※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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もう1人のお姫様 後編

「良かったです。すぐに合流出来て」

「はい……本当に助かりました。ありがとうございます、聖天使様」

 

こうして落ち着くのは、今日何度目か分からない。

 

雪菜に制服を渡し、ララには新しい服を、ペケが作ったナノマシンの服ではなく、普通の防弾繊維で出来た服を買って、着てもらった。

 

お店にも説明は済ませたし、一件落着だ。ただ、時間がかかり過ぎたせいで、時刻は午後3時を過ぎてしまっている。

 

この時間から試合を見に行っても、ほとんど終了してしまっているだろう。それに、ララも無事に送り届けなければならない。護衛から無理やり引っ張ってきてしまった責任がある。

 

「えー? 私まだ帰らないよー!」

「そんなこと言わないで下さいよ。護衛の人もお父さんもお母さんも心配してますから」

 

駄々をこねるララ。こっちも簡単に言うことを聞いてくれるとは思っていないけど。俺たちから逃げられても困る。

 

「というか、どうして先輩はお店の外で待ってたんですか?」

「無用なトラブルはご免だったから」

 

俺が行くと絶対に何か起こる。そんな予感がしたんだ。

 

でも、そう思って残ったのは間違いないけど、それ以上の相手が俺に近づいてきた。

 

「先輩? どうしましたか?」

「……や、何でもないよ」

 

この場で話すことじゃない。言っても混乱させるだけだろうしな。とにかく、何かあったら頼りになるのは間違いない。

 

これが門矢士じゃなくて他のライダーでも、この安心感を得られるんだろう。

 

「本物のヒーローってことか……」

 

まさにレジェンド。次に会ったらサイン貰わないと……そんな暇あるかな。絶対、戦いになってるだろうからなぁ。

 

「じゃあそろそろ、デビルークの大使館に連絡を取りますか」

「だーかーらー、私は帰らないって」

「ララさん? 本当に、我が儘を言うのはやめましょう? 何かあってからでは遅いですし」

「それに帰らないというのは……今夜は何処に泊まるおつもりなのですか?」

 

聖天子様とコッコロも説得するがまるで効果が無い。

 

「いーの、いーの! 私良いこと思い付いたから!」

「いいこと、ですか?」

 

雪菜が首を傾げ、その先を聞こうとする、その時だった。

 

「ようやく見つけましたよ! ララ様っ!!」

「お」

 

この耳に残る超ベテラン声優のボイスは。

 

俺が目を向けると、部下を引き連れた長身かつイケメンの男性。俺の知っている男だ。

 

「あっ、ザスティン!!」

 

ララの声に聖天子様が立ち上がる。

 

「誰でしょうか?」

「デビルーク王室、親衛隊隊長。多分ララを連れ戻しに来たんだ」

 

雪菜の質問に小声で答える。

 

この圧。原作では残念キャラになってしまったザスティンだが、伊達に王室親衛隊の隊長ではない。偽物かと疑う方がバカだ。

 

後ろにいる部下の中には、先ほど雪菜がぶっ飛ばした人達がいる。

 

「学園島日本代表、聖天子です」

「聖天子様。この度はララ様を保護して頂き、ありがとうございます」

「いえ。こちらもララ様を無事にお引渡しすることが出来て良かったです」

 

ここはお互い、余計なことは言わず聞かずで終わらせるつもりなんだな。詳しく突かないほうが賢明なんだろう。

 

俺たちがララを連れ去ってしまったことも、王室の護衛が簡単にララを連れ去られてしまったことも。

 

お互いお辞儀をすると、ザスティンはこちらに、席に座っているララに歩み寄ってくる。

 

「さあ、ララ様! 私達と共に帰りましょう!」

「いーっ、だ! 私帰らないもんね! 帰れない理由が出来たんだから!」

「……帰れない理由とは?」

「主様? 何処に行かれるのですか?」

「や、ちょっとトイレに」

 

身の危険を感じた俺は、自然な流れで席を立とうとする。この流れ、どこかで見たことがある。原作とは全く状況が違うし、そんなフラグは全然立ってなかったんだけど。

 

しかしそれでも、『流れ』はある。その『流れ』に乗せられてしまっている。

 

その流れから何とか脱出を―――

 

「私、ここにいる翔の事、好きになったの!」

「「「はっ―――?」」」

 

出来なかった。

 

繋がりは持っておきたいとは思ったけど、出会って1日でここまで濃密なつながりが欲しいとは思っていない!

