ニューヨーク支部の朱紗英介は、その日奇妙な事件を取材していた・・・
天文台に居た人々が、突然殺し合いを始めたという報道が飛び込んできたのだ。取材を進めていた英介は、まだこの時気付いていなかった。この天文台の人々が、邪神ヤマタノオロチを見て殺し合いを始めた事を・・・
そんな時、日本の本社から電話が入った。編集長は興奮気味に、
「おい、朱紗、大ニュースだ!世界中の天文台で、異変が起こった!!」
「本当ですか!?このニューヨークでも起こってますよ・・・まるで仲間同士で殺し合いをしたような・・・」
「そっちもか!?世界中の天文台でも同じ事が起こっているとは、一体何が起こっているのか?」
「編集長、世界中って事は、M市の天文台も?」
「ああ、警察が駆け付けた時には・・・皆殺し合いをしたかのように死んでいたそうだ!」
ニューヨークと同じような事件が、世界の天文台で起きている事に、英介は日本の本社に許可を取り、一時日本に帰る事にした。妙な胸騒ぎを覚えたからであった・・・
日本でも異変を察知している者が居た・・・
美剣千草は、祖父に朱紗真悟が瓜生麗に会いに行った事を告げた。長い白髪の白髪をした千草の祖父は、
「そうか、ついにこの日が来たか・・・朱紗真悟は、瓜生と会う事で運命が二つに分かれる!吉ならば、朱紗真悟は英雄神スサノオウノミコトとして降臨し、復活した邪神ヤマタノオロチ並びに、この世界を覆うであろう魔を払うであろう!!だが、憎しみの心が支配する時・・・奴は魔神凄ノ王と成り、世界を崩壊させるであろう!!」
千草は、祖父の話を緊張した面持ちで聞き入った。
「魔神凄ノ王の超能力は凄まじい・・・天変地異が地上を襲い、魔がこの世を覆い尽くす!人々は絶望のあまり魔と同化するか、あるいは己の不幸を呪い死んでいくかだ・・・嘗ての神々の国、高天原(アト・ラン・テス)と同様文明が滅ぶであろう!!」
千草は、文明が滅ぶと言った祖父の声にハッとし、祖父は続けて話を続ける・・・
「だが、高天原(アト・ラン・テス)の人々は、人間の精神の秘密を解き明かした!精神エネルギー体、即ち魂の事を・・・肉体が滅んでも、魂が不滅なのを彼らは突き止めた!!だが、生まれ変わった時、人は前世の記憶を無くす・・・しかし、彼らは前世の記憶を蘇らす方法を思いついた・・・その中で何度も転生した者の中で、強い精神力の力である超能力に目覚める者が出る・・・」
そう言うと、祖父は目を怪しく輝かし、側にあった花瓶を宙に浮かせ、自らのてに引き寄せた。花瓶を前に置いた祖父は、
「彼らはその力を更に磨き、肉体と精神を自在に離脱させられる者達が現われた。最早人間を超えた存在、神に近い存在・・・ここに高天原(アト・ラン・テス)八百万の神々が誕生したのだ!その力を欲する邪神達は、彼らの超能力以上の力を手に入れた・・・負のエネルギーである魔を!!魔とは悪しき心の集合体・・・彼らも昔は肉体を持っていたのかも知れないが、今は奇怪な形の精神エネルギーとして、異次元を彷徨い続ける。魔は悪心のある人間に取り付き肉体を支配できる・・・稀に人の精神が打ち勝ち、魔の力を手に入れる者も居るが・・・そして魔は、この世に破壊、暴力、殺戮を撒き散らす!だが、この世には負のエネルギーに対抗する光の力、正のエネルギーが存在する!かつてスサノオウノミコトは、正のエネルギーを取り込み、邪神を封印した!!」
その時、神剣美剣の頭上にヤマタノオロチが映し出される。美剣も祖父も険しい顔になる。
「英雄神スサノオウノミコトの封印は解かれ、再びこの地上を邪神が狙っておる!覚悟を決めよ、千草!」
