「ふわ~あ……」
俺は大あくびをかました。カラッと晴れた空に俺の口から吐き出された二酸化炭素が溶けていく。
今日は比較的涼しい、というと大げさだが、じっとしていれば汗が出ない程度の気温だった。
時刻は昼過ぎ、午前中の授業を乗り越え、お昼を食べたその後だ。みんなそろって今日は用事があるらしく、珍しいことに俺は1人きりで静かに過ごしている。解放されている屋上は、しかし人がいない。
ヤミは特別用事があったわけではないが、だからと言って2人きりで過ごすほど仲が深まったわけではない。どうせだったら、もう少し仲良くしたいという気持ちはあるんだけど、素直に言って仲良くできないのはよくわかっている。
午後の予定はない。や、正確には授業があるんだけど、それは大学のように単位制で、何度か出席しなくても問題はない。
こうして大学に行かない大学生が増えていくんだろうと漠然と考える。
ああ、そうそう、昨日の結果について報告しておこうか。
『とある魔術の禁書目録』の主人公である上条当麻が持つ能力。右手首から先で触れた異能の力を無効化する事が出来る。無効化出来る範囲、規模、時間については様々な条件がある。ただし、
ジクウドライバー
『仮面ライダージオウ』に変身するためのベルト。『ライダーウォッチ』を使うことで仮面ライダーに変身することができる。
この通り、かなり大物な能力を手に入れることが出来た。
ジクウドライバーはあのウォズと名乗る男からすでにもらっているので2本目になるが、
ついに来るところが来たなという気分になる。俺の場合は通常の能力との使い分けが出来る分、なお強力な能力だ。
それはさておき、眠い。とても眠かった。
昨日一日でも怒涛の日々だった。1日が1ヶ月に感じるくらいには長い1日だった。航平の記憶時間では1年ほどあったわけなんだけどな。
いったい、いつなんどき、肉体労働をすることになるのかわからない。この暑さの中、日向で微睡むのは自殺行為ではあったが、欲求には逆らえなかった。
――――――――――――――――――――――
翔が目を閉じてすぐに、屋上のドアを開けた人物がいた。少し周囲をきょろきょろと見るが、隠れているのではなく上にいるのだと気が付いた。
軽く飛ぶと、その隣に着地した。遅れて重力に従って特徴的な赤いおさげが揺れた。
「夜月くん、寝てるの?」
メアは屋上で寝ている翔の顔を覗き込んでいた。メアにこんなに無防備な姿を晒しているのに、翔は全く目覚める様子がない。昨日観察した様子を見ても、メアのことを警戒していたのはよく分かったのに。
「ふーん……でも、ちょうどいいかも」
メアは舌舐めずりする。
(夜月くんと繋がれば、どういう人なのかわかるもんね)
メアと翔の距離は徐々に近づき、そして―――繋がった。
――――――――――――――――――――
「―――っ! ―――っ! ―――っ!」
何かが俺の股間で跳ねている。柔らかい何かが、一定のリズムで単調な動きだったが、それによって生じる電撃にも似た感覚で、俺の足が震える。
ぼんやりした頭でもわかる。そそり立った俺の息子が、締め付けられ、絞られ、いじめていた。
ペニスの先が何かに口づけし、触れた唇がいかないでくれと吸い付いてくる。
「っは、っは、っは、っは……!」
俺の胸に手を当て、慣れた腰使いで
特徴的な赤毛はそのままおさげにされ、口からは絶えず恥ずかしい声が漏れている。隠せないのか、隠したほうが良い声なのか知らないのか。
「メ、メア……!?」
俺の肉棒を必死になって味わっていたのはメアだった。その体には何も着ていない―――訳ではない。見覚えのある布切れを身に纏っていた。
あれを見たのは……そう、アスナが昨日着ていた薄いピンク色のネグリジェだ。メアとアスナではサイズが違うはずだが、ぴったり合うようなサイズのものを。
正直言って、メアのイメージには合わないものだった。肩ひもは外れ、おっぱいが丸出しになっていた。俺には記憶がないが、その双丘の先端にもしっかりと愛撫の跡があった。
そのステップはすでに済んでいるのか、俺の記憶には全く何もないのだが、現実として、今俺はメアに馬乗りにされ、肉棒を使って快楽を貪られていた。
「っは、っは、っは……ぁ、あれ? 翔君、やっと目が覚めたんだぁ、ひぎゅっ!!」
俺と会話するためか、動きを止めた。その際腰を落ち着けるためか、さっきのピントン運動の時よりも深く、おなかを突き刺した。
子宮を少し押しつぶす感触がペニスを通して伝わった。
明らかに余裕のないメアが、それでも優位を示そうとしているのか、俺に顔を近づけてくる。
「お、おはよう、翔君。気分はどう、かなっ?」
相手が相手だが天国だ。
大粒の汗が俺の頬に落ちてくる。超人的な体力を持つメアが、汗だくになるまで腰を振っていたんだ。
少し嗜虐心が出てくるが、ここは真面目に取り組むとしよう。
「何のつもりだよ、これは」
「……
なるほど、確かに。ここは俺の部屋だ。そしてこれは昨日した行為のワンシーンにあった情景だ。
「翔君の頭の中を覗いて、ヤミお姉ちゃんが普段何してるのか、翔君がどんな人で、お姉ちゃんにどう接してるのか知りたかったんだけど……っ」
説明しつつも、張り詰めたカリ首が粒天井に突き刺さり、悦んでいる。
「一番強い記憶から潜ったらここに来て、こうなってて……っ」
なんか俺が本当に変態みたいじゃないか。
や、でも、一男子高校生として、即物的に昨日の情景が心に残っていても何らおかしくないと思うんだよ、うん。
「先輩、こんなケダモノだったんだね……っ! 2人の女の子と、同時にシちゃってるなんて……! なんか、色々と予想外だよ……!」
俺も、まさか刃を交えるより先に性器を交えることになるとは思わなかったよ!
