真悟達が、樫村達に案内された破壊王のマンション、そこはM市の中でも1、2を争う高級マンションだった。その豪華な装いに、さしもの真悟も度肝を抜かれた。
「すげえだろう?でも、まだ驚くな!実はこのマンションの経営者は・・・破壊王何だぜ!!親のコネでもなく、自らの超能力を有効に使い、才を使った仕事でこれだけの物を手に入れる」
樫村は自慢気に真悟達に語り、ミーコはやれやれといった表情で両手を広げ、破壊王の部屋の前までやって来た。破壊王の部屋の前に来ると、樫村とミーコは立ち止まり、
「この中にいらっしゃる・・・俺達はここで待っているから、お前達でご挨拶してきな!」
「じゃあ、真悟ちゃん!モサ!また後でねぇ!!」
樫村と投げキッスをしたミーコに促され、真悟とモサは、ゴクリと唾を飲み込みながら、破壊王の部屋の中に入って行った。室内は豪華な装飾品で覆い尽くされ、真悟とモサは、破壊王というイメージと違う様相に、度肝を抜かれて居ると、
「ようこそ、朱紗君!それに、茂坂君だったね・・・朱紗君には、昨夜の公園での非礼も詫びさせてもらいます」
声の主は、宙に浮かぶ椅子の上から真悟達に挨拶すると、真悟達に前の椅子に座るように促した。真悟達が言われるまま倚子に座ると、椅子は宙に浮くや、破壊王の傍に吸い寄せられた。その圧倒的な超能力を目の前にし、真悟は驚愕した。更に破壊王が座っていた倚子がこちら側に向くと、白いシャツと黒いズボンを穿いた金髪の青年が挨拶を始め、
「私の名は・・・瓜生麗!友人達は、私の事を破壊王と呼ぶがね」
瓜生が名乗った、瓜生麗と言う名前に、真悟もモサも直ぐさま反応した。思い返してみれば、入学式で見た気がしてきた。モサは確認するように瓜生に話し掛け、
「う、瓜生だって!?瓜生麗って言えば、家の高校の生徒会長じゃないか・・・しかも、学校始まって以来の大秀才っていうぜ?」
モサの言葉に真悟もコクリと頷き同意すると、
「ああ、俺も姉ちゃんに聞いた事あるし、入学間もない俺達1年の間でも知らない奴は居ない程だって言う、あの瓜生麗さんが・・・破壊王!?」
真悟は、目の前の瓜生麗を見て呆然とする。何故生徒会長が破壊王などと呼ばれているのか理解出来なかった。瓜生は口元に笑みを浮かべると、
「フフフ、それは光栄だね!そうそう、君達に飲み物を出さないで済まなかったねぇ」
瓜生はそう言うと、超能力で2つのコップにオレンジジュースを入れて真悟達の目の前に差し出した。
(な、何て凄い超能力だ・・・)
真悟は、瓜生の圧倒的超能力を目の辺りにして、改めて驚愕するが、意を決して瓜生に話し掛けた。
「それで瓜生さん、僕に用とは何です!?超能力を見せ付ける為に、僕を呼んだ訳では無いのでしょう?」
そんな真悟の少し無礼な言葉使いにも、瓜生は不敵な笑みを浮かべながら、
「では、本題に入りましょう・・・君達は、超能力クラブに入ったそうだが、美剣千草の指導で、部員達の中で超能力が身に付いた者が、一人でも居ますか?」
真悟に取って、予想外の瓜生の問いかけに、真悟の顔から汗が滴り落ちた。瓜生の様子を伺うかのように、
「い、いや・・・まだ誰も身に付いた者は・・・」
真悟はそこまで言い、思わず口篭ると、瓜生は然もあろうとコクリと頷き、
「そうでしょう!彼女が凄い超能力者なのは、私も認めます・・・だが、彼女では超能力者を育てる事は出来ない!しかし、朱紗君・・・私ならそれが出来るのですよ!!」
瓜生は、自分なら超能力者を育てる事が出来ると断言した。真悟とモサは、思わず顔を見合わせ動揺するも、瓜生は更に話を続け、
「茂坂君、君は覗きが趣味なようだねぇ?それを活かす透視能力を、君は潜在的に持っている!その潜在能力を、私が引き出してあげましょう・・・茂坂君、君の前ではどんな女性も・・・裸を晒す事になる!!」
「ど、どどど、どんな女もですかぁ!?」
モサは身を乗り出し、思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。瓜生はコクリと頷き、次に真悟に視線を向けると、
