DARKNESS FUR MOFUMOFU !!!! 〜僕はただモフモフしたいだけ〜 作:アンダーグラウンド
帝と向かい合って、地域の弁当を開ける。肉、肉、肉ばかりだ。帝も同じ弁当を開けている。
「おっ、美味しそうだなあ。見ろよ、肉汁が浮いて、艶があるぜ」
帝はパチンと箸を割って、肉を摘む。幾分か冷めているけど、軽い湯気が見て取れる。
正午の日差しを受けた車内は、どこか厳かだった。窓に流れる田園風景を呑みながら、肉を摘んでいく。
「──うん、おいしい」
言って僕は、日差しと影のコントラストを楽しみながら、いただく。
肉の香りと紅生姜のアクセント、帝の雑談が華を添える。水分を含んだ丸みのある麦飯は、噛むほどに香りを増す。
電車の揺れる音に心を傾けながら、昼食の時間は過ぎていく。
「ごちそうさまでした」
帝に続いて、僕も手を合わせて感謝する。僕の存在を認識する貴重な時間だった。膨れた腹に、多幸感を噛み締める。
「いきなり4番を任されて打っちゃうなんて、すごいなあ」
「まあ、本当はマグレだけどな。だが自慢には十分だろ、ははははは──」
豪快に笑う帝に、ほんのりと異性を意識する。つい数ヶ月前までは、笑っても陰を見せていたのに。
しかも190cmを超えた身長になり、筋骨共にたくましい。電子体のアルは、細微な僕の感情を察知する。
「そういえばアルは、人間の姿に成れるようになったんだよな」
「そうだね。でも服が窮屈だし、荷物を持つのも嫌だし、歩き辛いしって──」
「アルらしいな」
「俺ァ、温泉に入れればいいからな。それ以外はどうでもいい」
アルはむくれているのか、あまり喋らない。
「碧波と金椿は?」
「アオナミもキンツバキも、雌だからな。こういうのには細いんだよ」
それ以外にも、何度言ってもギンと一緒に行くな、ってうるさくてな。今はオレの意識の世界に籠ってるよ。
「そ、そうなんだ──」
心当たりはあるけど、言うタイミングが見つからない。言わなくても、問題ないと思っていたけど──。
「いつかオレのアオとキンも人の姿に成るのかなあ。お嫁に行くとなると淋しいぜ」
すっかり父親らしい口調になる。これは、『そういう関係』に発展していないな。当然と言えば当然か。自分の母と娘への強い想いから、そうなったんだし。──碧波も金椿も、元は一つだったらしい。第三者が想いを測るのは極めて無粋だが、余程強い想いがあったのだろう。
しばらく他愛ない談義を交わしていると、電車は目的地へと着く。
季節は冬。山に囲まれた土地は雪が積もる。豪雪地帯ではないけど、それでも厚みのある雪が積もっている。
「おおおおお、雪が降って来たなあああああ」
妙にテンションが上がる帝。僕も朧げな、雪の冷たさを思い出してワクワクする。
白い息が上に向かって、あっという間に見えなくなる。
灰色の空に覆われ、息の詰まるような孤独が迫って来る。シンシン──という言葉は、的を得ていると思う。
「アル、ゲームの世界より寒い」
「電子の世界も寒いぞ」
「温かい服装にすればよかったね」
大きな旅館の前に、大型バスが何台か止まっている。この書き入れ時だ、人も多い。
「帝、ここ何人分の広さ?」
10人は寝られる広さの大部屋に、男二人だけが立っている。
「厚かましいかもしれないが、バグ退治の御礼──だとさ」
「そのモノマネ、笑っちゃうからやめて」
帝は腕を組んで眼鏡を上げる。帝とは正反対の、細面の父親。ちぐはぐなのが笑いを誘う。
「さぁーて、早速入るかぁ」
「僕、ここで入ってもいい? 大浴場だと人が居そうで」
今の今になって言うのは気が引けるけど、庭にある風呂だけで数人分の広さはある。心と身体のことを突っかからずに言えたのは、互いに死線を抜けてきた親友だったからだ。
「なるほど。オレはギンの嫌な場面が分からないから、都度言ってくれ」
謝ることも出来ずに、僕は背中に風が流れるのを感じる。
「さっさ、大浴場に行くぞギン。急げ、急げ」
「えっ、えっ、でもっ、今っ──」
「心ばかりのお礼だが、大浴場二時間貸し切りサービスも付けた──どうだ」
「そのモノマネ駄目だって──」
笑っていいんだか、泣いていいんだか。
素直に泣くべきなのだろう──ドタドタと足を踏み鳴らす帝に続く。
「まだ湯に浸かってねえのに、顔濡らしてんじゃねえぞ、わはは」
帝の背伸びしない、屈託な表情に救われる。
さぁ、入るぞー!!── 豪快に声を上げる帝の方を見ると、タオルを肩に担いで全裸になっていた。
「どうだ、大きいだろ──」
「ちょっ、やめろって帝」
袋ごと抱えた帝のチンポは、想像以上に大きい。アルとどっこいどっこい、ってところか。結構黒ずんでいて、無造作に毛が生えている。
僕もフンドシを脱ぐと、アルのために剃ったチンポが姿を現す。「ほーぅ」帝は頭を下げて、まじまじと見つめてくる。僕は思わず拳で殴るものの、難なく受け止められる。
「もっ、入ろっ」
「そーだなっ」
笑う帝と、恥ずかしがる僕。壁なんて初めから無かったんだ。
「チンポ、中まで洗ってんのか」
「そーだよ」
さながら観察のようにして、興味深々で身体を洗うところを見られる。
「普通だな」
「フツーだよ」
帝も自身のそれを剥いて洗う。大きくても、柔らかなピンク色をしている。
自然に太ももに目が行き、筋肉の盛り上がりに性的な感情が湧いてくる。
「おっ、おおお?」
「あーもう、先入るよ」
ライオンの口から滝のように湯が流れる。激しい水音と熱気が、莫大なエネルギーを纏っている。
「いやーいい湯だなー」
帝はドボンと豪勢に片足を突っ込んで、滝の流れる方まで平泳ぎする。
僕もそちらの方まで泳いでいって、互いに無言でエネルギーを感じる。
「あーなんだか、いろんな気持ちが溶け出していくぜー」
「ほんと、いろいろあったよn──」
帝は僕の肩に手を回して、抱き寄せる。 な、なに── 「肩まで浸かろうぜ」
僕は肩に回された腕の厚み、肩に当たる胸の厚みに、少なからず興奮していた。
しばらくそうしていると、だんだんと帝に、父親のような兄のような雰囲気を感じる。……実際は僕の方が年齢は上だけど。そういえば帝は、従兄弟なんだよなあ。
「さぁー、ちっと上がって、また入るかー」
帝に続いて、風呂のふちに着く。先に上がる帝の尻は、綺麗に肉が付いている。僕は少し、オカズにしてみたい気持ちが湧く。