※この作品はR-18です。

がっこうぐらしのめぐねえとエロいこと出来るまで頑張るオッサンの話   作:mototwo

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第10-a回 分岐

♪~

 

「あれ、誰か歌ってるね、コーラス部の練習かな?」

 

「ウチにコーラス部なんてあったか?」

 

「どうだっけ?でも男の子の奇麗な歌声だね」

 

そんなわけが…そう思った時

 

♪~

 

私にも確かに聞こえた

 

「男子の…声だな…」

 

「だからそう言ってるじゃん!」

 

プンプン顔のゆきを尻目に、りーさんに目をやる。

互いに頷くと、りーさんはゆきに話しかける。

 

「ゆきちゃんは歌うならどんな歌が好きかしら」

 

「え?私?私は~そうだな~」

 

その隙に私は部室を出る。

 

男子なんているはずがない。

 

いつも窓から聞こえるのは奴らのうめき声か雨や風の音くらいだ。

しかし確かに歌声は聞こえた…

 

ゆきがどっかに音楽プレイヤー鳴らしたまま忘れて来たんじゃないのか?

 

そんな事を考えながら時折足を止めて歌声の出所(でどころ)を探る。

 

「上、か。」

 

この階の上には屋上しかない。

何度も行き来して奴らは片付けた筈だ。

一人も残しちゃいない。

そう思いながらふと、屋上に埋めた先輩の事を思い出す。

 

「何考えてんだ、私は。」

 

先輩が生き返って屋上で歌を歌っている…

一瞬でもそんな事を考えた自分が情けなくなる。

 

念の為、音を立てないように慎重に階段を上がる。

そっと扉を開け、覗き込むように屋上を見渡すと…

 

…なんだよ

オッサンじゃないか

ハァ、と胸を撫で下ろす。

 

あんな声で歌うから全く顔も思い浮かばなかったぜ。

 

普段、奴はその見た目通りのオッサン声で話している。

こんなボーイソプラノ?みたいな高い声で歌うなんて想像もしなかった。

 

安堵に屋上へ出る事もせず、踊り場で座り込んだ。

 

まったく、シャベルまで構えて、私がバカみたいじゃないか。

 

文句の一つも言ってやろうかと思ったが

その顔からは思いもしない奇麗な歌声になんとなく聞き入ってしまった。

 

歌か…そういや、ゆきが歌うとき以外、私もりーさんも歌うなんて事忘れてたかも…

 

♪~

 

繰り返す言葉…

愛しいその声…か

 

先輩の声、その言葉、今でも耳に残ってる…

 

♪~

 

あれ?声が震えてる。

もしかして泣いてるのか…

 

よく見ると、先輩とめぐねえのお墓に向かって歌ってるようにも見える。

 

この歌詞…なんだかめぐねえの事みたいな…

ふと考える

アイツはめぐねえのこと、どう思ってたんだろう…

 

カランッ

 

うっかり立て掛けていたシャベルを倒してしまった

音が響かないようにすぐに拾い上げたが、流石に歌はやめちゃったか…

 

別に外で歌ってる声が聞こえてただけだから、引け目を感じる必要はない…

筈だが、なんとなく気まずい思いで屋上へ出た

 

「なんだ、くるみか。」

 

なんだかホッとした様な顔をしたあと、後ろを向いて顔をこすっている

やっぱり泣いてたのか…

 

「なんかゴメン…」

 

「あ?ああ、コレな」

 

泣いてた事がばれたか、と目の周りを指差しながら

 

「いやあ、今の歌、昔見た映画の主題歌でな、コレが泣ける話だったんだわ」

 

わざとらしく涙の説明をし始めた

 

「グレンラガンってアニメなんだが、機会があったら見せてやりたいくらいでなぁ」

 

「あ、あのさ」

 

「ん?」

 

いつまでもアニメの話が続きそうだったんで割り込むように言葉を差し込んだ

 

「○○はさ…めぐねえのこt…」

 

ガッ!!

 

あれ?目の前が真っ暗に?

ってか私、足浮いてる?

頭痛い!ナニコレ?!

 

「『さん』を付けろよ、デコスケ野郎。。。」

 

気付くと私は顔面を片手で掴まれてそのまま持ち上げられていた

痛い!え?痛い!デコスケ?痛い!何言ってんの?痛い!

