※この作品はR-18です。

DARKNESS FUR MOFUMOFU !!!! 〜僕はただモフモフしたいだけ〜   作:アンダーグラウンド

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書き溜めても仕方がないので放出。

いろいろ物理的なキャパが足りないので、ギンとアル以外のキャラは簡素です。


暮れなずむ空

 ビルの屋上の角に座って、眼下に広がる街を眺める。日常生活の片手間にバグを斬って、軽い金稼ぎだ。細身の片手剣に手をやり、横に引き抜く。剣には東洋の龍が彫られ、図らずもそれが、バグの王の姿だった。黒い鍔は短く横に伸び、先細りになる。握り部分に巻かれたサラシは、明るめの紺と真黒な布が交差している。柄頭は、握り部分の幅のリングが付いている。ストラップに自身の伴侶の、黒い羽根と毛皮を束ねたものを付けている。全体的に見れば、東洋の刀をイメージさせる造りだ。鞘には金の雲の装飾が、上から下まで引かれて浮いている。

「アルカディル──」

 捕縛完了──。ゴーグルを付けて首に麻布を巻いた、簡易なマントをはためかせる。大きな体格に見合うだけの、巨大な鳥の翼を持ち上げる。全身黒のシルエットに、鮮やかな金の眼が映える。

 僕も立ち上がり、着物を風に揺らして草履の感触を確かめる。風は向かい風だが、いい風が吹いている。秋に向かう僅かな間の、温かく湿った空気。

 人型のバグに急襲し、首を即座にはねる。剣に付いた血を払う動作をして、アルカディルの背から飛び降りる。後には漆黒の羽根が舞う。

「──」

「どうした、銀嶺」

 今、人に見られた感覚が。

「確かに違和感があったな。俺の魔法が及ぶ範囲の影は、把握しているハズだが──」

 でも、探しても無駄だぜ、もうどこにも居ない。影の俺が言うんだから、確かだ。

 

 

「あーるぅー」

「はいはい」

 目を逸らしてバツの悪そうな顔をする。後にはティッシュが大量に引き抜かれている。

「決めた、手を出して」

「いーやーだー」

 爪切りになると本気で嫌がる。逃げはしないけど、言葉で赦しを請う。「マジで痛いの無理」「ギン様、こればかりは、何とぞお慈悲を」「そこをなんとか、ね、ね、俺とギンの仲じゃない」「伴侶とは、互いを思いやるものである」「もう、ぜーったいやらないから、許して、ね、ね」「にゃ〜ん、にゃんにゃん」

「アルがなんでそこまで爪切り嫌いなのか知らないけど、爪を切る事は、最低限の身だしなみです」

「だぁーって、本当のこと言ったら笑うもん」

「この女々しさは、僕が責めのときに使えるな」

「──ネコにとって爪は武器なんです。同時に弱点でもあるんです」

 くっくく、他人行儀なのが妙に笑える。

「あー笑った、今笑ったー」

「はい、逃げようとしても無駄です。手を出してください」

「鬼ー!! アクマー!!」

 ものっそい固く眼をつむって、爪が切れるごとに身体が大きくはねる。

「そんなに身体を動かしたら、本当に根元まで切っちゃうよ」

「ひぃっ!!」

 少し傷をえぐり過ぎたな。アルをなだめながら慎重に切っていく。

 ──いつもなら全部切った後は、脱兎の如く逃げ出すのに、今日は震えて固まっている。

 僕はアルを抱き締めると、「いたいのいやだ」と、子供っぽい口調で返ってくる。母性が刺激されて、アルの背中をゆっくりとさする。──翼が邪魔してさすり辛い──。大丈夫、大丈夫、と、あやしていると、「うぐぅ……」と本格的に泣く。泣くといってもそこは雄だ、直ぐに頭を振り、気丈に振る舞う。

「わーりぃ、ちっと頭に血が上ってた」

「今、料理作るから待ってて」

「おう、肉多めにな」

「はいはい」

 アルは自分の部屋に駆け込む。

 

 

 人が空を見上げるときって、どんなときだと思う? 悲しいとき、やるせないとき、上を向きたいとき。ぼくはセックスしてもらいたいとき!!

