一方、変身したハニーは、キューティーハニーとなってザンガーと数回剣を合わせると、ザンガーはハニーの凄さを実感し、その場から逃亡する。追うハニーは、向こうからやって来たイキドマリと出くわした。イキドマリはハニーの姿を見て驚き、
「ハニ-ちゃん!?その姿は?」
「それより、ザンガー見なかった?」
「それが、それが、僕のせいで十兵衛が・・・」
イキドマリは、その場に崩れ去り号泣した。ハニーが話を聞くと、互角の勝負をしていた十兵衛とザンガーだが、捕らえられたイキドマリを人質にされ、十兵衛もまたザンガーの手に落ちて攫われたと告げる。
「しまった!?十兵衛ちゃんが・・・おのれ、ザンガー奴!!」
歯軋りしながらハニーの拳が震えた・・・
ハニーはイキドマリに、
「私は、十兵衛ちゃんを助けに向かうわ!留守を任せたわ・・・ヒキコモリさん」
ハニーの言葉にイキドマリは頷くも、
「ハニーちゃん気をつけてね!でも僕、ヒキコモリじゃなくてイキドマリ何だけど・・・」
ハニーは、そんな事お構いなく、ザンガーの後を追った。自分の情けなさに肩を落とすイキドマリであった。
八十八達は、ついにライガー一味の居場所を発見した・・・
そこには、ライガーを始めとした、丸ゴシ達旧ハレンチ学園の教師達の姿もあった。攫われた女性陣は裸にされ、首に首輪を嵌められた姿で、柱に縛られて居た。その中には、アユとジェーンの姿もあった。
「酷い・・・何て真似するのよ!今に見てらっしゃい!!」
涼子が今にも飛び出しそうになるのを、慌てて光子が止める。
「涼子、焦っては駄目よ!こっちは人質を捕られているんだから・・・」
「でも、おばさん・・・此処で時間を掛けている間にも、真悟が・・・」
俯き項垂れる涼子に、八十八がニコリとし、
「二人共、此処は俺とマカロニ先生で十分だ!あんた達は、朱紗真悟を救出に向かってくれ・・・なっ、マカロニ先生!!」
八十八が目でマカロニに合図を送ると、マカロニも頷き、
「ああ、元々あいつ等との決着は、俺達ハレンチ学園の関係者で付けなければと思って居た所だ!!二人は安心して龍の洞窟に向かってくれ!!」
マカロニが親指を突き出し、涼子達にウインクする。
「二人共・・・でも、私達もこのままじゃ・・・おばさん、おばさんは此処で、八十八君を援護して!真悟は私が救出するわ!!」
「む、無茶よ、涼子!」
涼子の発言に、光子が目を丸くして首を振るも、
「大丈夫、無茶はしないわ!」
涼子の目を見た光子は、やっぱり姉和子の子供だと改めて思うのであった。姉同様、涼子も自分で決めた事は変えないだろうと悟る。
「分かったわ・・・でも、絶対に無茶はしないように!直ぐに私も後を追うから!!」
涼子は頷き、八十八とマカロニにウインクしてその場を後にした。
「いいのかい?此処は龍神魔王の本拠地に近いんだぜ!?」
八十八が涼子を心配し、光子に問い掛けると、
「大丈夫、あの娘も朱紗一族だもの・・・さあ、作戦を考えましょう!!」
三人は救出方法を思案するのだった・・・
ハレンチの砦では、ザンガー部隊の生き残りがまだ暴れ回って居た。ハニーと分かれたイキドマリは、魔物の群れに囲まれ絶体絶命に陥る。
「ヒイィィ!オ、オヤブ~ン、アッアア・・・」
恐怖で引き攣るイキドマリは、死を覚悟した・・・
その時、一陣の風が通り抜けると、魔物の群れは身体に風穴をあけて倒れこみ息絶えた。思わず腰が抜け、その場にへたり込むイキドマリは、一人の魔を発見した。全身を鋼のような筋肉で包み込み、頭から二本の角を生やす魔を・・・
(ヒィィ、まだ居たぁ・・・)
殺されると思ったイキドマリが、ガタガタ震えて居ると、
「おい、そうビビるな!見かけは化け物になっちまったが、心は人のままだぜ!!俺は、合田!合田源児だ!!お前に聞きたい事がある!!」
魔物の正体は、かつて真悟とボクシングで死闘を演じ、後に真悟の仲間になった合田源児だった。合田は、凄ノ王パニックを何とか生き延びたが、黒い塊に身体が触れた時、魔に憑依された。しかし、合田の精神力は魔を上回り、人の心を失わなかった。もっとも、その精神力の源は、愛する女性、朱紗涼子を探し出し守る事であった。