千草は祖父に決断を迫られ、愁いを帯びた表情を浮かべた・・・
「何故!?何故あなた方がここに居るんだ?」
雪代母娘の出現に、真悟は驚き頭が混乱する。そんな真悟の様子を、瓜生は愉快そうに見物し真悟を挑発した。
「どうした、朱紗!?得意な推理を働かせてみろよ?その女達の正体を暴いて見ろよ!ヒントをやろうか?あの日の事をよく思い出してみろよ!何故あの日に限り、お前は人気の無い神社に行ったんだ?」
真悟は愕然とする・・・
それは、小百合に人気の無い所で話があると言われたからであった。真悟は信じられないといった表情で激しく首を振り、
「う、嘘だ!雪代さん・・・嘘だと言ってくれぇぇ!!じゃなければ・・・あの時君が俺に言ってくれた言葉は・・・全部嘘になる!!」
小百合は俯き、黙って涙を流すのみであった。そんな小百合を見た咲苗も、悲しげな視線で小百合を見つめた。真悟は、あの時小百合に言われた言葉を思い出していた。小百合が、真悟を好きで、真悟のお嫁さんになりたいと言った言葉を・・・
瓜生は心から楽しげに真悟を見つめ、
「朱紗、俺は予知能力でお前の中に眠る強大な力を知った!お前がまだ中学生の頃にな・・・そこで俺は、小百合をお前の通う中学に転校させた!何故その女がお前に近づいたと思う?」
真悟の反応を見るかのように、瓜生は真悟に問い掛けるも、頭の中が混乱している真悟は答えず、思わず瓜生は笑い、
「フフフ、その女は俺の言いなりだからさ!お前より成績が遥かに上なのに、小百合はお前と同じ高校に来た!もっとも、俺も予知の力で、お前が耳宇高校に入学する事を知り、先に入っていたがね・・・俺の計画を知った、美剣まで入学してくるのは誤算だったが・・・」
瓜生は、美剣千草が耳宇高校に入学した本当の意味を知らなかった・・・
千草が入学した理由は、確かに瓜生の野心を止める事もあったが、瓜生と一緒の高校に通いたかったのだ。美剣千草は、瓜生麗を愛していた・・・
昔の瓜生麗に、優しかった瓜生麗に戻したかったのであった!!瓜生は更に話を続け、
「だが、良い情報も教えてやろうか?その女がお前を好きになったのは本当だ!俺は好きになった振りをしろと言ったが、小百合は、本当にお前を好きになってしまった・・・お前を人気の無い場所に誘き寄せるよう命令したが、お前に惚れた小百合は、裏切るかも知れない・・・そこで俺は、小百合の母親である咲苗に命じ、小百合が裏切らないように見張らせた!!考えてもみろよ、朱紗!あの時会ったのがお前の母親なら、神社まで付いて来るか?普通の親ならそこまでしないぜ?」
咲苗は俯き、涙を流した・・・
瓜生は、雪代母娘、そして真悟の表情を愉快そうに見比べ、
「何故だか分かるか、朱紗?その女達は・・・俺の命令なら何でも聞く奴隷なのさ!!」
「何・・・だと!?」
真悟は、瓜生が雪代母娘を奴隷と言った事で、キッと瓜生を睨み付けた。そんな発言をする瓜生が許せず、真悟は咄嗟に瓜生を問い詰め、
「奴隷だと!?貴様に何でそんな権限がある!二人を奴隷などと言うなぁぁ!!」
真悟は語尾を強め、瓜生にを指差し抗議するも、瓜生は再び笑い出し、
「フフフ、ハハハハ!朱紗、信じられないか!?いいだろう、お前に信じさせてやる!!小百合、咲苗・・・この場で裸になれ!!朱紗真悟が、お前達の裸を見たいらしい・・・さあ、俺に見せているように、朱紗真悟にお前達の裸を見せてやれ!!」
「う、瓜生・・・な、何を!?」
動揺しながら瓜生に抗議しようとした真悟だったが、雪代母娘は悲しそうに目配せをすると、二人は衣服を脱ぎ始めた・・・