メアは目的を忘れたように、俺に体を預け、腕を回してきた。こうしてみると、本当に普通の女の子だ。俺も答えるようにメアの背に腕を回していた。
ヌルリと腕が滑った。それはメア1人だけのものではない。そこでようやく、俺も汗びっしょりになっていることに気が付いた。それに負けないように腕に力を込めた。
「あ、っ……」
メアが声を漏らした。
警戒するべき人物のはずだが、今はただの恋人のように抱き合って、お互いの心音を確認していた。この空間はすごいものだ、現実ではないとわかっているのに夢だとわからない。
この空間の絶対的な主導権を握っているからこその余裕なのか。調べに来たわりには息を整えるだけで何もしてこようとしない。
呼吸に合わせてきゅ、と締まるが、何人もの女性を泣かせてきた(比喩や自慢ではなく単なる事実と実績としての記述)俺の肉棒はまだまだ元気だ。
しかしいい機会だ。ここで、少し説得を試みてみる。
「メア、ヤミ云々のことは忘れて、普通に暮らさないか?」
「それは出来ないよ。ヤミお姉ちゃんのことは、絶対に譲れないもん」
「お前の意志か?」
「マスターがそうしろって言ったから」
ここで自分の意思はないのか、と言うことは出来るが大した意味はないだろう。この娘はまだ、自分の意志を持って行動するステップまで歩を進めていない。
「でも、すごいね、セックスって。すごく、すごい。こんな、お腹がズンズンされるの、こんなに気持ちいいんだね。私、癖になっちゃうかも」
そんなことどうでもいいと言いたげに、お尻を振る。みちみちと締め付けられている肉棒が、根元から振り回された。口を開きかけている子宮口に亀頭の先端がキスし、少し吸い付いてきた。
「翔君の記憶、どんどん流れ込んでくるよ。あはっ、こんなにたくさんの女の子とシちゃってるんだね? えっちぃんだぁ~」
誰との記憶を読み取っているのか、小刻みに腰を上下されている。ぬちゅ、ぬちゅという粘着質な音が、どんどん大きくなる。俺の先走りとメアの愛液が混じりあい、布団を濡らしていく。もう余計なことは答えたくないという意思表示なのか、上下運動以外にメアは意識を向けていない。
「ね、実は私、まだイったことないんだ、んっ」
「自分でもしてるのか?」
「色々と勉強してるからね。でも何が良いのか全然わかんなかったの」
そう言う割には、今、全力で行為に及んでいる。
「いくら乳首をいじっても、どれだけおまんこをかき回しても、どんなにクリトリスをつまんでも、何も感じなかったんだけどね……っ!」
上下運動に飽きたのか、今度はぐりぐりと、肉膣全体を使って搾り取ろうとしてくる。吐き出されると息まで、ジトっと重いような気さえする。
「でもこれ、ダメになるよぉ。ポカポカして、満たされる感じがするの。なんなんだろう、コレっ。素敵なんだけど、素敵なんだけどっ! ねぇ、何なのかなぁ!?」
俺は一応答えを返したが、そんなの気にしていないとばかりに、今度は限界まで抜いて、差してをゆっくり、ゆっくりと時間をかけて行い始めた。
初物の、いや、初物ですらない未開封の肉壺を、ペニスを咥えるためだけのお口を、ゆっくりとかき分けていく。
もはや何かも分からない液体によって被覆され、てらてらと光る竿が、少しずつ飲み込まれていった。見ているだけでぴくぴくと息子が反応し、道半ばの肉天井を不規則に削ぎ取る。
「ね、これっ、でも、ヤミお姉ちゃんとはしてないんだね? もったいないなぁ、お姉ちゃんは」
高ぶりは留まることを知らず、しかし頂点まではあっという間だった。
「あ、あっ、なんか来そうかも……っ」
膣内が痙攣し始める。頂点までもう少し、もう少し。
だが、登りきることは無かった。
――――――――――――――――――――
「っ!」
メアはとっさにその場から飛び退いた。と思ったが、頭に固いものが叩きつけられる。頭を抑えつつ、少し涙を浮かべて下手人の顔を確認する。
「全く、学校で盛るなガキめ」
そこにいたのは翔やヤミの担任教師、南宮那月だった。今は教師としてではなく、空隙の魔女として、そこに立っていた。
気配も何もなく登場したその手腕、間違いなくお得意の空間転移の魔法を使ったのだ。