「そして、朱紗君・・・君は争いが嫌いなようだが、潜在的に君は、とても攻撃的な物を持っている・・・今の君の身近な例を挙げれば、君は今、女性の裸に非常に興味を持っているねぇ?自分でも少し気づき始めているんじゃないか?君は最近、魅力的な女性を見ると、頭の中で、力ずくで物にしたい気持ちが、沸々と心の中に湧いてくる事があるだろう?」
真悟は、瓜生の言葉を聞き思わずハッとした。瓜生の言うように、最近心の奥底の中から、妙な気持ちが湧いてくる事があった。母に対しても、姉に対しても、小百合や美剣に対しても、そんな真悟の表情の変化を瓜生は見逃さず、
「フフフ、図星のようだねぇ・・・君は、心の奥底では力を求めているのさ!それも、攻撃的な力をね・・・君は潜在能力にサイコキネシスを持っている!!しかも、私以上かもしれない強大な力をね!!!それを私が・・・引き出してあげよう」
瓜生の甘言に、モサは大乗り気だったが、真悟の心は複雑だった。そんな力に目覚めたら、自分はどうなってしまうのか、自分自身に恐怖心が生まれた。モサは真悟に話し掛け、
「朱紗ぁ!瓜生さんにお願いしようぜぇぇ!!」
乗り気なモサを見て、真悟は複雑な表情を浮かべた。真悟は瓜生をジィと見つめながら、
「条件は何です!?それに、超能力を俺達に与えて、あなたは何がしたいのですか?」
真悟の問いに、瓜生は笑みを浮かべた。瓜生は両手を組んで真悟をジィと見つめると、
「察しが良いですね・・・では言いましょう!条件とは、まず超能力クラブを止めて貰う事が一つ!もう一つは、君達の超能力の力を、私に貸して欲しい!!その二つが条件です」
瓜生から提案された条件を、モサはそんな事お安い御用ですとばかり直ぐに同意した。瓜生は満足そうに頷き、真悟に視線を移すも、真悟は間髪入れず瓜生に再び問い掛け、
「瓜生さん、何故超能力クラブを辞めなければいけないのです?僕にはそれが理解出来ない!」
真悟の問いかけに、瓜生は目を瞑り、考えを頭の中で纏めると、
「朱紗君、君の問いに答えるならば・・・美剣千草が私の邪魔をするからです!彼女は、その為に超能力者を育てようとしている!私と彼女は元々幼馴染でね・・・昔は共に超能力について学び開発していった・・・しかし、お互いの歩む道が違い始めたてしまった・・・出来れば私も、彼女にも同志になって欲しかったのだが・・・」
瓜生は昔を思い出したのか、寂しそうに笑った。真悟は、今の瓜生の言葉に嘘偽りは無いと知ると、美剣と瓜生の過去に興味を持った。だが、美剣の悲しげな表情を思い出すと、真悟は質問を変え、
「ではもう一つ・・・瓜生さん、超能力者を集めて何がしたいのですか?」
瓜生は真悟の問いに、待ってましたとばかり目を輝かせながら、
「フッ、正義の為さ!美剣はそれを、悪と言うがね!!」
真悟は、瓜生の気迫に飲まれそうになったが、もう一度瓜生に尋ねると、
「それでは答えになっていません!あなたがしようとしている事は・・・一体何なのです?」
真悟は少し苛つきながら、瓜生にもっとハッキリ教えて欲しいと聞くと、瓜生は口元をニヤリとさせ、
「それを聞けば、君は私の仲間になった事になるが!?どうする、聞くかね?」
真悟は、瓜生に落胆したかのように溜息を付くと、
「僕は、物事ハッキリしないと気が済まないんですよ!答えが聞けないなら、今回の話は聞かなかった事にさせてもらいます・・・僕は、美剣部長の言う事を信じていますから!!」
「朱紗君、私とは初めて会ったのだから、君が美剣を信じるのもしょうがないか・・・これだけは言おう、美剣では君の力は引き出せない!では、帰りたまえ!!」
瓜生は、少し怒気を込めながらそう言うと、真悟の座っていた椅子は、瓜生の部屋の入り口に飛ばされた。
「樫村、朱紗君のお帰りだ!マンションの玄関まで送って差し上げなさい!!朱紗君、気が変わったら、何時でも尋ねて来なさい・・・私は、君を待っているよ!!!」
瓜生の部屋のドアが開くと、そこには先程同様樫村とミーコが立っていた。二人は心から残念そうな表情を浮かべていて、
「アァア、真悟ちゃんとなら、上手くやっていけると思ってたのになぁ?」
ミーコは心底残念そうに真悟に呟き、樫村は乱雑に真悟に鞄を渡すと、
「馬鹿な奴だぜ・・・折角超能力が手に入ったっていうのによ・・・」
そう言うと樫村は、ミーコを残し真悟をマンションの玄関に案内する。樫村は尚も真悟に破壊王の良さを伝えようとし、
