龍神魔王は眠りについていたが、不意に目を見開き目覚めた。
(クックック、奴め、焦っているな・・・ヘル!ヘル!!獲物が掛かった!例の物を持参せよ!!)
龍神魔王は、テレパシーで七大将軍が一人ヘルを召集した。暫くして、全身を不気味なフードに覆われたヘルが、龍神魔王の前に現われた。
「お召しにより、例の物を持参して参上致しました!これが、私奴が発明した装置であります・・・これと龍神魔王様の力が加われば・・・面白くなりますなぁ?」
二人の不気味な笑い声が、部屋中に響いて居た・・・
山陰地方に入った朱紗真悟だが、途中の街で少しこの地方の魔についての情報を得ると、直ぐに龍神魔王の本拠に乗り込む準備を始めた。
真悟は焦っていた・・・
消え去った雪代小百合の身を案じ、彼女にこれ以上危害が加えられないよう、まだ完全に目覚めていないであろう龍神魔王を討つと・・・
何時もの真悟なら、十分に敵の情報を仕入れてから動き始めるのだが、真悟は冷静さを欠いていた。
(場所は掴んだ!七大将軍とやらは何時でも倒せる!先ずは・・・龍神魔王を叩く!!)
真悟はそう決意し、敵の動きを読むと、幸いな事に、龍神魔王の周りには龍神魔王の気しか感じなかった。
(よし!奇襲で一気に叩く!!)
真悟は、龍神魔王の下にテレポートした。それが罠とも気付かずに・・・
テレポートして来た真悟は、待ち構えていた龍神魔王と睨み合った。龍神魔王は低い唸り声を上げるも、それは獲物の出現に喜んでいるようにも思えた。龍神魔王の周りには、4つの水晶玉の様な物が浮かんで居たが、真悟はお構い無しに龍神魔王に毒づき、
「貴様が龍神魔王か!?此処で一気に貴様を倒す!!」
挨拶代わりの強力な念動力を叩きつけるが、龍神魔王は微動だにしなかった。ならばと、真悟はアポーツで出した念動剣で切り掛かるが、剣は龍神魔王に触れた途端、真二つに折れた。龍神魔王は鼻で笑い、
「フン、その程度か?我が相手をするまでも無いな!こやつは貴様らにくれてやる・・・蘇れ、獣神魔王!恨みを晴らせ、鳥神魔王よ!!」
水晶玉に映った二体の魔王が、再び真悟の目の前にゆっくりと姿を現した。真悟は呆然とし、
(な、何だと!?わ、私はまた幻覚を見せられているのか?)
水晶に映っていた二体の魔王は、徐々に実体化されていった。二体は不気味に唸るのみで、喋る事をせず真悟を睨みつけた。真悟も負けずと二人の魔王を睨み返した。龍神魔王の唸り声を合図に、二体の魔王は、左右に分かれ真悟を攻撃してくる。真悟は二体の魔王に違和感を持ちながらも、巧みに攻撃を避け続けた。
(何だ、この違和感は!?姿は同じだが中は・・・)
真悟はフッと笑みを浮かべ、両手を広げ二体の魔王に強烈な念動力をぶつけた。二体は脆くも消え去った。
「私にこんな子供騙しが通用するか!私の動揺を誘うつもりだったのだろうが、そんな手に乗りはしない!!」
だが龍神魔王は、そんな真悟を見て不気味に笑い、
「クククク!そうかな?お前は既に、我が術中に落ちているのだぞ!自分の周りをよく見てみろ!!」
真悟は、龍神魔王の言葉を受け、周りを見つめると、先程まで龍神魔王の周りに浮かんでいた4つの水晶は、何時の間にか真悟を囲むように浮いて居た。
「貴様と戦うまでも無かったな!もっと用心深い奴だと思っていたが、こうも簡単に引っかかるとは・・・拍子抜けだぞ!!さあ、我が力を見よ!!!」
龍神魔王の目が妖しく輝き、水飛沫が4つのクリスタルに順々に付着し、水晶から無数のシャボン玉のような塊が、真悟の身体を包み込んで行く。やがて巨大なシャボン玉のようになり、真悟を完全に飲み込んだ。
(な、何だ、これは!?この中に私を閉じ込める気か・・・)
真悟は、そうはいくかとテレポーテーションで逃れようとするが、この中から脱出する事は出来なかった。ならばと念動力で破壊しようとするが、シャボン玉は、何事も無かったように静まり返る。
「クククク、無駄だ!その中ではあらゆる超能力も、物理攻撃さえ通用せん!貴様を餌に、朱紗一族の女共、並びに我に逆らう愚か者を誘き寄せる!精々その中で己の無力さを呪うが良い!!!クククク」
龍神魔王の嘲笑が部屋中に木霊した!
二人の巫女は、自分達の部屋で、真悟が龍神魔王と戦う姿を、ヒミカの水晶玉で見て居たが、希望が踏み躙られたようで、抱き合いながら震えて居た。
朱紗真悟は、龍神魔王の前に敗北した!!