ハレンチの砦のある場所から、そう遠くない道を一組の若夫婦が歩いていた。夫婦は愛しそうに、妻の抱えている赤子をあやしながらご機嫌だった。夫婦の名は、柴竜一郎、京子夫妻と言い、今まで住んでいた京都の地を魔物に襲撃され、山陰地方に逃げ延びて行った。夫婦は、道中ハレンチの砦の話を聞き、夫妻で匿ってもらう為、ハレンチの砦を目指して居た。
「ねえ、竜一郎さん!こんな世界になったけど、神様ってやっぱり居るのね・・・中々子供の出来ない私達に、素敵なプレゼントをくれたわ!!」
京子が愛しそうに赤子の頭を撫でると、赤子はニコニコ微笑んだ。その愛くるしい笑顔を見て居ると、柴夫妻はこの暗い世界の中に光りが差し込んだかのようにさえ感じて居た。柴夫妻が、愛しそうに抱えている赤子と出会ったのは数日前だった・・・
地元で鬼岩と言われる、鬼が牙を剥き出しにしながら、口を開いているような形をした巨石があった。夫妻がその前を通りかかった時、赤子の泣き声を聞き辺りを見回して見ると、鬼岩の口元に、裸の赤子を発見したのだった。京子が優しく抱き上げると、赤子は嬉しそうに微笑み夫妻を癒した。
赤子をこのままにして置く訳も行かず、夫妻はこの子を引き取る事を決めた。二人で色々赤子の名前を考えた結果、子郎と名づけて育てて行く事を誓った。
「子郎と私達は・・・出会う運命だった気がするよ!さあ、先を急ごう、京子!何時魔物が襲ってくるかも分からない!!」
京子は頷き足を速めるが、夫妻は、京子の身体を欲望の目で見ている魔物に気付かなかった。
馬のような顔と、毛深い身体の姿に邪悪さを滲ませた魔物は、足を早め後ろからいきなり竜一郎を殴りつけた。
「グゥゥオオ・・・し、しまった!?」
魔物はニヤリとしながら、蹌踉めいた竜一郎をボコボコにする。京子がヒステリックな悲鳴を上げ、止めるように言うが、魔物は笑いながら竜一郎を一方的に痛めつける。
「に、逃げろ、京子!俺に構わず・・・逃げろぉぉ!!」
「ニゲルナ・・・ニゲレバ・・・コノオトコ・・コロス!!」
魔物の凄みが京子を射抜くと、京子は金縛りにあったように動けなくなった。魔物は不気味な声を出し、竜一郎の左足を思いっきり踏みつけると鈍い音がした。
「グゥゥゥゥ・・・」
竜一郎は、痛みで気を失った・・・
必死に夫の名を呼ぶ京子に、魔物が近づくと、子郎を無理やり奪い、草むらに投げ捨てる。獲物の匂いを嗅ぎつけたのか、数匹の魔犬が子郎の方に向かって行くと、京子は魔物に衣服を乱暴に脱がされながらも、魔物に哀願し、
「キャァァァ!ヤメテェェ・・・ああ、こ、子供は・・・子供だけは助けて!!」
京子は、心で竜一郎に詫びながらも、子供を助けてくれるなら、魔物に逆らいませんと訴える。
「クックック、ソンナコトオレガシルカ!」
だが魔物は、そんな事にお構いなく、京子の乳を揉み、噛み付き、白いパンティを乱暴に剥ぎ取ると、まだ濡れて居ない京子の膣に、馬並の巨砲を、一気に後背位で貫いた。京子の膣に激痛が走り、子宮を圧迫する魔の巨砲に恐怖した。
「ヒィィィ、イ・・・イヤァァァ・・・・りゅ、竜一郎さ・・・ん」
京子は、必死に夫に助けを求めるが、京子にもそれは無駄な事だと分かった。夫の目の前で犯されながらも、京子は目で子郎の安否を確かめると、子郎を食い殺そうと、魔犬が唸りながら包囲を縮めていくのが目に入って来た。
「お、お願い、子供だけは・・・子供だけは助けて下さい!何でも言う事を聞きますから・・・アァァ!?イヤァァァ」
魔物は、そんな京子の哀願に聞く耳持たず、お構い無しに腰を振り続け、その都度京子の丸みを帯びたヒップが弾む。魔物は堪らなくなり、腰の動きを一層速めると、やがて咆哮し果てた。京子は、自分の体内に大量に吐き出された、魔物の精液を感じ、絶望の声を上げる。
「ウッ・・・ウゥゥゥゥ・・・あなた・・・許して!・・・ウッウゥゥゥゥ」
嗚咽していた京子だが、子郎の尋常では無い泣き声で我に返った。まだ魔物と繋がったままの京子だったが、それすら忘れたかのように子郞の身を案じ、
「子郎!だ、誰かぁぁ!!」
今まさに子郎に飛びかかろうとする魔犬の前に、何処から現われたのか、一匹のモヒカン頭をした犬が、子郎を守るように立ち塞がり、唸り声を上げて魔犬を威嚇した。京子は、藁にも縋る思いで犬に話し掛け、
「ああ、お、お願いその子を・・・その子を守ってぇぇ!!」
犬は、その言葉を聞き届けたように、魔犬の攻撃から身を呈して子郎を守り続けた。京子は、涙を流しながら犬に感謝した。京子を犯した魔物が、ようやく京子から引き抜くと、京子の膣からは、魔物が吐き出した大量の精液がドロリと垂れてきた。魔物は京子の身体を気に入り、小脇に抱えて京子を攫おうとするが、背後からの衝撃に吹き飛ばされた。
