※この作品はR-18です。

好感度MAXから始まる黒ウィズ   作:ココナポッカ

5 / 5
実はこれ一年近く前に執筆したものを作り直したものです
満足いかない出来だったので再構成したのですが少しだけオリジナル要素含まれています。



最近ガチャ運良かったのですがGPでついに爆死
50連回してアルさん一体、エリアリセットしてクリスタル貯めて60連してクレティア一体でした
一番好きなクレティア出たのでよかったのですが、まだ回すつもりなので泥沼にハマる予感(贅沢言わないので女の子全部下さい!)




黒猫の魔法使いと煌めく星の神楽姫 【キシャラ・オロル】

 寒い。体がゾクゾクと震えて落ち着かない。

 暖房が効いた部屋で布団に包まっているが、極寒にやられ過ぎたせいで体調が整うにはまだ時間がかかりそうだった。氷漬けになってしまった自分を熱で溶かしている気分だ。

 ウィズも暖炉の目の前で大人しく体を温めている。

 

「ふぁくしょん!」

「大丈夫? これ、温かいお茶です。どうぞ」

 

 何度目かのくしゃみ。この家の所有者であるキシャラが心配そうにして差し出してきた熱いお茶を舌を火傷しないように少しずつ飲む。すると、熱いお茶のおかげで体のうちからポカポカと温まってきて、寒さで震えていた体もようやく落ち着きを取り戻した。

 

  それは突然の出来事で、気づけば僕達はまた異界に迷い込んでいた。

 今回迷い込んだのは見た感じ氷界というべきで、その名の通りこの世界はどこまでも氷の大地が広がっていた。

 どこまでも広がる氷の異界。ここはその北に位置するポポラの里。

 僕達はよりにもよってその氷海の上からいきなり出現して、慌てふためいていて海で溺れかけていた僕達の一部始終を見て助けてくれたのが、このキシャラという少女だ。

 

 そして助けられた後、寒がっている僕達にここまでしてくれた……という訳だ。

 

「いやーそれにしてもびっくりしたよ。海がいきなり光って、そしたら二人が溺れているんだもの。どうしてあんな事になってたの?」

「あー、実は……」

 

 と僕達の事情を話そうとしたところで言うべきか迷う。キシャラが目をキョトンとさせる。

 そもそも話したところで信用してくれるだろうか? いつものように運悪く事故に巻き込まれて異界にたどり着きました……みたいな馬鹿な話本来なら有り得ない。僕以外。

 まあキシャラは恩人だし嘘もつきたくない。「言ってもいいか?」という視線をウィズに向けると、「にゃー」と鳴いた。よし。

 

 とりあえずできる範囲で僕達のことや僕達の住んでいる世界のことを説明した。もちろん僕達はよく異界に迷い込む不幸体質なんだよという、馬鹿げた事も言った。話は壮大になったが、意外とキシャラは疑うことなくその話を信じてくれた。ただ信じてくれた事が裏目になって、

 

「く、くふふ……あははは! という事は魔法使いさんはいつもあんな目にあってるの! 異界に迷い込む度に海に溺れたり、あはははっ」

 

 最初は笑いを我慢したつもりだったんだろうが、それをキシャラは抑えられず腹を抱えて笑い始めた。足をジタバタさせたりとよほど僕達の不幸が面白いらしい。

 

「笑うなよ。こっちだっていつも大変なんだぞ」

 

 特に今回の事については『異界に迷い込んでいきなり死ぬかと思ったランキングトップ3』には入るね。いきなり異界に来て、ほんの数秒で海に落ちてしかもその海が氷海とか、助かった今でも思うと恐ろしい。

 

「ご、ごめん悪かったから……うふふっ」

 

 キシャラは後ろを振り向いてバレないように笑っているつもりだろうが、笑い声が丸聞こえだ。

 でも、まああれだ。信じてもらえなくて説明に困るよりかはよっぽどいいと思う。

 

 しかしまた本当に面倒な事になってしまった。

 どうやら僕達はとことん異界と縁があるらしい。これで異界に迷い込んだり、異界の出来事に巻き込まれたりするのは何度だろうかと、この前までは数えていたが、ついには数えるのも億劫になってやめた。ただえさえ異界から帰還した後は、ギルドから報告書やら始末書やら書かせられるのに、異界に迷い込んだ回数を覚えていたんじゃ気が持たない。

 

「それでこれからどうするの。元いた世界に帰ることはできるの?」

「方法はあるよ」

 

 魔法を使って精霊を呼び出すいつもの要領で、クエス・アリエスに繋がる叡智の扉を開けばいい。ただ、普通に精霊を呼び出すのとは違って、結構大掛かりな魔法になるため極力人が多い場所で使うのは避けたい。つまり、このポポラの里から離れた場所でする必要があった。

 それを説明すると、キシャラは無い胸を手でトンと叩いて誇らしげに言った。

 

「それならあたしに任せて。魔法使いが魔法を使える所まで運んであげる。

 ……ん、魔法使い、今ちょっと失礼な事考えてなかった?」

「そんなことないって。それより運ぶってどういうこと」

 

 危ない危ない。幼い少女とはいえど、女の子の感はいつだって鋭いんだな。

 僕は平然と嘘をつくと話を進めるように促す。

 キシャラの話によると、ここから少し離れた場所に人がいない土地があるらしい。特別な魔法を使ってそこへひとっ飛びするとの事で、どんな魔法か気になったが見れば分かるとのことだった。

 

 僕達はキシャラに連れられて外に出る。すると部屋の中とは打って変わって、突き刺さるような冷気が体を撫でてきた。

 

「さ、寒い!」

 

 まだ昼間で太陽が顔を出しているというのに寒い!

 

「凍え死ぬにゃ!!」

「そお? 今日はまだ暖かいほうだよ」

 

 風が吹いたり雪が降ったりしているというわけでもないのにここまで寒いのは、十中八九どこもかしこも土地が氷で出来ているからだろう。

 割れそうにほど分厚い氷の地面に遠目から分かる厳つい形をした氷の山。こんな環境の中寒くない訳がない。

 

 氷海に溺れた時よりはまだマシだが、あまり長居はしたくないな。いつまでもここにいると風邪を引きそうだ。

 

 至って平気そうなキシャラは寒がるこちらを不思議そうに見ている。

 

 ……今日はまだ暖かい方って、ここからまたさらに寒くなるっていうのかよ。

 

「キシャラ、なんとか出来ないのかにゃ!」

「うんとね。どうしても寒い時はここの人たちはこうやって暖め合うんだよ」

 

 キシャラはウィズを拾い上げると、ギュッと抱きしめる。ウィズは猫なで声を鳴らしながらキシャラの胸にスリスリと体を擦り付ける。

 確かに人肌は暖かいって言うからなー、ウィズは猫肌だけど。

 