 

ただでさえ色々あってキャパオーバー寸前なのに、この上さらにデビルークだと!?

 

「だから翔と結婚してここで暮らす! だから帰らない!」

 

俺が口を挟む暇も無く、ララは自分の決意を高らかに叫んでいた。

 

その音量に、通行人が全員こちらを見る。こんな道端で結婚だなんて、気にしないほうが難しい。

 

「なるほど、そういう事ですか……」

 

そして素直に頷き始めるザスティン。

 

何故そこでもっと疑わないのか。ララの性格的に、そのくらい唐突な、突拍子もない行動は日常茶飯事なのかもしれない。

 

「わかったら帰ってパパに伝えて! 私はもう帰らないし、お見合いする気も無いって」

「……、……、はっ! ララさん!? いったい何を言ってるんですか!? こんなに突然!」

 

フリーズから復帰した雪菜がツッコむ。

 

「ごめんね、雪菜。でも大丈夫だから」

「何も大丈夫じゃありませんよ!?」

「考えってもしかして、翔さんの家に泊まるってことだったんですか……?」

 

聖天子様はまさかと問いかけると、返ってきたのは満面の笑みと肯定だった。

 

「もちろん! だって結婚するもんね! だったら、別に一緒に住んでも問題ないでしょ!」

「あります!」

「それに主様の家には、今でもたくさんの女性が一緒に住んでおりますし……」

「え、夜月さん……?」

「シェアハウスです! シェアハウスですよ聖天子様!」

 

聖天子様の訝しげな視線を、何とか躱す。

 

「そーなんだ! じゃあ私1人が増えても全然大丈夫だね!」

「大丈夫じゃありませんって!!」

 

もはや誰の声にも耳を貸さないララ。本当にわがままなお姫様だ。

 

「……ララ様、もしかしてですが、このペケ、ララ様の魂胆が見えてしまったような……」

 

節電モードで今まで黙っていたペケが口を開く。

 

「ちょっとペケ、変なこと言わないでよ。私は本当に翔のことが好きなんだから」

 

ララの魂胆は俺も知っている。

 

原作でも主人公、結城リトに対して同じことをしていた。

 

好きな人が出来たことを理由として、王族としての窮屈な暮らし、様々なお勉強、お見合いから解放されようというのだ。

 

問題は、何で大したフラグも立てていない俺がその相手に選ばれたのかだ。誰でも良かったっちゃあ、そうなんだろうけど。

 

まあ手ごろな相手だったんだろうな。

 

だが、結婚すると言われてこの場から離れられる訳がない。自分のいないところで話が進むのは困るし、そもそも俺がどこかに行ってしまわないように、ザスティンの部下達が道を塞ぎ始めている。

 

「ですが、このまま帰る訳にはいきません」

 

黙って考え込んでいたザスティンが口を開いた。

 

「このザスティン、得体の知れない人物との結婚を認めて帰っては、王に会わせる顔が無い。それに結婚するというのなら、それは国に関わることです。ララ様の意志が固いというのなら、王に挨拶していただかなくては」

 

そりゃそうだ。

 

「えー……」

 

明らかにララのテンションが下がった。

 

「当たり前でしょう。認められれば国に来ていただき、王としての帝王学を身につけなければなりません。見たところ彼は一般市民。そもそもデビルークの王の器かどうかも分かりません」

「じゃあどーすればいいの? 翔はここで暮らしたいって言ってるよ?」

「そりゃ言うけどさ……」

 

でもそれは、さ? 結婚云々は全然意識の外なんですが?

 

それに、俺がここで暮らしたいって言うよりも、ララが王宮を離れたいって気持ちの方が大きいんじゃないのか?

