十兵衛奪還の為、ザンガーの後を追ったハニーは、女将軍ジルと、配下の女魔物の集団と出会い戦いを繰り広げて居た・・・
(クッ、此処で手間取って居たら、十兵衛ちゃんが・・・こいつ等は一体!?)
「フフフ、ハニーとやら、ジル様の命により、お前の命貰い受けるよ!!」
鋭い爪を持ったブラック、翼が斧になっているトマホーク、糸でハニーの動きを封じようとする、蜘蛛のような尻が突き出すタランチュラ等の魔が、ハニーに集団で襲い掛かり、怒涛の攻撃を仕掛ける。1対1なら造作も無い相手も、複数で掛かられては、流石のハニーも手間取るばかりだった。中でも敵の親玉、ジルの姿を見た時、ハニ-は驚いた。捜し求めている姉と慕う女性と同じ名を持ち、仮面で顔は見えなかったが、スタイルなどはそっくりであった。
(あのジルと言う魔は・・・もしかしたら!?)
「ま、待ってぇ!ジル、あなた私の顔に見覚えない?私、ハニーよ!如月ハニーよ!!」
突然ジルに話し掛けるハニーに、女魔物達は困惑し、攻撃を躊躇してジルを見つめた。ジルは、必死に話し掛けるハニーの姿を見ると、ジルは激しい頭痛に再び襲われた。
「ウッウウ・・・ま、まただ・・・お前は、お前は何なのだ?ハニー?如月ハニー!?私は・・・アァァ、頭が、頭が~」
ジルが苦悶の表情を浮かべ苦しみ始めると、ハニーは慌てて変身を解き、何時もの如月ハニーの姿に戻った。ハニーは、呆気にとられるジルの配下達を尻目に、ジルに近づき介抱を始めた。ブラック、トマホーク、タランチュラは、ハニ-の行動に呆気に取られたが、直ぐに自分達もジルの下に急いだ。ハニーはそんな魔物達をチラリと見ると、
「あなた達、何ボサッとして居るの?あなた、空を飛べるのね・・・じゃあ、あなたは水を汲んできて頂戴!それから、あなた、蜘蛛の糸出してたわよねぇ?それでベッドを作って頂戴!!」
ハニーがテキパキ指示を出すと、戸惑いながらもハニーに言われるまま、トマホークは水汲みに、タランチュラは、木々の間に糸を張り、ベッドをこしらえた。
(ど、どうなっているんだ!?敵であるジル様を介抱したり・・・)
ブラックは、ハニーの行動に疑問を持ったが、此処はハニーの言う通りに動く事が確かだろうと納得して居た。
(ゴメンね、十兵衛ちゃん・・・でも、この人をこのままに出来ないわ!必ず、必ず助けに行くから・・・)
ハニーは、十兵衛を気に掛けながらも、ジルが気になり側に付いて居た。ハニーが念を込めると、ハニーの手に濡れたタオルが現われた。巨体の魔物ジャンボ、頭に蛇が付いたスネークが不思議そうに見て居ると、
「あら、これぐらいなら御安い御用よ!ウフ!!」
パチリとハニーが二人にウインクする。ハニーは、苦しむジルの大量の汗をタオルで拭き続けると、ジルに優しく話し掛け、
「どう、まだ頭が痛むかしら?」
ジルを気遣いながらハニ-が尋ねると、
「な、何故・・・お前は敵である私を・・・ハニーお前は!?」
まじまじハニーの顔を見たジルは、やはりハニーの顔に見覚えがあった。おぼろげに見えてくると、頭が割れそうになってくる。
「ウッウウ、まただ・・・何故お前を思い出しそうになると私は・・・」
「ジル、無理しなくて良いわ!ゆっくり思い出してくれれば・・・それで良いわ!!」
ハニーは、愁いを帯びた表情でジルを介抱し続ける。
「ジル様、この小娘このまま側に置いてよろしいのですか?」
ジャンボは、困惑気味にジルに問い掛けるが、
「ジャンボか・・・構わん!ハニーが側に居ると、昔の記憶が薄っすら思い出せてくる・・・まるで、遥か昔の事のような思い出が・・・」
ジルは、マジマジとハニーの顔を見ると、意を決しハニーに叫ぶ!