「私も小さい頃はお母さんやお父さんにこんな風にぎゅってしてもらって暖めてもらったんだー」

「にゃー。暖かいしキシャラの良い匂いがして幸せ気分にゃー、このまま寝ちゃいたくなるにゃー」

「えへへー、ありがとう」

 

 幸せそうですね。お二人共。ところで誰か忘れてませんかねー、今現在あなた達の目の前で寒そうにしている男がいるんですが……。

 

「ウィズちゃんももふもふで暖かいー」

「もっと撫でてもいいにゃよ」

 

 こっちを見てくれちゃいねえ。

 

「キシャラ、良かったら僕も……」

「ダメ。魔法使いさん、それセクハラだよ」

 

 ですよねー。分かってたけど我慢しますよ……はぁ。あわよくばキシャラの良い匂いとやらも嗅ぎたかったけれど、そんな変態行為は許されないよね。ああ、マジで寒い。

 

 寒い空気の中、歩くこと数分。何やら可愛らしい小動物が戯れているのを発見した。それらはこちらに気がつくと宙を泳ぎながら近づいてきた。

 

「キシャラ、こんにちは。今日は何して遊ぶ? 」

「ごめんね、遊ぶのはまた今度で今日はちょっと協力して欲しいことがあるんだ」

 

 可愛らしい小動物の正体はなんとクジラだった。……クジラだよな?

 一般的なクジラとはかけ離れているほど小さいが、尾ひれや体躯はクジラのそれに酷似している。しかし喋る動物とは珍し……くもないか。

 

「クジラが喋ったにゃ!」

「君だって猫なのに喋っているじゃないか」

「紹介するよ。この子は星クジラって言ってあたしの友達なんだ」

「「よろしくねー」」

 

 複数のクジラから挨拶されるという奇妙な光景に、若干戸惑いながらも挨拶を返す。

 そう言えばキシャラはこの星クジラたちに協力してもらうって言ってたな。でも変わった特徴以外、何かできるようには見えないけど……。

 気になってキシャラに聞いてみる。

 

「今からあたしの魔法と星クジラたちと協力してあなた達を運ぶんだよ。まあ見てて」

 

 キシャラがそう言うと、星クジラたちは塩吹くとそこから何やら虹色に輝いた綺麗な物を形成する。それは一枚の布みたいなもので虹色の輝きを放ちながら宙に漂っている……これは、オーロラだろうか?

 昼間のオーロラなどこれまた珍しい……と思っていると、それにキシャラが魔法をかけると半透明だったオーロラがくっきりと見えてきた。

 

「はいこれで完成! オーロラでできたあたしお手製のオーロラ絨毯だよ」

 

 魔法の絨毯ならぬオーロラの絨毯。フワフワと漂うオーロラに触れてみると、確かに感触があった。

 

「これに乗って遠くまで運ぶって事か」

「そういうこと。さあ二人ともも乗って乗って。短い間だけど、楽しいオーロラ旅行に案内してあげるよ」

 

 キシャラに促されてオーロラに乗ると次第に高度が高くなり、ゆっくりと空を移動し始めた。見た目が不安定な乗り物の割には不思議と乗り心地は良かった。それにこのオーロラ、温かい。キシャラの魔法でできた物だし暖かくなるような魔法もかけているのかも知れない。少しばかり寒いのが落ち着いた気がする。

 

「ほら、見て。あそこがさっきあたし達がいたポポラの里だよ」

 

 キシャラの指さした所を見ようとオーロラの絨毯から顔を覗かせると、確かにそこには先ほど僕達がいたポポラの里があった。

 他にも移動する先々で、空から見える地上の色々なものをキシャラに教えてもらった。

 氷山にいくつもの小さな穴を作ってできた星クジラたちの住処、局所的にその土地だけ気温が暖かくそこに咲いた綺麗な花畑、ポポラの人達とも交流のある小さな村、などなど。ここまで色々としてくれて、最初に出会ったのがキシャラで本当に良かったと思う。キシャラがいなければこうやって楽しむ余裕も無かったはずだ。

 

「キシャラありがとう。でもここまでしてくれると申し訳ないというか……お礼も何もできないぞ」

 

 突然異界に迷い込んだためお礼に用意できるようなものは何も無い。持っていた物も海に溺れてしまった時に、殆どが海底に沈んでしまった。

 キシャラはお礼を貰うために人助けをするような子ではなく、純粋にお人好しなだけという事は理解しているがこれでは申し訳ない。

 

「いいのいいの。魔法は誰かの為に使うってあの時決めたから。もう自分が楽しむためだけに魔法を使ったりしない」

「キシャラ成長したなー」

「でしょう!」

「あの時は泣いてたもんねー」

「よ、余計なことは言わなくていいの」

 

 なるほど。キシャラと星クジラの会話のやり取りを見て分かったが、キシャラが優しくお人好しになったのには理由があるらしい。そのエピソードが気になるが、本人は何やら知られたくないようで恥ずかしそうな様子だったので聞かない事にした。

 

 そんな感じで会話を交えながら、キシャラの言ってた場所に到着してオーロラからその土地に降りる。

 辺りを見渡すと、なるほど。他に人はいなそうだしこれで周りを気にすることなく叡智の扉を出現させることができる。

 

「君、早速するにゃ」

「うん」

 

 僕は返事をして懐からカードを取り出す。一体何が始まるんだろうと、キシャラや星クジラたちがザワザワとし始める。

 宙にカードを掲げて詠唱を唱えると、カードが光り出してその光の中から大きな扉が徐々に姿を現す。扉が完全に出現するまでそれに魔力を供給して、あと少し完成するという所で魔力の供給を止めた。

 

「魔法使いさんどうしたの? どうして途中で止めたの?」

「繋げる互いの世界にもよるけど、それなりに時間かかるんだよね」

 

 精霊を呼び出して力を貸してもらう事を目的とするなら叡智の扉はすんなりと開くが、術者本人を移動する場合や二つの世界を自由に行き来したいのなら叡智の扉を出現させて完成するまで時間がかかる。その今いる世界にある自然の魔力の量や土地の魔力の淀みにもよって、かかる時間も変わってくる。ここの場合だと……感覚的には遅くもないが早いわけでもなさそうだ。

 

「かかるってどれくらい?」

「早くて数日かな」

「その間はどうやって暮らすの?」

「あ」

 

 キシャラに言われるまですっかりその事を忘れてた。ウィズもビックリしてる辺りその事を忘れていたようだった。

 さて、どうしようか。流石にこんな環境で野宿とかしたくない。キシャラはしばらく家に泊めてくれないか……と頼もうと思ったが相手は女の子だ。流石にそれは言えなかった。

 いよいよ、何の方法も思い浮かばなくなったところで、声がした。

 

「あら、あらあら」

「……にゃ?」

 

