「よう、同輩」
「おう、同輩」
馴染みの面と生きて顔を合わせるのは、中々に悪くない感覚だ。何時何処で誰が死んでもおかしくない環境でならば、その喜びは一入である。
「相変わらず不揃いだな貴様」
「ほざけ、貴様の面よりマシだ。夜道で出くわした配下に泣かれてはいまいな?」
午前の爽やかな陽光を浴びて、爽やかの対局にありそうなむくつけき大男が笑った。不揃いなジャガイモが人間になった、そういっても納得しそうな風情な男である。
軽口を叩き合いながら、江田島で同じ飯を食った同期と敬礼を交わす。敬礼・握手をする方の手が残っているのは、我ながら幸運だったというべきであろうか。
「阿呆、俺は配下から“おとうちゃん”と呼ばれる位懐かれているのだぞ。なぁ、電」
「はわっ!? しっ、司令官さん!? ばらされると恥ずかしいのです!?」
鬼の面と勘違いしそうな凶相の大男、その隣で茶髪の小柄な少女が恥ずかしそうに腕を振り回した。戦闘艦の概念と魂を宿した、対深海棲艦兵器が彼女であると言われ、素直に納得するのは難しかろう。
しかしながら、顔に幾つかの小さな傷があり、左手の指が数本根元から欠けていることから、彼女も修羅場を潜った歴戦の艦娘であることに疑いは無い。
まるっきり年若い学童にしか見えぬ彼女。しかしながら、無邪気にブン回される腕の威力は相当の物なので、笑いながら大男は一歩下がっていた。
直撃すると、酷いことになると分かっているからである。
それでいて一見、父親と娘が戯れているように見えるのだから不思議なものである。単独にて“本物の戦闘艦”でさえ撃沈できる代物であるというに。
「なんだ、存外上手くやっているようではないか。凶相に怯えられて近寄ることさえできぬのでは、と心配しておったのだが」
「お前こそ、配下に老人看護は嫌だと嫌われていないかと心配だったのだぞ」
言い合ってから、互いに大笑する。口さがないのが軍人、そして同期の常だ。こうやってバカ笑いでもしていなければ、戦場にて正気を保つのは難しいのである。
「し、司令官さん! お友達に酷いこと言い過ぎなのです!」
「おうっ!?」
が、肉を叩く快音によって笑いが中断された。我が同期の大佐殿が配下にケツをブッ叩かれ遊ばされた音である。見上げるような巨漢が、ケツ抑えて背伸びしているってのは、中々面白い光景であるな。
「立派な戦傷なのです! それを馬鹿にするのは……」
「あー、電。その辺にしておこうか」
激痛に悶えてケツを抑える同期、それに追撃の説教と一発を加えようとしていた電を止めたのは、我が頼れる配下の時雨であった。
「はわっ、時雨さん……」
「これはじゃれ合いだよ。気が合う同期だからこそできるじゃれ合い……だよね、提督?」
再びケツを打擲しようと振り上げられた手が、時雨によって拘束されているのだが、金属が軋みを上げるような音が響いている。見た目には、学童同士がじゃれあっているようにしか見えないのに。
朗らかな光景ではあるものの、その内実は兵器同士のぶつかり合いだ。それも“近接戦闘”を考慮された人型兵器同士の。何にせよ、さっさと止めねばなるまいて。
「うむ。だからその辺で勘弁してやってくれまいか、電。私達の間では、馴染みのやりとりでもあるのだ」
そうだったのですか、と慌て始める電。時雨はさりげなく拘束していた手を離し、再び私の背後に控えた。
「し、知らなかったのです。ごめんなさい、司令官さん!」
「良いんだ電……お前に教えなかった俺が悪いんだしな……ぬぐっ……」
しゃがみ込んで痛みに耐える同期へ駆け寄る電。うむ、何とも微笑ましい光景だ。艦娘と提督とは、斯くあるべきだな。相互理解とは実に重要である。
