今年もよろしくお願いします。
「「「「「ただいま~」」」」」
六課での仕事も終わり、俺達、俺、桜、アスナ、雪菜、耀は帰宅した。あの後は特にラムからのアクションは無かった。向こうとしても、自分から来る必要は無いからな。用があれば呼び出されると思ってるだろうし。
リビングに行くと、
「帰ったか」
「お帰り~」
「お疲れ様、お兄ちゃん。初日はどうだった?」
「お疲れ様です」
オルタは足を組んでくつろぎ、理子はソファーでごろごろしていた。キッチンでは、夕食が作られていた。狂三とコッコロがメインになり、クロやティナがお手伝いをしていた。
ヤミやセイバーも、料理自体ではないが食事の準備をしている。
「理子、お前な……小さい娘も手伝ってるんだから、お前も動かないと……」
「えー、つーかーれーたーよー……朝から激しい運動しちゃったからねぇ……?」
「じゃあ、もうしないようにしようか」
「やだーー!!!」
「はいはい、イチャイチャするのは着替えてきてからにしてね?」
クロがジトッとした目を向けてくる。
「ああ、そうするよ……アリアは?」
見当たらなかったので聞いてみる。
「んー? や、今日は来てないわよ」
「そう、か……」
「何か用がったの?」
「や、ちょっと気になっただけで……」
そう言って自分の部屋に向かった。
嘘です。この前の行為について色々と話したいことがあったんです。昨日はこなかったし、今日こそはと思ってたんだけど。
もしかして愛想をつかされたのかもしれない。や、判断能力が鈍っている状態で行為に、しかも初めての行為に及んでしまえばそりゃ嫌われるどころか、裁判になってもおかしくない。
今のところ音沙汰ないのが本当に心臓に悪い。まあ俺が悪いんだけど。
「翔君、ちょっといい?」
アスナに呼び止められた。俺達は2人で俺の部屋に入る。
「アリアちゃんのことだけど……」
「あ、ああ」
突然アリアの名前が出てきて、俺の声が裏返る。
アスナは俺以外にアリアのあの痴態を知っている唯一の人物だ。さらに同姓。色々と俺に言えない何かを相談されているのかもしれない。
「うん。アリアちゃんだけど、心配しなくても大丈夫だからね」
「え!? そ、そうなのか?」
「うん。アリアちゃん、ホントに何も知らなかったらしくて。その手の知識とか、全然なかったらしいの。だから少し時間をおいて考えたいらしくて、お母さんに話に行くって」
「お、お母さんに……」
親に相談とは、なかなかヘビーな問題になってきた。や、行為をした以上、そう言った責任が発生する可能性だってあるわけで。アリアは貴族なんだし、若い頃の火遊びでは済まなくなる可能性もある。
「その辺りはそんなに厳しくないらしいから、大丈夫だと思うって」
「……ああ、そっか」
アリアは実家では『いない者』とされるくらい、軽く扱われている。その辺りが理由なのだろう。
「うん、ごめんね。私がアリアちゃんを唆したせいでこんなことになって」
「いや、最終的には俺がしたことだから」
でも、いくら軽く扱われていると言っても貴族だ。ホームズ家から何かしらのアクションがあるかもしれない。
今後はそれについても考えていかないといけないんだな。
「2人共正気じゃなかったとはいえ、軽率なのはまずかったか」
「ううぅ」
アスナは昨日の行為を思い出したのか、顔を赤くした。
「あれはっ! マッサージのせいだもん……っ」
「そういうマッサージ、本当にあったんだなぁ」
「そう! そうだよ! 理子ちゃんの見つけてきたマッサージ、本当にすごい効果で……それに翔君、あんなにしたのに朝には理子ちゃんとしてたでしょ!」
俺の場合は能力ありきだから!! それでも性欲が無ければ勃たないんだけどね!