 

「ふむ……」

 

ザスティンが俺をジロリと睨んでくる。

 

「貴様も、本当にララ様と結婚したいというなら、その気概を私に見せてみろ。王へ紹介するに値するのか、この場で試させてもらうぞ」

「や、あのですね? これは―――」

 

言うよりも早く、剣閃が俺を襲った。

 

「ほう……!」

「こう言っちゃなんだけどな……!」

 

超宇宙聖剣(スペースカリバー)でザスティンのライトセイバーを受け止める。

 

「正直あんたのことを見た時から、こうなるんじゃないかと思ってたよ!」

「一度も顔を合わせたことは無かったはずだがな!」

 

そのまま力で押し切られ、宙に飛ばされる。

 

「やっべぇ! マジで殺すつもりか!」

「相手は本気だ。手ごわいぞ」

 

セットアップしたレプリカ先生も、厳しめの口調で忠告してくる。

 

下手なサーヴァントよりも強いかもしれんぞ。デビルークの王室護衛はやっぱり格が違う。

 

「あれは魔法ではないな。魔術でもないだろう」

「超能力でもない。デビルーク人の血筋ってわけだ!」

 

ホットスポット上にあるデビルーク王国。そこの人たちは普通のホモサピエンスにはない尻尾と、未知のスーパーパワーを持っている。

 

それに加えて科学力もあるというのだからとんでもない。

 

「未知の力には未知の力で対応するしかないな!」

「君の持っている力は、ほとんどが未知の力だと思うが……」

「細かいところは気にするな!」

 

俺は家の格納庫にアクセスする。

 

「どうした! 来なければこちらから……む?」

 

ザスティンの体にバインドが巻き付く。レプリカでコピーした魔法だ。

 

「なんて貧弱な魔法だ……この程度か」

「ザスティンさん! やめてください! こんな場所で……! それにあの方はわたしの護衛です! ケガをさせられては明日以降に支障が……!」

「ご安心を、聖天子様。すでに結界は張ってあります」

 

気が付いた時には、関係者を残して人はいなくなっていた。

 

「お前たちは手を出すな。皆さんを安全なところへ」

「「「はっ!!!」」」

 

部下達は反重力装置を使いふわりと浮かんだ。雪菜たちも一緒に、手ごろなビルの屋上へ移動する。

 

「ずいぶんと優しいな。他の人を巻き込まないようにしてくれるなんてよ」

「当たり前だ。王と会わせるのかを決める大事な儀式。生半可な気持ちでは、ケガでは済まんぞッ!!」

 

本当はこっちの話を聞いてほしいんだけど……コイツは一回落ち着かせないとだな!

 

「行くぞッ!!」

「ああ―――オープン・ゲットッ!!」

「ッ!?」

 

俺の背後から3機のマシンが現れる。3色の小型の飛行機だ。

 

 

 

 

 

ゲットマシン(イーグル号)(初代)

ゲッターロボを構成する3機のマシンの1つ。3機が変形合体することで、ゲッター線を動力にするスーパーロボット『ゲッターロボ』になる。

例によって体に纏うタイプのパワードスーツになっている。合体した時の大きさは2メートルほど。

 

 

 

ゲットマシン(ジャガー号)(初代)

ゲッターロボを構成する3機のマシンの1つ。3機が変形合体することで、ゲッター線を動力にするスーパーロボット『ゲッターロボ』になる。

 

 

 

ゲットマシン(ベアー号)(初代)

ゲッターロボを構成する3機のマシンの1つ。3機が変形合体することで、ゲッター線を動力にするスーパーロボット『ゲッターロボ』になる。

 

 

 

サイドバッシャー

仮面ライダーカイザの専用マシン。

普段はサイドカー付きのバイクだが、変形することでバトルモードになることが出来る。

 

 

 

 

 

予選突破のご褒美で手に入れたアイテム。6つの内の4つ。後の2つはあげてしまったので、もう手元には無い。

 

今回はこいつで行くッ!

 

「チェンジ、ゲッターッ!!!」

 

3機のゲットマシンが変形し、俺の体を包むように合体していく。迸るゲッター線が3機それぞれの金属に作用。成長進化させることで、まるで粘土の様に形を変える。

 

「1(ワン)ッ!!」

 

完成したのはゲッターロボの第1形態。ゲッター1。赤い装甲に、同色のゲッターウイングがまるでマントの様にはためいている。

 

「機械仕掛けのロボットかッ!!」

「ただのロボットだと思うなよ!! スーパーロボットだッ!! ゲッタァァァトマホォォォクッ!!!」

 

肩から飛び出す無骨な斧。ゲッターロボの象徴ともいえる武器、ゲッタートマホークだ。

 

互いの獲物が交錯する。

 

叩きつけるような豪快なスイングが、トマホークに乗せられる。単純な鉄板なら容易に斬り裂けるだろうザスティンの剣を、しっかりと受け止める。

 