「それ以上、その人達に手出しはさせないわ!!」
声のした方をすすり泣きながら見た京子は、二人の女性の姿を発見した。一人は、変わった服を身に纏っているが、凛々しい姿からは威厳すら感じられる。もう一人の女性は、まだ10代のようで、女性の後ろに隠れながら、恐々こちらを見て居た。京子が見た二人とは、朱紗和子と雪代小百合、子郎を、身体を張って守っているのは、青沼犬であった。和子は、返す刀で魔犬に衝撃波を叩きつけると、魔犬はキャンキャン悲鳴を上げながら、一目散に逃げ去った。
「あなた、大丈夫?魔よ、その女性達が感じた恐怖を・・・お前も思い知れ!!!」
和子は憤怒の表情で、京子を犯していた魔物を消滅させた。その時、子郎をペロペロ舐めてあやしていた青沼犬が光輝き、徐々に人の姿に進化する。京子は不可思議な出来事に呆然とし、子郎はキャッキャッとはしゃぎながら、モヒカン頭を引っ張り喜び、和子はその姿を聖母の笑みで見て居たが、小百合はその姿を見ると、見る見る怯えながら悲鳴を上げ、和子に抱き付き震えた。
「大丈夫、大丈夫よ!・・・と言っても、今直ぐには無理ね・・・」
和子は、小百合を優しく労わると、青沼の様子をもう一度見た。青沼は、自分の顔を触り、身体中を触り、モヒカン頭を触った。
「も、戻れた!・・・に、人間に・・・ウッウウ・・・こ、これも、あなたや朱紗君のお陰です!私に人間の心が戻ったのは・・・ウッウウ」
人間に戻った青沼は、嘗てとは別人のような顔付きになっていた。凄みは消え去り、入院していた時とも違い、善の心を取り戻して居た。
「あなたは立派に罪を償ったわ!でも、これが終わりじゃないわ・・・始まりなのよ!!裸じゃ何だから、これでも着て頂戴!」
和子は、途中で魔物に襲われる街で、助けたお礼に貰った男物のズボンとTシャツを、青沼に渡した。青沼はいそいそと着替え始め、和子は青沼の股間を見て、あの時の事を思い出し頬を染め、小百合は悪夢を思い出したのか、ますます脅え和子にしがみ付いた。
和子の言葉を聞き、青沼は今までの自分の生き方の後悔、そして、和子との出会い、真悟に与えられた試練の日々を思い出し、心の底から和子と真悟に感謝して号泣した。和子もその姿にもらい泣きをし、小百合はただ震え続けた。青沼は震える小百合を見ると、
「雪代さん・・・俺は、あなたに何と言って詫びていいか分からない・・・それほど俺のした事は、許されない事です・・・だが、あなたへの償いは、今より始まります!!」
小百合は、不思議そうに青沼の顔をチラリと見ると、和子の後ろに慌てて隠れる。
「そ、そう言えば俺・・・あなたの名前知らなかったですね・・・大事な恩人なのに!俺は、青沼一馬って言います!朱紗君のお母さんなのは知って居るんですけど・・・」
和子も、肌を重ねた相手なのに、そう言えば知らなかったと思い、照れ笑いを浮かべながら、
「私は、朱紗和子よ!これからは・・・一馬さんって呼んでいいかしら?」
少し恥ずかしそうに和子が青沼に聞くと、青沼は嬉しそうな表情を浮かべ、
「喜んで!俺は、和子さんって呼んで良いですか?」
「もちろんよ!!」
和子と青沼、二人は見つめ合い、思わず頬を染める。
「あ、あのう・・・さっきはありがとうございました!」
ボロボロにされた衣服を着て、京子が恐る恐る和子達に声を掛けた。我に返った和子は、慌てて咳払いをし、
「ゴホッ・・・い、いえ・・・悲鳴を聞いて駆けつけたんですけど・・・間に合わなくてゴメンなさい」
京子が魔物に犯された後に駆けつけた事を、和子は申し訳なさそうに京子に詫びた。
「いえ、子供を無事に助けて頂けただけでも、何とお礼を言っていいか・・・あっ、竜一郎さんの事・・・」
子供に集中して、夫竜一郎の存在を忘れていた自分の頭をポカリと叩き、京子は、抱き上げた子郎と共に、竜一郎の側に駆け寄った。和子も様子を見に側にやって来る。小百合は、優しく微笑む青沼をチラリと見ると、小走りに和子の側に走った。青沼は苦笑を浮かべながら、和子達の方にゆっくり歩き出した。幸い、竜一郎は骨折ではなく、打撲で済んだ。だが、今までのように自分だけでは歩く事も出来ず、和子達も一緒に行く事になった。
「あなた方には、ご迷惑ばかり掛けてすいません!」
竜一郎は、左手を青沼の肩を借り、右手に木の棒を杖代わりにして歩き、改めて和子達に感謝した。
「お気になさらないで!これも何かの縁ですし、それに、私達も情報が欲しいので好都合ですわ!」
和子は微笑を向け、5人と赤子は、ハレンチの砦を目指し歩き続けた!