「それに、罵倒云々いうのであれば、私も非があることになってしまうからなぁ……。だから電も気に病むことは」
「じゃあ僕も一応、提督の尻をひっぱたいておこうか?」
可哀想になるくらい慌てる電を庇うべく一言言ってみると、白魚のように細い指が、そろりと私の尻を撫でた。
ぞっとしつつ背後を見やれば、良い笑顔の時雨が居た。塞がってはいるものの、未だ痛々しい痕を残す口の傷が、さも愉快そうに歪められている。
「冗談でもやめろ。お前の膂力でひっぱたかれたら、今度は車椅子が必要になるぞ」
本当に洒落にならない。流石に下半身不随になれば前線からは下がれるかも知れないが、用足しにさえ不自由するのは勘弁だぞ。
「あら、呼びましたか? 提督」
などと言っていると、後ろから声がかけられた。
「提督さん、ほーしょさんつれて来たっぽい!」
振り向けば、そこに居たのは二人の艦娘。されども、その影は一つに重なっていた。
「搬出作業、滞りなく進行中です提督」
「ああ……ご苦労だった、鳳翔」
一人は白露型駆逐艦四番艦、武勲艦として有名な夕立。南海の朝日を浴びて、かつての敵を連想させる特徴的な金糸の髪と、宝石を削って作ったような赤い目が溌剌と輝いていた。
そして、その彼女の腕に担われる小柄な影。娘袴に身を包んだ彼女は、世界で始めて空母として起工されたことで名高い船。軽空母、鳳翔だ。
「車椅子、と聞いたので私の話をしているのかと……」
「いや、違う。話の流れでな」
鳳翔が夕立に担われているのには理由があった。短い娘袴、その裾から先には、本来目映いばかりに肉感的な足が続いているはずなのだが……あるのは、ただ余って下へと垂れる生地ばかり。
彼女には両足が付け根から、殆ど無かったのだ。
私や時雨が傷を負ったのと同じく、我が配下の彼女も度重なるシーレーン警護の作戦で傷を負った。それも、高い自己保全能力と再生能力を持つ艦娘を持ってしても、再生できぬほど重い傷を。
彼女は一度、大破着底してしまったのだ。この近海を通る船を守るため、殿を努めて無茶をしたが故に。
幸い泊地としている此処が近かったため、他の艦娘の力を借りて死ぬ前にサルベージできたのだが……どうやら“着底する”という事実が艦娘の何かを損ねたらしく、彼女の足が再生することはなかった。
そのため、鳳翔は普段車いすで移動している。揚陸艇が物資を運んできた砂浜が接地圧の問題で走れないため、今は近場にいた夕立に運んで貰っているのだが。
「あら、そうでしたか。では提督、資料を……あ、ちょっと、夕立ちゃん、あと少し近寄ってもらえたら……」
「分かったっぽーい!」
「きゃっ!?」
「うごっ!?」
夕立は元気が有り余りすぎて、匙加減というものを知らない。世間一般では“ちょっと近づく”という指示で、追突事故は起こすまい。凄まじい勢いで突っ込まれ、私は鳳翔を巻き込んで砂にまみれる羽目になった。
「夕立ぃ!」
「あはははは! ほーしょーさんとてーとくさん、三人で転がると楽しいっぽい! ねぇ、時雨もおいでよ!」
「僕は遠慮しておくよ……」
砂まみれにながらでは、配下を怒鳴り散らしても格好がつかぬ。いや、最初からつくような格好など無いかもしれないが、体面というのがあるのだ。
「くくく、貴様も随分と配下と仲が良いようで何よりだ」
「笑うな!!」
流石に同輩に笑われては……あんまり心穏やかに居られないものだ。その隣で、口を押さえて笑みを隠そうとしている駆逐艦は見逃してやるが、この大男にはいずれ必ず復讐してやる…………。
提督執務室、とは名ばかりの船体が歪んだために扉さえ閉められぬ自室にて、私は同輩と向かい合って座っていた。
「ん、確かに頂戴した」
