やはり俺の英語教師がめぐり先輩というのは間違っている 作:町歩き
あとワイルド八幡と保険のためアンチタグつけました。
先輩の囁きを耳にした俺はすかさず周囲を見渡す。
アニメやラノベを人一倍見たり読んだりしたことによってこういった場合、
大体何かしらの妨害が入るのが常だと知っているからだ。
もしそれがファンタジーやホラーなら下手すると死亡フラグになる。
童貞のまま死ねるか! と思いつつ、ここで先輩とそこまですると
童貞じゃないから死んでもいい、になってしまう。それも困るな。
まあさすがに死ぬ事態にはなるまい。
とすると考えられるのは何かしらの妨害が入る、ということ。
その妨害について思案を巡らせる。すると次の三つがぱぱっと思い浮かんだ。
① 小町が予定より早く帰ってくる。予定では夕方に帰宅。
② 両親のどちらかあるいは両方が何かしらの事情があって帰ってくる。普段は夜の二十時頃帰宅
③ 勧誘やらセールスやら宅急便がやってくる。
①と②に関しては三人ともそれぞれ家の鍵を持っているため
家への侵入を未然に防ぐことは不可能に近い。
タンスやらなにやらで玄関を物理的に封鎖するという手もあるが、
そんな事をしたら俺が家から追い出される可能性が高い。なのでこの手は却下。
それで三人の状況を知るために連絡を入れようかとも思ったが、先輩の甘いお誘いを
受けた直後に家族に連絡をするというのもなにやらシュール過ぎるので
これも却下することにした。まあ大丈夫だろう。
最後の③に関しては居留守を使えば問題ない。
俺のスルースキルの高さは自分がスルーされることも含めると世界でもトップクラスであり
悪名高いN○K訪問員も裸足で逃げ出すレベル。
他にもトラックが突っ込んできたり飛行機が墜落してきたりして妨害を受けるかも?
と考えればキリがないが、そこまで思い煩っても仕方がない。
とりあえず場所をかえるか、と思い、先輩にその事を伝えると
先輩はぼーっとした目で俺を見つめながら、こくりと、小さく頷いた。
俺はそんな先輩の仕草に、ごくりと喉を鳴らすと、片方の手を先輩の背中に置いたまま
もう片方の手を先輩の膝の裏へと差し込む。
そのままゆっくりと立ち上がると、お姫様だっこ状態になった先輩が困ったような声を出す。
「八幡くん~、自分で歩けるよう……」
「ダメですよ、めぐりさん。この前めぐりさんの家で今みたいになったとき
『やっぱり怖いから、やだあ』ってめぐりさん逃げちゃったじゃないですか?
なので今日は逃がさないようにします」
などとほんの少し責めるような口調でいうと
先輩は小さな声で「ごめんなさい……」と謝ってくる。
ぐふう~たまんねえぜ……
これはあれだな、平塚先生や雪ノ下が俺を事あるごとに責める気持ちがわかる気がする。
なんつーか征服欲? が満たされるというか、凄まじい充足感で胸が一杯になる。
そしてなにより、ひとつだけとはいえ年上のほんわかお姉さんが自分の手の中で
怯え震えている姿というのは、庇護欲と同時に妙な嗜虐心を掻き立る。
録画してえ……と思いつつ、顔を真っ赤にしながら身を捩っている先輩の顔を覗き込むと
ぺちんっとオデコを叩かれた。
「そんなに顔見ちゃいやだよお……」
そう言われると余計見たくなるのが男心というもの。
それで先輩が一生懸命隠そうとするその表情をよく見えるよう顔を近づけると
先輩は俺の首に回した両手に力を込め抱きついてくるので顔が見えなくなってしまう。
まあいい……
部屋に着いたら縄跳び用ロープで手を縛ってじっくりねっとり見てやる……と思っていると
先輩は気不味くなったのか、俺の耳元でそれまでと全然違う話を口にする。
「八幡くんてさ、最近これやってること多いな、っていうものある?」
「趣味とかハマってるものとかそういうのですか?」
「うんうん。趣味でもいいし、なんかあるのかなって」
問われて考える。ふむ、ハマってるものか。
リア充ならここで「めぐりさんに」などと言えるのだろうが、俺には難しいどころか不可能。
そして最近よくやってることといえば勉強だが、これもなんだか違う気がする。
勉強はどちらかといえば自分に課したノルマもしくはギアスのようなもの。
やっとかないと後々面倒だからやってるだけ、という意味合いが強い。
ただでさえ面倒事が多い人生なのだ。これ以上面倒になりたくない。
他に俺は本を読むことは好きだが、じゃあ読書が趣味か? と聞かれたら
多分違うと答えるだろう。
俺にとって本を読むということは、ご飯を食べたり寝たりするのと同じくらい
当たり前のことだからだ。
俺が定義する趣味とは、もう少し手間暇かけた特別なもの。
例えばの話、買い物に出掛け欲しい物を見つけそれを手に会計に向かうと
可愛いお姉さんがレジをしていたとする。
それで支払いが857円だったらあえて1056円渡して
お姉さんに「あと1円ありますか?」と言わせるような
そういうものが趣味といえるのでは、と俺は考える。
まあそんなこと、もちろん先輩には言えないが。
などと考えながら、先輩へと視線を落とす。
すると、俺を見ていた先輩と目があったので、その耳元に口を寄せる。
「めぐりさんとそういうことをするのに、ハマるかもしれませんね」
小声で囁くと、先輩は耳まで朱に染めて「ううっ」っと呻いた。
それでは次回で