DARKNESS FUR MOFUMOFU !!!! 〜僕はただモフモフしたいだけ〜 作:アンダーグラウンド
額の瞳が疼く──。
「神無亜……大昔に常世の闇より現れた剣だ。その容姿は細身の片手剣。何ものをも映すことのない、ただ闇を浮かべるだけの剣──」
巨大な真白のドラゴンは、最大級のコロニーに於いても、窮屈にその体躯を縮めていた。
数体の雌の奉仕を受け、竜の生殖器は唸りを上げる。荒波のように先走りがあふれ、宮殿内に王のあえぎ声がこだまする。
「おい女、一人だけ遅いぞ」
おずおずと出て来た雌竜を一目見やり、「誰の子だ」。
「も、もちろん神の化身にして、常世の煌王であらせられる──」
「出せ」
「そ、それは……」
王は雌竜の首を噛み、尾を上げた雌竜の割れ目に爪を立てる。
赤くにじむそこから、白い頭が覗く。爪先で器用に引きずり出すと、弱々しく鳴き声を上げる。
「決めた、今宵はこの女にする。おい、盛大に赤子を弔ってやれ」
竜の赤子は数体の雄竜に弄ばれる。
あの、草鍋さん──。
切り出す夏野は、不安そうに草鍋獣医を見る。
草鍋は、「私の夫は帰って来るんでしょうか」お腹に手を当てる夏野に、花瓶に挿した花を一本差し出す。
「大丈夫ですよ、何にも心配ありません」
草鍋の妻も、夏野を勇気付ける。
ペガサスは空色の翼を広げて舞い降りる。
「ここは闇に眠る者を永代に祀る場所。ここだけは闇に住む者すら近づけない。地面も平らだし、し易いと思う。──まあ、人としてどうかと、私は思うけど」
銀嶺はふらふらと霊廟に入って行く。
「おい、ギン!!」
慌てて後を追い掛けるアル。続いてペガサスも中に入る。
大量の竜の像が見つめる中を、三人は歩いて行く。身震いするアルとペガサス。銀嶺だけは確信を持って、先に進んでいた。
「ここには何にもねえぜ、ギン」
「そ、そうだ、影は主人を失えば、後に遺るものは何もない」
あれほど寛大な振る舞いをしていたペガサスも、この霊廟にあっては小心だった。
幾つかの扉が開いたままになっており、両壁に棺桶がいくつも収まっている。
「誰も近づくものなどいない。それほどに、闇の中にある死とは冷たく、恐ろしいのだ」
やがて再奥に突き当たると、ローブを羽織った身なりのいい男と、高貴な剣士の鎧をまとった像がそびえる。その足元には──。
「な、お、俺だ──」
「あれは神織銀嶺にそっくりだな」
その像の前に突き立てられた、片手剣大ほどのつるぎ。闇夜に慣れた目ですら真黒く、触れれば永久の死を連想させた。
「神無亜──カミア──」
銀嶺は柄に手を伸ばす。
つるぎはゆっくりと、引き抜かれていく──。