※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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陸戦試合③

「行きます! ソニックシューターッ!」

「……覇王流、『旋衝波』」

 

ヴィヴィオの周りに虹色の光球が現れる。魔力で形作られた弾丸だ。それに対して構えるのはアインハルト。彼女の周りには目に見えるものは何もない。

 

だが、

 

(アインハルトはハッタリで構えを取るような娘じゃないわ。必ず何か反撃が来るッ!)

 

クロはアインハルトのことを甘くは見ていなかった。2人だからと言って、油断はしていない。目の前のアインハルトからは、静かな闘志がみなぎっている。

 

2週間ほど前まで感じていた雑念が根こそぎ集中力に変換されたような、前に公園であしらった時とはまるで別人だ。

 

幸い、組んでいるのは『目』の良いヴィヴィオだ。カウンターを得意とするヴィヴィオだが、特訓のおかげで、その強みはさらに引き延ばされているのをクロは知っていた。

 

アインハルトがカウンターを構えていたとしても、ヴィヴィオなら最低限の被弾で留めることが出来る。

 

しかし、クロの判断は誤りだった。

 

「な―――に……?」

 

あろうことかアインハルトは、前方から迫るヴィヴィオ、その周りの逃げ道を塞ぐように追従していたヴィヴィオよりも少し速い魔力弾を掴み始めたのだ。

 

正確に言うと、がっちり掌でキャッチしているわけではない。滑らせるように滑らかに、魔力弾の威力が炸裂しないように勢いを殺したのだ。

 

「ッ!! (ちょっ! 弾の形を全然崩さないで!?)」

 

流石のヴィヴィオも、その光景は理解を超えていたらしい。

 

はたから見れば魔力弾を掴んで受け止めている。当たり前だが、ただ単に弾いて防ぐよりもはるかに難しい芸当だ。そんなことをわざわざ行ったということは、そこからさらに繋がる行動があるということだ。

 

その行動を、思考が空白になったヴィヴィオに差し込む。

 

自ら距離を詰めていたというのに、ヴィヴィオの思考は完全に空白になっていた。

 

そんなヴィヴィオに対して持っていた魔力弾を、

 

「覇王流、『旋衝波』ッ!!」

 

投げつけた。

 

全く威力が衰えていないそれは直撃し、炸裂する。

 

完璧に迎撃される形になったヴィヴィオはライフを大きく削られて墜落。あと何か一つダメージを負うと脱落してしまうほどまで追い込まれてしまった。

 

このまま追撃されれば一気に苦しくなると判断したクロは、魔力消費を承知の上でアインハルトの背後に転移する。その両手には干将・莫邪が握られている。

 

左右から襲い掛かる神速の斬撃は、まるでギロチンがはさみになって襲い掛かっているかのようだ

 

しかしそれを予測していたかのように、二刀を受け止める。流れは完全にアインハルトの手にあった。

 

「初めて見る技じゃない……ッ! あんなことも出来たのね……ッ!」

「覇王流に生半可な射砲撃は通じませんから」

 

莫邪の刀身を使って反撃の拳を防ぐが、その衝撃で刀身にヒビが入る。

 

「ずいぶんと腕を上げたみたいね! 正直、この前までのあなたは見てられなかったけど! 今日は見違えるくらい調子がいいわね。何かあったのかしらッ?」

 

クロもアインハルトの気持ちについては気が付いていた。気が付く悩みというのはそのくらいで、そのうち自分が橋渡しになってどうにかしようと考えていたのだ。

 

いつの間にか解決していたので、翔がどうにかしたのだということも予想がついていたが、詳しくはまだ聞いていなかった。

 

(ま、あのアインハルトが自分から告白とかしないだろうし、適当に優しくされたとかそんな感じなんだろうけれど―――)

「私も翔さんと、その……結ばれましたから」

「……は? ……なぁぁぁんですってぇぇぇっ!?」

 

言葉の意味を理解したクロは、絶叫しつつ切りかかる。

 

2人の拳が、刀剣が空中でぶつかり合う。

 

「結ばれたって、何をッ! 何処までッ! かしらッ!」

「そ、そんな……クロさんにはまだ早いと思います……っ。もう少し大きくなってから……」

「全部理解したわよコンチクショーッ!!」

 

一体全体、自分の目も節穴だったものだ。クロは素晴らしい表情で刀を振り回す。まさかアインハルトがそんなにアグレッシブな女の子だったとは。余裕をかましている場合ではなかったのだ。

 

「とりあえず詳しい話を聞かせなさーい!!」

 

一方、墜落したヴィヴィオ。空中での会話は聞こえていない。大の字になって道路に亀裂を作っていたが、その顔は被弾の痛みよりも初めて見る技に対する歓喜に満ちていた。

 

(凄い――――凄い凄い凄い!! アインハルトさん、あんな技も持ってたんだ!)

