※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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VS アナザーオーズ

カナに撃たれた楯無さんを御門先生の病院に送り届け、こうしてインターミドルの会場に来たわけなんだけど。

 

「デ、デケェ……」

 

目の前にいるアナザーオーズは、以前戦ったアナザービルドとは桁違いの大きさだった。

 

二足ではなく四足歩行。コアメダルの動物全てを寄せ集めたような見た目は、ありきたりだがキメラの様だ。

 

……いや、コアメダルの動物だけじゃないぞ。全く関係ない、それどころか現実には存在しないような動物まで混ぜられているような気がする。

 

「お前、オーズのウォッチは持っているのか?」

「いや、持ってない。持ってないけど……」

 

ディケイドの質問に、首を横に振る。

 

でもアナザービルドと同じなら、戦っていれば手に入るはずだ。どういう仕組みなのかは分からないが。

 

「……なるほどな。本当に、俺の知っているやつとは仕組みが違うな……」

 

何やらディケイドは呟いている。

 

「だが、それを待つつもりは無いぞ」

「ああ、俺だって待ってられないよ」

 

俺がオーズの力を手に入れるよりも、被害を押さえる方が大切だ。

 

ウォズが言った通り、この場にはディケイドがいる。この口ぶりだとオーズのことも知っている、そして変身できるんだろう。協力すれば、被害を少なくして倒せるはずだ。

 

「よし、行くか」

 

ディケイドはオーズのカードを取り出して俺に振って見せる。自分に合わせろと言いたいんだろう。

 

「ちょっとあなた達っ! いったいアレは何ですのっ!!」

「ヴィクター! 前に注意して!」

 

そんな俺とディケイドにすごい剣幕で詰め寄ってくる甲冑を着た少女。口調といい、金髪縦ロールといい、いかにもなお嬢様だ。

 

あまりしゃべったことは無いが面識がある。この前の食事会でもいたヴィクトーリア・ダールグリュンだ。その向こうには、鋭い目つきでアナザーオーズを睨むエレミアもいる。

 

それもそうだ。今の時間、この会場ではインターミドルの決勝戦が行われているのだから。

 

ヴィクトーリアもエレミアも俺の正体に気が付いていない。まともに話していないし、ライダーに変身しているから当たり前だが。

 

「あの怪物が何なのか説明を―――!」

「いや、今はそんなことを気にしている場合じゃ―――!」

「2人共、危ないッ!!」

 

エレミアの鉄腕が、俺たち2人を踏みつぶそうとしていた足を殴り飛ばし、軌道を変えた。

 

「そこの、仮面? の、ライダー? の人ッ!! とにかく、あの怪物は倒さないかんもんなのッ?」

 

仮面のライダーの人? ああ、確かに顔を隠しているし、顔にはライダーって書いてあるからな……

 

エレミアはそう言う間も構えを解かない。500年分の戦闘経験がそうさせているのだ。

 

「ああ! 見ての通りだ! 俺達はアイツを倒すためにここに来た!!」

 

アナザーオーズが生み出す轟音に負けないように叫ぶ。それでも2人は俺に気が付かない。戦場の極限状態で、そんなことを気にしている余裕が無いのだ。

 

「ならウチも協力する! ヴィクターもそれでええ?」

「ッ!! 仕方ありませんわねッ!! 事情を聴くのはすべて終わってからにいたしますわッ!!」

 

ヴィクトーリアは斧槍をアナザーオーズに向けた。

 

「まとまったか。行くぞ」

《KAMEN RIDE OOO》

《TAKA! TORA! BATTA! TA・TO・BA! TATOBA TA・TO・BA!》

 

ディケイドがオーズに姿を変える。

 

話がまとまるまで待っていてくれたのか。意外と面倒見がいいな。

 

「姿が変わった……?」

「変身魔法ですの?」

「最後はあの人が決めないと怪物は復活するから注意してくれ!」

 

驚いていた2人だったが、俺の言葉にはすぐに頷いてくれた。

 

ディケイドがオーズになったことが引き金になったのか、アナザーオーズの狙いが俺たちに絞られる。

 

一番最初に前に出たのはエレミアだった。

 

四足動物との戦闘経験もあるのか、その動きに迷いはない。

 

