ハニーとの決闘で、仮面を破壊された事も幸いしてか、ジルは失っていた記憶を取り戻した。ジルは優しくハニーの髪を撫でながら、
「ハニー、迷惑を掛けたわね!私は、魔界に飛ばされた時に、恐ろしい魔女に出会ったの!名をゾラ!!私は奴の傀儡にされ、この地に送り込まれた・・・ゾラの狙いは、この世界を魔の溢れる地獄の世界に変える事!魔神と呼ばれる者達は、人間の恐怖、妬み、僻み、欲望などを糧に、負のエネルギーを欲するわ・・・ゾラもその一人!だが、この地ではゾラの妖術の効果も薄れ、私は自我を取り戻し始めた矢先、龍神魔王の配下ヘルによって、あの忌々しい仮面を着けられ記憶を失った・・・ハニー、あなたの事も・・・」
ハニーは、ジルの言葉に聞き入り、ジルが話を続ける・・・
「ゾラの傀儡にされ分かって来たの・・・この世界を魔の溢れる世界に変えようとする強大な魔、そして、この世界で負のエネルギーの源、邪神ヤマタノオロチ!これらが一つになれば、この世界は破滅へと突き進む!!黄泉と現世が一つになれば、どんな災いがこの世界に起きるか・・・ハニー、私はこれからヘルの野望を砕く為、龍の洞窟に向かうわ!!」
ジルがそう言うと、ハニーはニッコリ微笑みながらコクリと頷いた。ジルも頷き返し、呆気に取られて居た配下の者達に頭を下げた。
「皆の者、今まで良く私に尽くしてくれた!だが、記憶を取り戻した私は、ヘル達と敵対する!龍神魔王の下に行く者を止めはしない!出来れば、お前達とは戦いたくないが・・・我がジル軍団は、ただ今を持って解散する!!各自は好きに行動してくれ!!!」
ジルの宣言を聞き、ジル軍団に動揺が走った・・・
だが、皆の心は決まって居た!
何故なら、魔物となって嘆いていた者、荒んでいた者、それらの人物達を纏め上げたのは他ならぬジルだったのだから、彼女達に取って、龍神魔王などどうでも良かったに等しかった。ジルの側で共に戦いたい、只それだけだった。
「ジル様!何を言うのです・・・醜い身体になった我らを、あなた様は拾い上げて下さった!あなたと出合わなければ我らは・・・ジル様、我らはジル様と共に行きます!!」
ジルの配下、鋭い爪のブラック、翼がトマホークで出来ているトマホーク、神敏なタランチュラ、怪力のジャンボ、頭部から蛇が生えているスネーク、右手がワニのクロコダイル、両手が巨大な鋏のシザース等が居たが、皆がジルに跪き、改めてジルに忠誠を誓うと、ジルは一人一人の手を握り感謝の言葉を述べる。ジル達を見守っていたハニーだったが、徐に口を開き、
「良かったわね、ジルお姉さま!お姉さま、ハニー、お願いがあるの!お姉さまの配下を、ハレンチ砦の護衛に回せないかしら?今、ハレンチ砦は戦力を分散されて居て、もし今七大将軍に襲撃されたら・・・全滅だわ!!皆、お願い!あなた達もまだ人間の心が残っている筈よ・・・私に力を貸して!!」
「そう言う事か・・・私からも皆に頼みたい!どうだろう?」
皆はざわめき相談し始めるが、ジルからも頼まれれば、嫌と答える者は誰一人居なかった。ハニーは心から嬉しそうな表情を浮かべ、
「ありがとう!私から頼まれて来たと言ってくれれば、ハレンチ砦の人々は理解してくれる筈よ!!皆、お願いね!!」
ハニーが皆に頭を下げると、一同が頷き返し、
「では、これより我らはハレンチ砦の護衛に向かいます!皆、行くわよ!!」
「「「「「「エエ!!」」」」」」
スネークの言葉に皆が返事をし、ハレンチ砦に旅立つ!
その後ろ姿を、ハニーは逞しく思いながら見送った。
(これで、不安が一つ減ったわ・・・後は十兵衛ちゃんを助け、朱紗真悟を助け、残りの七大将軍と龍神魔王を討つ!!)
ハニーとジルは、これから起きるであろう激戦に備え、しばし身体を休めた・・・