俺は割り当てられた部屋、畳に敷かれた布団の上に寝ころんでいた。
道場からは少し離れた、所謂『離れ』と言われる場所だ。
風呂にはもう入り、後は寝るだけなんだけど、このまま寝ることは出来ないだろう。
「これは、今夜の内にも話したほうがいいな」
今日の模擬戦、アインハルトの行動に身が入っていなかった。いなさすぎた。ミカヤさんに申し訳ないくらいに、ボロボロだった。
アインハルトと綺凛は同じ部屋で寝ることになっている。
俺と入れ替わるようにお風呂に入っていったから、タイミングを見計らって部屋に行ってアインハルトを少し連れ出すことにしよう。
しかし、アインハルトの悩みは何だろうか。単純に考えるなら、俺と綺凛がらみか。この世界の混沌具合なら、何か面倒な事件に巻き込まれているって可能性も捨てきれない。
そんなことをぼんやりと考えていると、障子の向こうに人の気配。
「……誰だ?」
「……私です、先輩」
声の人物に少し驚いたが、追い返す理由はない。招き入れる。
障子が控えめに開き、1人の女の子が入ってきた。
泊まることが前提だったため、流石にパジャマまで借りたということは無いだろう。だがこの道場に合わせているのか、それとも実家も道場だからか、白い浴衣のパジャマを着ている。
刀堂綺凛がそこに立っていた。
「綺凛? どうしたんだ、こんな時間に」
「す、すこし! お話がありまして! あ、あの、こんな夜遅くに申し訳ないと思ったのですが!」
「や、それは全然かまわないんだけど。どうぞどうぞ」
そう、全然かまわないんだけど、こんな時間に来るから少しドキッとしてしまった。家の誰かだったらそのまま『むにゃむにゃ』になっていたところだ。
綺凛を部屋に入れ、布団の上に座る。
座って―――特に何も起きない。
布団の上に女の子座りした綺凛は、しきりに障子の方を気にしている。居心地が悪いと思っているのか、誰か来ないのかと心配しているのか。俺とは目を合わせようとしない。
「……」
「……」
俺もできるだけ何でもないように装い、くつろいでいた。横目で見た綺凛の顔は耳まで赤く染まっている。
部屋に人が2人いるのに会話が発生せずに、10分が経過した。
綺凛にも色々と準備があったのかもしれないが、完全にきっかけをなくしてしまっている。ここはきっかけを与えないと。
「綺凛? 何か話があるのか?」
「え!? あ、はい! そうです! そうなんです、けど……ごめんなさい、決めてきた、はずだったんですけれど……」
「話しにくいことか?」
綺凛は無言で頷く。だが、再び静寂が訪れることはなかった。
「すぅ~、はぁ~……先輩! 先輩にはお付き合いされている方はいらっしゃいますか!? いなければ私とお付き合いしていただけないでしょうか!?」
一息に言い切った。
「……」
さて。やれやれ。
どう言おうか。真剣に告白してくれた綺凛に嘘をつくつもりはない。かと言って事実をありのままに伝えるのか……?