 

立ち上がって体に力を込める。寝ているなんて勿体ない。一刻も早くあの戦闘に混ざらなければ……

 

《はいはーい。やる気を出したところ悪いけれど、ヴィヴィオは一回後退ね》

「えーっ!? そんなぁ……」

 

一番後方にいるルーテシアから通信が入る。しかしその指示はヴィヴィオが望むものではなかった。

 

駄々をこねるように腕を胸の前でぶんぶんと振りまわす。

 

《文句言わないの! こんな序盤にアタッカーが撃墜されたら、作戦が総崩れするでしょ! しっかり回復して終盤に出れるようにするから!》

「ううう、はーい……」

 

このまま攻撃し続けていても、アインハルトとのダメージレースに勝つことは難しい。幸い、他のポジションは拮抗している。アインハルトが突破してきても最強の守り人がいる。

 

《クロも! 攻撃を受けないように後ろに下がって! しばらく狙撃に徹してもらうから!》

「ッチ! しょうがないわね……! アインハルト、覚えてなさい!」

「絶対! 今度は1対1ですからね!」

 

そう言い残し、2人は逃げ去っていく。距離を放されれば、アインハルトの攻撃手段は極端に限られる。有効打を打つためには接近しなければいけないが、

 

《無理に追わなくてもいいわ、アインハルト》

 

今度はアインハルトの方に、ティアナからの通信が入る。

 

「私も下がりますか?」

 

2人に競り勝ったが、細かく積み重ねたダメージは少なくない。回復のために魔力も消費した。ここは自分も一度下がって回復するべきかとティアナに問う。

 

《……そうね、このまま攻めちゃっていいわ。夜月君を無理やり突破させるから。2人で―――なのはさんに突撃して》

「(なのはさん―――ヴィヴィオさんのお母様、管理局のエースオブエース……ッ!)はい、わかりました!」

 

指示を受けたアインハルトは、2人が逃げたのとは別の方向に向かって大きく飛んだのだった。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

アリアとヤミと向かい合う俺と理子。最初に動いたのはアリアだった。

 

「変態は消えなさいッ!!」

 

いったい誰に向けられた言葉なのか。少なくとも銃弾は俺に向かってきている。

 

物騒なセリフと共に、アリアの持つ銃が弾丸を吐き出した。しかしそこには良く知るマズルフラッシュも硝煙の匂いも無い。派手にぶっ飛んだ、拳銃からは想像もできない轟音だ。

 

吐き出された弾丸も、いつもの鉛球ではない。ランチェスター大聖堂の銀十字を錫溶かして作った法儀式済13mm爆裂徹鋼弾。そして、純銀製マケドニウム加工弾殻の法儀式済み水銀弾頭だ。人外の怪物すら跡形もなく消し飛ばす銀の雨となって襲い掛かってくる。

 

 

 

 

 

二丁拳銃(454カスールカスタムオートマチック&対化物戦闘用13mm拳銃『ジャッカル』)

 

『HELLSING』の主人公『アーカード』が使用する二丁拳銃。吸血鬼であるアーカードの使用を前提にしているため、常人には到底扱えない代物。一応装弾数は決まっているが、気が向いた時にリロードすればたとえ百万発撃っても弾切れしないコスモガン。

 

 

 

 

 

コイツを引き当てた時、アリアに渡すかどうか本当に悩んだ。二丁拳銃と言えばアリアだ。理子も二丁使えるが、どちらかと言えば爆弾魔のイメージが強い。アリア以上にこの武器を使いこなせる人はいない。

 

そう考えたのは良いが、武器の規格が吸血鬼用のこの二丁拳銃は、人に扱えるかはなはだ疑問だった。一発撃っただけで肩がブチ壊れる代物だったのだ。

 

だがアリアのパワーは、あの暴れ馬を簡単に手懐けてしまった。説明文には『常人には到底扱えない代物』って書いてあったんだけど、アリアは常人じゃないから全然問題なかったらしい。

 

そんな銃弾が、俺に向かって雨あられと降り注いできた。

 

防御は難しい。ならば避けるまで。

 

「牙(タスク)ッ!」

 

いかに攻撃力が優れていても、回転の穴の中にまで入り込むことは出来ない。

 

「ッチ! こざかしい能力ね!」

 

だが、回転の穴はそこまですばやく移動出来るわけではない。ずっと籠っていたいが、そうもいかない。タイミングが合えば、出てきたところを狙い撃ちで墜とされかねない。

 

そして、アリアならそれが出来る。

 

「くふっ」

 

もちろん、そこに邪魔が入らなければの話だ。

 