 キシャラや星クジラたちとは違う女性の声。

 向こうから見知らぬ女性が近づいてきた。薄紫の髪に飾られた大きなリボンに三日月の髪留め。左右非対称の青と紫の瞳に、これまた青と紫を基調にした服にへそ出しファッション。その女性の特徴を上げるとしたこれくらいだろう。あと、おっぱい大きい。

 

「キシャラが男の人とデートしてる!」

「ち、違うよ! さっき知り合った魔法使いさんと黒猫のウィズちゃんだよ。困ってたから協力してるの」

「キシャラ、知り合いなの?」

「うん。あたしの友達のピピアちゃん」

「こんにちは。魔法使いさんとウィズちゃん」

 

 ピピアという少女はおっとりオーラを放ちながら挨拶してくる。とりあえずデートという誤解を解くために、今までの経緯をピピアに説明した。つまりまた異界がどうだー、とか規模のでかい話になったわけだが、彼女もすんなりと信用してくれた。

 

「ていうかピピアちゃんこそここで何してたの?」

 

 そう言えばそうだ。僕達はオーロラに乗ってなんとかここまで来たというのに、ここで彼女は何やってたんだろう?

 

「散歩です。こうしてると新しいメロディーが閃くんですよ」

「メロディーにゃ?」

「はい。私、こう見えてもピアニストなんです。普段は里の皆さんに音楽を聞いてもらったりしてます」

 

 ……散歩をするとメロディーが閃く。芸術家とかその類の人は散歩とかの気分転換と同時に新しい発想が浮かび上がるとか言うけど、いくら何でも散歩にしては遠くまで歩きすぎじゃないですかね。だってここ、オーロラに乗ってようやくたどり着いた人がいない場所だぞ。

 

「ところで魔法使いさん。さっきの話を聞いたのだけど、ポポラの里に空き家があるからそこに泊まってはどうかしら」

「あ……それいいね。お兄さん、そうしなよ」

 

 思いがけない収穫だった。 これで野宿とかせずに叡智の扉が完成するのを待つことができる。僕は二人に礼を言って、その事に少しだけホッとしていると、キシャラが手を伸ばしてきた。

 

「じゃあお兄さんはしばらく里で過ごす事になるんだね。短い間だけど、仲良くしよ」

「うん、少しの間だけまだ世話になるけどよろしく頼むよ」

 

 そう言ってキシャラの手を握り返す。こうして僕とウィズのどこまでも広がる氷の異界の短い生活が始まった。

 

■

 

「魔法使いさん、ウィズちゃんおはよう」

 

 早朝、目が覚めて借りた家の中でゆっくりとしているとキシャラがやって来た。

 どうやら僕達にポポラの里やこの世界の事を色々と教えたいらしい。しかしそのためには外に出なければならない。僕は未だにこの世界の気温に慣れていなかった。つまりあまり寒い思いをしたくない。

 

「そう思って魔法使いにプレゼントしに来たんだ。はい、これ」

 

 渡されたのはオーロラだった。と言ってもこの前のオーロラみたいにフワフワ浮いておらず、差し出されたオーロラはだらりと垂れ下がり布のようになっている。キシャラ曰くローブを模して作ったもので試しに着てみると、魔法の効果でポカポカと暖かった。

 すごい、これさえあれば出歩いても暖房を効かせた部屋のように暖かい気温を維持することができる。

 

「助かるよ。ありがとうキシャラ」

「ふふー」

 

 お礼と共にキシャラの頭を撫でてやると、自慢げに鼻を鳴らしながら気持ちよさそうに目を細めた。

 

「君だけずるいにゃ。キシャラ、私の分はないのかにゃ」

「はいはい。ウィズちゃんの分もちゃんと用意してあるよー」

 

 キシャラは懐から小さなオーロラを取り出して、それを駄々を捏ねるウィズの体に巻いてあげる。虹色に光っているせいでちょいと目立つが、寒さを凌げるのなら

 そんな訳で早速着込んだところで、キシャラの案内の元、ポポラの里を見て回り始める。

 

「おはよーキシャラちゃん、今日も可愛いね」

「キシャラは相変わらず元気だな」

「キシャラお姉ちゃん、今度魔法の使い方教えてねー」

 

 里を見て歩いていると、次から次へとキシャラを見た里の人たちが彼女に話しかけてきた。キシャラの人気ぷりに僕とウィズは驚いていた。

 

「キシャラちゃん。この前は腰の治療をしてくれてありがとうね。はいこれ、良かったらそこのお兄さんと一緒にお食べ」

「わーいいの。ありがとうおばさん」

 

 杖をついた老人の女性にお礼と煎餅を受け取るキシャラ。

 

「すごいな。人気者じゃないかキシャラ」

「キシャラちゃんはこの里の小さなアイドルだからね。誰かが困ってたら助けてくれるいい子なのよ」

「も、もうそういうのいいから」

 

 ……アイドルか。確かにキシャラは周りを元気づけるような笑顔と可愛いさがあるし、現在僕も彼女に色々と世話になってるし優しくていいやつだ。聞くところ里の人もキシャラに色々と助けてもらってるらしいし、なるほど彼女がここまで人気なのも頷ける。

 里の人たちと会話を交えたりしながら、キシャラの食べさせたい物があるという場所の方角へ。キシャラが人気過ぎて里の人たちに話しかけられまくったおかげで少し時間はかかったが、ようやくその場所へたどり着いた。

 

「ごめんね。里の人たちあたしに対していつもあんな感じだから、あまりゆっくりできなかったでしょ」

「気にすることはないニャ。周りから人気なのは日頃からいい事してるからにゃよ。それは誇ってもいいことにゃ」

「はは、ありがとう。ちょっと前のあたしはそうでもなかったんだけどね。と……ほら、あれを見て」

 

 キシャラが先にある木々を指さす。

 よく見ると木々生えているそこの地面だけは凍結しておらず、局所的に緑で覆われた平原のようになっていた。

 

「すごいにゃ、こんな寒い場所に木が育ってるにゃ」

「ベリーの木だよ。甘酸っぱくて美味しいから里のみんなはこれをデザートにしてるんだ。お兄さんもウィズちゃんも食べて見て」

 

 ベリーの木にまで近づいてキシャラに渡されたベリーを口に放り込む。寒い環境で育ったからかベリーは冷えていた。

 

「ん……なんかシャリシャリしてる!」

 

 そしてキシャラの言う通り甘酸っぱい! これは確かにデザートにするなら持ってこいだろう。

 

「魔法使いさん、美味しい?」

「うん美味しい、これがタダで食えるのはいいな」

 

 正直、クエスアリエスのどこにでもあるようなアイスより美味しい。自然の味! って感じがする。シャキとしたフレッシュな食感がすごくいい。

 ウィズも木に登ってベリーの実を一口二口と満足そうに食べていた。

 

「良かった。ほらほら、どんどん食べて食べて」

 

