※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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今年もよろしくお願いします。


オフトレーニング 編
オフトレーニング旅行 ~出発~


「ただいま! お兄ちゃん!」

「お帰り、クロ。もう準備は終わってるんだよな?」

「もちろん!」

 

少し息を切らしたクロが、家に飛び込んできた。息を切らしているだけではなく、額に汗も少し掻いているみたいだ。よほど急いで帰ってきたらしい。

 

とうとう旅行当日。ここ数日は武偵学校すべて(小学校、中学校、高校)で定期試験が行われていた。中学高校だけではなく小学校でも定期試験があるらしい。体力、武偵的な学力、一般教養の学力を4日間にかけてテストする。

 

一般教養の学力だけ、2日間かけて行われることになっている。その代わり学校には半日しか行かなくてもよい。それを利用して、学校終わりすぐに出発するのだ。

 

ちなみにテストだが、俺はもう完全記憶能力頼りで前日に詰め込んだ。そのおかげで筆記で赤点を取ることはないはずだ。体力検査は……特筆することはない。この世界に来たころに比べると能力も増え、本気でやればすぐにA以上のランクを捕れると思う。

 

というか、忙しすぎたせいで勉強する時間がない! 成績だけじゃなくて、出席日数も気を付けないといけないなんて、俺戦いすぎでは?

 

「翔、割と勉強もできるのね。前日に張ったヤマが当たったの? それとも効率が良いのかしら」

「裏技裏技。今はもうこいつがないとやってられないよ……」

 

そう言って俺はエナジードリンクに口をつける。口の中一杯にケミカルな微炭酸の液体が広がる。

 

目の前のアリアはいつもの防弾制服に身を包み、不思議そうに言ってくる。実際、裏技だし、ここに来る前の俺だったら、今回の旅行は補習で断念していたはずだ。

 

でも遅くまで起きていたせいで、乗り物の中では爆睡確定だな。夜は毎晩ごちそうらしいから、それまでに復活しなければ。がんばれ化学物質。

 

「それよりも、今回渡したアレの調子はどうなんだ?」

 

実は、この前の情事で当たった2つのうちの1つをアリアに渡していたのだ。優れた技術を持つにもかかわらず、特に魔法も超能力も使えないアリアに少しでも足しになればとの思いだったのだが……

 

「もう結構馴染んだわ。昨日はリハビリも兼ねて、密輸業者に強襲(アサルト)してきたから」

 

リハビリで犯罪を検挙するな。現場に戻るの速すぎるだろ。旅行の前日じゃないか。もっとあっさりとしたもので体を慣らしてくれよ。また怪我したらどうするんだ。

 

「心配性ね。むしろ心配するのは相手の方だと思うけど?」

「もう風穴ってセリフは使えないもんな」

「そうね、場合によっては消し飛ばすことになるものね……粉々にするわっていうのはどう?」

「物騒すぎるから…」

 

渡してしまったのは失敗だっただろうか。でも俺には適性がないみたいだったし、他に使えそうな理子にも適正はなかったからな。それ以上にアリアの適性が高かったのもある。

 

「大丈夫ですかお兄さん。良かったら私のカフェイン食べますか?」

「ありがとう、ティナ。キツかったら貰うことにするよ」

 

ティナは小さなプラスチックボトルを差し出してくる。最近はもうティナがこいつを食べることはなくなったな。夜型だった生活が矯正された結果だ。

 

学校にも慣れて実はヴィヴィオたちとも仲良くしているらしい。つまり今回はティナにも声を掛けられていたことになる。

 

ボトルを受け取るとクロが哀れんだ目を向けてきた。

 

「お兄ちゃんが薬漬けになってる……」

「薬言うな」

「でも、ここで作られてるビタミン剤とかエナジードリンクって、何入ってるかわかんないよね」

「いやいや! どう考えてもこいつは外からの輸入だろ!」

 

翼を授けるアレだよ。レッ〇ブルだよ。

 

「先輩、もう出ますか?」

「ああ、そっちの準備も終わった?」

 

雪奈が青い大きなボストンバッグと雪霞狼の入ったギターケースを持ってリビングに降りてくる。

 

ブラドにケガさせられたアスナや雪奈たちも無事退院し、今回の旅行についていけることになった。旅行には俺の家に住んでいる人は全員参加。でもヤミはお察しといったところで。

 

全員集合したら行く予定だから、俺達も遅れないようにしないといけない。

 