そうするしかないな。
ごまかしたくはないからな。
「結論から言うとだな、綺凛。アスナは知ってるよな?」
「はい? はい、それはもちろん知ってますけど……」
「雪菜も知ってるよな?」
「はい」
「狂三も?」
「もちろん知っていますよ! さっきからどうしたんですか先輩?」
結論から言うと言ったのに、グダグダと状況の説明になっている。これじゃダメだ。
「俺は一緒に住んでる女の子、ほとんど全員と付き合ってる」
「え―――ええええええええええぇぇっ!!!???」
そりゃそういう反応になりますよね。
「え、いや、ええ!? 全員と付き合ってるって、え!?」
「ほとんどを抜かさないでくれ。大事なところだから」
や、『ほとんど』があっても、複数人と付き合ってるってことなんだから。一般常識的にはダメだろ。俺の感覚もバグってる。
しばらくすると、綺凛は落ち着いて話が出来る状態になった。
「すみません、取り乱してしまって……」
「や、その反応が普通だからな。気にしなくていいよ」
この世界の人で俺の女性事情を知っているのは、アルトリア達と桜と理子だ。この4人は常人とはかけ離れた思考をしているから、これを告白した時の参考にならなかったんだよね。
「でだ、綺凛の知っている、俺と一緒に住んでる女の子、ほとんど全員と付き合ってるんだ。それは理解出来たか?」
「は、はい。難しいけれど、なんとか」
付き合っている娘の名前はすでに伝えてある。
「そ、それで、私の告白はどうなるんでしょうか!?」
ムードも減ったくれもなくなったからか、『告白』という単語をするりと口に出すな。こんなハーレム築いてるクソ野郎にそのまま告白の話をするとは。
「だって、先輩と皆さんの様子を見てたら、誰だってそうじゃないのかなぁって思いますよ。むしろ、皆さんと仲良くしていた理由が分かってスッキリしたくらいですもん」
最近は外部の人の目に触れる機会が増えてきたから、そう言う事に気を付けないといけないな。特に特務六課の人たちなんか、これから接する機会が増えるだろうし。
「あっ! 話が逸れてますよ! 私の告白はどうなったんですか!」
「お、おう。今日はずいぶんと押しが強いな」
「口に出しちゃったらスッキリしたんです! もう何も怖くありません!」
それは有名すぎる死亡フラグだ。
「綺凛は俺と付き合うのは平気なのか? 俺、もう複数人の女の子と付き合ってるんだけど」
「全然気にならないなんてことはありませんけれど、でも、皆さんのことを見ていたら、先輩が1人1人のこと大切にしてくれてるってこと分かりますから!」
綺凛と俺は向かい合う。
「それじゃあ、改めて。刀堂綺凛さん、俺と付き合って下さい」
「はいっ! 喜んで!」
こうして俺と綺凛は付き合うことになった、のだが……。
「……」
「……」
再び無言になる。先ほどの沈黙とは違い、綺凛は俺と正面から向かい合ったままだ。潤んだ垂れ目がせわしなく動き回り、口が開いては閉じる。
「綺凛? 今度はどうしたんだ?」
「つ、付き合った時って、何すれば良いんでしょうか……っ! あ、握手? それともお辞儀かな……?」
ああ、そう言う事ね。だったら簡単な問いだ。
「綺凛」
「……っ、ぁ」
中腰の姿勢で、俺は包み込むように綺凛を抱きしめた。
昼間、あんなに激しく剣劇をぶつけあっていたとは思えないほど、その体は少女のモノだった。
その中でも一番少女を主張してくるのは、やはりその豊満なおっぱいだ。パジャマ越しに伝わる柔らかさが下半身に悪い。胸の厚みのせいで、抱きしめ合っているのにお互いのお腹は全く触れ合わない。
ほどなくして背中に腕がまわされ、力が込められた。
より強く俺たちは密着する。
ぐりぐりと胸にこすりつけられていた顔が上げられる。物欲しそうな顔だ。その唇に吸い寄せられるように、俺たちは唇を重ねた。
綺凛に勢いがあったのか、押し倒されるようにして布団に倒れこむ。
「ん、ちゅ……」