 まるで自分が褒められたように嬉しそうにしてベリーをいくつも渡してくるキシャラ。流石にこれをたくさん食べるとなるとお腹を壊すので少しだけにしておいた。

 

 とまあ……こんな感じで僕達はこの異界で過ごす中でキシャラと仲良くなっていた。

 他にもちょっと遠い地まで旅したり、一緒にオーロラで遊んだり、キシャラに専用の魔法を教えてもらったり、星クジラや星イルカという生物と戯れてたり。ピピアの音楽を催すコンサートの舞台の飾り付けを手伝ったりなど、この世界に来てからは毎日朝から夜近くまでキシャラと一緒にいる事が常だった。

 キシャラといることが楽しい。そう思えたからこの異界で退屈することは全く無かった。異界だから星クジラのような新しい発見もあるわけだし。

 

 そしてとある帰り道のこと。

 

 今日は今朝から、ここに来てから一番寒いんじゃないかと思うくらい外の空気は冷えていた。寒さ慣れしたキシャラでも寒いと言うほどで、僕達もいつも通りオーロラを着込んだもののこの寒さを凌ぐことまではできなかった。

 今はピピアのコンサートが終わってたからの帰り道。この極寒の気温でコンサートを開くのはやめた方がいいと僕達は止めたのだが、彼女が寒いのが好きという理由とそれでもコンサートを開きたいという強引な意思により、僕達は彼女が心配で放っておけず結局手伝うことになったのだった。

 

 だから今は、絶賛寒さに身を震わせている途中なのである。キシャラは寒さを凌ぐためにウィズを抱いてお互いを暖めあっていた。ピピアは言うまでもなく平気だ。

 とりあえず少しでもいいから温まりたい。そう思って僕はキシャラに声をかける。

 

「なあキシャラ」

「だめ」

 

 聞く前にダメ出しされた!! ただ一緒に抱きしめあって暖め合おうと言おうとしただけなのに。

 くぅっ……家までもうしばらくだ、それまでの辛抱だ。僕……無事に家に着いたら、ココア飲んで暖炉を付けてベッドに入りながらヌクヌクと暖かい幸せ時間を過ごすんだ。

 

「どうしてもというのなら私がしてあげますよ」

 

 寒そうにしている僕を心配してか、腕に自身の腕を巻き付けてくるピピア。ん……してくれるのはありがたいが、なんか得体の知れない悪意を感じるぞ。これは離した方がいいな。

 腕を振って離そうとするが、しかし腕にしっかりと抱きついておりなかなか離れない。

 それどころか、ピピアは反抗してか腕を僕の体の方に回してきて余計に離れなくなってしまった。て、おい! 背中に柔らかいのが当たってる!! めっちゃぎゅっと当たってるてば!

 

「あの、ピピア? そろそろ満足したから離れて欲しいんだけど」

「そうですか? とてもそのようには見えませんよ。まだ寒そうにしてるじゃないですか」

 

 ……こいつ、とぼけやがって。いや、まだ寒いのは事実だけど。

 

「むぅ……」

 

 ……あのピピアさん、まじでそろそろ離してくれませんかね? そりゃあ、あなたのその豊満な胸の感触を味わえるのは男として喜ぶべき所なんですけど、キシャラがさっきから軽蔑の視線を向けてくるんですよ。

 ……てか、どうしてキシャラは機嫌悪そうにしてるんだろう。

 

「ピピアちゃん、お兄さん困ってるからそろそろ離れてあげたらどうかな?」

「いえいえ。そしたらこの方が寒くて困ってしまいますから離れません」

「そ、それなら魔法使いさんの手を繋ぐぐらいならあたしがしてあげるから」

「どうして? キシャラはさっきダメだと言ったじゃないですか。だから代わりに私がこうしてるんですよ」

「それは…………もういい! 魔法使いさんの女たらし」

 

 そう言ってキシャラは頬を膨らませて先に走っていく……あ、転んだ。

 え、これは僕が悪いのか? よく分からないが煽ったピピアが責められるべきじゃないのか? え、これ僕のせい?

 

「実はあのこ、ちょっと前までは魔法を自分のためだけにしか使わなくて周りを困らせていたんです」

 

 そんな僕の思考を他所に、ようやく離れてくれたピピアが話を変える。もう抵抗するのも面倒なので話に乗っかることにした。

 

「そうだったんだ。今のキシャラを見る限りそうは見えないけど……」

「昔の事ですから。とある事情があって今は相手に思いやりのある優しい子になりました」

 

 ……ああ、そう言えば、ここに来て初日にそれに関係するようなことをキシャラが言ってた気がする。自分のためだけに魔法は使わないうんぬんとか。

 

「あなたの事に関してもそうです。キシャラは他の誰よりもあなたの事を心配していますし、強い責任感があるみたいです。『最初にお兄さんに出会って助けたのがあたしだからこれからも助けないと』って張り切ってました。そのおかげで、あなたと仲良くなり過ぎて今は色々と複雑な感情を抱いてるみたいですけどね、キシャラは」

「あー、確かにいざお別れってなったら寂しいもんなー」

 

 会おうと思えば会えるかもしれないが、僕達がクエス・アリエスに帰れば、今のように毎日一緒にいることは不可能になってしまう。ポポラの里の人達にも会えなくなるのは寂しいけど、ここに来て最も仲良しになったキシャラと別れるのが一番寂しい気がした。

 

「それもありますね」

「他にも何かあるのか?」

 

 意味有り気なピピアの言い方に僕は問う。

 

「あなた、多分苦労しますよ」

「え」

 

 逆に答えられて分からなくなってしまった。苦労するって何に苦労するんだろう? 結局その苦労とやらが何なのか知らないまま教えてくれないまま家に着いた。

 

■

 

 

 どこまでも広がる氷の異界でキシャラ達と過ごして数日。

 ついに叡智の扉は完成し、別れの時間が訪れた。

 

 僕達は叡智の扉が完成したのを確認してから、唐突に帰るのも名残惜しいので後一日だけポポラの里に泊まることにした。

 その一日は僕達がこの異界にいる最後の日ということで、時間ギリギリまでキシャラ達と思い出を作った。

 そして今はもう夜。僕はこの異界に来てからの様々な思い出を振り返りながら、暖炉で静かに揺れ動く火を眺めていると、トントンと玄関を叩く音が聞こえた。

 

「こんな時間に誰にゃ?」

「さあ……」

 

 今までこんな時間に人が訪ねてくるのは無かったのに……。

 まあ確かめればわかる。そう思って玄関を開けると、そこには異界に来て一番親しくなったキシャラとピピアがいた。ピピアはいつも通りおっとりとした表情をしているが、キシャラは何故か真剣そうな表情をしていた。

 

「こ、こんばんは魔法使いさん、ウィズちゃん」

「こんばんは。こんな時間にどうしたんだ?」

 