 

「わかった!わかったから!一旦降ろしてくれ!」

 

あまりの痛さに半分涙目になりながら声を上げた。

 

「うむ」

 

ゆっくりと床に降ろされる。

今更、『さん』付けで呼ぶとか、妙に気恥ずかしい。

今までなんて呼んでたっけ?

ああ、『オッサン』だ。

 

考えながら話の続きをしようと名前を呼ぶ。

 

「○○さんはさ、めぐ…」

 

「ちっがあぁぁぁぁう!!!」

 

「ふぇ?」

 

いきなり大きな声で怒鳴られた。

一体なにが違うと…

 

奴は胸を張り、腕組みすると誇らしげに

 

「俺のことは『オッサン』と呼べ!」

 

何を言っているんだ、このオッサンは?

 

「それでいいのかよ」

 

小さく突っ込むと後ろから

 

「それじゃあ私は『おじ様』って呼べばいいのかしら」

 

いつの間にかりーさんがいる。

 

「おっ、わかってるねぇ、さすがりーさん!」

 

ビシッ!って感じで両手でりーさんを指差しながらオッサンが言う

 

「じゃあ私は『おじさん』って呼ぶね!」

 

ゆきまで来てたのか

 

「うむ、正解だ

由紀は偉いなぁ」

 

ゆきの頭を帽子ごとクシャクシャと撫でてるオッサンはなんだか上機嫌だ

 

「はあ、もう勝手にやってくれ」

 

もう真面目にめぐねえの事を聞くような雰囲気じゃなくなってた

何より、ゆきの前でめぐねえの話をこちらからするのが怖かった

・

・

・

・

・

あの雨の日

めぐねえは戻って来なかった

 

腕に傷を負い、奴らに囲まれたまま

放送室にわたし達3人を押し込んで

外から扉を閉めたその姿が

私の見た、めぐねえの最後の姿だ。

 

半狂乱で叫び、外へ出ようとするゆきを

りーさんと抑えるのに必死で

扉の向こうでオッサンの声がして

 

「めぐねえ!」

 

「3人ともそっちか?!無事なのか?!」

 

「は、はいっ、こちらは大丈夫です!でもめぐねえがっ!」

 

「なら暫く立てこもってろ!

慈(めぐみ)を確保したらまた来る!

奴らの声が聞こえるうちは出るんじゃねえぞ!」

 

「めぐねえはっ、めぐねえは助かるのかっ?」

 

「知るかっ!奇跡でも信じてろ!」

 

その後、暫くはゆきをなだめて落ち着かせるのに必死だった

ずっとめぐねえを呼んで叫んでいた

その声にひかれるみたいに奴らが扉を叩く音がしてた

 

どれくらい時間が経ったか

扉を叩く音が不意に途切れ

ゆきも泣き疲れたように黙っていた

廊下で微(かす)かにオッサンの叫び声が聞こえていた

悲鳴じゃない、雄たけびの様に声を上げて戦っているのがわかった

 

りーさんにゆきを見ててもらうのと

私が出たらすぐに扉を閉めるように頼む

 

慎重に扉を開けて外を見ると

頭を潰された奴らが廊下に転がっていた

放送室の前に動く奴らはいなかった

 

そっと廊下に出て左方向を見ると

オッサンがバットを振りかざし

奴らの頭を砕いていた

 

「これだけの数を一人で…」

 

ゾッとするとともに気持ちが昂ぶった

流石に疲れが見えるオッサンを奴らが取り囲もうとして集まっている

危ない!

後ろから覆い被さるように近づく奴に駆け寄り、シャベルを振るう!

 

ドサッ

 

自分の後ろで奴らが倒れこむ音を聞いて、オッサンがこちらを見る

初めて会った時を思い起こさせる血まみれの姿

でも不思議とあの時みたいな嫌悪感は湧かなかった

 

「くるみ?出てきたのか!?」

 

続けて何か言おうとするオッサンを制止するように言葉を挟んだ

 

「背中がお留守なんじゃないか?」

 

「言うじゃないか」

 

血まみれで表情はよく読めないが、ニヤリと笑った気がする

 

「めぐねえは?」

 

「一旦落ち着いた

今は更衣室で待ってもらってる」

 

落ち着いたってどうやったんだ?