「(とにかく動きを止めるッ!! まずは足ッ!!)」

「遅れはとりませんわッ!!」

 

エレミアはまず手始めに足を狙ったようだ。ヴィクトーリアもワンテンポ遅れてそれに続く。

 

ディケイドオーズはバッタの脚力を生かして背中にとりつく。

 

俺はジカンギレードをガンモードにして射撃の体勢に入った。

 

「怪物相手なら、遠慮はせえへん!」

 

エレミアが纏っているのは『イレイザー』の魔力だ。迷うことなく、その必殺の力を振るう。

 

「わたくしたちの試合を穢したこと、後悔なさい!!」

 

ヴィクトーリアの斧槍は電撃でできた刃を形成していた。

 

2人の攻撃は容赦なくアナザーオーズの足を破壊する。エレミアの掌は太い足を三分の一以上消し去り、ヴィクトーリアの斬撃は足を輪切りにしていた。

 

俺の銃撃も足の付け根を削る。

 

だが、その傷はすぐに塞がってしまう。

 

「っ!?」

「これは……!?」

 

2人が驚いたのは、傷が塞がったことにでは無いだろう。その傷が塞がる際、銀色のメダル―――セルメダルが、まるで寄生虫のように傷口を覆ったからだ。

 

少しダメージを与えた程度では、こうして回復してしまうようだ。

 

でも再生するのは別に関係ない。どちらにせよオーズの力を使わなければこいつは倒せないのだ。

 

俺達がするべきなのは、なるべくコイツの注意を引いて、ディケイドオーズが動きやすい環境を作ることだ。

 

「大丈夫だ! そのまま攻撃を続けて―――」

 

アナザーオーズがその場で足踏みをした。

 

次の瞬間、

 

「「―――ッ!!??」」

 

見えない圧力がエレミアとヴィクトーリアを押しつぶした。俺は慌てて後ろに飛び下がる。

 

「う、ぐ……っ」

「なに、が……っ」

 

2人ほどの実力者が身動き一つとれなくなるほどの圧力。少し離れたところから見ると、空間自体が歪んでいるようにも見える。

 

これは、

 

「重力操作、か……!? まさかコンボの能力を……!」

 

不思議なことではない。アナザービルドはベストマッチの能力を使っていたのだ。だったら、アナザーオーズがコンボの力を使ったことで何ら不思議はない。

 

さらに緑色の電撃がアナザーオーズの背中から放射された。背中で攻撃していたディケイドが吹き飛ばされている。

 

その電撃はあちらこちらに飛び散り、会場を破壊する。その破壊は瓦礫という結果を作り出す。

 

「ちい!!」

 

超重力で押しつぶされる2人を助ける前に、逃げる人の上に降り注ぐ瓦礫を何とかしないと!

 

ただの瓦礫だから破壊は出来るけど、全方位にあると全て撃ち落とすのは難しいか……!

 

そう思った時、明後日の方向から援護射撃があった。弾丸の飛んできた方を見ると見知った姿がある。

 

「クロ!!」

 

クロは瞳で応え、次の矢をつがえていた。発射された矢は赤い軌跡になり、さらに分裂して瓦礫を打ち抜いた。

 

「流石だな……」

 

クロの近くにはチームナカジマや八神道場の面々の姿がある。やっぱり会場に来ていたんだ。

 

さらに、

 

「吹き飛びやがれェェェッ!!」

 

威勢のいい掛け声とともに、とてつもない熱波がアナザーオーズを包み込んだ。肉を焼き、体を維持できなくなった部分は銀色のメダルになって散らばる。

 

炎熱砲撃だ。それも、なのはさんにも引けを取らないレベルの。こんなのを撃てるのは―――

 

「リーダー! 危ないですよ……!」

「馬鹿野郎! ヘンテコお嬢様が戦ってんだぞッ!! このまま避難なんて出来っかよッ!!」

 

やっぱり砲撃番長、ハリー・トライベッカだ。観客席からリングへと飛び降りてくる。空中で光に包まれ、BJへと姿が変わった。

 

そしてその左手には、魔力が集まっている。

 

「もう一発持ってけッ!!」

 

再び放たれるハリーの炎熱砲撃、『ガン・ブレイズ』。命中するが今度は、

 

「なにぃ……っ!?」

 