補給物資を受け取ったので、その確認書類を認めたのだ。流石に郵便屋と違って、はんこ一つで受け取ったと証明するわけにはいかず、手続き上必要な処理があるためである。
「……しかし、また随分とケチられたな。高速修復材は、去年の半分も無いぞ」
だが、内容物を見て明るい表情は作れなかった。戦時においては、平常時に戦時を想定して作られた、アテにならない補給計画通りにことが運ばない事実など百も承知だ。
しかしながら、どう自分を納得させたところで、帳簿上の物資が日ごとに目減りしていくのを眺めていると、心中穏やかではいられないものだ。
「内地も必死だからな。一時期は呉の沿岸まで攻め込まれて、擾乱砲撃を喰らっていたのだぞ」
何を今更、とでも言うように同輩は頭を振った。ま、確かに物資を運んできただけのコイツに、中身が少ないと文句を言ってもどうにもならぬのだが。
横流ししているならまだしも、コイツの性分でそれはない。真面目さが売りの同輩は、ただ内地から戦略物資を運び、その足でオセアニアに赴きボーキサイトなどを持ち帰るのが仕事。私がごねたところで、何にもならぬものだ。
「だからといって、庄屋が米をため込むように物資を積み上げられても困る。我らが万全に動かねば、向こうは向こうで早晩干上がって終いだぞ」
それでも愚痴の一つは零したくなるものだ。私は補給品として受け取った煙草を早速一箱取り出し、潮の匂いが染みついていない新鮮なそれに火を付けた。
「攻めるのに大枚叩くのは良くて、維持にはケチる……前から何も反省していないではないか」
「貴様、俺だから良いが、下手すると首が飛ぶような発言は控えろよ」
そう言いつつ、顔は同じ事を思っていると言わんばかりに歪んでいては、説得力という物が足りぬぞ同輩。
帝国海軍は艦娘戦力を整えるまで、延々と後退と敗退を続けていた。通常の戦力では、深海より至近距離に浮上してくる深海棲艦に対抗できなかったのだ。
必殺の切り札であった、大和級戦艦すら海底に没した後の快進撃。奪われた生存領域を取り返すのは、さぞ痛快であったことだろう。呉や舞鶴に佐世保、主要な鎮守府を指揮した提督諸氏の戦果を否定はするまい。
だが、奪還した後がお粗末ではいかんのだ。このシーレーンは国家の血管。しかも、細くて頼りないが、全身に血液を巡らせるための重要な血管だ。その守りがこれでは、二次大戦で敗北しかけたにもかかわらず、何も学んでいないと誹られても仕方有るま
いて。
よもや沖縄すら失陥しかけたことを、大本営は忘れたとは言うまいな。
「しかしな同輩……俺は兵站部と親しいから分かるが、内地のお歴々とて楽はしておらんのだぞ。知っているだろう、姫級の跳梁を」
「だとしてもだな……」
そう言われると何も言い返せない。内地の方は内地の方で、襲撃を受けたり連日連夜空襲を受けたりと穏やかとは言い難いらしく、遠征補給も危険度が高まるばかり。少なくとも、楽で無い事だけは事実だ。
とはいえ、此処よりマシだろう。手足の無い提督に四肢が失せた艦娘。防衛の陸戦隊は欠員が出て半充足状態。そして頼りの拠点も、この様だ。
果たして我々は、本当に広大な版図を誇る海洋国家の栄えある海軍なのだろうか。少なくとも同盟国相手に、この泊地を自慢げには披露できまい。
無駄が多いのだ、何かと。もう少し考えて版図を広げれば。もう少し考えて外交をすれば……上と下との板挟みになる指揮官としては、上への愚痴がどうしても溢れてしまう物である。
「もう言うな、同輩。お前も辛いが、俺も辛い……見ろ、俺の艦隊を」
椅子を軋ませながら、江田島以来の親友は凶相を悲しげに歪め、壁を透かせて補給艦が居るであろう方向を眺めた。
「旗艦にしていた由良は大破して、今は呉で入渠中。左腕は完全喪失……完治までかなり時間がかかる」
