「ゲッタートマホークッ!!」
俺が取り出すのは、ゲッター1愛用武器のゲッタートマホーク。並み居るインベーダーを薙ぎ倒してきたこの武器は、ウルトラ怪獣に対しても十分に通用する。
さらにそれを、赤い血管の様な魔力が侵食する。
魔力とゲッター線が混じり合う。圧倒的な力がトマホークを満たした結果、全体にヒビが入り、一回り膨張した。
「でええぇぇぇりゃああぁぁぁッ!!」
一撃で武器を壊す勢いで振り下ろしたトマホークは、ゴモラの皮膚を削り派手な火花を巻き散らす。それと同時に粉々に砕け散った。
「なのはさん!!」
《合わせて! 行くよッ!!》
上空にいるなのはさんとタイミングを合わせ、
「ゲッターッ!! ビームッ!!」
《ディバインバスターッ!!》
空からは桃色の、ゲッターからは緑色の光線が叩き込まれた。
「どうだ……」
煙が晴れると、倒れてはいるがまだ動いているゴモラの姿があった。
《まだ倒れないんだ、ねッ!!》
再度、なのはさんの砲撃がゴモラに命中する。
――――――GYAAAAAAA!!
流石のゴモラもこれには耐えられなかったらしい。断末魔と共に爆散、消滅した。
「容赦ねーな……」
俺も容赦したつもりは無かった。むしろゲッタートマホークで真っ二つにするつもりで攻撃した。
こういう所が悪魔だ何だと言われる理由だと思うんだけど。そんな失礼なことを考えるが、もちろん口には出さない。来月には自分の上司になる相手なのだ。
それでなくても色々と怖いし。
後ろを振り返ると、ビルにはみんながいた。
「なのはさん、中の状況を確認します!」
《わかった! ヴィータちゃんの方が苦戦してるみたいだから、なるべく早くそっちに向かって!》
「了解です!」
俺はゲッターロボへの合体を解いてビルの中へ着地する。
すぐさま雪菜達が駆け寄ってくる。
「どういう状況ですか?」
「原因は分からないけど、ああいう怪獣が島中に出現してる。俺も行かないといけない」
「……わかりました。聖天子様のことは私達に任せて下さい」
「主様もお気をつけて」
「ありがとう。2人共。聖天子様も……」
「私のことは気にせず、自らのやるべきことを果たして下さい」
「はい!」
その言葉を受け、俺はビルから飛び出した。
「チェンジ、ゲッター1ッ!」
俺は次なる戦場へと向かうのだった。
―――――――――――――――――――――――――
振り上げられた腕が、アスナとアイズがいたビルを叩き割った。原作よりも大幅にサイズダウンしたと言っても、パンドンの大きさは5階建てのビルほどもある。
通常の召喚獣と比べてもかなりの巨体を誇るパンドン。地面に大きく影を作るその体を見ただけでも、相手の戦意をそぐには十分だが、
「(SAOのボスモンスターなら、このくらいの大きさ、全然普通!!)」
「(大丈夫、落ち着いて。怪物相手でも冷静に戦う。戦える)」
怪獣相手にも、2人の剣士は全く臆していなかった。
2人共隣のビルにジャンプで飛び移り、攻撃の機会を窺う。
アイズは風に乗り、アスナはビルの屋上を走ってパンドンに近寄ろうとする。お互い優れた剣士だが、攻撃を当てるにはまず近寄らなければならない。
パンドンも敵対者に攻撃する。
空を飛ぶアイズには火球を発射する。
「ッ!!」
空で花火が咲いた。
風のおかげで何とか直撃は免れたものの、衝撃は殺しきれずにビルまで吹き飛ばされた。
「この隙に……!」
アスナは屋上からジャンプ。レイピアが光りを放ち、ソードスキルを―――
「嘘!?」
なんとレイピアの先を掴み取られてしまう。そして地面に投げつけられる。アスナですら受け身を取れないようなスピードだ。
「ッ!! あ、ありがとうございます!」
「うん」
それを受け止めるのはアイズだ。ところどころ服や鎧が焼け焦げているが、その輝く金髪には一切の傷がない。
「合わせましょう」
「合わせるよ」
アスナとアイズは頷き合う。
そして2人は、それぞれの大技の準備に入る。
アスナはレイピアを構えつつもパンドンに突貫。アイズは自らの魔法、エアリエルを最大出力で発揮する。
ある程度の助走を行うと、アスナのレイピアがソードスキルの光を放ちだした。
選択したソードスキルは最上位の細剣技の1つ、フラッシング・ペネトレイターだ。
単純な刺突ではなく、体全体を使った攻撃。レイピアが纏う光は剣だけでなくアスナの体をも包む。まるで彗星のように切先を前に突き出した。
一方アイズ、彼女が選択した技も、自分が放てる最大威力の技だ。アイズを取り巻く疾風は限界まで圧縮され、解放された。
先に走っていたアスナに一瞬で追いつき、並ぶ。
だが、正面から突撃してくる相手に何もしないパンドンではない。並んで突進してくる2人に向かって火球を吐くが、
「はああああああっ!!」
「リル・ラファーガ!!」
その火球を貫き、
―――GYAAAAAA……
2人の斬撃を受けたパンドンは倒れ、爆散した。
獲物を収めて向かい合う。
「ありがとうございました。助けていただいて」
「ううん、下手に手を出したせいでアイツに逃げられちゃった」
アイズが割り込んだせいで、ジャグラスに怪獣を召喚させる隙を与えてしまった。そう思ったアイズは頭を下げる。
パンドンの吐いた火球によって、辺りは荒らされてしまった。当然ジャグラスの姿はどこにもない。
探したとしても見つかるような場所にはもういないだろう。
「いえ! そんな! あのまま戦っていても、勝敗は五分五分でしたから」
「ありがとう。私は戻って報告するけど、あなたはどうする?」
「私もそうします」
アイズとアスナは、そう言って別れるのだった。
――――――――――――――――――――――――――
「はあああああ!!」
オルタの黒い聖剣が、ギャラクトロンの光線を跳ね返す。
「狂三、跳ね上げろ!」
「わたくしはトランポリンではありませんわ!」
そう言いつつも、狂三は言われた通りにオルタに組み付く。その下に別の分身体が出現し、組体操の様にオルタを発射した。
ギャラクトロンのセンサーをすり抜けるほどのスピードの攻撃だ。
ガキィィン!!
