「行くぞ、小百合!ここに居ては、俺達にまで凄ノ王の影響を受ける・・・後は地下のシェルターで同士と共に、世界が破壊される様を見物するだけだ!ハハハハハ!!」
瓜生は、全裸の雪代小百合を連れ、地下に潜った・・・
怪物となった朱紗真悟、いや凄ノ王は、遂に地上に現われた!
地上に居た人々は、何事かと見ていたが、凄ノ王の身体が漆黒の輝きを見せると、その周囲の建物は、跡形も無く塵と消えた・・・
もちろん人さえも・・・
その中には、超能力クラブの面々も含まれていた。
「こ、こんな事なら・・・もっと・・・真面目に・・・超能力・・・修行すれば・・・」
超能力クラブの大松しげるは、そう言い残し息絶えた・・・
「お爺様、美剣十人衆並びに美剣十二神将は、間もなくこちらにやってきます・・ただ、十人衆の内、霞竜子は・・・」
千草は、愁いを帯びた表情で言いづらそうであった。
「致し方あるまい・・・千草、着物を脱いでそこに立て、目覚めの時が来た!!」
「はい!」
千草が着物を脱ぐと、モデルのような裸身が露になり、千草が念を込めると、古代の戦闘服を身に纏っていた。
「私も、戦わなければならないのですね・・・摩利支天の魂を持つものとして!凄ノ王を討たねばならないのですね!!」
千草の脳裏に、朱紗真悟との思い出が蘇る・・・
酷い目に合わされた事はあったが、真悟と知り合えたこの短期間は、千草に取って重要な期間だった・・・
「さよう、邪神ヤマタノオロチが復活した今、邪悪な精神波を発しながら地上に迫っているだろう・・・邪神ヤマタノオロチ、そして、魔神凄ノ王・・・地上に魔が溢れ、人類の歴史は終わりを遂げるかも知れん・・・だが、我らは最後まで希望を捨てん!魔神凄ノ王を・・・皆が揃った後で消滅させるのだ!!」
千草の祖父が千草に言い聞かせた・・・
凄ノ王出現の知らせは、M市の市長より県知事に伝わった。県知事は、自衛隊に出撃を要請する。緊急スクランブルの知らせが自衛隊基地に木霊した・・・
「化け物退治か・・・剣一尉が日本に居れば、大喜びでしょうね?」
「ああ、あの人は戦闘のプロだからな・・・実戦出来ると知れば、日本に残れば良かったと悔しがっているかもな?」
自衛隊員達は、陸と空から凄ノ王退治に出撃した!!
凄ノ王は、M市を破壊し続け暴れ回った・・・
そこに、ノスフェラトゥの面々が、召集により瓜生のマンションに向かっていた時に、凄ノ王に出くわした。超能力集団と言え、凄ノ王の前では赤子同然だった・・・
男は食い殺され、女は、凄ノ王から沸いて出る無数の魔に犯され、嬲り者にされた後、魔になる物、殺される者等が続出した。テレポーテーションが使えた白髪のパスカルら何人かが、命からがら逃げ延びただけであった。
人々が恐怖に逃げ惑う中、ようやく自衛隊が到着したのだが、戦車隊は凄ノ王の超能力の前に、上空に巻き上げられ、地上に叩きつけられ壊滅し、航空部隊は、凄ノ王の背中に生えた、二体の魔が翼代わりに空を飛び、強風を巻き起こし壊滅した!
「な、何なのよ・・・あれは!?」
ミーコは、群集の皆と逃げ惑っていた・・・
途中モサと合流したミーコは、少し安堵した。この二人は、真悟の合田戦後に急接近して恋人になっていた。
「ち、ちくしょう!何なんだよ、あの化け物は・・・こんな時、アニイが居てくれれば心強いんだが・・・ミーコ、お前は瓜生に誘われてたのに、俺と来て良いのか?」
「当たり前っしょ!彼氏捨てて、自分だけ生き残ろうと思わないわよ!!とにかく逃げましょ・・・ン?」
ミーコは、ガードレールに座り、凄ノ王を見つめるマントを羽織った浮浪者のような格好をした子供を見つけた。ミーコは思わず駆け寄り、
「き、君、危ないよ!一緒に逃げよう!!」
ミーコが子供に近づいた時、凄ノ王が翼を広げ上空を通過する。人々が上空に巻き上がり、地上に叩きつけられて絶命していく。モサは木にしがみ付き、ミーコを心配するが、強風で目もあけられないで居た。ミーコは、マントを羽織った子供を懸命に抱きしめていたが、強風に吹き飛ばされた!
「キャァァァァ!!」
ミーコの悲鳴を聞いたモサは、ミーコの名を必死で呼ぶ・・・
ミーコが地面に叩きつけられると思った時、マントを羽織った少年が、ミーコを受け止めた。ようやく目が開いたモサは、ミーコの無事な姿にホッと安堵し、側に駆け寄った。
「お姉ちゃん、大丈夫?本当は、この世界に手を出しちゃいけないんだけどね・・・エヘへ!」
ミーコは、少年の言葉に唖然としていたが、直ぐに礼を言うと、そこにモサもやって来た。互いに抱き合い、お互いが無事なのを喜び合うも、背後で少年が声を掛け、
「お姉ちゃん達、この先に行ったら死んじゃうよ!もし生き残りたかったら・・・お姉ちゃん達の高校に行ってごらん!そこに、身堂竜馬が居る!!彼と行動を共にすれば、今の危機は回避出来るよ!!今の危機はね!!!」
その時、モサ達が逃げようとした辺りで爆発が起こり、辺りは火の海になっていた。もしこのまま何も知らずに逃げていたらと思うとゾッとし、二人は恐れおののき、少年に礼を言おうとすると、少年の姿は何処かに消えていた。
「あ、あの子何だったのかしら!?でも、あの子のお陰で助かったのも事実ね・・・行きましょう!耳宇高校に・・・身堂君と合流しましょう!!」
モサとミーコは、少年に教わった通り、耳宇高校へ向かって走りだした。その姿を、廃墟と化したビルの上から、先程の少年が眺めていた。
「エヘヘ!お姉ちゃんはオイラを助けようとしてたし、オッパイに顔を埋めてくれたから、特別に助けちゃった!!」
その少年の後ろに、二メートル以上ありそうな者と、女のような長い髪の二つの影が立ち、背後から少年に話し掛け、
「何故、この世界に手を出した?あの女は、さっきの事故で死ぬ筈だったのに・・・忘れるな!我々はこの世界にとって・・・要らざる者である事を!!」
「ホホホ、別に構わないんじゃなくて?私達が知っている世界とは・・・少し変化を遂げてきたようよ!」
「アア、奴が現われるのかも知れん・・・」
そう言うと、三つの影は姿を消した・・・