「はい。私はもう出発できますよ。今アスナさんと狂三さんと桜さんが、移動中に摘まむおにぎりを作っているので。それが終われば準備完了ですね」

「あー、マジか、手伝ってなかった」

 

やらせてしまうとは申し訳ない。俺たちの分だけではなく今回一緒に行く高町家の分も作っているだろうから、すごい量になっているはずだ。しかも、

 

「それはすごくありがたい」

「そうですね。翔の国には腹が減っては、という言葉がありますから」

「常に戦えるように状態を整えておく、大切なことだな」

「それわかる」

「何もわかってないだろ、この腹ペコ三人娘」

 

耀、セイバー、オルタの3人はとある共通点からとても仲良くなった。いうまでもなく『食』だ。おかげで家計は火の車。向こうにはとんでもなく食べる娘が3人いると伝えなければならなかった。

 

「でも腹八分目にしておかないと、夜はごちそうらしいから」

「確か焼肉でしたね。少々雑なような気もしますが、昔と今では違いますからね。マッシュされたポテトに比べれば……いや、比べ物にならないでしょう」

「ただ焼いただけの肉が至高。ジャンクフードは最高だ」

 

この3人、もう食べ物のことしか考えてない。失礼を働かなければいいが。

 

と、玄関の扉が開き、1人の女の子が入ってきた。金髪の緩いパーマをふわふわとなびかせた女の子。理子だ。今日はいつもの防弾制服ではなく、涼しげな淡いピンクのワンピース。正直イメージと違ったため少し面食らってしまう。

 

「翔君、もう下に車来てるよー」

「はいよー。じゃあみんな、順番に乗っててくれ。俺はおにぎり組を手伝っていくから」

 

全員集合しての今回のオフトレーニングは、とりあえずこんな感じに始まることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はよろしくお願いします」

「あはは……まさかこんなことになるなんてねぇ」

 

流石の高町さんも、ヴィヴィオの友達の保護者が俺だったとは知らなかったのだろう、少しぎこちない笑顔を浮かべている。

 

特に何も起こることなく高町家に到着した俺たちは、荷物を一度高町家に運び入れていた。他にも来ていない人がいるらしく、その人を待っているのだ。

 

流石管理局のエースオブエースの高給取り……かは原作とはいろいろ違うこの世界ではわからないが、高町さんとテスタロッサさんと、その娘のヴィヴィオちゃんの3人で住むにしてはとても大きな一軒家だ。しっかりと駐車場とお庭がある。駐車場にはこの前六課から送ってもらった時に乗った車がある。お二人の年齢を考えると十分すぎるほど社会で成功しているだろう。

 

その広さの家であっても、俺たちの人数が桁違いなため、少し狭く感じてしまう。

 

みんな作ってきたおにぎりをつまみながらおしゃべりして待っている。

 

できればその待ち人に早めに来てほしいものだ。おそらくアインハルトだと思う。もし他に来る人がいれば、それがこの世界での変化であり、今後重要になって来るであろう大切な差異だ。

 

「高町さんの娘さんにはいつもクロがお世話になっています」

「いえいえこちらこそ……聞いてるかわからないけど、うちの娘、複雑な事情があるから」

「それはこちらも同じですよ。でも、仲良くできる友だちができた良かったです」

 

ヴィヴィオちゃんやその友達と楽しそうにおしゃべりをするクロを見ながら言う。クロがあんなに心を許すきっかけがいったい何だったのかとても気になるところだが、こればっかりは俺も見ていないため、推測することしかできない。

 

でも、無理矢理聞き出すのも親バカみたいで恥ずかしい。みんなしっかりしてるし、悪い子はいないはずだ。変なことはないと信じよう。

 

そんなことをしていると、

 

「すみません、遅れました」

 

と聞きなれたアインハルトの声が玄関から聞こえた。

 

「え! この声ってもしかして!?」

 

ヴィヴィオちゃんはすぐにわかったらしく、玄関に駆け出した。

 

「これで全員ですか?」

「うん。その予定だよ。もしかすると知らない人もいるかもしれないけれど、仲良くしてあげてね」

「はい……?」

 

その言葉の意味が分からずに首を傾げる。アインハルトが俺と知り合いってことを高町さんは知らないんだろうか。

 

「皆さん、遅れてしまい申し訳ありません。アインハルト・ストラトス参りました」

 

現れたのは碧銀のツインテール、特徴的なオッドアイの少女。俺もよく知るアインハルト・ストラトスが、ヴィヴィオに手を引かれてそこに立っていた。学校が終わってからすぐに来たのか、制服と鞄はそのまま、着替えが入っていると思われるバッグを肩にかけている。

