DARKNESS FUR MOFUMOFU !!!! 〜僕はただモフモフしたいだけ〜 作:アンダーグラウンド
四角いキューブの中に閉じ込められるアル。召喚獣を一時的に、戦闘から離脱させる上級魔法だ。
「アル、出られる?」
アルは両前脚で、透明な壁をカリカリとひっ掻く。
か、かわいい──
「ダメだな。魔法使用不可のメッセージが出てる」
マス目状の身体をした、二頭の竜。飛ばして来る攻撃は直線的だが、飛ばしたキューブは場に浮遊する。そのキューブで更に攻撃をしてくるので、キューブが増えると難易度が跳ね上がる。
「ちょっとアル、寝そべらないで」
キューブを破壊するのに、魔力がどんどんなくなっていく。早くボスを倒さなければ。
突然、乱入のメッセージが入る。
樹状のダンジョンへ通じるロード。その最先端の枝では、他のプレイヤーに乱入されるものもある。
「おやおや、なかなかのピンチですね」
白い虎が、大量の武具を背負って現れる。
「一人で高レベルダンジョンに臨むから、期待したんだけど……」
もう一人現れ、白い鎧に血の痕のようなものが、全身にべったりと付いている。
「魔法剣士か」
男はメガネを上げて、僕を品定めする。
「センスなさすぎ」
ファッション的なものではなく、装備の選択のことを言ったのだ。
僕は魔法剣だけでなく、通常の剣も下げている。しかも二刀流で、中途半端な感じは否めない。鎧ではなく、厚みのあるローブだし。
「魔法とはこうやるのだよ」
虎の背にある武器に右手をかざし、『柳葉刀──空裂刃』と音声入力する。魔法剣は基本的なカラーが青系統で、この武器は半透明の、透き通るような水色をしていた。
『ブレード・エッジ』刃の先端から根元にかけて、黄色い光が走る。『スタート』三方向から来るブロックが、剣戟で縦に割れ、消滅する。『スクリーム・ライトニング』左手から、巨大な槍が現れ、男はボスに向けて青白い閃光を放つ。閃光が全ブロックを使って防がれる。『オーバー・ワープ』恐らくブロックの奥に移動したのだろう。『ブレイブ・オーバー・バーンナウト』巨大な竜巻状の炎刃が、空高く昇る。
双頭のボスは一瞬で溶けていく。
ボスの奥地に眠る大樹、その花の雫を飲むと、自らを生き物の姿に変えられる。『アキヨウ』という白い虎は、その雫を飲むと長髪の男に姿を変える。白い鎧の『シンメイ』は、雫を飲むと赤いトラ柄、赤目の、白い虎に変身する。
「アキヨウさん、シンメイさん、その武器、まさか二人で集めた訳じゃないでしょう」
「用心深いな、はっはっはっ」
アキヨウはおおらかに笑う。シンメイは神経質そうに、メガネを上げる仕草をする。
「PK──プレイヤーキルで奪うことも可能なエリアはある。しかし、ここではPK禁止エリアだ」
アキヨウさんはラフに話しかけ手をくる。
「それに、わたしたちは、互いの武器を賭けた決闘で武器を集めている」
「決闘は詳しくないので……疑ってスミマセン」
二人と別れて僕は花の蜜を吸う。いくつか素体が選べて、皮膚や体毛の色は選択式になっている。
「どう? アル」
「かわいすぎて惚れるぜ」
ピンクの雌ライオン。半円を重ねた翼に、大きな三日月型のネックレス。ネックレスには大小様々の宝石が数個、月のカーブに合わせて配置されている。
キスは出来ないようになっているので、アルの頭に自身の頭をこすりつける。
「目の中も三日月が組み合わさってんのか」
やばいな、勃っちゃうぜ。アルはスクリーンショットで、舐めまわすように僕の全身を撮る。
「これを画像ソフトでいじれば、むふふ」
股間と股間も近付かないようになっているのが惜しい。アルのチンポをちゃんとしたところで受けてみたい。
いろいろアルの望みに叶うポーズを撮ったあと、バーチャル世界からログアウトする。
電子世界の夜は完全な闇だった。完全な闇の中に、月と星の光がだけが照らしている。
超高層ビルの屋上で、アルと二人、思い切り青姦を楽しむ。すべてが解放され、夜空の星の一部になったみたいだ。
「俺は元の世界に戻りたくない」
「うん」
アルはポツポツと自身のことについて語り始める。
母親は翼の生えた、天使のような見た目をしている。父さんが一目惚れして、結婚したんだ。影に住む者に、他所の女は要らない。父さんは追い出されたけど、影に住む者が何十人と殺される事件が起きて、無理やり呼び戻された。そこで生まれたばかりの俺が、次に継ぐものとして選ばれた。父さんは今もそういう、古い因習と決別するために戦っている。
高層の寒さが沁みてくる。アルの温かな毛皮に身体を埋めて、アルの真っ黒な夜空に、星を散りばめる。どくっ、どくっ──
「ずっと一緒だよね、アル」
「ずっと一緒だぞ、ギン」
淫らな夜はあっという間に流れていく。
月明かりは、二人の繋がりを優しく照らし出す。