、私達四人なら勝てます!」
「千草様、ご指示を!千草様!?」
千草の反応が鈍く、菊乃、カオル、さつきは、顔を見合わせて首を傾げた。そんな千草を見たカーミラは、口元に笑みを浮かべ、
「お前達一族とは、所詮理解しあえぬ運命・・・だが、お前に私は殺せまい!?私の正体を知っているのなら・・・尚更の事!アハハハハハ!!」
カーミラはそう言い放ち、笑いながらテレポーテーションをして姿を消した。千草はその姿を、涙を流し見送っただけだった・・・
真悟は焦っていた・・・
上空から空中浮遊して小百合の姿を捜索するも、小百合の姿は何所にも無かった。
「雪代さん・・・無事に逃げ切れたのか!?それとも・・・」
真悟は、小百合が再び捕まった事も頭から離れず、ノスフェラトゥアジトである旧体育館の様子を探りに行った時、真悟の前に、顔や身体に紋章のような物を浮かべた、風使いが現われた。風使いは、疲れ切っていた真悟の身体を渦で追い込む、真悟は竜巻の中に吸い込まれ、地上に叩き付けられそうなる、既に体力の限界で、真悟はそのまま意識を失い、地上に激突しそうになった。
「朱紗くん!」
千草が気付き、助けようとしたその時、突然真悟の身体が止まると、そのままテレポーテーションをしたかのように、その姿を消した。呆気に取られる風使い、千草も驚愕するも我に返り、
(みんな、ご苦労様!当初の目的は果たしました・・・ここから撤退します!)
千草は、真悟救出の目的を果たしたと、十人衆に撤退命令を下した。だが、千草の表情は冴えなかった。
(さっきの瞬間移動、あれは、朱紗君の力では無いわ!朱紗君は、まだテレポートは使えない筈だわ・・・別の場所から、特定の人間だけをテレポートさせる事が出来るとは・・・まだ、私の知らない凄い超能力者が、この町には居るのね・・・)
その力は、カーミラも感じていた・・・
「この力、美剣一族の者とは違う・・・このような超能力者が居るとは・・・厄介者がまた増えそうね!」
カーミラは軽く舌打ちし、再び何処かに姿を消した・・・
気を失っていた真悟は、自分の部屋にテレポートして居た。何が起こったかも知らず、真悟は目を瞑ったままだった。そんな真悟を、優しくベッドに寝かせたのは、真悟の母和子だった。和子は、意味ありげな表情で真悟の寝顔を覗いた後、真悟の部屋を後にした・・・