爆炎が晴れると、燃える翼に包まれていたアナザーオーズが、その翼を広げた。ダメージは先ほどよりも明らかに少ない。

 

「不死鳥の翼か……!」

 

燃える羽が分離し、新たな敵対者―――ハリーへ向けて殺到する。

 

「うぉっ!?」

 

降り注ぐ攻撃に、ハリーは慌てて防御しようとする。だが、防御が苦手なハリーは動きが遅い。

 

「このっ!!」

「はぁッ!!」

 

俺とディケイドが盾になる。お互いの武器で攻撃を反らせた。

 

「お、おう。あんがとな」

「いや、気にするな。でも、砲撃番長の攻撃も防いでくるとはな……」

「ああ。あの攻撃はなかなかだったがな……」

 

アナザーオーズの予想以上の力に、俺達はこそこそと話す。

 

そうしていると、さらに新しい少女が俺達の方に走ってきた。

 

「ハリーさん!」

「おっ! アホのエルスじゃねーか! お前避難してなかったのかよ!」

「アホの!? こんな時にまでやめてください! というか、避難しようと思ったらあなたがリングに飛び込んできたんじゃないですかっ!」

 

エレミアのセコンドを務めていたエルス・タスミンも、戻ってきてしまったらしい。

 

「ディケイド、さっきのでわかったと思うけど、ここのみんなかなりの実力者だ」

「ああ。全員の技を合わせて……」

 

計画を立てていると、アナザーオーズの足元で光が爆ぜた。

 

今まで押しつぶされていた2人が、溜め込んでいた魔力を一気に開放したのだ。アナザーオーズの体が浮かび上がり、重力攻撃が一瞬だけ弱まる。

 

その隙に2人が脱出した。

 

「やってくれましたわね!!」

 

斧槍で地面を突く。すると、巨大な魔法陣が現れた。これは綺凛との試合で使っていた、雷を雨あられと降らせる技だ。

 

「百式、神雷ッ!!」

 

ヴィクトーリアが発生させた雷に対して、全身からクワガタの雷を発生させるアナザーオーズ。

 

「はあああああっ!!!」

 

ヴィクトーリアの圧倒的な魔法に、俺達は下手に近寄れない。全力の魔法は、アナザーオーズの雷を力で押し切り、逆にダメージを与えていた。

 

―――GYAAAAAAAAAA!!!

 

「っ!? まさかっ!」

 

亀の甲羅を作り出し、それを盾代わりにすることで電撃を防いていた。

 

「だったら、ドリルで削ってやるッ!!」

 

俺はビルドウォッチを起動させる。

 

《BUILD》

《ARMOR TIME!》

《BEST MATCH! BUILD!》

 

アーマーとドリルが装備され、ビルドアーマーへと変身する俺。

 

「仮面ライダーの人っ! 合わせるよ!」

 

一緒に飛ぶのはエレミアだ。

 

「行くぞ!」

「うん!」

《FINISH TIME! BUILD VORTEX TIME BREAK!》

 

グラフに乗り、滑走する俺。

 

「シュペーア・ファウストッ!!」

 

俺のドリルと、エレミアの鉄腕が甲羅を粉砕する。そこに、俺達の間を縫うように空から矢が降り注ぐ。クロの曲射だ。

 

俺はグラフに乗ってその場を離れるが、エレミアは追撃するつもりらしい。アナザーオーズの背中に着地した。

 

「ッ!?」

 

割った甲羅の中から細長い触手が飛び出してくる。これは電気ウナギだ。着地したエレミアを捕まえようと伸びてくるが、

 

「―――」

 

エレミアの目つきが変わる。

 

空中で体を捻り、触手を掌で撫でる。するとその部分がごっそりと無くなった。

 

命の危機を感じた時に発現する『エレミアの神髄』だ。

 

だがその代償として、回避ではなく攻撃を選択してしまう。本来なら問題のない選択だ。通常の生物なら、胴体を真っ二つにされて絶命する。

 

しかし、今戦っているのは怪物だった。

 

薙ぎ払われた電気ウナギのさらに奥から、巨大なティラノザウルスの顎が急成長して、エレミアを飲み込もうと迫る。

 

何の疑問も無く、エレミアはその手を振るう。

 

