合田とヤマトが龍の洞窟に向けて旅立った後、ハレンチ砦では一騒動起こって居た。原因は、雪代小百合が居なくなったからである。青沼は、真っ青になりながら砦内を探し回るも、一向に小百合が見つからなかった。
(ゆ、雪代さんは、何処に消えたんだ!?ま、まさか魔物に攫われたんじゃ・・・)
途方に暮れる青沼の前に、柴夫妻がやって来た。柴夫妻は青沼を捜して居たようで、
「青沼君、ここに居たか!実は、雪代さんが一人で砦の外に出て行くのを見た者が居るのだが・・・」
咄嗟に青沼の顔が強張った・・・
このまま小百合一人を行かせれば、小百合にどんな危機が訪れるか分からなかった。
「エッ、雪代さんが?こうしちゃいられない・・・柴さん、俺はこれから雪代さんの後を追います!砦の方はお任せします!!」
「それは構わんが・・・一人で大丈夫かね?」
「そうよ!外にはまだ魔物がうようよ居るかも知れないわ!」
柴夫妻の忠告に感謝しながらも、青沼は首を振り、
「ご心配ありがとうございます!ですが、和子さんとの約束を守る為にも、俺の償いを果たす為にも、雪代さんの側に居なきゃならないんです!!それじゃ、これで!!」
青沼は、雪代を探す為旅立った・・・
だが、小百合との再会は、以外に早く訪れた!
青沼が森を歩いて居ると、女性の悲鳴を聞いた。青沼はハッとすると、慌てて声の方向に向かって行くと、まさにそこに魔犬に襲われて居た小百合を発見した。
「ゆ、雪代さん!コンニャロ~、雪代さんから離れろ!!」
青沼は、落ちていた木の棒を振り回し、小百合を庇うように魔犬の前に立ち塞がると、小百合は青沼にしがみ付き震えて居た。
「大丈夫、大丈夫だよ!こいつら、あっち行け!!」
青沼の必死の気迫に、魔犬は恐れをなし去って行った。青沼はようやくホッと一息付き、
(フゥ、何とか追っ払えた・・・)
青沼が冷や汗を拭って居ると、
「あ、あり・・・がとう」
背後で小声ながら小百合が青沼に礼を言った。青沼は、小百合が言葉を放った事に驚いた。しかも、自分に礼を言ってくれたのだから、青沼の嬉しさは倍増だった。
「こんな事御安い御用さ!俺は、まだまだ君に償いをしなきゃならないんだしね!!でも、一人で黙って出て行っちゃ駄目だよ・・・さあ、ハレンチ砦に戻ろう!!」
青沼の言葉を聞き、小百合は首を横に振り嫌々をして、龍の洞窟方向に指を指した。
「ひょっとして・・・雪代さん、あっちの方角に行きたいの?」
小百合は青沼の言葉に頷き、青沼に笑顔を向けた。初めて小百合が自分に笑顔を向けてくれた事に青沼は喜んだが、
「で、でも、向こうには怖い魔物がうじゃうじゃ居るよ?それでも行きたいの?」
青沼に念を押された小百合は、コクリと頷き歩き始める。
「アッ!?ま、待って雪代さん!お、俺も一緒に行くよ!!」
青沼は、震える自分を鼓舞し、小百合と共に龍の洞窟を目指した。