「俺が言うのも何だが、破壊王は悪い人じゃないぜ!確かに俺達は元不良が多いから、お前が疑う気持ちも分かる・・・だが、俺達は瓜生さんに会って変わった!!そうそう、俺達は瓜生さんの好意で、このマンションを一部屋ずつ貸して貰えてるんだ。良かったら何時でも遊びに来いよ!!」
確かに顔の割には、こうして樫村と話してみると、根は良い人っぽいなと真悟は思った。
一方、部屋に残ったモサに、瓜生はペンダントを与えると、
「モサ君、そのペンダントを身に付けてみたまえ!ペンダントには、私の念が込められている。そうすれば、君の持っている潜在能力が開花し、超能力が身に付ける!」
モサは半信半疑ながら、瓜生に言われるままペンダントを首に掛けた。部屋の中にミーコが入ってくると、
「どう!?何か超能力付いた?」
ミーコの問いかけに、モサは無言でミーコの方を見ると、モサは見る間にスケベそうな顔色になって興奮しだした。鼻息荒くなったモサに、ミーコは不思議そうに小首を傾げながら瓜生に話し掛け、
「ねえ、この子何か変だよ!?」
ミーコに話し掛けられた瓜生は、楽しげにミーコに真相を語り出し、
「フフフ、モサ君は、今その超能力を熱心に使って、君の事を見ているようだが?」
「エッ!?」
瓜生の答えに、ミーコにもモサの身に付いた超能力が、透視能力であろう事は分かった。ミーコは少しドキドキしながら、興味本位に色々セクシーなポーズを取ってモサの反応を見てみた。胸の谷間を見せたり、後ろを向きお尻を突き出したりすると、モサは涎を垂らしながらミーコに釘付けだった。
「こ、こんなポーズしちゃうと・・・」
ミーコは更に興奮し、ドキドキしながらモサの目の前で片足を大きく開くと、モサは壊れた。
「ウヒャヒャヒャ・・・ス、スゲェェェ!女性のアソコってこんなに!?もっ、もっと見せてぇぇ!!」
壊れたモサが、ミーコに飛び掛って抱き付き、お尻にスリスリ頬を擦りつけておねだりすると、
「イヤァァァン!この子、やっぱり透視能力身についてるわ・・・キャア、どこ触ってんのよぉ・・・助けてぇぇ、瓜生ちゃぁぁん!!」
瓜生は、そんな二人の様子を、クールに眺めるだけだった・・・
真悟は、瓜生のマンション前で、モサを待っていると、30分後モサが戻ってきた。モサも真悟に気付き、
「オッ、朱紗!待っててくれたんだ・・・いやぁぁ、瓜生さんはスゲェェよ!俺は本当に超能力に目覚めたよ!!このペンダントがあれば・・・」
真悟は、瓜生の言った事は本当だったのか!?と思いながら、モサの自慢話を散々聞かされた。モサが貰ったペンダント、これを身に付けていれば超能力が使えるとか、お前も貰えば良かったのにとか、モサは自慢げに真悟に語った。
「朱紗ぁ、悪いが俺は、超能力クラブ辞めるんで、お前から美剣部長に言っといてくれよな・・・へへ、ミーコ姉さんのヌード、ばっちり拝ませてもらったぜ!」
「エッ!?」
真悟は思わず顔を赤くしながら即座に反応した。スケベさでは真悟も一緒なようで、モサに詳しい話を聞き、真悟はミーコの可愛らしい身体を思い出し、悔しさが沸き起った。モサの野望は更にエスカレートし、
「これさえあれば、美剣だろうが雪代だろうが学校中・・・いや、世界中の女のヌードを、俺は拝みまくってやるぜぇぇ!!ケェェケッケッ」
真悟は、モサが小百合や美剣の名を出した瞬間、スケベ顔から表情を一辺させた。真悟の心の奥底から、怒りが沸々沸き上がってきた。モサのその言葉に真悟は切れて、モサの胸倉を掴むと、モサは何事かと驚愕しながら、怯えたように真悟を見つめ、
「いいか、モサ!そんな事してみろ・・・ただじゃ済まさないぞ!!そのペンダントを学校に持って来やがったら・・・お前の目を抉り出すぞぉぉ!!!」
真悟の凄みに、モサはビビリまくりながらも、未練がましくしていたが、真悟の再度の凄みを受け、渋々学校にペンダントを持ち込まないと約束した。モサは涙ぐみながら、
「グスッ・・・分かったよぉぉ・・・けど、やっぱ瓜生さんの言った通りだ!お前、怖いよぉぉ、もっと優しい奴だと思っていたのによぉ・・・」
ハッと我に返った真悟も、自分も言い過ぎたとモサに詫びた。気まずい沈黙の中、二人は家路に着いた・・・