 挨拶一つで力むキシャラに僕は思わず狼狽える。……何やら言いたそうにしているが、口をもごもごとしたり視線を俯かせたりして結局何も言えないでいる。一体どうしたのか……。

 

「ちょっとキシャラがあなたに用事があるということなので。ひとまずウィズちゃんは預かりますね」

 

 キシャラが何も言わないままでいると、ピピアがひょいとウィズを持ち上げる。

 

「にゃ、預かるってどういうことにゃ」

「それでは、お二人でごゆっくり〜」

「待つにゃー、せめて事情を説明してほしいにゃー!?」

 

 何事かとウィズはジタバタするがピピアの腕の中に抑えられて逃げられず、そのままピピアはウィズを抱き抱えたま向こうへと消えていった。これが僕がドアを開けて数秒の出来事である。

 ……ん? まて、お二人でごゆっくりてどういう事だ。ピピアはこの二人だけの状況を作るためにウィズを攫っていったのか。あいつ……一体何を考えてやがる。

 

「……魔法使いに、話があるの」

「話?」

 

 なんでこんなふうに改まってるんだろう。あー、でも明日お別れだからこうもなるか。僕だって結構寂しいし……。

 

「き、キシャラ……!?」

 

 そんな事を思ってると、キシャラがこちらに抱きついてきた。思わず焦って引き剥がそうとするが、ガシッと背中に腕を回して服を掴んでおり離れない。顔をこちらの胸元に埋め込んで自分から離れようとする気配もない。

 なぜ抱きついてきたんだろう……その理由をよく考えてから、僕は無理やり引き剥がすのもダメだと思い深呼吸して落ち着くことにした。いや、理由が分かったわけではないんだけど、今のキシャラを見て直感的にそうした。

 

 周りには誰もいない見られてない。ほっ……てそうじゃないだろ僕。

 

「キシャラ。話ってなんだ?」

 

 キシャラの頭を撫でながら問う。

 しばらくしてから、キシャラはようやく僕から離れて口を開いた。

 

「あの! あたしも魔法使いさんの住む世界に連れてってくれないかな! お願い!」

「ええ!! いや……だめだだめだ」

 

 驚きのあまり咄嗟にそう返答してしまった。

 

「ど、どうして……?」

「どうしてってそりゃあ」

 

 理由はたくさんある。

 僕達はいつだってこの異界で過ごしてきた時のように平和な毎日を送っている訳では無い。ギルドから高難易度の任務を引き受けることもあれば、また異界に迷い込んで危険な戦いを強いられる可能性もある。僕達についてくるという事はそういう事。キシャラの身の安全はとてもじゃないけど保証はできない。

 それにキシャラのこれからの将来の事だってある。僕達と一緒にクエス・アリエスに来てしまえば、その将来はどうなるか分からない。

 それらの事をキシャラに説明する。

 

「い、嫌だ。あなたと離れたくない」

「キシャラ……」

 

 ここまで頑固で言う事を聞かないキシャラを見たのは初めてだった。

 キシャラの震える手が僕の服の袖を掴む。悲しそうな彼女の表情を見ていると、手を振りほどく気にはなれなかった。

 正直、僕もキシャラと離れたくないという思いが強い。だけどそれを理由にキシャラを危険な目に合わせられない。

 

「え、ちょっと……!?」

 

 キシャラが背伸びして僕の服の首元を引っ張ってきて、顔どうしが急接近する。待て、と言おうとした矢先、彼女に唇で唇を防がれた。

 唐突に起きたことなので一瞬何が起こったのか理解出来なかった。理解した頃には、あ……なんか柔らかくて暖かい、という呑気な感想を抱いていた。

 少しして唇を離すと彼女は顔を真っ赤にして僕を見つめていた。

 モゾモゾとキシャラの口が動き始める。

 

「……魔法使いさん、分かった? これがあたしの魔法使いさんに対する気持ちだよ。最初はね、こんな思いするとは想像してなかったんだけど、魔法使いさんの事を心配するうちに側にいたいって思うようになって、いつの間にかその思いが好きに変わっていったの。魔法使いさんの事が好きだから側にいたい。危険なのは分かってるけど……これでも、だめ?」

「…………」

「……な、何か言ってよ!? 何か言ってくれないと恥ずかしいよ」

 

 ……あっ。

 聞いてはいたが、さっきのキスとキシャラにそんな事言われるとは思っても見なかったので、思わず放心していた。

 キシャラはこの異界に来て僕達を助けてくれた女の子。その後も困ったことがあったら協力してくれたり、このような異界で楽しい時間を過ごすこともできたのもこの子のおかげだ。これ以上まだ一緒にいたいというのなら連れていくことになるけど……ウィズなら理解して許してくれるだろう。

 

「あたしはまだ小さいけれど、魔法使いさんの恋人になりたい……お願い、魔法使いさん」

 

 目を瞑って僕からの答えを怯えるかのように待つキシャラ。僕は彼女の思いに答えるために、何も言わず何も聞かず唇を重ねた。

 キシャラが少しビックリして肩を震わせるが、すぐに身を委ねるかのように唇を優しく押し付けてきた。

 思いは言葉にせずともキスで伝わった。唇を離すとキシャラが目を開いて嬉しそうに微笑む。

 

「お兄さん……ありがとう」

「キシャラ……本当にいいの? 僕についてきて。何度も言うけど危険な目にあうことも多いんだよ」

「分かってるけど、それよりも魔法使いさんに会えなくなるほうが辛いから……」

 

 一生会えないわけではないんだけどなぁ……。

 ……いや、でもキシャラと過ごす日々が明日で終わると辛いのは僕も同じだ。一緒にいた時間はそりゃあ僕の人生と照らし合わせたら短いけれども、この異界に来て彼女に頼りきりにしてしまったぶん、それだけ別れたくないという思いも強まる。

 

 だからもっと求めたくて、キシャラの事を感じたくて。

 いつの間にか無意識に唇を近づけてもう一度キシャラとキスをしていた。

 

「んっ……魔法使いさん、好きっ……ん」

 

 キス混じりにこちらの事を呼んでくれるキシャラがすごく愛おしい。寒い気温のなか、唇を擦り合わせることで不思議と体が暖まっていく。

 

 ちゅくっ、ちゅぱっ…………ちゅるっ

 

 ただ下手くそに唇を優しく押し付け合う初々しいキス。どちらからともなく唇を離すと、互いに真っ赤になった顔を見つめ合う。

 キシャラは柔らかそうなほっぺを真紅に染めて、優しげな瞳でこちらを見ていた。

 

 やばい。我慢できない。もう一度柔らかい唇の感触を味わいたくてキスをしようとすると、代わりに彼女の人差し指が唇に重なった。

 

「ふふ、今はだーめ。誰かに見られると恥ずかしいから、続きは部屋でね」

 