触れる程度のキスだ。唇の柔らかさが分かるか分からないかという程度の。初めて付き合った恋人同士がするにふさわしい、初々しいキスだ。
「先輩。せんぱ~い。ふふ」
唇を離した綺凛は、俺の上に乗ったまま、胸に顔を押し付けてぐりぐり。嬉しさが口から洩れているのか、しきりに先輩と呟いている。
「先輩。私、前に聞きましたよね。私の胸、触ってみたくありませんかって」
「そういえば、そんなこともあったな……」
あの時は驚いたものだ。本当に。綺凛の性格からしてそんなこと言うとは思えなかったからな。
「あの時は断られちゃいましたけれど……い、今は、どうですか?」
「い、今!?」
その言葉の意味を理解した下半身がピクリと反応する。
今ですら、お腹に押し付けられている双丘に、下半身が反応するのを必死に抑えていたのだ。すべてが初めての綺凛に対して、最初からそういう態度は見せないほうが良いと思ったからだ。
でもピュアだと思っていた綺凛も女の子だ。や、ピュアなのは変わりないと思うけど、前の質問もあったし、意外にそういうことに興味津々なのかもしれない。
「綺凛はエッチなことがしたいのか?」
「ふえっ!?」
跳ねるように体を起こす。もちろん顔は真っ赤っかだ。今の言葉を否定するように激しく手を振っている。
「え、い、いえ! そういう訳では……っ! 無い、と言いますか、無いわけでも無い、といいますか……っ! すみません! 忘れてください! っ!!」
体勢が逆になった。腰の上に座っていた綺凛を抱きかかえ、一瞬で体の位置を逆にする。綺凛は突然の出来事に目を白黒させ、体を縮こまらせている。俺は体の上に乗るのではなく、弱々しく横になっている綺凛に覆いかぶさるように四つん這いになっている。
「ぁ、ぁの……」
消え入るようなか細い声で、何を予感したのか胸元の着物の裾を握りしめている。
「こんな時間に部屋に来て、さっきの質問。もしかして綺凛、何か期待してたのか?」
「あ、ぁ……、……は、ぃ」
綺凛はよく観察しなければわからないくらいの微細な動きで頷く。
「何を期待してたんだ?」
「な、何を!?」
「ああ。何を期待してたんだ? 何をされたいんだ?」
逃がさないとばかりに目を合わせる。
「エ、エッチなこと、です」
「エッチなことって? 何?」
「な、何って、そんなこと……」
分かってるじゃないか、言わせないでほしいと言いたげな顔をされるが、あえて無視する。
「うぅ~~~っ! エッチなことはエッチなことですよぉ……っ。先輩、意地悪です……っ」
「別に意地悪なんてしてないぞ」
嘘です。意地悪してます。
「先輩、アスナさんとか雪菜さんとかとエッチなことしてるんじゃないですか? 皆さんにしてるみたいな、普通のエッチなことです……っ」
そろそろ限界の様なので、ここで折れることにした。
「普通にね。分かった」
「はい、普通にお願いします……」
何やら安心しているけど、まだ始まってすらいないんだぞ? 今までの問答は俺がわざと長引かせたんだけど、それにしたって安心するのは早すぎるんじゃないか?
「それじゃあ、まずは胸に触るぞ」
「あ、はい。ぁ、そうですよね……うぅ……」
「恥ずかしいならやめておこうか?」
「いえ! こ、ここまで来てそんなこと……っ! で、でも、服の上からでも良いですか?」
「もちろん」
服の上からでもはっきりわかる、年齢に似合わない圧倒的なボリュームなのだ。
俺はそのふくらみに手を添え、軽く指を動かしてみる。手のひらでマッサージするように撫でれば、服の下にある双丘のボリュームが想像されて俺の期待が膨らむ。
「はぁぁぁん……うぅぅぅぅ……っ」
綺凛の声はまだまだ快楽を受け取っているとは言えない。顔も赤いがそれは恥ずかしさからくるものだろう。
「綺凛、どんな感じだ?」
「はぁ、んっ、わかんないです……っ。人に触られたのなんて、初めてで……っ」
「いつもはどんな感じなんだ?」
「いつもですか? いつもは、って、いつもはこんなことしてないですよっ!」
それでもだんだんと、服の上からでもわかる変化が起き始めた。