「はい、これで終わりー」

 獣姦モノのAV撮影も終わって、ぼくは人に戻る。あーきもちよかった。「あんた、いつも泣いてるけど、そんなに辛いなら止めれば?」「やだなぁ、傘を持って来るのを忘れるんですよ」「だったらほら、タオル」「ありがとうございます」

 ぼくは再び犬に戻って、夏野さんに送ってもらう。

「高校一年でAVに出るの、相当ぶっ飛んでるよ」

「ぼく、セックスしたくてたまらないんです」

「他の誰が勧めても、私だけは反対するよ。送りと帰り、何度だって言ってやる」

「夏野さんは優しいなあ、だからあそこも柔らかいんですね」

 車が急に止まるので、ぼくは鼻を思い切りぶつけてしまう。「いてて──」

「なにするんですか? 鼻が折れたら台無しじゃないですか」

「あんた、一人暮らしだよね。私のところに来な。飯も光熱費も部屋代も、全部タダだよ」

「セックスはつきますか?」

「あたし一人だけならね」

「ぼく、結構激しいですよ、1日数回はしますよ」

「まだまだチンポの青いガキだな。この私がその程度で根を上げるとでも?」

 街灯がどんどん溶けては遠くへ消えて行く。今日は家に泊りな──と、言われて素直に従ってみる。なにやってんだ、人間なんてメタメタに嚙み殺して精液ぶち撒けるだけじゃないか。……初めてそれが出来そうにない相手を知って、ぼくは頭が真っ白になっていた。

「学校の宿題置いてきたんですけど」

「人生なんて簡単には潰れやしないよ」

 下着が大量に転がっているソファをガバッと片して、「ホラ、ここに寝てな、今、飯作るから」久し振り、誰かのゴハン作るの──そう言って、ガチャガチャと冷蔵庫を漁る。

 ああ、誰かを殺したい。安堵を感じて自然にそう思う。でも、その対象に夏野さんはいない。ぼくは初めて、胸の苦しみで空を見上げる。

 

 

「夕映暮葉くん、だっけ」

 そーですよー──っと、テレビを見ながら答える。こいつらぶっ殺したら、夏野さんなんて思うかな──

「すごいね、暮葉くんの絵。よくこんなグロテスクな絵、描けるね」

「実際に人を殺すところを想像して、描いているんですよ」

「──本当に人を殺したことは?」

「ないですよ、ぜーんぜん」

「じゃあワタシ、暮葉くんの優しいところ見つけちゃったんだ」

 すっげームカついてくるのに、殺したい衝動が湧いて来ない。いつから画面の向こうの下等生物になったんだ、ぼくは。

「ん? マル秘計画──バーチャルに精神を移した奴らを、丸ごと締め上げる。わっ──」

 夏野さんは、ソファの背から顔を出しているぼくに驚く。「いきなり人に戻ったら驚くじゃないか」──ごめん、夏野さん──ぼくは自分らしくない返答に、反吐が出そうだった。自分は欠陥品なんだ──認めてもらいたい、ぼくは完璧な人間なんだ。

「な、なんだ、険しい顔して」

「別に、ただ溜まってるんですよ、今脱いでくれます?」

「女性にストレートに言うもんじゃないぞ。そこがガキだな」

 今日こそ亀頭球入れてもらえます? ダメだ そんなこと言われたら入れたくなりますよ 入れる勇気がないくせに

「ふぅー 暮葉くんとやると大変だねー」

「あれ、根を上げないんじゃないですか?」

「乙女にも意地ってものがあるのよ」

 で、あんたは今なにを思って、将来を考えているのかしら。

「神織銀嶺を殺す」

 笑われるか、怒られるか、諭されるか──。

「そんなちっぽけな夢、直ぐに消えちまうよ」

 夏野さんはぼくにキスをした後、優しく頭を撫でてくる。

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