瓜生麗が、竜子とガイデル達が住む街に辿り着いた時、街ではちょっとした騒動があった。この街の近くの街を束ねる男が人間を裏切り、鳥神魔王に街の住民を差し出し、この街の事も密告したと逃げ延びてきた男が報告しに来ていた。
(フン、こんな世界になっても、人間とは愚かな生き物のようだな・・・今は人類が助け合わなければならんと言うのに・・・)
瓜生は、眉をひそめながらその場を離れ、小百合の存在を感じる一軒の家にやって来た。
「すまない!こちらに女の子が匿われて居ると思うが・・・私はその娘の連れの者だ!会わせてもらえないか?」
中から女性の声でどうぞと声が掛かり、瓜生は中に入った。中に入り、殺風景な部屋に入った瓜生は、こちらを見ているカップルの男を見て思わず驚いた。
(ガ、ガイデル!?何故、奴がここに?)
一方の竜子とガイデルも、瓜生の姿を見て驚き、
「あ、あなたは・・・瓜生麗!?何故あなたがこの娘と一緒に行動しているの?」
竜子は、忽ち警戒モードになった・・・
美剣十人衆を離れたとはいえ、千草に対する忠誠心を失った訳では無かった。その千草と敵対する瓜生麗を、竜子が警戒するのも当然であった。瓜生は口元に笑みを浮かべ、
「フッ、信じられんのも当然だな・・・俺は、自らの行いの間違いに、ようやく気が付いた!凄ノ王という悪魔を生み出した後だがな・・・千草や小百合に言われた言葉が、その時になって初めて分かった!その娘は朱紗を救う為、自分の存在意義を確かめる為旅に出ると言った。朱紗を・・・世界を救う手掛かりに、アマテラス伝説が関係するんじゃないかと聞き、俺もこの娘と共にアマテラス伝説を求め、そして、己の償いの旅に出た・・・結果的には何の手掛かりも得られず、小百合を疲れさせ、君達に保護されるに至ってしまった・・・」
瓜生は、深々と二人に頭を下げた。二人が驚いたのも当然だろう・・・
「う、瓜生さん・・・俺を殺しに来たのでは無さそうだが・・・ところで、ノスフェラトゥの皆は無事なのか?」
ガイデルに問われた瓜生は、沈痛な表情で首を横に振り、
「俺以外全滅だ!君も私の同志だったから知っているとは思うが、魔神凄ノ王の力は、俺の想像を遥かに越えたものだった・・・奴の邪悪な波動を受け、皆が殺しあいながら死んだ!!」
ガイデルは肩を落とし、思わず黙祷すると、同志達の冥福を祈った。瓜生は続けて話し、
「俺は、生き恥を晒しながら旅をしている!笑ってくれて結構だ!だが、これだけは信じてくれ・・・俺は、この世界が嫌いだ!!俺の浅はかな考えが、朱紗を魔神凄ノ王に変えてしまい、世界を崩壊させた・・・小百合にも言われたが、あれは俺の姿でもある!俺は、罪を償わなければならないんだ!この世界に魔が溢れ、人々の希望を奪うなら、俺は命に代えても、それを守らねば成らん!!そうでもなければ、千草や朱紗に顔向けも出来ん!!」
竜子は、昔千草に聞いた言葉を思い出していた・・・
子供の頃の瓜生麗は、争い事を嫌い、皆が幸せになれるように、千草と一緒に超能力を有効に使う方法を研究していたが、千草の祖父が、瓜生を施設から引き取った本心を知り、美剣一族と決別した。だが千草は、心の底で瓜生麗が昔のように戻ってくれる事を、今でも信じている事を・・・
(今の話を、千草様が聞けば、どんなにお喜びになられるか・・)
「分かったわ!あなたの言葉を信用します!!では、今この関西圏を支配する、鳥神魔王について少しお話するわ」
竜子は瓜生を信用し、今この関西を支配する、鳥神魔王について知っている事を瓜生に聞かせた・・・