「礼を言うぞ、如月ハニー!お陰で大分良くなった・・・だが、私も七大将軍が一人ジル!恥じの上乗りは出来ん!!ハニー、私と戦え!!よいか、皆の者は手出し無用!!!」
ジルが両手に鞭を握り締め、ハニーに戦えと迫る。ハニーは、ジルに考え直すように何度も説得するが、ジルは問答無用で攻撃を仕掛けて来た。
「クッ、分かったわ・・・ハニー~フラ~ッシュ!!」
ハニーのオレンジとベージュのワンピースが千切れ始め、ハニーは一糸纏わぬ姿になると、髪は赤くなり黒と赤の戦闘服に身を包む。
「出来れば戦いたく何て無かったわ・・・行くわよ、ジル!」
「来い!ハニー!!」
ハニーは、愛剣シルバーフルーレをジルに向けて構える。ジルはニヤリと微笑み、先制攻撃を仕掛けた。ジルの素早い鞭捌きがハニーを襲うが、ハニーは間一髪ながら避けて行く。
「やるわね・・・じゃあ、これはどうかしら?」
ジルの鞭が、まるで蛇のように蠢き、ハニーの右手を捕らえた。
「し、しまった!?」
ハニーの愛剣シルバーフルーレが弾き飛ばされると、女魔物達がどよめき、ジルを称える。
「流石はジル様!ハニー、お前もこれまでのようね!!」
追い詰められたハニーは、腕のブレスレットを外し、左手でジルに投げつける。
「まだよ!ハニーブ~メラン!!」
ハニーブーメランは、弧を描きジルに飛んで行くが、ジルは余裕でその攻撃を避けた。
「ハニー、こんな攻撃が私に効くと思うのかい?甘いわ!!」
ハニーは、そんなジルにニコリと微笑み、
「お生憎様、それは計画の内よ!本当の狙いはこれさ!!」
外れた筈のハニーブーメランは、弧を描きハニーが捕まった右手の鞭を切り裂いた。ハニーはこのチャンスを逃さず、ハニーがシルバーフルーレを拾い、空中に飛びジル目掛けて滑降する。ジルも渾身の力で鞭を奮い、ハニーの衣服をボロボロにする。
「アウッ!ま、まだよ・・・今だ!!」
ハニーは、シルバーフルーレをジル目掛けて投げ付けると、鞭を引き裂き、シルバーフルーレはジルの仮面に突き刺さった。
「キャアァァァ!!」
ジルが悲鳴を上げ、仰向けに地面に倒れこむと、配下の魔物が一斉にハニーに攻撃を仕掛けようとするが、
「ま、待て、お前達!ハニー、私の負け・・・よ・・・あなたが相手で良かったわ!!」
負けを認めるジルの仮面に罅が入り、粉々に崩れていくと、中から凛々しい表情をした美女が姿を現した。ハニーは、ジルの姿を見て目に涙が溢れてくる。
「ああ、やっぱり!あなたはジルお姉さま・・・お姉さま、ハニーよ!!」
ハニーは涙を流し、ジルを膝に抱え、女魔物達は、そんなハニーを見て再び呆気に取られた。そんな事にお構いなく、ハニーはジルの名を何度も呼んだ。やがてジルに異変が起こり、
「ハニー!?ああ、段々思い出してきたわ・・・私達は、あるお二方の命を受けこの地に舞い降りた!だが、それに気付いた魔の攻撃で、私達は逸れた」
「ええ、ジルお姉さまの気が感じられなくなった時、ハニーは心配で、心配で・・・」
ハニーはそう言うと、ジルの胸に顔を埋め泣きじゃくった。ジルは、優しくハニーの髪を撫でてやった。