理子の新しい力、『キラークイーン』。この場では俺にしか見えない猫にも似た理子の化身は、その指先からこの場には不釣り合いなものをアリアへと向けて飛ばした。

 

ふわり。ふわり。風に乗ったソレ―――しゃぼん玉―――は俺のことを待っていたアリアへと吸い込まれるように―――

 

「ナメんじゃないわよ、理子」

 

全く理子の方向を見ずに、アリアは撃ち落とした。発射された弾丸は、シャボン玉の薄い膜に突き刺さった瞬間、空中で弾けて銀の花火になる。

 

「お前こそナメんなよ、オルメス」

 

理子のスカートからは2つの小型ロケット弾が顔を覗かせていた。

 

だが、アリアの態度は変わらない。同じように撃ち落としにかかるが、ロケット弾を撃ち落としつつ俺にずっと集中力を保っているのは無理だ。

 

その隙に穴から飛び出し、素早く建物の後ろへと避難する。

 

見ると、理子がヤミの攻撃を受けていた。あの神速の斬撃をスタンドを使って受け流しているが、旗色は悪いようだ。今そこに、俺を取り逃がしたアリアも加わろうとしている。

 

「ッチ! ごめんねぇ、ヤミちゃん。こんなに早くに落とされるわけにいかないからさ……っ」

「逃がしませんよ」

 

スタンドの特性を生かしつつ責める理子だが、イマイチ責めきれない。

 

「見えないだけでそこにいる。今のように狙われる場所を絞ってしまえば、避けることもできます」

「スタンドも過信は禁物って訳ね……」

 

ヤミも決して深追いしようとはしない。あくまでじっくりと責めることを選択しているようだ。

 

アリアも合流し、挟まれる形になる。

 

「今は2対2なんだから、片方だけに集中してちゃいけないでしょ?」

 

そのセリフはそっくりそのまま、アリアに返してやることにしよう。

 

俺も、先日の行為で新たな力を手に入れている。

 

 

 

 

 

魔物の子の本(金色のガッシュ、ガッシュ・ベル)

 

『金色のガッシュ』に登場する魔物とそのパートナーが持つ、呪文が書かれた本。この本はガッシュ・ベルと高嶺清磨のペアが持っていた本。この本を手に持って呪文を唱えることで、呪文を発動させることが出来る。現在解放されているのは第3の呪文まで。きっかけを経ることで、より上位の呪文を開放できる。

魔力とは違う『心の力』をエネルギーとしているが、発動した呪文はこの世界では魔法に属する能力になる。

 

 

 

絶倫

 

枯れることの無い最強の男根。どんなにしても一生枯れることはない。

 

 

 

 

 

手に入れた能力、下のヤツは……まあ、今は役に立たないものとして、この魔物の子の本は別だ。

 

シンプルな外装の大きな赤い本。中に書かれているのはどんな天才でも解読出来ない未知の言語だ。いや、そもそもページのほとんどには文字が書かれてすらいない。

 

こんなに分厚いのに、書いてあるのはわずか数ページだ。

 

書かれているのは呪文。その数は3つ。

 

狙いを定めて、右掌を向け、叫んだ。

 

「第一の呪文、ザケルッ!!」

 

右手から、電撃が放射された。

 

本来はガッシュの口から発射されるはずだが、ここでは俺の魔法として扱うことが出来る。ガッシュのように意識を失うこともない。イメージとしてはゼオンが使う形に近い。

 

威力自体はそこまでではない。だが電撃は銃弾で弾くことは出来ない。絶縁体でもなければ、どうしても体にダメージが残ってしまう。

 

「「ッ!!」」

 

理子すら巻き込みかねない攻撃にアリアと理子は驚いて距離を取る。理子からのみ見える位置から撃っていたため、理子に当たることはない。

 

仕切り直しが行われ、戦闘が始まる時とほとんど同じ構図でにらみ合う。

 

そんな激戦の真っただ中、俺に通信が入った。

 

《夜月君、聞こえる?》

 

声の主はティアナだ。

 

「はいッ! 何ですかッ!」

 

《今からティナに援護させるわ。何とかその2人を突破してアインハルトと合流して!》

「なのはさんのところに行けばッ?」

《その通りよ!》

「何とかします!」

 

相手チームの要は間違いなくなのはさんだ。

 

特訓で実力をつけたアインハルトと、サーヴァントとも戦えるようになった俺。いくらエースオブエースでも2人がかりでかかれば、何とか倒せるはずだ!