廊下の通路で不自然な動きをするメアを見た那月は、ここまで
校内の風紀を守るための行動だったが、邪魔をされたメアにとっては関係ない。
「……最低」
せっかくいいところだったのに。せっかくあと少しで、あと少しでイけるところまで行けたのに。ジンジンとお腹に響く叫びが、どんどん怒りに変わっていく。
一瞬本気で那月を殺そうかと考えるメア。切り殺すか、撃ち殺すか、殴り殺すか、それとも。
「良い殺気だが、私に勝てると思うなよ、学生」
「……っ」
那月に気勢を殺がれたわけではない。自分の役割を思い出し、踏みとどまったのだ。
「黒咲メアだな。お前は確か情報処理技術の授業を取っていたはずだ。さっさと行け。面倒な騒ぎを起こしてくれるな。わかったな……返事は?」
「……わかりました」
メアはしぶしぶといった様子でその場を後にする。
「さてと」
那月は次の仕事にとりかかった。
「―――さっさと起きないか、色ボケ男」
いまだのん気な顔で寝ている翔を叩き起こすことだ。
――――――――――――――――――――――――
「はぁ、はぁ、はぁ……っ」
あの場ではあふれ出る殺気によって何とか平静を保っていたが、階段を降りた時にはすでに限界だった。
スカートの下の布地はすっかりと変色し、いまだ満足を経験していない体が、叱りつけるように、抗いがたい欲求をメアに押し付けてきていた。
どうしてあそこで終わったのか。頭も体もそのことしか考えられなくなっていた。
(サイアク、サイアク、サイアク……っ! あいつホント、サイアク……っ)
奥歯を噛みしめて、心の中で呪詛を吐き続ける。メアの普段『作っている』キャラを知っているものが見れば、驚くこと間違いなしだろう。
獲物を求める野獣がさまようような足取りで、ふらふらと歩を進めている。
今の欲求と同じくらいに頭を占めているのは、せっかくイイトコロで邪魔をしてきた南宮 那月だ。
(澄ました顔してっ。今じゃなかったら絶対殺してるのに……っ)
同じことを反芻しながら辿り着いたのは、
(資料準備室……)
鍵がかかっていたが、
「はぁ~……」
ようやく安心して開放できる。息を長く吐くと同時に制服が解けるように消えていく。代わりに現れるのは、黒いバトルドレスだ。第2世代
衣服を脱ぐ時間も惜しいのか、ショートパンツを強引に破り捨てた。
床に座ると、M字になるように足を開いて、足の付け根にある肉ビラを惜しげも無く晒す。
「こんな感じだっけ……」
メアは長いおさげを持ち上げ、先端を
お腹に残る感覚を頼りに、浮き出た血管も、張り出したエラも、その反り返りも、驚くほど精巧に再現していく。
完成したものは、色は赤いが、間違いなくペニスを模した性具―――ディルドだった。
「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ……!」
呼吸が乱れる。
開いている口に添えると、肩がぶるりと震える。だから、慣らすことなく、一息に貫いた。
「ん、っ、ぁ、ああああああぁぁぁあぁっ!!」
奥に届いた瞬間、夢の中で何度も味わった内臓を打ち付けられる感覚に、ふわふわとした浮遊感が体を駆け抜ける。
「ん、く、ぅ……」
集中力が途切れたせいで
何度繰り返しても、一突きされるだけで意識が吹き飛ぶせいでうまくいかない。夢の中でのように何度も連続して連続して、自分を壊すような、暴力のような快感を求める。
強く早くすれば、奥を突いた瞬間意識がどこかへ飛んでいき。
ゆっくりにすれば、ナカに入っているものが途中で力を失い、求めていたものが霧散する。
だが、時間をかけようとも、快感は蓄積していく。
「ん、ちがっ、こうじゃない、のに……っ、イ、ぃ、イ……っ、あああああぁぁぁぁっ!」
全身が痙攣し、噴き出すように愛液が飛び散った。
(足りない……何も足りない、足りてないよぉ……)
メアが欲しかったのは、こんな中途半端なものではない。
さらに、下手に翔の記憶を読み取ってしまったため、翔との行為では感じていたはずの、心が埋まるような感覚も得られない。
初めて達したはずのメアだったが、それは何も満たされないものだった。
なんだか、アインハルトと同じような感じになった……