静まりかえる武団連合本部への入り口に、今真悟を中心とした反武団連合が到着した。それを予期していたかのように、射撃部部長麻生を中心とした精鋭が、草むらから本部入り口にライフルを構え、
「さあ、早く現われろ!反武団連合など、俺達射撃部が全滅させてやるぜ!!」
だがその時、麻生の居る背後の草むらがガサガサし、何事かと振り向いた麻生と射撃部の面々の前に、互いに抱き合いながら、真悟と千草が、千草の肩に触れた鳴神緑の三人が、テレポートで奇襲を掛けた。
「ど、何所から現われた!?敵は背後に居るぞ!!」
麻生の合図に、部員達が銃を構えながら一斉に背後を振り返ると、真悟は右拳に念動力を集め、射撃部に向かって右ストレートを放った。その威力は凄まじく、人も木も吹き飛んだ。見て居た千草は改めて真悟の力に驚き、
「凄いわねぇ・・・まるでダイナマイトのようだわ!」
「俺の中で、何か爆発しそうなエネルギーが満ちているんだ・・・」
思わず感心した千草だったが、真悟の発言を聞くと、意味深な表情を浮かべた。まだ射撃部は残って居たが、緑は、そんな数人の射撃部を見ると嘲笑うかのように、
「ホホホ、銃など使い物にならなくてよ!鳴神おとし!!」
緑は、長い黒髪を避雷針にしたかのように、緑の髪目掛け雷が降り注ぎ、緑の髪が発光して頭を振ると、周囲に雷の嵐が吹き降りた。堪らず射撃部達は感電し、銃を投げ捨て逃げ出した。
「千草様、後は私が!」
「分かりました!朱紗くん!!」
「ああ、このまま九頭木の居る武団連合本部へ向かおう!」
真悟と千草は、気配を消しながら奥へと進むと、慌てて麻生が二人の背に向かって叫び、
「待て!この射撃部部長麻生が居る限り・・・」
「お生憎様、二人は雑魚に構ってる暇は無いのよ!」
「何だとぉぉ!!」
緑は、激昂してライフルを身構える麻生に怯まず、合田達に合図をの送るかのように、再び鳴髪おとしを放った。
「来た!合図だ!!行くぞぉぉぉ!!!」
緑からの知らせを受け、それを合図にするかのように、反部団連合の合田達は部団連合に突撃を仕掛けた。再び草むらから人影が出現し、現われたのは空手部の鬼頭を始めとした空手部だった。合田は学ランを脱ぎ捨てると、鬼頭に対してファイティングポーズを取った。
「合田・・・朱紗に負けて尻尾を振ったのか?この恥知らずが・・・だが、まあいい、お前とは一度戦ってみたかった!空手が勝つか、ボクシングが勝つか・・・勝負だ!!」」
「黙れ、鬼頭!朱紗を不意打ちしようとしたその性根・・・この俺が叩き直してやる!!みんな、先に行け!!」
合田の指示の元、身堂が、涼子が、その脇を通り過ぎて行った。いぶきはゆっくり歩き、空手部部員を睨み付けると、
「雑魚は私に任せろ!お前はそいつを・・・」
「ああ、そうさせて貰おうか!」
いぶきが、アパッチの雄叫びのように声を上げると、次々と向かってくる空手部員達を、炎の拳で叩きのめして行った。一方の合田と鬼頭の戦いは死闘を繰り広げた。共に格闘系の主将であり、どこかライバル視していた面もあった。鬼頭の鋭い連続蹴りに、合田は何とか躱す状態だったが、鬼頭の変則蹴りを受け、合田の左腕がダラリと下がった。
「ククク!合田、どうやら勝負は付いたようだなぁ?」
「それはどうかな、鬼頭!?」
「抜かせぇぇぇ!」
鬼頭は怒濤の連続突きを繰り広げるも、合田は踊るようにその攻撃を全て躱し、逆に鬼頭の左頬目掛け、合田の殺人パンチ右フックが跳び、鬼頭をKOした。
一方涼子は、さつき、白鳥と共に柔道部を引き受けるが、明らかに柔道部達は、三人の身体を嘗めるような視線を送り、男達の邪な考えが伝わって来た・・・
(女だぞ!ヘヘヘ、たっぷり可愛がってやるぜ!!)
