アリアとパーティーを組んだ翌日。アスナ、アリア、狂三の3人は
「2人ともいい動きだったじゃない。ランクはいくつなの?」
「私も狂三ちゃんもAだよ」
「狂三の力も強力だし」
「いえいえ。わたくしの
実は同じクラスだったこともあり、すっかり仲良くなった3人。硝煙の匂いが絶えない
「代償? なによそれ。パーティーリーダーとして知っておく必要があるわね」
「アリアさんには少し早いかもしれませんわね。どう思われますか、アスナさん?」
「な、なんで私に振ってくるの!?」
言うまでもなく
そんなアスナを見て、不思議そうに首をかしげているアリア。
「3人とも。やっほー」
そんな3人に近づいてくる女子がいた。
金髪をツーサイドアップに結った、ゆるい天然パーマの女子だ。アリアと同じくらい小柄なその体は、フリルだらけの改造制服によって飾られている。
この子の名前は峰 理子。アスナ達のクラスメイトだ。
「おや、理子さんではありませんの」
「ホントだ、どうしたの? 確か理子ちゃんって
「仕事だよ、し・ご・と。あーあ、ヤになっちゃうよね~。早く家に帰ってゲームの続きしなきゃいけないのにさ~」
こんななりの理子だが、実力は高い。情報収集能力に長け、ランクはAだ。人は見かけによらないという言葉を体現したような人物である。
いちいち言葉に合わせて大げさな身振り手振りをくわえる理子だが、不思議とうっとおしいと言ったような感情は起こらない。このあたりがクラスの人気者になる所以なのだろうか。
「あ、そう言えば」
理子はスカートのポケットから派手にデコられた携帯を取り出した。
その画面を操作して、3人に見せる。
「この人達、誰だか知ってる?」
そこには、キメラドーパントとチャリジャックのパラドクスの戦闘が映っていた。
3人は言葉に詰まった。
翔からは、できるだけ仮面ライダーの事は秘密にしてほしいと言われていたからだ。アリアには協力するという目的があったため、早々に正体をばらしたが、言いふらしたいというわけではないからだ。
「現れたのは2日前と昨日なんだけど……2人はこの人に会ってるよね?」
アスナとアリアを交互に見ながら理子は言う。
続けて映された写真にはバッチリアスナとアリアが映ってしまっている。
「知らないわ」
「私も全然知らないよ。どうして?」
それでも映っているだけだ。知らないと言えばどうにでもなる。
「なんかね、この人を自分のチームに入れたいって人が私に依頼してきたんだ。少し調べたんだけど凄いんだよこの人。多分どこかの研究所から逃げ出したんだと思うんだけど、すごく大きな怪物を倒しちゃったり。銃弾を銃弾で跳ね返したり。でも、知らないならしょうがないね」
理子は携帯を閉まってうすく笑う。その笑い方は冷たく鋭いものだ。とても理子の雰囲気からは想像できない。
アスナとアリアは追及を免れたことでほっとしている。が、狂三だけはその違和感を感じ取っていた。
「あ、もうこんな時間だ。早く行かなきゃ! じゃ~ね~」
理子は用事は済んだとばかりにその場を去って行ったのだった。
完全に姿が見えなくなったところで3人はふぅ、と息を吐いた。
「危なかったね」
「そうね。ああいう情報って埋もれるものはすぐに埋もれるけど、興味を持たれると一気に広まるから。ま、武偵殺しを捕まえれば、いやでも有名になるでしょうけどね」
2人はすっかり気を抜いているが、狂三だけは違った。
「……そうですわね。少し、気を付けるように翔さんに伝えておくべきでしょう」
そうつぶやくと狂三もその疑問を胸にしまい込んだのだった。
こうして3人は各々この出来事を頭の隅に片づけた。
今日は用事があるから。
えー、現在女子会中。雪菜(そう呼ぶことになった)、アスナ(したんだし、さん付けはやめてほしいといわれた)、狂三(召喚初日にこう呼ぶことになった)、アリア(結局こう呼ぶことになった)が楽しく談笑している。
クロの方は、今日は小学校の友達との用事があるとの事だった。
よって俺は1人、会話に混ざれずにいた。テーブルが同じなせいですごく居心地が悪い。正直帰りたくなってきた。
俺たちは特に捜査もせず、とあるカフェでお茶をしている。捜査をしようにも、武偵殺しの足取りは全然つかめてないしな。
アリアの話によると、武偵殺しは爆弾を好んで使用する傾向にあるらしい。その際、遠隔操作で爆発させているためか特徴的な電波を出すのだとか。
それを頼りに事件現場に行き事態を収拾するらしいのだが、完全に後手に回っているうえにその場に武偵殺しはいない。さらには、欠片の証拠も残さないらしい。
ここまでされると完全にお手上げ状態。掌の上で踊っているという言葉がこれほど似合う状況はないだろう。
原作の犯人ならわかっているが、証拠が残っていないため逮捕は不可能。
俺たちにできるのは爆弾の被害をできるだけなくし、武偵殺しのわずかなミスを期待することだけだ。
したがって、事件があるまでは基本的にフリーになっている。
というわけで、親睦会タイムとなっているわけなんだ。
話題を提供しているのはほとんどアスナさんなんだけどな。アスナさんのコミュ力が半端ない。
狂三はどうしてそんなに話についていけてるんですか? 一番長くいるはずの雪菜よりも自然に会話に混ざっているのは、どういうことなんですか? あなた、召喚されて2日も経ってないですよね?
