DARKNESS FUR MOFUMOFU !!!! 〜僕はただモフモフしたいだけ〜 作:アンダーグラウンド
どんな困難にもたちどころに吹き飛ばしてしまう秘密の呪文を僕は知っている。
鏡の前に立ち、自分自身に向かってこう唱えるんだ。
──はあ、今日も1000字──
な ぜ ベ ス ト を 尽 く さ な い の か』 (日本科学技術大学教授上田次郎のなぜベストを尽くさないのか 上田次郎著 より抜粋)
う、上田次郎先生ッ──!!
産まれたときより天空に座し、決して地に伏せ、草を食むことはない。この世の煩悩と一線を画す私は、例え地に落ちようと心は高みに在る。夕映暮葉の心は沈むことはない。なぜなら私という、隔絶なる美貌と秀才を備えた存在が居るからだ。夕映暮葉の沈みかけた心──さながら枯れ落ちる葉が、風に舞い上がる!! 見よ!! この天空を透かす美しい翼を!! 見よ!! こうべを垂れる雲に乗り、私の脚は雄雄しく天を翔ける!!
「あの、顔がよく見えないので、降りてもらえます?」
「ついに来たか神織銀嶺!! だがしかし!! この見目麗しい四肢を地に着けることは叶わないのだ!!」
なるほど、馬の姿では足元を確認できない。
光が射さない地面は起伏に富んで、人の僕ですら、まともに歩けない。
「──すまないが、降りるのを手伝ってもらえないだろうか……」
はぁ……。
夕映暮葉は神織銀嶺の母親の妹の子で、つまりは神織銀嶺の従兄弟に当たるわけだ。歳も近いし、神織銀嶺をライバル視している。神織銀嶺を殺すと言ったのは、影を繰る者たちの某略。暮葉の元来の性格は、私のように雄大で気高く、どんな闇も包む晴天のような性格をしている。
「む、私の言葉に疑義の挟む余地などない。さながら黒雲を吹き飛ばす、梅雨明けの清風のような……」
「い、いいから続けて──」
対峙して分かっただろうが、暮葉は自在に姿を消すことができるのだ。ならばと実態を掴もうとするなら思う壺、出来た隙間から影が伸びる。そこの黒毛和牛が影を探知出来なかっただろう、影に忍ぶような姑息な手は使わな──おっと失礼。
「おい、馬鳥」「なんだね乳牛殿。黒毛和牛の乳搾りなんて希少だよ」「や、やめてよ二人とも」「もう我慢ならねえ!! 俺様が肉食動物だってこと、分からせてやる!!」
私は薬で動きの鈍い老猫をヒョイと交わし、話を続ける。
(空がよく見える──)
身体に刻んだ呪印で、何もかもが歪んで見えた。それとは別の呪印が、影を繰る者によって発動していた。暮葉は観念して、性器に刻まれた呪印に悶える。
「あはー分かりやすいねー。そんなにしてほしいなら、動かないでよー」
ビクビクと空に手を伸ばす性器を、ローブの男は力いっぱい踏み付ける。
夕映は、犬特有の鳴き声で次をせがむ。真っ赤に染まった夕映の性器は快楽に律動し、熱を上げて天に放出する。しかしそれは直ぐに地に堕ち、夕映の柔らかな体毛を汚していく。
快楽を感じる間も無く次の一蹴を受け、夕映は地平線の底へと意識を落とす。