涼子はキッと柔道部員達を睨み付けると、
「お生憎様!あんた達何てお呼びじゃ無いのよ!!」
そう言うと、涼子は超能力で数人を凍らせた。直ぐに体格の良いスポーツ刈りをした柔道部主将田原が険しい表情を浮かべ、
「き、気をつけろ!この女超能力者だぞ!!」
柔道部達は、涼子を包囲する陣形で迫ってくると、それに気付いた白鳥が涼子をフォローし、
「フフフ、白鳥の舞・・・受けてみる?」
白鳥は、その場でクラシックバレーをするかのように踊り始め、身体を回転させたかと思うと、白鳥の身体から、竜巻が発生し、柔道部員達を次々飲み込み、空中へと巻き上げていった。さつきは、そんな二人を見ながら口元に笑みを浮かべ、
「あらあら、二人共過激何だからぁ・・・フフフ、お姉さんが可愛がって上げるわ!」
さつきは、柔道部員達にウインクすると、何かに取り憑かれたかのように、フラフラさつきの前へとやって来ると、さつきが目を怪しく輝かせると、徐に柔道着を全て脱ぎ捨て全裸になり、涼子は思わず真っ赤になった。田原は驚き、一同に檄を飛ばすも、柔道部員達は何かの暗示に掛かったように、目は虚ろなままだった。
「フフフ、どうかしら!?私の夢幻の瞳は?さあ、お互いを私だと思い、抱き合いなさい!!」
「はい!」
柔道部員達は、それぞれ、さつきを犯しているような幻覚の中で、男同士で身体をまさぐり合い、思わず見て居た田原はその気持ち悪さにその場で吐き、無防備な後頭部を白鳥に叩かれて失神する。涼子と白鳥も変なもの見せるなと言いたげにさつきを見つめ、
「ウゥゥゥ、何だかこっちまで見て居て気持ち悪くなってきたぁぁぁ」
「本当よ!さつき、悪趣味も大概にしてよね!!」
「フフフ、そう!?」
さつきが肩を竦め、思わず涼子と白鳥は顔を見合わせてクスリと笑った。
身堂の前には、怪我が完全には完治していない、佐々木剣道率いる剣道部員が襲い掛かった。身堂は鮮やかに舞い、真剣を持つ部員達を次々倒し、佐々木と対峙した。
「超能力を使えないあんたとなら・・・あたしにも勝機があるのよね!!」
身堂は、部員が持っていた真剣を手に取り、上着を脱ぐと構えをとる。それは佐々木も一緒だった。
「あららぁ!あたし達の美味しいところ、あんまり残って無いわねぇ?」
あまり剣道部員達が残って居ない事で、ゆりは肩を竦めてガッカリした表情を浮かべると、あけみは一輪の赤い薔薇を取りだして口に咥えると、
「せめて数人だけでも倒して置かなくちゃ・・・薔薇の舞、受けてみるが良いわ!」
あけみが薔薇を空中に投げると、薔薇の花びらが、まるでガラスの破片のように降り注ぎ、剣道部員達はその痛みで剣を捨て跪く、
「見て!身堂と佐々木が・・・」
鏡子が身堂を指差しながら、ゆりとあけみに知らせると、二人も釣られるように身堂と佐々木を見た。身堂と佐々木は、お互いに仕掛けられず間合いを計りあっていた。流石に佐々木剣道は、超殺人剣を失い怪我が完治していない身体ながら、身堂にプレッシャーを与えていた。
「俺は、この時代が嫌いだ・・・来るんじゃなかった!身堂、俺はこの時代の人間では無い!俄には信じられぬだろうがなぁ・・・俺をこの時代に導いた奴は、時間跳躍という時を越える能力を持っていた!!」
「時間跳躍だと!?そんな事が・・・誰だ!?あんたを連れて来た奴は?」
