ライガーに攫われたアユとジェーンを取り返す為、後を追った八十八とマカロニ、涼子と光子は、途中の山道で気を失っていた少年と遭遇した。
黒い髪を肩まで伸ばし、見慣れない制服を少年は着ていた。年は八十八とそう違わないように思えた。
「何だ、行き倒れか?」
八十八は、倒れている少年の胸に耳を当てると、心臓は動いて居た。
「まだ息がある!おい、お前大丈夫か?」
八十八の問いかけに、少年はゆっくり目を開くと驚き、
「な、何してんだ、あんた!僕にはそんな趣味無いぞ!!」
少年の言葉に、一瞬何の事か分からなかった八十八だが、直ぐに気付き、険しい表情を浮かべると、
「バッキャロ~!俺だってそんな趣味あるかよ!!お前が此処で倒れてたから、声掛けただけじゃねぇか!!」
そんな二人のやり取りに、マカロニはニンマリ、涼子と光子はクスクス笑った。誤解が解けた少年は、申し訳無さそうに八十八達に謝った。
「すいません・・・助けを求める女性の姿に、思わず手を差し伸べたら、辺りが急に真っ暗になり、僕、気を失って・・・此処は何処ですか?」
少年は辺りを見回し、八十八に聞いてきた。八十八は少年の問い掛けに素直に答え、
「此処は山陰地方、まあ、崩壊前の島根だな!」
少年は、八十八の答えに目を丸くし、
「ほ、崩壊前!?崩壊前って・・・い、今は何年ですか?」
「19XX年よ!あなた、記憶喪失なの?名前は!?」
涼子は、少年の言動に首を捻りながら、思わず少年に問い掛ける。少年はドキリとしながら、
「ご、ごめんなさい・・・まだ混乱していて・・・ぼ、僕は、み・・・いや、ヤマト!ひ、火野ヤマトです!!それで、アナタ方は?」
ヤマトと名乗った少年に、皆々が名前を語ったのだが、ヤマトは、朱紗と名乗った涼子と光子にまたまた驚いた。
(朱紗だって!?確か真悟さんには、涼子ってお姉さんが居たよなぁ?)
「あのう、重ね重ねすいませんが・・・朱紗真悟さんってあなた方と?」
ヤマトが恐る恐る涼子と光子に聞いてみると、今度は二人が驚き、
「あなた、真悟を知っているの?真悟は私の弟よ!」
涼子は首を捻りながら少年に答えた。少年は思わず変顔を浮かべ、
(アチャッ・・・やっぱりそうか!名前だけは真悟さんに聞いていたけど、中々親しみやすい人だなぁ!!でも、今は俺の事伏せといた方が良いよな・・・此処では火野ヤマトで通すか・・・)
「は、はい・・・前にお世話になった事が・・・」
しどろもどろになりながらヤマトが涼子に答えると、涼子はジィとヤマトの顔を見つめ、思わずヤマトはドキリとした。
「真悟がお世話ねぇ・・・まさか、覗きの師匠とか言うんじゃないでしょうね?」
涼子が意地悪そうにジッとヤマトを見ると、
「エッ!?の、覗き?・・・真悟さんが!?ち、違いますよ!詳しくは言えないけど・・・」
涼子は、しどろもどろになるヤマトの事を、ますます疑いの眼差しで見ていたが、フッと悲しそうな瞳になり、
「ヤマト君、私達急いでいるの!もし、詳しい事が知りたいなら、この道の方角に行けば、ハレンチの砦って所があるから、そこに行ってみて!じゃあね!!」
涼子は皆に目で合図を送り、八十八も涼子に頷き返し、
「そう言う事だ!俺の名前を出せば、十兵衛って言う女の子が世話してくれるだろう・・・だが俺の女だから、チョッカイかけるなよ・・・掛けやがったら・・・」
八十八がヤマトに凄むのを、涼子が耳を引っ張り止めさせ、4人はヤマトを置いて、再びライガーの後を追った。一人残ったヤマトは、溜息を付き、思わず独り言を放ち、
「参ったな・・・目の前にボンヤリ現われた、あのアイラって美女に手を差し伸べたら・・・過去の世界に飛ばされる何て・・・どうしよう?」
ヤマトは頭を掻きながら、涼子や八十八に教わった、ハレンチの砦に行ってみる事にした。