手のひらの中心に、柔らかさとは違った感触が現れ始める。沈み込むような柔らかさとは別の芯のあるような突起だ。それがどんどん自己主張し始めている。
「うぅぅぅ……っ、それ、こりこりされると……っ、なにこれ……っ」
「ここを重点的にされるのがいいのか?」
「いいかは分からないです……っ! でも変な感じで、はぅ!」
服の上から突起を摘まむ。服の上からだろうと関係ない。服を押し上げて小さいテントを作ってしまうくらいに固くなっているんだ、2本の指で扱くなんて簡単だ。
「な、なに、これぇ……っ! 体、勝手にビクッ、ってなる……っ」
綺凛は目を固くつぶり、口も閉ざしている。
わざと服の生地で乳首をこするように胸元を開いた。薄い生地にくっきりと形がわかるくらいに押し付け、繊維をのこぎりのように突き立てて一気に切り裂く。
そのせいで綺凛は俺が脱がそうとしているのに、何も言うことは出来ない。
胸元が開いた衝撃で、そのわずかな衝撃だけで大きな双丘は揺れる。実際に見た綺凛のおっぱいは圧巻の一言だった。この年齢でここまで育つなんて、どれだけ良いものを食べているんだろうか。
ツンと重力に逆らって起立する桜色の頂点は、服の上からの愛撫ですっかり充血してしまっている。
「ぁ、や、見えちゃってる……っ! 恥ずかあっ、あぁぁぁっ! ひぅ、ふぎゅっ、うぅぅぅ……っ」
何か言われる前に、硬くなった乳首を摘まんで黙らせる。素晴らしいボリュームのおっぱいにも指を沈める。
極上の感触を楽しむ。指が沈み込むのに押し返そうという反発があり、指を離すと元の美しい形に戻る。
綺凛は服の袖を噛んで声を出さないように必死にこらえている。口で呼吸しないせいで鼻息が荒い。
顔に皺が出来るほど目を強くつぶり、その目じりには涙すら浮かんでいる。
いくら胸をもまれる弱い刺激でも、ずっと続けられてしまえばやがて頂点に達してしまうことになる。
「ふぅーっ、ふぅーっ、ふぅーっ、うぅ。ううぅぅぅぅぅ~~~~~~っ!!」
限界が訪れた。大声こそ出さなかったが、内股を震わせて体をこわばらせるその動作は、まぎれもなく女性がイッたときの反応だ。
「すごっ、すごいぃ……っ。頭の中、弾けて、ピカっとして……っ。イッちゃった。私、イッちゃったんだ……」
息も絶え絶え、露出した胸元を隠そうともせずに、綺凛は脱力したまま横になっている。
それにしても、イクとかそういう単語は知ってるんだな。
「し、調べたりはしました。恋人同士になって何をするかってことは」
確かに、マンガなんかでも良く題材にされることだしな。恋人は何をすれば恋人らしいのかってこと。
個人的には恋人って言うのは当人たちの心の持ちようで。恋人は何やっても恋人なんだよ。だからカップルが街中を歩いているだけで『リア充爆発しろ』って呪いをかけられる(特に男子の方に)んだから。
でもカップルがすることで、他の物とはまた別種のことはある。
それがつまり、『こういう行為』なわけだけど。
このタイミングで言うのだから、調べたのはそっちのことなんだろう。訓練で一緒にいることはよくあったし、この部屋に来てからやけに誘ってきていた。
「それで、興味がわいたんだ」
「はい……あ! でも違いますからね! エッチなことがしたいから先輩に告白したわけじゃありませんから! 調べ始めたのは、その、先輩を意識するようになってからで……っ!」
とてもうれしいことを言ってくれる。
「それで続きは、どうしますか」
「続き?」
綺凛は起き上がって問うてきた。
続き。恋人が行う行為はこれで終わりではない。女性の方が達したからといって終了になるわけではないのだ。
もっと言ってしまえば、今していることは前段階の準備段階。ここで終わるなんて。
「私、先輩と最後まで……」
はだけていた着物のパジャマ。その帯を解く。
袖を通して、体に巻き付け、帯を結んで着るのが着物だ。お腹で固定していた帯がなくなるだけで途端に脆くなってしまう。
俺の息子も、そんな綺凛の言葉に期待を膨らませるのだった。