「朱紗との勝負で超能力を失った俺には、朱紗は倒せない・・・代わりに身堂、貴様の命貰うぞ!」
「クッ!」
身堂は佐々木の話に驚いたが、佐々木が雌雄を決するべく、仕掛けてくる事が分かり、自らも呼吸を計ると、
「「キエェェェェェ!!」」
二人がほぼ同時に気合の籠もった声を出すと、両者剣を身構え突進した・・・
身堂と佐々木が交差すると、身堂の服は裂けたが、佐々木は手を負傷して刀を落とした。
「クッ!怪我さえしていなければ・・・」
佐々木は、怪我をしていなければ俺の勝ちだと言う言葉を、身堂は否定出来なかった。だが、勝負は勝負であり、身堂は大きく息を吸い、呼吸を整えて先程の話の続きを佐々木に聞いた。
「さっきの続きだけど・・・あんたをこの時代に連れて来たのは誰!?」
「フフフ、勝者のお前にはその問いに答えなければなるまい!俺を此処に連れて来た者は、恐ろしい野心を持った男だった!悪魔のような計画を実行する為には、俺のような違う時代の人間さえ利用する程だ!!その男の名は・・・ウッ!?」
突然佐々木剣道が苦しみ出し、佐々木の身体が宙に浮くと虚空に消えた。呆然とする身堂に、表情を険しくしたゆり、あけみ、鏡子が駆け付け、
「気を付けて!凄まじい超能力を秘めた奴が側に居るわ!!」
「誰!?姿を見せなさい!!」
「姿を見せないなら・・・こちらから行くわよ?」
「フフフフ、うるさい蠅共だ!」
四人の前に、全身をフードで包んだ男が現われた。身堂はグッと剣を握る手に力を込めた。佐々木は、負傷しながらも正々堂々と自分と戦った。そんな好意を嘲笑うかのように、突然現われたこの男は、佐々木を何処かに消え去った。身堂が表情を険しくすると、フードの男はそんな身堂を挑発するかのように、
「フフフ、牙を無くした犬は不要だ!戦国の時代に帰るがいい!!」
「貴様ぁぁぁ!」
「ダメよ、身堂!迂闊に斬りかかっては・・・」
身堂は斬りかかるが、相手の超能力は凄く、身堂は吹っ飛ばされ手から剣が離れた。直ぐに身堂に駆け寄り、庇うように前に出たゆり、あけみ、鏡子の三人だったが、
「今はお前に構っている暇は無い・・・これから大事な戦いが控えているのだ!」
フードの男はそう言って、ゆり、あけみ、鏡子を念動力で吹き飛ばし、その姿を消した・・・
そこに合田と涼子、いぶき、さつき、白鳥が合流し、身堂達は一同に大丈夫だと語り起き上がると、先に進んだ。
部団連合本部前に着いた真悟と千草、千草が中の様子を窺うと、人数は二人だが、既にこちらの動きをキャッチして、今まさに出てこようとしている事を告げた。
「美剣さん、九頭木も超能力者なのか?」
真悟が九頭木も超能力者なのか、千草に聞くと、千草は困惑気味に、
「超能力は持っているけど・・・超能力者とは言えないわ」
「どういう意味だ!?」
真悟は、まるで禅問答のような千草の言葉に、思わず唖然とする。その時、本部のドアが開くと、千草の言葉通り、部団連合会長九頭木剛と応援団長藤倉の二人が、本部から出てくる。真悟は邪魔だとばかり、藤倉を念動力で呆気なく倒し、千草に此処で待っていてくれと言い残すと、九頭木の前に姿を見せて、両雄が睨み合った・・・
相撲部と対峙した1、2年生だったが、相撲部主将権田原の前に次々倒され、止めをさそうと突進してくる権田原に対し、菊乃はサイコバリアーを張ると、権田原の動きを止めた。その隙を付き、カオルが残りの相撲部の前に行くと、右手を地面に付け、