 そう言えばそうだった。ここは外で玄関の目の前。キシャラに夢中になり過ぎて、言われるまでその事を忘れていた。でも話は簡単で家に入って続きを再開すればいいだけだ。

 キシャラも我慢できないのか僕の手を握って部屋の中へと誘っていく。リードしようとするキシャラの表情はなんだかすごく妖艶に見えた。

 

 

■

 

 部屋に入って、ベッドの上で互いに体を優しく撫でる。キシャラの首筋や頬、二の腕に肩など、緊張した体を撫でたり軽く揉んだりして解していく。僕も彼女に体を優しく撫でてもらうたびに幸せ気分が満たされていく。外の気温に触れたキシャラの手は少し冷たかったが、火照った体にはそれがちょうど良かった。

 次第に彼女の体を堪能していくうちに、キシャラの息が熱を含み頬も火照っていく。僕が触れる度に示していた反応も艶が増したりと、普段は幼かったキシャラが今はすごく大人ぽく見えた。

 

「そう? 魔法使いさんとこうすることができて幸せだからかな、えへへー」

 

 笑うと途端に表情が幼くなるキシャラ。でもこれはこれで可愛らしい。

 彼女のぷにぷにと柔らかい頬を撫でながら堪能していると、またキスをして互いに唇を味わっていく。しかし今度は遠慮するように唇を重ねるだけではなく、キシャラの唇を啄んだり吸い付いたりして快楽を味わう。キシャラもただ受け身でいるのではなく、負けじとこちらの唇に吸い付いたりしてきて小さく湿った音が部屋の中で響く。

 

 ちゅっ……ちゅぷっ、ちゅぷ、ちゅるっ……

 

「んっ……キスすごく気持ちいい。あたし、お兄さんにメロメロだよ〜、ねえもっとしよ」

 

 満足気な笑みを浮かべるキシャラが、しかしまだ物足りなさそうな瞳をしながら、唇を離した後すぐに差し迫ってくる。

 暴走してしまわないように抑えていた感情と欲望が表まで出てこようとしている。

 

「魔法使いさん。ほら早く……もっと」

 

 あえて唇を至近距離まで近づけるものの重ねようとはしない。温かい吐息をこちらの口に注がせてきて、僕の劣情を煽ってくる。甘い言葉を囁いてくる。どうやらキシャラはこの状況を楽しんでおり、彼女なりに僕の男としての本能を刺激してるつもりらしい。もちろん、愛おしい少女が唇をねだってくるその姿に僕は負けてしまった。

 

「んっ……ふぁっ、んんっ、れろっ、れろろっ」

 

 唇を重ねて今度は舌を絡め合う濃厚なキスをする。てっきり舌を口内へねじ込むなりキシャラは緊張してされるがままになると思ったが、キシャラも意外と物怖じせずに積極的に舌を絡めてきた。もっと快楽を求めたいからか、それとも僕にキスで負けたくないからか……たぶん両方だろう。

 

「んちゅるっ、んん……はぁむっ、まほう……つかいさんっ、んっ」

 

 激しくて舌全体が痺れるようなキスをしていくうちに、やがて口内はぐっしょりと涎まみれになり口元から零れていく。キシャラは快楽で震える体を抑えるようにして、こちらの背中に腕を回して強く抱きしめてくる。僕はキシャラの柔らかい体が全身に強く押し付けれているようで余計に興奮を覚えてしまう。

 僕も抱きしめ返そうとしたが、キシャラの服が知らないうちに肩からはだけているのが目に入る。彼女の肩は小さくとも綺麗な柔肌をしており中途半端にはだけているからか、一層魅惑的に見えた。キシャラの体をもっと見たいと思い、舌でキシャラのほんのり甘い口内を愛撫しながら、そのまま脱げかけている肩の部分に手をかけて服を脱がしていく。

 

「んっ、はあ……っ、服、脱がされてる」

 

 キスをやめると、されるがままの状態でキシャラは顔をぼーとして呟く。濃厚な口付けのせいであまり思考が正常ではないらしい。

 それでも服の全身を脱がした頃には、羞恥心で思考が正常になったキシャラは恥じらいながら僕を睨んでいた。……いや、何で今更睨まれる必要があるんだ。

 

「キシャラ、どうして睨んでるのかな? 僕はすごく可愛いと思うよ」

「わ、私の体小さいし見てて楽しくないもん。どうせピピアちゃんと比べて小さいとか思ってるんでしょ」

 

 なんでこのこは突然拗ねるんだ。いまいちキシャラのご機嫌パラメーターの扱いがよく分からない。

 それにキシャラの一糸まとわぬ姿はとても可愛らしく、見ている自分はよく冷静に会話できてるなとも思う。キシャラの柔肌は撫でればスベスベとした心地よい手触りが、つついたり優しく揉みほぐすとふにふにとした気持ちの良い感触が返ってくる。ベッドに仰向けになって裸になったのを恥ずかしがるその姿は独特のエロスがあり、普段何とも思わなかったキシャラの小さい体でも、こうして裸を見てみるとすごく魅惑的だった。

 ……まあ、胸は確かに控えめだがキシャラの年でそれは当たり前のことだ。だからピピアと比べること自体間違いだ。

 

「そんなことないって」

「うそつき、本当は思ってるくせに」

「……実はちょっと思ってました」

「やっぱり! あたしのことまな板だとか思ってるんだ」

 

 なら、どう答えろと。

 

「うーん……ほら、小さいなら小さいなりの楽しみ方みたいなもんがあるからさ」

「たとえば?」

 

 例えば……これは口でいうよりもやって見せた方が分かるだろう。と言うより僕が我慢出来ないわけだが。

 早速、控えな膨らみを両手で揉んでいき、小さくとも柔らかくて触り心地の良い胸の感触を楽しむ。女の子の体はこんなにも気持ち良いのかという夢中になってむにむにと丹念に揉みほぐしていく。

 

「あ、ん……っ」

 

 キシャラの幼くも甘ったるい興奮を刺激されるような喘ぎに僕の脳はどんどん溶かされて、胸の感触に浸っていく。キシャラの僕を抱きしめる力は徐々に弱くなり、やがて両腕を放り投げるようにしてベッドの上にだらけさせる。美しく黒に染まった夜を連想させるような黒髪が白のスーツを染めるようにして広がっていく。どうやら胸から来る刺激に完全に脱力してしまったらしく、キシャラは頬を紅潮しながら更なる快楽を求めるような緩んだ瞳で僕を見つめていた。

 もはや胸を揉むだけでは飽き足らず本能に任せて動いた僕は、キシャラの乳首に舌を這わせてしゃぶりつく。

 

「はああっ……魔法使いさんに舐められてっ、ん、ひぃああっ……き、きもちいいっ……!」

 

 小さくて可愛らしい乳首はすっかり尖っており舌で転がしているだけでそれが分かった。幼い顔立ちだというのにすっかり発情しているそのギャップに僕は更に興奮をそそられて、片方の胸を手のひらで捏ねたり乳首を優しく抓ったりと互いに快感を貪っていく。