 

そしてもう1人。

 

「お、お待たせしました!」

 

堂々としたアインハルトとは違い、おどおどとした気弱そうな少女。アインハルトものとはまた違った、刀のような輝きの銀髪をツーサイドアップにした少女、刀藤 綺凛だ。アインハルトと同じく、制服とバック、それに加えて刀が入っているらしい細長い袋だ。

 

ま、まあね。そこまでは俺の予想の内だ。アインハルトから綺凛に何かコンタクトがあっても全然驚くことじゃない。話では結構ヴィヴィオとも交流があったみたいだしな。

 

しかし、最後の1人が俺の度肝を抜いた。

 

「すみません、説得に時間がかかってしまい……」

「……!」

 

アインハルトと綺凛が制服なのに対し、その少女は全身黒づくめだ。しかもそれは普通の服ではない。胸元が十字に切り取られたバトルドレスである。そのバトルドレスの漆黒に対して長い金髪がとても美しい。

 

――――『ヤミ』がそこに立っていた。

 

「えぇ……」

「あれ? もしかしてみんなお知り合いだったの?」

 

高町さん、あなた、これ狙ってやってるんじゃないですよね? いくらなんでもこんな偶然ありえないでしょ? いったいどこから繋がったんだ?

 

ヤミのあの表情を見る限り、アイツも狙ってやっているわけじゃないみたいだし。そもそも、そんなことをするタイプではない。

 

「夜月君?」

「あ、はい、そうですね……敵のスタンド攻撃を受けているわけでなければ俺の知り合いです」

「私としてはその可能性の方がありがたいですが」

「もしかして2人はお互いが苦手だったりする?」

「苦手ではなく嫌いです」

 

即答すんな。例えそうだったとしても!

 

家に来て早々、ヤミは心底疲れたといった声を出す。そりゃ、家庭内別居レベルでお互いに干渉してなかったからね。それがいきなり一緒に旅行とか、無理に復縁を目指している夫婦みたいになってるぞ。

 

見ていると大分アインハルト、綺凛と仲がいいように見える。

 

「いったいどこでそんな繋がりが出来たんだ……」

「世間が狭いのはわかっているつもりでしたが……」

 

俺とヤミはお互いにため息をつく。ここまできれいに鉢合わせるとはね。

 

「まさか、ヤミさんまで来てくれるなんて思いませんでした!」

「この女性も翔さんのお知り合いだったとは思いませんでした」

「ホントです……女性の知り合いばっかりですね……」

 

喜びを全身で表すヴィヴィオとは対照的な表情になるアインハルトと綺凛。そんな非難するような顔をされても……それこそこっちが色々と言いたいことがあるんだよ。

 

「……で、ヤミはいつの間に仲良くなってたんだ?」

「べ、別に仲良くなったわけでは……」

「えっ、そんな……そんなこと、ないですよね?」

「ぇ、あ、その……」

 

ヴィヴィオの悲しそうな顔に、たじたじになるとは。そもそも旅行に一緒に行こうなんて、普通だったら断るだろ、お前さんは。それを説得されたとはいえここにいるってことは、ねぇ?

 

「何を考えているんですか? 殺しますよ?」

「お前は強襲科(アサルト)か」

「そうですが何か?」

 

クソッ、そういうことを言ってるんじゃないのに! 俺のボケに真面目に返すんじゃない!

 

「はぁ……それで、実際何処で会ったんだ?」

「……高町ヴィヴィオには図書館で初めて会ったんです。少し危ないところを助けたらこの通りです」

 

この通りですって言いつつ、それで馴染んでるんだから、それはそれでうれしかったんだよな。流石主人公。ヤミの心の壁をこんなに簡単に溶かしてしまうとは。

 

そこからはもう流れるようにヴィヴィオの紹介でアインハルト、綺凛に出会ったというわけだ。だったらクロが知ってるんじゃないのかと思っちゃうけど、アイツ黙ってたな。

 

そんなことを言っている間に、出発の時間になった。

 

「それじゃあ、みんな! 全員そろったことだしそろそろ出発しようか!」

「「「「「「はーーーい!!」」」」」」

「……」

 

高町さんの声に元気よく返事をするちびっこと、この世界に来てから初めての旅行に喜びを隠しきれていない女の子たち。

 

今回の旅行、事件は起こらずとも騒ぎが起こるのは間違いないだろう。さてさて、どうなることやら。

 

こうして、俺たちの旅行が始まったのだった。

 

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