霞竜子は、瓜生麗、ガイデルと共に、真悟に言われた通り、魔を払いながら山陰地方を目指していたが、ふと胸騒ぎを感じ空を見上げた。
「どうした、竜子?まだ魔物の気配でも!?」
ガイデルが不思議そうに尋ねると、瓜生も竜子の異変に気付き眉根を寄せる。
(こ、これは・・・天浮舟に異変が起こってるんだわ!千草様、皆・・・)
竜子が振り向くと、目から涙が零れていた。ガイデルと瓜生は驚き、竜子に声を掛け、
「ど、どうした、竜子?」
「千草様が・・・十人衆の皆が・・・天浮舟が・・・このままじゃ、このままじゃ・・・お願い、二人共私に力を貸して!」
止め処無く溢れる涙を拭いながら、竜子はガイデルと瓜生に必死に頼み込んだ。ガイデルと瓜生は、顔を見合わせ頷き合うと、
「千草がピンチ何だな?君の指示に従う・・・俺達は何をすれば良い?」
竜子の顔色は幾分晴れやかになり、二人に説明しだした。
「天浮舟には、超能力増幅装置という物が備わっています!そこに私の精神を飛ばし、皆の精神に話し掛けて見ます!ですが、美剣一族の私だけでは、周りを取り囲む凄ノ王に感ずかれ、標的にされるだけなの・・・そこで、あなた達の力を借りたい!あなた達の超能力の波動で、私の波動を少し変え、一気に超能力増幅装置にアクセスする!!アクセスさえすれば、凄ノ王とはいえ容易く手出し出来ないわ!!」
竜子は精神を集中する為、廃墟の中の一部屋に入ると、徐に服を脱ぎ去り、一糸纏わぬ姿で瞑想を始めた。ガイデルと瓜生は竜子の手を握り、念を竜子に送った。
竜子は真悟と交わり、自らの超能力が強化され、今精神を仲間達の下に飛ばした!!
天浮舟で凄ノ王に踊らされる千草の元に、ニック・ボーマン事、波夷羅大将(ハイラ大将)がやって来た。だがその表情は何かに憑依されているようだった。千草の意識が乱れた事で、その身に纏っていた戦闘服は消え去り、千草は、魅力的な裸体姿で悶えて居た。波夷羅大将は千草に覆い被さり、口づけをし、千草の乳房を愛撫する。
「アァァン・・・ン」
千草の口から、堪らず甘い吐息が漏れ、千草も他の美剣九人衆同様、快楽の虜にされようとして居た。
千草は、凄ノ王に犯され続けて居た・・・
その姿を瓜生が、青沼グループが、ノスフェラトゥが、美剣九人衆が嘲笑していた。快楽に支配されそうになった時、千草の心に微かに声が聞こえて来た。
(・・・草様、千草様!私の声が聞こえますか?幻覚に惑わされないで!しっかりしてください!!今地上では、朱紗真悟様が英雄神として目覚めようとしています!!すでに凄ノ王の分身を二体退治して、最後の魔神の下に向かわれました・・・あなたの思い人、瓜生麗も、自らの非を悔い、地上の人々を救おうと私と共に戦っております!千草様も負けないで!!)
霞竜子のその言葉を聞いた時、千草の目に徐々に輝きが戻ってくる・・・
(朱紗君が、英雄神の道に!?麗が人々の為に!?・・・)
千草は涙を流し、そして、覚醒した!!
「竜子、礼を言います!私は・・・いえ私達は、魔の虜になるところでした!最早、このような幻覚には屈せん!!」
千草の気合と共に、凄ノ王の幻覚が消え去った。未だに千草の身体を愛撫する波夷羅大将に、千草は軽く念動力で吹き飛ばすと、波夷羅大将は我に返った。
「わ、私は!?・・・何と大それた事を・・・も、申し訳ありません!!」
千草は頷き、波夷羅大将に持ち場に戻り、皆を目覚めさせよと命じると、
(竜子、今一度私に力を貸して!私はさつき達を救いに向かいます!あなたは、菊乃達をお願い!!)
(分かりました!)
千草はそう言うと、さつき、カオル、緑、白鳥の心の中に突入した。
茨の園の緑、不気味な荒野のカオル、縛られ犯され続ける白鳥、古城のさつきを、次々に目覚めさせる千草だった。
一方、天浮舟の超能力増幅装置を使い、精神を天浮舟に飛ばしている竜子は、千草に頼まれたように、五人の精神の中に突入した。
(此処は!?)
会場の真っ只中に降り立った竜子に、突然スポットライトが浴びせられ、大歓声が上がる。
(こんな幻覚を見せるとは・・・凄ノ王は弄んでいるのか?)
竜子は、険しい表情で会場を見渡した。
「オオッ!これは嬉しいハプニングだぁ!我らが十人衆リーダー、霞竜子選手が飛び入り参加してくれました!!小屋椰子さん、これは嬉しい誤算ですね?」
「いやぁ、まったく、まったく・・・竜子ちゃんにはどんな競技に参加してもらいましょうかねぇ・・・ウプププ!!」
だが竜子は、エロコンビに動じず、皆を探し始めた。そこにレフリーが近づいてくるが、竜子はキッと睨みつけ、
「皆、これは凄ノ王の幻覚よ!目を覚ましなさい・・・喝!!!」
竜子が気合を込めると、会場に居た人々が崩れ始め、醜い魔に変貌して消えていく。菊乃、ゆり、あけみ、鏡子、いぶきを見つけた竜子は、皆の心に千草に伝えたように語りだす。朦朧としていた五人は、徐々に理性を取り戻し、竜子に気付き大喜びした。
「ああ、竜子・・・来てくれたのね!やっぱり、私達のリーダーはあなたじゃなきゃ!!」
菊乃は、嬉しそうに竜子に抱きつくと、他の四人も満面の笑みで竜子を見つめた。
「皆、ゴメンね・・・でも、私が力を貸せるのは此処までよ!皆で千草様を補佐して、必ず凄ノ王を倒し、地上に戻って来てね!!」
竜子の精神は、そう言い残し消えて行った・・・