 

「んあっ、ふふ……魔法使いさんさっきからあたしのおっぱいずっと舐めてる。なんだか子供みたい……んっ」

 

 いつまでその余裕が言えるだろうか。今でさえ彼女は快楽に溺れて、体に力も入らないというのに……。

 そう思った僕は秘部へと触れる。

 

「あ、そこは……っ」

 

 キシャラがまた先ほどまた違った嬌声を漏らす。既に一糸まとわず晒されている彼女の秘部は予想通り、じっとりと湿っていた。それがバレたせいで、キシャラは頬を紅く染めたままなんと言えば分からない困った表情をしていた。

 ……言われなくてもどうすればいいか分かっている。「そのままじっとしていて」とキシャラに告げると、僕は彼女の首筋に唇を添えて吸い付きながら、それと同時に秘部に指を擦りながらそのまま膣内へと押し進めていく……と、しようとところでキシャラが表情を強ばらせながら僕の体を強く握っていることに気がついた。僕としたことが彼女が怖がっていることに気づかずに勝手なことをしてしまうところだった。

 

「ご、ごめんキシャラ。これ以上は早すぎたよね。今日はもうここまでにして」

「ち、違うよ。確かにちょっぴり怖いけど……それでもあなたとこういう事ができるのは気持ちいいしすごく嬉しいから。あたしは初めてだから、どんな反応すればいいか分からなかっただけ。だから魔法使いさんは気にしなくて大丈夫だよ、怖いのより嬉しい気持ちの方が強いの」

「本当に……いいんだね?」

「うん。でももう一回キスして。ちょっと怖いって気持ちも無くなるくらい、あたしの中全部気持ちよく……んむ、れろろっ」

 

 全てを聞く前に察した僕はキシャラに唇を重ねて容赦のないディープキスを交わす。唇を甘噛みしたり吸い付いたり、唇を離して柔らかな頬を舐めてみたり、互いの舌を求めて口内を蹂躙していく。ゾクゾクとした痺れを纏わせた快楽が背筋を迸る快感がとても心地が良く、病みつきになりそうだった。

 

「んはっ、く、くふっ……ちゅるるっ、んむっ、れろろ」

 

 口内から暖かい二人の混ざりあった涎が弾けるように零れて、嫌らしい水音が耳元で激しく鳴り響く。両手を離れないように指を絡めてしっかりと握りしめて、恐怖も感じれなくくらい気持ちの良いキスをして思考を真っ白に染め上がっていくのを感じた。

 そうして満足したところで唇を離すと、キシャラはボーとしながらもその後に満足そうな笑みでコクリと頷いた。……これは続きをしてもいいという合図だろう。

 僕は早速、彼女の秘所へと指を押し進めていく。今度はちゃんと彼女の気持ちよさそうに震える表情を確認しながら、膣内が指をぎゅうぎゅうと締め上げるのが分かった。僕はその秘肉をゆっくりと刺激するように指先を軽く膣内で前後させて、少しずつほぐしていく。

 

「あ、魔法使いさん、だめっ、そんな‥‥やああっ、あ、や、あああっ」

 

 良かった。キシャラもベッドの上でされるがままに気持ちよさそうな反応をしている。腟内はぐっしょりと温かく濡れており、指を動かすことでキシャラは年相応とは思えないギャップのある艶めかしい反応をする。

 

「ああ……ん、ふ……ひぁっ……ふあぁぁぁっ……!」

 

 次第に腟璧は指を激しく締め付けてきてしばらくすると、キシャラは甲高い声を出すと同時に体をピクピクと仰け反らせて腟内から愛液を吹き出してしまった。生暖かい息を荒げ、痙攣が終わるとキシャラはベッドに沈む、どうやら達してしまったようだ。未知の感覚に溺れたキシャラはようやく息を整えると、またこちらを愛おしそうに瞳を潤ませながら小さな唇を向けてくる。息を整えたばかりだというのに、この小さな少女はキスをお望みのようだった。もちろん僕も大歓迎なので、お構い無しにキシャラの唇を乱暴に奪いねっとりとした口内を時間をかけて蹂躙していく。

 

「ちゅるっ、じゅるるっ、ちゅぷっ……ふう。えへへ、今度はあたしが魔法使いさんを気持ちよくしてあげるね。ベッドに寝転がって」

 

 意識が飛んでぼっーとしてしまうほどのキスを堪能し終えると、キシャラは積極的になってくる。僕は言う通りにしようとしたが、それより先に彼女が僕の両肩に手を置いて押し倒してきた。眼前にはまだこのような経験に至るには早い可愛らしい少女の顔がある。キシャラの綺麗な黒髪が僕の頬に触れて少しだけこそばゆい。

 ……マウントポジションをとられたものの、キシャラはどうしていいか分からずにいた。

 

「えと……どうすれば男の人は気持ちよくなれるのかなって」

「それじゃあ……舐めてもらっていいかな?」

「な、舐めるっておちんちんを? わ、分かった……初めてだから気持ちよくできるか分かんないけど、やってみるね」

 

 この年だから驚くのも無理はないだろう。それでもキシャラは嫌がる事はなく、むしろ自ら進んで僕の言う通りにしようと自分の位置を僕の股間のところにまで移動させる。キシャラは僕のズボンとパンツを脱がすと、膨れ上がった一物が現れた。どうせならということで僕は上の服も脱いで……要は裸になった。

 

「す、すごい。男の人のってこんなにおおきくなるんだね……えと、それじゃあ……れろっ」

 

 キシャラは可愛らしい舌を出すと、早速亀頭の先端をぺろぺろと舐め始める。しどろもどろながらもキシャラの湿った舌は感じやすい亀頭をしっかりと刺激してきて、それだけでも僕は震え上がり肉棒もだらしなくピクピクと反応する。

 

「魔法使いさん、すごく気持ちよさそうにしてる……もっとあたしのお口で気持ちよく……んっ、ちゅっ、じゅる」

「き、キシャラ……」

 

 意外と早くコツを掴んだのか、舌を使った愛撫が次第に激しくなっていく。それだけではなく、亀頭を直接口内に含んで舌で乱舞してきたり、張りのある柔らかな唇で肉棒を包んで上下して熱い刺激を与えてくる。ちゅぽちゅぽっと嫌らしい音が響くがその音さえも僕は心地よく感じてしまい、キシャラのフェラを堪能する。……このまま彼女の口の中で果ててしまいたい、という欲望が込み上げるがキシャラの年代でそれはレベルが高い気がする。奥底からせり上がってくる性欲を押さえ込み、僕は口を開いた。

 

「キシャラ、気持ちいいよ。もうそろそろ……」

「ん。分かった」

 