金属同士が衝突する甲高い音が響き渡った。竜の炉心と魔力放出によって、単純な力比べでもオルタはギャラクトロンに勝っていた。
攻撃を受けたギャラクトロンは横のビルを巻き込んで倒れた。
だが、
「なるほどな。私の聖剣でも両断できないとは。並の人間が苦戦するわけだ」
オルタは今の鈍い感触に顔をしかめている。何度斬りつけても結果は変わらなかったのである。
「まったく、立て直しに一体いくらかかるのやら」
狂三は周りを見回してため息を吐いた。
見慣れた景色が、ギャラクトロンの砲撃によってすっかり変わってしまった。そこに追い打ちをかけるような、オルタの力任せの戦い方だ。
ギャラクトロンの耐久力もあり、オルタは剣で斬るというよりも棍棒で殴りつけるようにしてダメージを与えていた。
オルタが地面を踏みしめるたびに道路が割れ、ギャラクトロンが倒れるとビルが1つ倒壊する。
「いや、破壊されたおかげで、やりやすい」
オルタは聖剣を両手で握り直した。単純の斬りつけても駄目ならば、もはや手段は1つだ。聖杯戦争とは違い、出し惜しむ理由が無い。
「タイミングを見て分身を下がらせろ。焼かれたくなければな」
「合図をして下さってもよろしいのですよ?」
「貴様にそんなものが必要か?」
「きひっ、言ってくれますわね」
顔を歪めて笑う狂三。
「素敵な信頼のお返しに、わたくしの能力であの機械の動きを止めて差し上げましょうか?」
「ふん。あんな巨大な的、外す方が難しい」
「ええ、ええ。そうですわね。それまでは―――わたくし達!!」
狂三の影の中から大量の分身体が飛び立つ。ギャラクトロンを挑発し、誘導し始めた。これから放たれる攻撃の被害が少しでも少なくなるように。
その間にも、聖剣へ蓄えられた魔力が収束し、聖剣自体が黒い十字架の様に輝き始める。
じりじりと、すり足で体の方向を整えた。そして、
「
漆黒の斬撃が放たれた。ギャラクトロンの装甲すら容易く溶断するその斬撃は、はるか上空まで伸びていく。
ギャラクトロンの大きさもあり斜め上方向に、狂三の誘導のおかげで、後ろに高いビルが無いように調整されていた。
「……確かにこれは、多少見晴らしがよくなっていたのは幸いでしたわ」
狂三がぽつりとつぶやく先、縦に両断されたギャラクトロンがバランスを失って倒れるのだった。
―――――――――――――――――――――――――
一方こちらでは、アルトリア、スバル、ヴィータ、クローディアが1体の怪獣に苦戦していた。
地鳴りのような地響き、地震の様に地面が揺れている。いずれも人工島ではありえない現象だ。
「クソ!! 今度はどこ行きやがった!!」
「マズいですよ、これ以上地下を壊されると!」
スバルとヴィータはこの状況に焦りを見せている。
「くっ! 私も聖剣が使えれば……!」
「この位置関係で使うのは少しマズいですね……」
クローディアに言われるまでも無く、アルトリアは分かっていた。
自慢の聖剣の一振りによってギャラクトロンを葬ったオルタと比べて、アルトリアは苦戦していた。
苦戦と言っても相手が強すぎるという訳ではない。地下に潜るために、無暗に聖剣が使えないのだ。
3人が相手にしているのは、地底怪獣『ガボラ』だ。この島は人工島であり、『地下』というものは存在していないのだが、内部の複合素材をぶち抜きながら進んでいる。
あまり暴れられると、この区画が丸ごと壊れてしまうかもしれない。かと言って地面に潜っているガボラに攻撃しようとすれば、それはそのまま島を傷つけることになる。
「大丈夫ですよ」
「何がですか?」
この状況でも落ち着いているクローディアに、アルトリアは疑問を浮かべる。翔からの情報で、クローディアが未来予知を行えることは知っていたが、それなのかと。
「すぐに分かります」
クローディアは微笑みを浮かべるだけで、それ以上何も言わない。しかし、その答え合わせはすぐに行われた。
《みんな、聞こえる?》
「なのはさん!」
「このままだとヤベーぞ! この怪獣、うかつに攻撃出来ねぇ!」
なのはからの念話だ。
《うん。他の所はあらかた片付いたから、今そっちに翔君が向かってる。フェイトちゃんとシグナムにも知らせてあるから、みんなで連携しよう》
「翔……今度来る新人か!」