聞こうとしたが、奴らがまだ残っていて、のんびり話もできやしない

とにかく、互いの背を守るように奴らを潰していった

・

・

・

ハアハアハア…

 

お互いの息が聞き取れる

雨はとっくに止(や)み、奴らも階下へ降りたようだ

しかし…

 

「どうすんだよ、これだけの死体…」

 

「運ぶしかないだろ?俺とお前で」

 

だよな…

溜息が出た

 

「そういえば、めぐねえは?!」

 

「ああ、更衣室。。。に」

 

放送室前まで戻りながら話していると

オッサンが固まる

 

「どうしたん…」

 

更衣室の方を向くと…

扉が…

開いていた…

 

「めぐみぃっ!!」

 

オッサンが駆け出し、その後について行く

更衣室の中には誰もいなかった

奴らと争ったような形跡もない

めぐねえは一体どこに…

 

「めぐねえ!」

 

後ろでゆきの声がした

振り向くとりーさんと一緒に放送室から出て来てたようだ

 

「めぐねえ、心配したんだよ!」

 

ゆきの声に安堵してその視線の先を見る

・

・

そこには誰もいなかった

 

「りーさんも言ってあげてよ

めぐねえったら、こんなに心配させといて!」

 

ゆきがりーさんに振り返りながら問いかける

 

「え…」

 

りーさんもとまどっている

 

「え?何をって…

あれ?なんで心配してたんだっけ?」

 

「お…おい、ゆき…何を言って…」

 

「あっくるみちゃん

私めぐねえに何か大事な用があった気がするんだけど」

 

また誰もいないところに向かって話し出す

 

「あー!またって、私そんなに忘れっぽくないよ!

酷いな、めぐねえは…」

 

まるでそこにめぐねえがいるかのように話し続けるゆき

 

「あ。。。ああ。。。あああ。。。」

 

オッサンの呻き声に振り返ると

 

「すまねえ。。。すまねぇ、由紀。。。慈ぃ。。。」

 

オッサンが大粒の涙を流しながら謝っていた

 

ゆきはまるでその事にも気付いていないように

私たちには見えない『めぐねえ』と話し続けていた

・

・

・

・

・

あれからゆきは事ある毎に空(くう)に向かって話をする

そこにめぐねえがいるかのように

そこにクラスメイトがいるかのように

まるで学校が授業が、何事もなくそこにあるかのように

 

こんな状況で現実逃避しているようなその姿は

私とりーさんを苛立たせる事もあった

 

でも、ゆきの笑顔に救われる事も多かった

 

いきなり突拍子もない事を言い出したりもしたが

結果としてそれが私たちの息抜きになる

 

私もりーさんも、そんなゆきを受け入れ、むしろ求めるようになっていた

 

オッサンは…

何も言わなかった

あの日も泣き止んでからは

まるで何事もなかったかのように

死体を片付け、バリケードの補修もしてくれた

 

その後もふらっとやって来ては力仕事を手伝って去っていく

どこでどうやって暮らしてるんだろう?

疑問に思うが、そんな事をゆっくり話す余裕もなかった

 

オッサンは学校では

少なくとも私たちの前では食事をしない

多分、食糧の備蓄を気にしてくれてるんだろう

実際、りーさんによると

もう一人、成人男性の食事を賄えるほどの余裕はないらしい

 

時々、申し訳程度に缶詰を持って来てくれる事もあった

学校の購買では売ってなさそうな肉や魚の缶詰

外で見つけてくるのか…

でもオッサンが消えてからグラウンドを見ても

そこを通っている様子もない

ホントにどこでどうやって暮らしてんだ?

 




はい、以前上げ損ねていた生存バージョンの話です
といってもオッサンが生き残ってるだけですが

実は書いたのは随分前なのですが
歌の歌詞をそのまま全部載せてしまっていて
コレはまずいだろうと上げていなかった分です
(歌は中川翔子の『涙の種、笑顔の花』です)

歌詞の内容で話を考えていたので
載せないと伝わらないだろうな~
と思ったのですが

まあ、それはそれでいいかなと
続き…ではありませんが
もう一つ分岐aの話を上げます
18禁なんで閲覧注意です
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