その夜・・・
新たなる厄の予兆が、遠い宇宙の果てで起きようとしていた・・・
M市にある天文研究所では、謎の超新星に付いて、研究者達が会議を開いていた・・・
この天文研究所所長星野教授は、白い顎髭を撫でながら、愛用のパイプを吸い、部下の30代前半の部下で、この天文台のホープ沢木に話し掛け、
「沢木君、それで、例の超新星はどうなったかね?」
「所長!それなのですが・・・どうやら、超新星などでは無いようなのです!!」
「何だと!?」
沢木の言葉に教授を驚いたように立ち上がった。沢木は望遠レンズで撮影した一枚の写真を星野教授に見せながら説明を始め、
「最初は超新星だと思っていました・・・ですが、星の爆発などでは無い事が分かりました!一ヶ月後、この天体写真のように、ガス状の物質が現われたのですが・・・」
「何だこれは!?これは・・・まるで何かの生物のようではないかね?」
「はい!私にもそう見えました!!まるで、八つの頭が光りから抜け出すかのように・・・そう、古事記で読んだ八岐大蛇のように!!」
「八岐大蛇だと!?」
星野教授は、もう一度天体写真を良く見てみると、確かに沢木の言う八岐大蛇のように見え、思わず顎髭を触りながら唸った・・・
翌日・・・
入院している佐々木を見舞いに来た応援団の藤倉と、射撃部の麻生は、昨日の真悟と佐々木の戦いを振り返っていた・・・
「佐々木相手にあそこまでやるとは・・・朱紗真悟、中々侮れん奴だな?」
「ああ、しかし、あの女先生も超能力者だったとは驚いたぞ!」
そんな会話をしながら病院の敷地内に入ると、裏の方から聞いた事のある雄叫びが聞こえてきた。二人は顔を見合わせるとニヤリとし、声のする裏庭へと向かった。
「キィエェェェ!!」
裏庭にある大木の前で、頭と左目、両腕に包帯を巻いた痛々しい姿の佐々木が、木刀で素振りをしていた。その頼もしさに、思わず藤倉は口元をニヤリとするも、身体が痛んだのか、佐々木が思わず跪いた。藤倉と麻生は、顔色変えて佐々木に駆け寄り、
「さ、佐々木!無茶しちゃいかんぞ!!」
「もっと怪我が治ってからにした方が良いんじゃないか?」
「おぉ、お前達来てたのか!だが、そうも言ってはおれんのだ・・・俺は、俺は、あの朱紗との戦い以降・・・超殺人剣を使えなくなってしまった!!」
佐々木の告白に、藤倉も麻生も思わず呆然とした・・・
レイ・ミランダは、青沼と合田が入院している総合病院に入院していた・・・
見舞いに来たニック・ボーマンは、レイの元気そうな姿に安堵していた。もう歩けるようになったらしく、そんな話を聞くと、また直ぐに一緒に働けると喜ぶニックに、レイは複雑そうな表情を浮かべ、
「私の最後の仕事で、二人を救えて良かったわ!」
「最後の仕事!?レイ、何を・・・」
「私・・・あの日以来、超能力が使えなくなってしまったの!」
「な、何だってぇ?」
「だからもう私は・・・A国の力にはなれないの!ニック、リーダーにはあなたから伝えて!!直ぐに代りが・・・」
だが、ニックは首を振り、
「報告はしない!僕のパートナーは・・・例え超能力を失っていようと、レイ!君しか居ない!!」
「ニック・・・・・」
ニックの言葉に、レイの目から涙がポロポロ零れた・・・
真悟のお見舞いに向かったモサとミーコは、病院から姉涼子に小言を言われながら、タバコを吸いながら出てくる真悟を見て、二人は思わず目が点になった。慌てて二人に駆け寄ると、
「真悟ちゃん!涼子!」
「アニイ、どうしたんですか?」
「どうしたって、たった今退院してきた所だ!」
「「エェェ!?たった一日で?」」
思わず目を見開いて驚いたモサとミーコ、涼子もコクリと頷き、
「そうなのよ!昨日はあんなに大怪我してたんだけどねぇ・・・二人共、見舞いに来てくれたのに悪いわねぇ・・・ほら真悟、行くわよ!!」
「分かったって・・・じゃあ、二人共、明日な!」
「「お、お大事に・・・」」
涼子に右腕を無理矢理掴まれ、真悟は二人に言葉を掛け、涼子と共に帰って行った・・・
取り残されたモサとミーコは呆然としながら、
「アニイ・・・本当にスーパーマン見たいだぜ!」
「そうかもねぇ・・・ねぇモサ!あたい、真悟ちゃんがだんだん普通の人じゃ無くなってる気がする・・・」
ミーコは、不安気な表情でポツリと呟いた・・・
あの大怪我を負いながら、たった1日で退院した真悟を、ミーコは普通の人間ではない気がしていた・・・
美剣家・・・
千草は祖父に呼ばれ、神殿へと訪れていた。巨大な炎が揺らぎ、その奥に神々しく飾られた大刀から神秘さが漂っていた。
「お爺様、二人の超能力者がその力を失いました・・・ですが、朱紗真悟は、これまで以上に超能力が強くなっています・・・」
千草の言葉に祖父は頷くと、
「朱紗真悟が、二人の超能力者の能力を吸い取ったのじゃ・・・これは、第二段階の変身じゃ!近いぞ、千草・・・朱紗真悟が、英雄神となるか魔神となる日が!!」
千草は祖父の言葉に、思わずその言葉に身を引き締めるのであった・・・