聞きなれない名前だったが、ヴィータはすぐに理解した。
「(人数さえ増えれば、何か策が出来るかもしれない。それまではあの怪獣の被害を押さえることに集中すれば……)」
ヴィータの中にかすかな希望が生まれ始めるが、その希望を打ち砕くのが怪獣というものだ。
地面から巨大なドリルのような生物、ガボラが姿を現す。進撃する先には避難のための車両が。
「やべぇ!!」
「くっ!!」
それを見たヴィータとスバルは焦ってガボラを止めようと駆けだした。
そんな中、
「アルトリアさん、なのはさん、砲撃の準備をして下さい」
《え?》
「なにを……」
クローディアは先を見越して指示を出していた。唐突な指示に困惑する。
目の前に襲われそうな人がいるというのに砲撃の準備とは、どういうことなのか。
「大丈夫ですよ」
待ちわびたヒーローが到着する。そんな無邪気な子供の様な笑みを浮かべたクローディア。
「彼が来ますから」
その言葉に答えるように、空から1機のスーパーロボットが飛来した。
―――――――――――――――――――――――――
「本当にタイミングがいいな……!」
ゲッターを全速力で飛ばしてきた俺。眼下にはガボラとあと10秒で踏みつぶされてしまいそうな車。
ゲッタービームで攻撃を―――ダメだ、倒しきれなかったらそのまま突っ込んじまう!
ここは押し止める!!
「チェンジ、ゲッター3ッ!!」
マントの代わりにキャタピラを得たゲッターロボが、道路に降り立つ。目の前に迫るのは巨大なドリルのような形状のガボラ。後ろに民間人がいる以上、ここで食い止めなければならない。
「いけええええぇぇぇッ!!」
突進してくるガボラにアームを向け、受け止めた。それと同時にキャタピラを全開。全力で前進する。
「うお、お……っ!!」
ひっくり返らないように全力で抑え込む。
何とか突進を抑え込むことが出来たが、ガボラの方にも動きがあった。
自らの進行を止めている相手が誰なのか確認するためか、ドリルの様に閉じていたヒレを開いたのだ。
花のようになったソレの中央には頭部がある。口からはチロチロと光が漏れ出していた。
「やば……!」
あれは放射能熱線の構えだ。この至近距離は―――躱すことは出来るが、それだと後ろに……!!
「させるかあぁぁぁぁッ!!!」
スバルのリボルバーナックルがガボラの顔面を捉えたことで、俺にかかる力が弱くなる。
「好機ッ!!」
ガボラに巻き付いているアーム出力が上がる。ゲッターロボ最強の腕力を誇るゲッター3の出力ならば!
ガボラの体が浮かび上がる。
「大・雪・山ッ! おろしィィィィィッ!!!」
ゲッター3の必殺技でガボラを振り回し、それを空に向かってブン投げる。
さらに、
「おまけだ! ブッ飛べえええェェェッ!!」
ヴィータがその下に回り込む。自らのデバイスであるグラーフアイゼンのハンマー部分を巨大化させ、空に向かってかっ飛ばした。
「なのはさん、アルトリアさん、それでは」
《了解!》
「はい……予知できていたというのなら、あらかじめ言って欲しかったですが」
「申し訳ありません。私の予知は必ず当たるというものではないので。頼り切ってしまうと、この子にどんな悪戯をされるか分かりませんからね」
クローディアはそう言って自らのデバイスを撫でた。
アルトリアも必要以上に責めるつもりは無い。今重要なことは、
「この千載一遇のチャンス、無駄にはしません」
《撃ち抜く―――!!》
なのはもアルトリアも準備は整っていた。狙いは空に放り出されたガボラ。翼を持たないガボラは手足をじたばたとさせるだけで格好の的だ。
「
「ディバインバスターッ!!」
俺の魔力がごっそりとなくなる。それに見合うだけの最強の聖剣の斬撃が、空に向かって放たれる。
そこに交差するように、桃色の光線がガボラを貫いた。その攻撃には耐えられず、空中で爆散した。
「みんなー! 大丈夫ー!?」
「高町に言われて急いできたが……すでに終わったようだな」
1分ほどでフェイトさんとシグナムさんが到着した。
《うん。こっちで確認する限り、出現していた怪獣はすべて討伐完了だね。後、夜月君。パーティ会場の方も落ち着いたって連絡が来たよ》
「そうですか……!」
なのはさんの報告に、俺も少し安心する。
こうして学園島はひとまずの平穏を取り戻したのだった。