人々が、合田の姿に恐れおののくのにお構いなく、合田は涼子を捜して各地を巡り、山陰地方にやって来た。
「此処に、朱紗涼子っていう高三ぐらいの女性が居ないか?」
震えていたイキドマリだったが、涼子の名を聞くと目を見開いて驚き、
「エッ!?涼子さんは、昨日まで此処に居ましたが、此処を襲撃した魔物を追って、家のリーダー達と行っちゃいましたよ・・・仮に魔物を倒しても、弟さんが龍神魔王に捕まったのを、そのまま助けに向かわれたと思いますけど・・・」
イキドマリが恐る恐る合田に教えると、
「何ぃ!?昨日まで涼子は此処に居たんだな?そうか、無事で居てくれたのか・・・」
(だが、朱紗が捕まっただと!?俄かには信じられんが・・・)
その時、砦内ではまだザンガー部隊の生き残りが暴れて居て、ヤマト達と戦って居たが、
「情報を教えてくれた礼だ・・・」
合田はそう言うと、風のように舞いながら魔物に近づき、拳で敵を倒して行った。魔物が魔物を倒す姿に、呆気にとられていたヤマト達だったが、イキドマリが一同に合田を紹介する。
「あっ、皆さん、こちら合田源児さん!姿は魔物になっちゃいましたが、心は人のままだそうです・・・それに何と、朱紗涼子さんの彼氏だそうです!!」
その言葉にヤマトが大いに驚き、イキドマリの何気ない一言に、合田の身体が真っ赤になって行く。
「おいおい、からかうなよ!」
そう言いながらも、悪い気がしない合田は、ニヤリとしながらイキドマリの背中を軽く叩くと、イキドマリは吹っ飛んで行った。
「スマン!魔物の身体になってから、力の加減が難しくてな・・・お~い、大丈夫か~?」
足をヒクヒク痙攣させるイキドマリを、合田が持ち上げて詫びる姿に、ヤマト達は思わず微笑んでしまった。だが、合田の名を聞き、青沼だけはビビって居た。
(合田源児と言えば、安の・・・俺の事も聞いて居るだろうな・・・)
青沼は意を決し、合田に話し掛けると、
「合田さん、俺は嘗ての耳宇高校2年の青沼一馬です!合田さんの噂は、安から良く聞いて居ました!」
意外な人物の名を聞き、合田がジロリと青沼を睨むと、青沼はビビリながらも、合田の目を見続けた。
(これが、青沼グループの・・・聞いていたイメージと全然違うな?)
「では、お前が朱紗の彼女を・・・」
「はい!俺達が雪代さんに取り返しのつかない、酷い事をしました・・・この世に魔物が溢れた時、俺は魔に憑依されてしまいましたが、朱紗君や、朱紗君のお母さんのお陰で、人の心を取り戻す事が出来たんです!合田さん、朱紗君を助けてやって下さい!!」
合田の本能が、青沼を信じられる男だと判断する。
(ウ~ム、あれからこの男に何があったかは知らんが、此処まで人は変われるものなのか?)
合田は、青沼をマジマジ見て居たが、
「フッ、お前も色々あった様だな・・・お前に言われるまでも無く、涼子と共に、朱紗も助ける!俺も奴には借りがあるからな!!」
騒ぎを聞きつけ、小百合と京子も出てきたが、京子は合田に脅え、小百合は最初こそ震えたが、やがて合田に微笑むようになって居た。
「おい、青沼!あの娘が朱紗の?」
「あっ、はい!彼女が雪代小百合さんです!!まだ、俺は完全には許してもらえては居ないんですが、側に居ても、恐れられる事だけは無くなりました!」
青沼が苦笑しながら合田に話した。合田は頷くと、失神から目覚めていたイキドマリに、龍神魔王の居城、龍の洞窟の在りかを聞いた。
「なるほどな、そこに朱紗が捕らわれて居るという訳か・・・お前達、世話になったな!俺はこれから、龍の洞窟に向かう!!」
合田が意を決した表情で立ち上がり、旅立とうとすると、
「待って、待って下さい!俺も・・・俺もあなたと一緒に、龍の洞窟に向かいます!!」
そう言葉を発したのはヤマトであった。ヤマトは、自分をこの地に呼び寄せた女性が、龍の洞窟に居るような気がして居た。そんなヤマトの申し出を、合田は別に構わないと言い、合田とヤマトという奇妙なコンビが、ハレンチの砦を旅立って行った・・・
第七章、龍神魔王・戦士集結編
完