 キシャラは僕がこれからしようとすることを察して、先ほどのようにベッドに体全体を預ける。彼女もそれなりに知識はあるようで、しかしキシャラはこれからされる事に体を少しだけ震え上がらせる。僕は彼女を気遣いながら頭を撫でていると、「……いいよ」と小さな声で色っぽく言われたために気遣いよりも性欲の方が勝ってしまい、キシャラの両の太ももを手に抱えて股を開き、彼女の濡れた幼い秘所へと肉棒を近づけていく。

 

「やぁぁっ、す、すごっ……」

 

 やがて先端を挿入しただけでもキシャラは強い反応を示す。それだけ彼女の腟内は窮屈で僕の肉棒を挿入するには無理があるということだが、もう引くに引けない。少しずつ強引に締め付けてくる膣壁をかき分け、愛液を滑りを頼りに押し進めていくと薄い壁のようなものに阻まれてしまう。僕とキシャラは互いの目を見て頷き合うと、僕は思いっきり肉棒を狭い腟内の奥まで挿入した。

 

「────んあっ、ひっ……は、入って……るっ」

 

 男には決して理解出来ぬ痛みだが、キシャラは痛みに表情を変えて涙目になっていた。

 

「き、キシャラ!?」

「だ、だいじょうぶだよ……ちょっぴり痛いけど、魔法使いさんがあたしの中に入ってくるの、すごく幸せな気分になれるから……っ」

「キシャラ……」

 

 キシャラの懸命さが愛おしくなった僕はそれに応じるように唇を重ねて舌と舌を絡める。そうしてしばらく濃厚な口付けを交わしながら、キシャラの二の腕やお尻の柔らかい素肌を堪能していると、腟内が少しずつ熱くなりぎゅうぎゅうと締め付けてくる感覚が伝わってくる。キシャラの表情は息こそ荒いもののさっきのような痛がってる様子は無かった。

 試しに一回軽く腰を動かしてみる。

 

「んあっ、やぁぁ……っ」

 

 キシャラのいつもの幼さとは程遠い悩ましく艶めかしい声が反応してくる。

 

「どう? 痛くない?」

「う、ううん。むしろ気持ちよかったかも……魔法使いさんのがあたしの奥までくるのが、気持ちよくてっ……ん、あっ」

 

 それなら大丈夫だろうと僕はキシャラが言い終える前に腟内を慣らすように腰を振り始める。正直、心地の良い腟内で腰を振らずにいるのは体に毒かと思うほど我慢していたので、一度腰を振ってしまえば止めれる自信が無かった。僕はキシャラの狭い膣壁が与えてくる快感を求めて肉棒を何度も挿入していく。

 

「あん、あんっ、やああ、熱くて太いおちんちんが中まで、きてるっ! ふああっ、ひぁっ、と、とけそう……っ」

 

 キシャラの膣内は幼い見た目通りに狭いものの、結合部から分泌された愛液の滑りに助けられて僕は一物を何度も膣内で往復させていく。肉棒の先が膣奥に激しくぶつかる度にキシャラは短い嬌声を漏らし、慣れない刺激に体を震わせる。あっという間にキシャラの腟内の心地良さに支配されてしまった僕は完全に理性を手放して容赦なく腰をふりつづける。

 

「あっ、あっ、あなたの硬いのがっ、何度もきてるっ、ひゃあっ、凄っ、やあぁっんんっ!」

 

 キシャラは夜空を思わせるような黒髪を乱しながら夢中で喘ぎ声を上げ、瞳はうっすらと潤んでおり、快楽に耐えられず僕にされるがままでいる。そんなキシャラを見て、まるで幼い少女を無理やり犯すような背徳的な快楽に僕は溺れてしまう。

 

 柔らかい膣肉と肉棒が生で擦れ合う快感は体が溶けてしまいそうなほど気持ちが良く、これを貪り続けることが出来るのは時間の問題だった。こんなに簡単に果ててしまっていいのかと自分が情けないと思いながらも、ついに押し寄せてくる強い快楽の波に任せて精液をキシャラの腟内に溢れ出してしまった。どくっどくっ、とほとばしる快楽と共に肉棒からキシャラの中へと熱い熱が注がれていく。

 

「ふ、ふああっ、熱いのがなかにっ、たくさんでてっ……ああっ、きもちいいよぅっ……!」

 

 射精中もキシャラの膣内は容赦なく締め付けてきて精液を搾り取ろうとしてくると同時に全身の震えが止まらないほどの快楽を与えてきて、キシャラも絶頂してびくびくと体を震わせていた。

 やがて体の震えが収まると、快楽の余韻に浸るようにどちらからとも無く抱きしめ合い軽いキスを交わす。肉棒を抜き取った膣からは収まりきれなかった精液が外へと漏れ出ていた。

 

 

 

■

 

「あたし決めた。やっぱりポポラの里に残って、これからもあたしの魔法で困った人を助けることにするよ」

「え、着いてこなくていいの?」

 

 行為を終えて着替えをしたあと、キシャラから驚きの言葉が出た。彼女の中でどんな決意ができたのか分からないけど、たぶんこれが正しいのかもしれない。キシャラと会えないのはちょっと名残惜しいけど。

 

「うん。あたしがいなくなるのは村の人も危険だって反対するし、それに星クジラの面倒見たり村の人たちにイタズラしてたら注意するのはあたしの役目だからね。それに……」

「それに?」

「それに魔法使いさんとはまた会えそうな気がするんだ。その気になれば会えるよね? というか、魔法使いさんの事だからまたこっちの世界に迷い込んでしまうような気がする」

 

 まあ……会えない方法がない訳では無い。少し時間がかかるかもしれないが、二度と会えない訳では無い。てか、キシャラの言う通り僕はまたこの異界に迷い込んでしまうような気がした。

 寂しいが本人がそう決めたなら仕方ない。そう納得したことを伝えると、キシャラはニヤニヤしながらベッドに座る僕に距離を詰めてきた。

 

「でもその代わりにぃ〜……とりゃあ!」

「うわっ!」

 

 そして何をしてくるのか警戒していた僕をそのまま後ろ側のベッドに倒してきて、キシャラが乗っかってくる。どれだけ感じても飽きることのない絶妙な体の感触と嗅いでるだけで幸せを満喫できる女の子特有の甘い匂い。……やばい、さっきしたばかりだというのに、色んなところが元気になるのは時間の問題だ。でもそんなことはお構い無しにキシャラは口元から舌をちょろっと見せてきて顔を近づけてきた。

 逃げることも出来ない僕は覚悟する。

 

「今だけはあなたにたくさん甘えるからね〜、覚悟ー!」

 

 この後、たくさん甘えられた。

 

 

 

 

地の分に関するアンケートです。どちらかと言うと、結果に準ずるわけではなく私が皆さんのご意見を伺うためのアンケートですので、それでもよろしければお答えください。

  • 一人称視点(魔法使い視点)
  • 二人称視点(黒猫のウィズ特有の君視点)
  • 作者に任せる
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