成る程、今まで連れにしていた軽巡ではなく、駆逐艦を供としていたのは、手酷くやられたからだったのか。
私は何も言わず、慰め代わりに煙草を一本差し出した。奴は何も言わずに受け取り、自分のマッチを取り出す。
「今日の護衛に引っ張ってきた漣と皐も酷いものだ。漣は損傷があるし、皐は面子の都合も合って小破状態だ。一昨日、砲撃かすって腸が飛び出したばっかりだってのに」
護衛艦隊は中々に厳しい仕事だ。何時襲いかかってくるか分からぬ敵に備え、気を抜くことも儘ならず航海をしなければならない。
荷を満載しているが故に鈍足で、酷く脆い輸送艦を庇いながらだ。各所を哨戒する友軍が居た所で、広大な海では点でしかなく、孤独であることに変わりはない。その心細さは如何ほどのものか。
その上、奴らは一気呵成にやってくる。深海から浮上するという性質上、何処にでも大規模な打撃艦隊が展開できるのだ。たとえ潜水艦以外は海中からは攻撃ができないとしても、距離を詰めてくるので関係がない。
シーレーン防衛に艦娘戦力が無かった頃は、更に絶望的だっただろう。此方が圧倒的に不利な鬼ごっこを強いられるのだから。
かといって、どうしても大戦力を貼り付けられない輸送艦警備任務に従事する艦娘にとっては、艦娘登場以前の船乗りと立場は変わるまい。
夜戦であれば戦艦ですら屠る駆逐艦も、陽光に晒されてはか弱い存在だ。航空機に群がられては、戦うどころではなくなってしまう。
「パラオ泊地が頑張ってはいるが……大型艦は何処にでも湧くし、小型艦も多い。被害を考慮すれば、どうしても細く長く補給するしかないのだ。耐えてくれ」
「……すまん。愚痴が過ぎたな」
「気にするな、同輩。貴様の気持ちも分かる」
情けなく愚痴ってしまったが、やはり何処も辛い事情を抱えているものか。軽空母が護衛に貼り付けるだけの数があれば、もっと違うのだろうか……。
否、考えても仕方有るまい。我々には、かつて戦った米帝のような潤沢な戦力など無いのだから、無いなりにやらねばならぬ。
その米帝とて、通常戦力に拘り続ける愚を犯した挙げ句、東海岸が失陥する失態をやらかしているのだ。
やはり、全ては上手くやるかで決まるのだから、愚痴っている暇があれば頭を回すほかあるまいて。
「司令官さん、全作業完了なのです」
黙って煙草を吹かしていると、全ての作業が終わったのか電が報告にやってきた。おうと応え、同輩は煙草を灰皿に押しつけて億劫そうに立ち上がる。
「ではな。次に顔を合わせるのは何時になるか分からんが、貴様も壮健でな」
「おいおい、見送りくらいさせろ。何故此処で別れの挨拶をするか」
「片足の案山子に長旅はさせられんからな。見送りは結構」
「抜かせブリキ細工め」
江田島時代に英語習得の糧として読んだ児童文学になぞらえた罵倒を交わし、私達二人は笑いあった。そして、敬礼と共に別れる。
あの背を拝むのが、これで最後にならねばいいのだが…………。
「あら。もうお帰りになられたのですか?」
背後から声をかけられて、背中が弾んだ。勿論、期待やうれしさなどでは無く、驚いてのことである。
「む、鳳翔……」
「ふふ、提督。そんな子供みたいに驚かなくてもいいじゃないですか。気に入った物を隠すのは、誰だってやることですよ」
振り返れば、開け放された入り口の向こうに鳳翔が居た。いつも通り車椅子に腰掛け、膝にはお盆が乗せられている。その上で湯気を立てる湯飲みの数は、二つあった。
同輩を持てなすため、態々煎れてくれたのだろう。悪いことをしてしまったな……。
いや、それ以上に格好の悪い所を見られてしまった。戸棚の奥に酒を隠そうとしている所を目撃されるなどとは。