パワーも十分ザスティンと渡り合えている。

 

「なるほど、良い機体のようだな!」

「そいつは―――どうもッ!!」

 

力任せに腕を振りぬいた。

 

ザスティンはその力に逆らわず後ろに下がった。

 

「トマホォォォォク、ブゥゥゥゥメラン!!!」

「武器を投げるとは愚かな!」

 

剣を一振りしただけで、ブーメランを叩き落とすザスティン。

 

愚直に向かって来るザスティンに対し、俺はニヤリと笑った。

 

「オープン・ゲットッ!!」

 

俺の体に合体していたゲットマシンが分離し、ザスティンに殺到する。同時に浮遊能力を失った俺が、地上に落下し始めた。

 

「ザケルッ!!」

 

電撃を放ち、ゲットマシンが再び集まるまでの時間を稼ぐ。

 

「チェンジ、ゲッター―――2(ツー)ッ!!」

 

再び集まるゲットマシン。着地までのわずかな時間で変形合体する。しかしその姿は、ゲッター1ではない。左手に巨大なドリルを携えたゲッター2だ。

 

ゲッターの陸戦形態。超スピードで地上を駆け回り、右手のパワーアームと左手のドリルで敵を粉砕する。

 

ドリルなんてものを獲物にしている相手なんて、そうそう相手にすることは無い。唸りを上げるドリルの連続突きに、ザスティンはしかめっ面だ。

 

向こうからの反撃の気配を感じると、すぐさま距離を取り、再度突撃する。

 

地上を走破するそのスピードは、明らかに俺の方が早い。しかし攻めきれない。

 

「スピードはあるがパワーが足りてないなッ!!」

「パワーが見たいっていうなら―――オープン・ゲットッ!!」

 

あくまで俺の力を見るつもりなのか、今度は変形を待ってくれるザスティン。

 

「チェンジ、ゲッター―――3(スリー)ッ!!」

 

またしても形態が変わる。

 

ゲッター3。2本足ではなくキャタピラを装備した水中戦形態だが、ゲッター随一の力を持つ。

 

自在に伸びる腕がザスティンをからめとった。剣を振りかぶっていた腕も、拘束から逃れようとする足も、全て抑え込んだ。

 

抵抗を物ともせずに持ち上げ、

 

「うおおぉぉぉぉ!?」

 

そのまま宙へ放り投げる。

 

「オープン・ゲットッ!! チェェェェェェェンジ、ゲッタァァァァァァ―――1(ワン)ッ!!」

 

もう一度ゲッター1に変身する。空を飛び追撃するのではなく、ゲッターの必殺攻撃を放つ。

 

「ゲッタァァァビィィィィィム!!」

 

ゲッター1の腹部から、収束されたゲッター線が発射された。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

ザスティンは投げられる中でも態勢を整え、剣を振りかぶり、あろうことかビームを斬り裂いた。

 

「ぐうううぅぅぅぅぅッ!!!」

 

少し焼け焦げているが、2本の足でしっかりと着地した。

 

「その程度か……!」

「上等。だったらここからは闇の魔法も追加して―――」

「ザスティン、ストーーーップ!!!」

「ぷげっ!?」

「あー……」

 

ララの静止の声が、というか、静止のタックルが入った。

 

「もうやめて。分かったから、今日はもう帰るから」

「わ、分かっていただけたのなら、よかった、です……!」

 

今のあなたの一撃で結構ヤバ目だと思うけど。な、なんてパワーだ……ゲッタービームよりも強いんじゃないか?

 

「翔も、今日はゴメンね」

 

ララの一言で、この戦いは終わりを迎えるのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「皆さん、お騒がせいたしました」

「それじゃあみんな、またね!!」

 

ザスティンは頭を下げ、ララは手を振りながらその場を去っていった。

 

「お姫さまっていうのは、皆さんあんな感じなんでしょうか……?」

「さあね……」

 

絶対に今日一番疲れただろう雪菜が、その疲れを言葉にしてくる。

 

サンプルケースが少ないとはいえ、今月に入って知り合ったお姫様がみんなあんな感じだからな。

 

それにしても。

 

「ううん……」

 

またね、かぁ。

 

そんなことを思いつつ、今日の護衛任務は終了するのだった。

 

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