※この作品はR-18です。

真説・凄ノ王   作:鳳凰009

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第88話:おばちゃん

 瓜生麗は、真悟に頼まれた関西圏の浄化を終え、霞竜子、ガイデルと共に、嘗ての広島の地に入って居た。此処も凄ノ王パニックの影響で荒れ果てて居た・・・

 

「嘗て太平洋戦争時に、この地を原爆の悪夢が襲った事があった。人々は核の恐怖に、地獄の苦しみを味わったと言う・・・今、俺達の目の前にある光景も・・・」

 

 瓜生は、惨たらしく放置される人の死骸の数々に怒りを覚えていた。黙祷していた竜子は目を見開き、

 

「ええ、このような行いをした魔を・・・私は絶対に許さない!!この地に居座る魔を払わない限り、この人達は・・・」

 

「そうだな、竜子・・・瓜生さん、この地に居座る魔を退治しよう!!」

 

 竜子とガイデルの言葉に、瓜生は無言で頷き、この地に巣くう魔を滅ぼす事を誓い黙祷した。

 

(不思議なものだな・・・世界崩壊前の俺は、ある意味ではこのような場面を思い描いて居た・・・だが、俺は間違いに気付いた!このような事は、もう二度と起こしたくない・・・俺の力が役立つならば、この命も掛けよう!!俺は、君達の屍に誓う!!君達をこのような惨たらしい姿にした魔を・・・倒す事を!!)

 

 瓜生は人の気配を感じ用心すると、数人の子供が様子を窺うように、廃墟の陰から見て居た。瓜生は、竜子とガイデルにテレパシーで状況を知らせ、脅えさせないように用心した。ガイデルは、自分の姿を見ては子供が脅えるだろうと、一先ずその場を離れ、瓜生と竜子に任せた。竜子はゆっくり子供達が隠れている方に歩み出し、

 

「大丈夫よ、私達も人間よ!何があったのか、お姉ちゃん達に教えてくれるかしら?」

 

 ニッコリ微笑む竜子の姿に、顔を見合わせた子供達も安心したのか、ヒソヒソ相談をし始めた。

 

「おい、どうする?」

 

「話すだけ、あのおばちゃん達に話してみようか?」

 

 子供達の会話が聞こえ、おばちゃんと言う言葉にショックを受けた竜子の肩を、瓜生は笑いを堪える表情でポンポン叩いた。

 

 瓜生と竜子は、子供達からおよその話を聞き、この地が龍神魔王七大将軍の一人、ゾルバの支配する区域である事を知った。配下の魔物達によって、子供達の肉親などが攫われた事を聞いた。

 

 瓜生は辺りの気配を探索し、魔の集団を発見すると、表情を険しくし、

 

「竜子、魔の位置は掴んだ!ガイデルを呼んで、今から三人で攻め込もう!!今は強い気を感じられない・・・おそらくゾルバは、この辺りには居ないようだ!この程度の魔なら、俺達三人で余裕だ!!」

 

「分かったわ!あなた達はここで待っていてね!・・・ガイデル!!」

 

 竜子は頷き、子供達に此処で待つように伝え、竜子はガイデル呼ぶと、三人は魔物の集団に乗り込んだ。突然テレポーテーションして来た瓜生達三人は、全裸で柱に縛り付けられている老若男女の人々と、既に何人かを喰らいつくしていた魔の群れを発見する。瓜生とガイデルが、魔の群れを超能力で駆逐して行き、竜子は刀で縄を切り、捕らわれて居た人々を救出する。

 

 瓜生とガイデルの超能力の前に、勝てる魔は居なかった。そんな中、一匹の魔が己が眼をくり貫き、魔鳥に持たせ大空に解き放ち、

 

「行けぇ!俺の眼をゾルバ様に届けよ!!最早貴様らの姿は、ゾルバ様に筒抜けだ!先に地獄で待っているぞぉぉぉ!!」

 

 魔物はそう言い残し、息絶えた・・・

 

 救出された人々は、ゾルバの名を聞き震え上がったが、瓜生はそんな魔の断末魔の叫びを鼻で笑い、

 

「フン、態々知らせなくても、こっちから出向いてやるさ!ゾルバに伝えよ、首を洗って待っていろとな!!竜子、救出した人々を一箇所に纏めろ!さっさとこの薄汚い場所から戻るぞ!!」

 

 竜子は頷き、人々を囲むように三人が立ち、皆をテレポーテーションで先程の場所に運んだ。

 

「アッ、パパ~!!」

 

「おじちゃ~ん!」

 

 隠れていた子供達は、肉親を見つけ喜ぶ者、孤児となった自分達を養ってくれた者との再会を喜ぶ者、三人は、そんな子供達を見て目を細めた。

 

「ゾルバを倒せなかったが、最早この地は大丈夫だろう・・・ゾルバの注意を、俺達に向けさせられただろうからな!」

 

「そうね、返って私達が此処に居る方が、この人達の迷惑になるわね!」

 

「竜子、瓜生さん、此処での役目は終わったようですね」

 

 瓜生達三人は、顔を見合わせ微笑み、旅立とうとすると、それに気付いた子供達が三人に駆け寄り、

 

「アッ、おばちゃん達ぃ、ありがとう!!」

 

 子供達が笑顔で手を振る中、複雑な表情で手を振る竜子に、瓜生とガイデルは笑いを堪えて居た。

 

「もう!十代のお姉さんを捕まえて・・・何よ、二人共その笑いを堪えた顔は・・・どうせ、老けてますよ・・・イ~だ!!」

 

 吹くれっ面しながら舌を出す竜子に、瓜生もガイデルも思わず噴出し笑い出した。三人は再び旅立って行った・・・

 

 その後ろ姿を見送る救出された人々は、眩しそうに三人を見つめた。

 

「もう、この世の終わりだと思っていた・・・だが、あのような者達が居てくれる!人の世はまだ大丈夫かも知れん!!」

 

 瓜生達の活躍で、人々の心に希望が再び沸き起こった。

 

 だが、龍神魔王の召集で、龍の洞窟に居たゾルバは、留守中の襲撃を受けた事を、魔鳥の報告で知り怒り狂った。

 

「このままで済むと思うなよ・・・男は八つ裂きにし、女は慰め物にした後に喰らってやるぞ~!」

 

 部下の眼を握り潰し、ゾルバが吼えた!!

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