そしてアリアは……うん。原作通りならまともに友達いないんだよなぁ。受け答えがぎこちなさすぎてみているこっちが不安になってくる。自分が話してないときに助けを求めるような悲愴な視線を向けてくるし。
やめてくれよ。俺もそんな早口呪文みたいな会話に混ざる技術はないんだよ。
「そ、そういえば! あんたたちってみんな一緒に住んでるの!?」
そんな状態に焦ったのか、アリアは上ずった声でそんなことを言い出した。
アリアとしては無難な質問のつもりだったのかもしれないが、俺たちに対しては冷や汗を流させるレベルの質問だ。
「ええ。翔さんからパーティーに誘ってくださって。あの家は翔さんのお父さんの持ち物なんですのよ?」
そんな嘘をさらりとついていく狂三。
後で狂三に聞いたことによると、本当に名義上は俺の父親があの建物を所有していることになっていた。この世界に俺の父親はいないはず(俺の知る限りは)なのだが、そういう手続きをされていた。
これをこの短期間に調べていたとは……
色々と違うことを見せつけられた気分。
「へぇ~、で、パーティー組んで一緒に住んでるってこと?」
「そういうことですわ。それはもう……情熱的な口説き文句でしたのよ?」
これは本当に嘘。
「え、は? く、口説いたって……アスナと雪菜はともかく、あのクロって娘まで!? 翔! あんた、女ならだれでもいいわけ!?」
正直、かわいければ。
「わたくしは直接見たわけではありませんが……ほかのお二人も、さぞ熱い交わりだったのでしょうね」
その言葉に顔を赤くする雪菜とアスナ。意味を完全には理解しなくても、直感で反応し、銃を抜くアリア。
散々煽った狂三はすでに退避している。
平和な喫茶店に銃声が鳴り響くのだった。
俺達5人は家に帰宅していた。
少し、そう、少しだけお店を騒がせてしまったが、大したトラブルもなく一日が終わろうとしていた。
「今日の夕飯は何にしようか……」
俺は今日の夕飯について思考する。
「翔、料理できるの?」
「うん。家のことはアスナと分担してやってるから」
昨日買い物したし、今日はスーパーによる必要はないな。そのまま帰るとするか。
その時、アリアが急に立ち止まった。
「どうかしましたか?」
雪菜がアリアに声をかける。
「ここって何?」
「ゲームセンターだろ、そんなことも知らないのか?」
「帰国子女なんだからしょうがないじゃない」
そんな会話をする二人にアスナが提案する。
「まだ時間もあるし入ってみない?」
「そうだな」
俺たちはゲームセンターの中に入った。中に入ると、思わず耳をふさぎたくなるくらいに大きなゲームセンター特有の音に襲われた。
それに対してアリアは、
「うるさい場所ね」
至極まっとうな評価を下した。俺もそう思う。
アリアで忘れがちだが、雪菜もこういった場所を訪れるのは初めてだ。よって、今回は2人に合わせることになった。
プレイはしないで歩き回り、2人が興味を引かれたものから説明していく。
「ねぇ、何これ」
アリアは近くにあった機械を指さす。
「UFOキャッチャーだな」
「UFOキャッチ? なんか変な名前ね」
「これのどこにUFOがあるんですか?」
雪菜もじろじろとUFOキャッチャーを観察している。
と、雪菜とアリアは箱の中にあるぬいぐるみを見る。そしてその視線がそれに釘付けになった。
アリアは箱の窓に張り付く勢いで、雪菜はチラチラと横目で見てる。どっちも欲しいアピールが激しいな。口に出したら否定するかもしれないけど。
「翔さん。ここは男らしく、俺がとってやるよ、と言う場面では?」
「残念だけど、俺はそこまでUFOキャッチャー得意じゃないんだ。調子に乗って取ってやるなって言った暁には、女の子のほうに、もう大丈夫だから、って言われる未来が予知できる」
俺の腕前は口の近くにあるやつを何とか落とせる程度。難しいよ、これ。
「やるだけやってあげたら?」
「そこまで言うなら……」
俺は100円玉を取り出す。
2人にはどいてもらい操作パネルの前に立つ。
それを投入するとゲームスタート。軽快な音声とともにアームが動き出した。
そこまで気負うことなく、ボタンを操作していく。
なるべく取りやすそうな……あれにしておくか。
アームが下りていき、ぬいぐるみの耳をとらえた。
「お」
順調に持ち上がっていき―――ん!? ぬいぐるみの足にもう一つのぬいぐるみのチェーンが絡まってるぞ!?
2匹の重さがかかっているアームは不安定に揺れながら、出口に向かう。
そして―――
本当に帰り道。雪菜、アスナ、狂三、アリアの手にはそれぞれぬいぐるみが握られていた。
なんとアームが開いて落ちるとき、積み重なっていたぬいぐるみを2匹巻き込んだのだ。
これで合計4匹手に入れることができた。
人生の中のUFOキャッチャーの運をすべて使い果たした感じがするよ。
「翔さん」
少し先を歩いていた女子組から、少し速度を落として狂三が近寄ってきた。
なにもされてなくても体がぴく、と動いてしまうのが本当に申し訳ない。
「このぬいぐるみ、クロさんに差し上げてください。今日は一緒に行けなかったお詫び、ということにして」
「うん? いいのか?」
俺の問いに狂三はうっすら笑って、指を絡めつつ手を握ってきた。
「はい。翔さんにいつまでも警戒はされていたくはありませんもの。これはポイント稼ぎの一つとでも思ってくださいまし」
セリフはそっけないが、手は離さない。
「そっか、ありがとう」
「ふふ、いえいえ、お気になさらず」
俺たちは結局、みんなに見つかるまで手を握っていたのだった。
狂三との軽いHシーンにしようかと思ったんですけどね。こんな形になってしまいました。