 

「逃がすと思うのかしらッ!」

 

俺の立ち回りが変わったことを目ざとく察したアリアの攻撃が激しくなる。攻めっ気しかない強襲だが、アリアのポテンシャルとアーカードの拳銃から放たれる弾丸は、ピンクの悪魔の突進を捌く余裕を与えてくれない。

 

「ならばッ! 牙(タスク)ッ!」

 

牙(タスク)ACT3の回転の中に逃げ込み、そのままビルの壁面を移動する。

 

「逃がす、かァァァァァァッ!」

 

凄まじい勢いで連射された弾丸は、回転が着弾し、今俺が移動しているビルの壁面に命中する。

 

建物の建材を塵も残さず消し去り、回転エネルギーの進むべき先のビルが消滅してしまう。

 

「うっそだろ!?」

 

回転の穴から放り出される。

 

いくらなんでも、こんな大火力が出せるのか!? この短期間でここまで使いこなせるのかよ!

 

攻撃のために動きを止めたアリアには理子が組み付き、スタンド攻撃をしている。だが、逃げに徹したアリアを捕まえるのは容易では無い。

 

その才能に感心するが、それよりもこちらだ。

 

ピンクの悪魔を退けたかと思えば、今度は金髪の暗殺者だ。

 

すでに足元には魔法の道は存在しない。だが、自在に空を飛ぶ術を持つヤミは、右手を刃物に変身(トランス)させて、すでに間合いに入っていた。

 

「固有時制御(タイムアルター)2倍速(ダブルアクセル)ッ!」

 

衣服が切り裂かれる感触がする。

 

2倍速に加速して微妙に間合いから脱出することで、一番の斬撃を回避する。

 

だが俺とヤミの距離はまだまだ近い。一歩踏み出せば拳が届く距離だ。

 

ヤミは背中から生やした白い翼で飛んでいるため、『一歩踏み出す』という表現は正しくはないだろう。そもそも、ヤミは全力で両手を武器として振り回していたとしても、変身(トランス)は腕自体を増やすことが出来る。

 

ちらりと確認するとフリーになっていた金髪が収束し、巨大な鉄球になる。

 

あんなものを叩きつけられては、行動不能になるまでライフを削られてしまう。それにしても、いくらケガをしない不思議空間にいると言っても、その鉄球殺意が高すぎるような気がするんだけど……?

 

ヤミの目も据わっているし。

 

ヤミに向き直る暇はない。ここは物理攻撃に耐性がある黒影(ダークシャドウ)を―――

 

「私に背中を見せるとは――――ッ!!」

 

ヤミの翼が狙撃で撃ち抜かれる。貫通した狙撃弾は、近くのビルの壁に着弾する。翔の背中を狙った結果、逆に背中を撃たれる結果になってしまった。

 

なったのだが、弾痕を見た俺はぞっとする。人の頭に当たったら首から上が綺麗になくなるくらいの威力だ。防弾性の素材を貫通する目的で作られた貫通弾(アーマーピアス)か。

 

狙撃手、おそらくティナだとは思うが、味方が近くにいるところに撃ち込むには少々過剰な威力だ。

 

何でそんなに気合が入ってるんだよ!

 

「やられました……ッ!」

 

撃墜はされなかったものの、大きなダメージになる。俺も追いかけてももう追いつけない距離まで逃げることが出来た。

 

しかし、

 

「ティナね。場所はわかったわ」

 

天才アリアは、1発の狙撃だけで相手の大まかな位置を割り出していた。厄介なスナイパーは早めに排除しておきたい存在だが、

 

「でも、2人ともここから動けないよねぇ?」

 

2人の前には理子が立ちはだかる。

 

「理子! ここは任せた!」

「くふっ、オッケー、翔君」

「即効で潰してやるわ」

「やってみろよ、オルメス」

 

俺は抜けたが、戦闘は続行される事になった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

《なのはさん、全体的に押されてます!》

「うん、ちょっとこの辺で反撃しておかないとね」

 

なのはとルーテシアが通信で作戦会議していた。

 

《なのはさんに負担が集中しちゃうんですけれど……》

「全然! 気にしないで。むしろそのほうがありがたいから」

 

ヴィヴィオの友達であり、古武術である覇王流を使うアインハルトの実力は知っておきたいと思っていたところだ。

 

さらに、翔のことは言わずもがなだ。部隊長であり、この試合には参加せずに観戦しているはやてには、翔の実力は出来るだけ引き出してほしいと言われている。

 

向こうから向かってきてくれるなら、これ以上都合の良いことは無い。

 

《お願いします。2人にキツーイ一発を食らわせてやってください!》

「うん、任せて! ……Aチーム各位! まもなくアインハルトちゃん、夜月君とエンゲージ! 支援砲撃が止まります!」

《了解!》

 

なのはは、迫ってくる2人の若者に対して、自らのデバイス―――レイジングハートを構えるのだった。

 

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