「―――」

 

エレミアとティラノは、お互いに攻撃を弾き合った。

 

通常ではありえない『無』の力を持ったプトティラコンボの力が、イレイザーの力と渡り合ったのだ。

 

一瞬の空白をついて、横からトリケラトプスの頭部が激突した。エレミアは何とは突き出した2本の角を受け止め、離れた場所に着地した。

 

その様子を見て、俺はほっと息をつく。

 

「危な……」

「ジークッ!! 不用意に近寄るのはやめなさい!!」

 

ヴィクトーリアも声を張り上げて注意している。

 

「何とか拘束します!! 皆さんで攻撃を!!」

 

エルスは得意のバインド魔法を使って動きを止めようとしている。

 

アナザーオーズの周りにいくつもの魔法陣が現れる。そこから飛び出してくるのは手錠の形をしたバインドだ。

 

手脚や胴体、首や顔だけではなく、ちょっとした突起にまでいくつもの鉄の輪っかが巻き付いていく。

 

だが拘束された猛獣がおとなしくしているわけがない。

 

「うぐぐっ……! 皆さんっ! なるべく早く、お願いします……!」

 

汗を流しながら、エルスは切羽詰まった声色で催促する。

 

動きを止めてくれたのなら!

 

誰も何も言わなくても、攻撃の準備をしていた。

 

俺はジオウライドウォッチをジカンギレードにセットする。

 

「やってみるか」

《FINISH TIME! ZI-O SURESURE SHOOTING!》

「ああ。なるべく削ってみるか」

《FINAL ATTACK RIDE  DE・DE・DE・DECADE!》

 

ディケイドはカードを装填する。

 

「不良娘、今回は当てにしていますわ!」

 

ヴィクトーリアは電撃を纏う。

 

「言われなくても、なあ!!」

 

一番の得意分野に、ハリーは威勢よく声を上げる。

 

「みんな、行くよ」

 

エレミアも魔力が指先に集中していた。

 

「大丈夫、タイミングは合わせられるわ」

 

観客席にいるクロも、捻じれた矢をつがえていた。

 

そして、

 

「カノーネ・クーゲル―――ファイヤッ!!」

「ガン・ブレイズッ!! フルバーストッ!!」

「十式、投雷ッ!!」

「偽・偽・螺旋剣(カラドボルグⅢ)!」

 

さらに、俺はスレスレシューティング、ディケイドはディメンションブラストを発射する。

 

亀の盾すら容易に破壊する攻撃が、アナザーオーズを滅多打ちにした。

 

「よし……!」

 

ダメージを与えたと判断したディケイドは、1枚のカードを取り出す。

 

《FINAL ATTACK RIDE  O・O・O・OOO!》

「はッ!」

 

ディケイドオーズはバッタの力で、スタジアムの天井ギリギリまで大きく飛び上がる。そのまま空中で1回転。

 

ディケイドオーズの背中には赤い羽根、そして空中には赤、黄色、緑、3色のリングが形成された。そのリングめがけて急降下していく。

 

「くらえ―――!!」

 

タトバキックはアナザーオーズの大きくあけられた口―――その少し上、鼻先に命中した。

 

「はああああぁぁぁぁ―――!!!」

「いけぇぇぇぇぇっ!!!」

 

俺は思わず叫んでいた。

 

2人のオーズの衝突点から、火花と共に凄まじい量のセルメダルが溢れ出している。破壊されたところからドンドン修復されているんだ。

 

そして―――蓄えられていた欲望が、キックの威力を上回った。

 

―――GYAAAAAAA!!

 

「うぐッ!!」

 

アナザーオーズの号砲によって、ディケイドオーズが弾き飛ばされた。倒しきれなかったのか……!

 

地面に叩きつけられ、オーズへの変身も解けて元のディケイドの姿に戻っている。

 

アナザーオーズと言えば、すぐさまセルメダルが傷を覆い、元に戻っていく。

 

あれ以上のパワーが必要というと、コンプリートフォームになってもらうしかないが……

 

そう考えていたが、

 

「あれは……!」

 

だが完全に元に戻る直前、アナザーオーズから一筋の光が放たれ、俺の手に収まった。

 




活動報告に登場人物設定を載せました。興味があればどうぞ。

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