「あら、良いお酒。今ではめっきり手に入らなくなりましたよね」
「うむ……英国との通商路など、開戦以前から途絶えていたしな」
私が隠そうとしていたのは、一本のスコッチだ。本物の英国製で、日本国内で作られた模倣品ではない。
これは正規の補給品ではなく、内地に立ち寄ったりすることもある同輩に頼み、特別に用立てて貰った品である。
かといって自分が楽しむつもりで買ったのではない。報償品として使おうと思い調達したのだ。
我が艦隊はささやかなれど泊地を構築し、海兵陸戦隊一個中隊が防空陣地を構えており、対揚陸戦闘準備も進めている。私一人と艦娘だけで全てが回る訳では無いので、当たり前だが大勢の人間が居るわけだ。
そういった場合、誰かしらを罰することもあれば、誉めることもある。その時、上等な酒の一杯というのは実に役立つものだ。好感も得られて士気も高まり、痛むのは私個人の懐だけとくれば、何をか況んやであろう。
まぁ、自分が一切呑まない、とはいわないが……。
「しかし残念です。折角お茶を煎れたのに」
鳳翔は頬に手を添え、心底無念そうに吐息した。きっと、補給されても絶対数少ない茶葉を使って煎れたのだろう。贅沢品の制限のせいで、美味しい緑茶は今となっては貴重なものになってしまった。
「なに、無駄にしなければよいのだ。入れ、鳳翔」
手招きすると、彼女は少し驚いてから……悪戯を思いついた子供のような顔をした。大人びている彼女だが、こうした表情をすると可愛らしい童女のようにも見える。
「あらあら、提督も悪いお人……」
「そうかね? なら羊羹はいらんか? 奴が給糧艦からくすねてきた、上等な品だというのに」
そう言って、私は戸棚の影から一本の羊羹を取り出した。給糧艦艦娘、間宮が作った特性の一本。人間でも楽しめる、混じりっ気なし、正真正銘の小豆と砂糖で作った一品である。
これも用途はウイスキーと同じだ。中には酒がやれぬ者もいるし、家の配下達はこっちの方が好みだ。その辺りは、彼女たちも若い娘に違いないということだろう。
いや、酒を嗜む程度には若くない艦娘もいるので、一概にそうとは言い切れぬのであったか。家には居ないだけで。
誰も要らないとは言ってませんわ、と彼女は笑い、車椅子の車輪を軋ませながら側にやってきた。
「でもいいんですか? 提督が私的に物資を手に入れた上、それを密かに楽しむだなんて」
悪そうな顔を作って無邪気に問う彼女。言うまでもなく、単なる軽口だ。そして私も軽口には軽口で返す性質である。
「模範的な艦娘であれば、当然誘いには乗るまいな。何なら見なかったことにして、茶だけ置いて部屋に戻ってもよいのだぞ?」
「ふふ。じゃあ提督は、どうやって包装を剥いて羊羹を切るおつもりで?」
成る程、どうやら今回は彼女の方が一枚上手だったらしい。羊羹は糖分が多いため傷みづらく、長期保存用が出来る御菓子だ。そのため頑丈な包装が施されており、片手で開けるのは大変な難事である。
勿論、刃物でぶつ切りにしたり、口も使えば開けられるには開けられるが、一人で食べる訳ではないので無理はできない。
どのみち、これを頂こうと思えば、誰かの手助けが必要になるわけだ。
「……私の負けだ、鳳翔」
「ふふっ、勝ちました。二人で丁度一人前、と言うところでしょうか」
冗談なのか何なのか、判断しづらい事を言って鳳翔は微笑む。しかし、少しだけだが間違っているぞ。
「数は丁度いいとしても……如何せん足が一本足りぬし、手が一本余る」
「うーん、ままなりませんね」
お茶の湯気が海風に吹かれ、燻りながら消えていった…………。
この話を通じて言いたいことは、自動回復上限、もっと高めて良いのよ? ということ。