「草木の怒りに触れるが良いわ!」
カオルが念を込めると、当たりの樹木がざわめき、蔦で相撲部達を次々捉えて締め上げた。部員をやられ、怒り狂う相撲部主将権田原は、その場で四股を踏み、逆にカオル、菊乃がその震動で揺らいだ。権田原は、両手に力を込め、大木を引き抜くと、それを振り回して向かって来た。
「不味いわね!ここには怪我人も居るし・・・」
「私が囮になるから、その間に菊乃はその子達の手当を!」
「その心配は無用よ!」
「「エッ!?」」
追いついた合田達、先ず、涼子が超能力で権田原の足を凍らせ、あけみが薔薇を投げると肛門に見事ヒットし、苦しむ権田原の額に、合田の右ストレ-トが炸裂すると、さしもの権田原もその場で大の字になり倒された。
「急ごう!朱紗が九頭木と戦っているはずだ!!」
合田達は、手当を菊乃とカオルに任せ、急ぎ本部を目指し走った・・・
「トウトウココマデ・・・スサァァァァ!」
「何だ!?こいつは本当に人間なのか?さっきから呼吸をしていないぞ!?」
「朱紗くん!」
真悟は、九頭木の不気味な動きを見て気を取られ、九頭木に首を絞められた。
「しまった!?グゥゥゥゥゥゥ」
まるで首を引き千切ろうとするかのように、九頭木の両手が不気味な軋みを発しながら、真悟の首を締め付ける。その九頭木の両手が放電し、真悟の身体が感電を始める。
「グワァァァァァァ!」
「朱紗くん!待ってて、今・・・」
「く、来るな!この程度・・・ウゥゥゥウオォォォォォ!!」
真悟の目が妖しく輝くと、真悟の身体が光輝き、逆に九頭木を感電される。互いに光に包まれる真悟と九頭木だったが、突然九頭木の頭が吹き飛び、
「ウワァァァァ!?」
真悟は思わず九頭木の生首を見て腰を抜かした。殺してしまったのかと不安が真悟の心を覆うとした時、草むらから千草が現われ、
「朱紗くん・・・九頭木を良く見て!」
「エッ!?・・・こ、これは、人形?」
「そう・・・それが九頭木剛の正体よ!」
ちょうどそこに合田達が現われた・・・
「みんな、九頭木剛は人間では無かったよ・・・人形だったんだ、ただの中が空洞の、人形だったんだ!!」
真悟の報告を聞き、一同は、中身が空洞の九頭木の人形を見て呆然としていた・・・
「だが、これで部団連合が滅びた事には変わりは無い!俺達の勝ちだ!!」
武団連合を壊滅させた筈なのに、一同には高揚感が湧く事は無かった・・・
倒された5人を病院に運び込んだ後、病院前で合田と身堂、美剣九人衆と別れ、真悟は、姉涼子、千草と共に家路を歩いていたのだが、
「二人共、俺には行かなきゃならない所が出来た・・・ここで別れよう!」
真悟はそう言うと、学校方面に戻って行った・・・
「ねぇ、美剣さん・・・あなたも凄ノ王に付いて何か知ってるの?」
「ええ・・・涼子さん、あなたもですね?」
「ウン!本当は真悟が心配だけど・・・」
涼子も千草も、来るべき時が近づいている事が分かった。涼子は母和子に、千草は祖父に報告する為、共に急ぎ家路に向かった・・・
そして今、英雄神スサノオウノミコトの封印を破り、恐るべき邪神が復活しようとしていた!
ヤマタノオロチと言う最強の邪神が・・・
第2章:激闘!部団連合!!死闘!不死団(ノスフェラトゥ)編
完