「……やめようか、お互い良かったなら、それで」
「そ、そうだね。うん。よかった、もんね」
そのセリフでやっぱり昨日の行為を思い出してしまったらしく、再度顔を赤くするアスナ。何度も何度も、アスナが満足するまでしたからな。
俺達はそれ以上喋ることなく、夕食へ向かうのだった。
―――――――――――――――――――――――――
その夜、俺はモードレッドの部屋を訪れていた。
自分から部屋に籠っている彼女だが、籠りっぱなしで放置するつもりは無い。今すぐみんなと一緒に生活するのは難しくても、今後のことを考えて対話を重ねていくことにしたのだ。
ちょうど今、最近有ったことを話し終わったところだ。
「って感じなんだよ」
「オレが言うのもなんだがな、マスター。あんまり火遊びすると、ケガするぜ」
部屋の中央に胡坐をかき、腕を組んだモードレッド。兜に覆われているため表情は分からないが、きっと苦い顔をしているんだろうな。
「直感で吐き気を催すゲス野郎じゃないってのは分かったんだがな……単純に良い奴かって言われても違うな」
「そりゃ、この人数の女性と関係持ってるのに善人っては言えないよな」
その辺りは自覚してる。
「自覚してんのがいい事とは限らねぇけどな」
「ごもっともだ」
むしろ自覚してるからこそ悪いまである。
「……なあ、マスター。今度はこっちから聞いていいか?」
「ん? なんだ?」
モードレッドからの質問は初めてだ。
「マスターは父上とは長いのか?」
「ん……」
そっちの質問か。
「長い……長いか、うーん。や、そこまで長くは無いな。せいぜい数カ月だよ」
「そうなのか?」
モードレッドは意外だと言う。
「いや、俺を見た父上がマスターの声だけで止まったからな」
「止まってなかったけどね。壁吹っ飛ばされたぞ?」
「本気だったらあの程度じゃすまないだろ。マスターの声があったから止まったんだ」
本気じゃなかったってのはそうかもしれないか。俺の判断に納得してくれてモードレッドの存在を許してくれているし。
「ああ。だからてっきり父上とは長く一緒に戦っているのかと思ったんだ」
長くは戦っていないけど、体の関係を持っちゃったからな……
「ん? なんだって?」
「いや、何でも」
やっぱりモードレッドはアルトリアのことが気になるらしい。その後もあまり付き合いは長くないと言った俺に、アルトリアのことを控えめに聞いてくるのだった。
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特に何事も起こらず、次の日になった。
「行ってきまーす」
家の扉を開けると、
「翔ーー!! 一緒に学校に行こー!」
ララ王女がそこに立っていた。
「何故ここにいるんでしょうか?」
「ザスティンがね、親衛隊と一緒に学校に行きたくなかったら、夜月 翔と一緒に行け、って」
もうそういう事になってんのね。
「うん、自由にするじょーけんなんだって。でもそのくらいなら全然オッケー! それに、翔の近くなら私も好きな人が見つかるかもしれないし! ね、雪菜! 他の人も色々教えてね~」
「……そうですね。そしてそれが先輩になるってオチですね」
雪菜が何やらぼそっと呟いている。
「とりあえず、学校行こうか」
とても楽しそうなララを先頭に、俺達は学校へ向かうのだった。
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新学期恒例の行事として、学校では健康診断や体力測定がある。どんな高貴な身分でも学生になった以上は逃れることが出来ない。
つまり、この武偵高に留学することになったララも同じだった。
「よし、行くぞ」
スタート位置に立ったララ。武偵校指定の体操服に身を包み、腰を落としている。
その両脇にいる生徒はそのララの存在感に圧倒されつつも、スターティングポーズを取っていた。
「よーい、どん―――」
「どーん!!」
一瞬でララの姿が消える。
「「「ッ!?」」」
砂埃が舞い上がり、
「ゴールッ!!」
すでにゴールテープを切っていた。
「ちょっとララさん!」
それに対して教師が眉を吊り上げる。
「はえ? どーしたの?」
「この測定では能力は使ってはいけないと言ったでしょう!?」
「え? 使ってないよ?」
「……はい?」
教師目を丸くして、手に持ったストップウォッチとララを何度も見比べた。そこに記されているのはあり得ない数値。
あまりにも速かったせいで時間を止めるタイミングを逃してしまったが、それでもありえない数値になっていた。
「まったく、凄まじいものだな、デビルークの血筋というのは」
その様子を屋上から眺めていた那月はため息を吐いた。
ホットスポットにあるデビルーク王国。この国の住人はただ尻尾が生えているだけの人間ではない。個人差はあるが、魔力や超能力に寄らず、身体の性能が段違いなのだ。
そのおかげで現デビルーク王、ギド・ルシオン・デビルークは、世界でも5本の指に入る強者という話だ。
「デビルークの王女は3人、その中でもララ王女は一番、王の特徴を継いでいると聞く。これでは、護衛の必要などないように見えるな。下手な護衛など、ララ王女が少し暴れただけで吹き飛んでしまいそうだ」
那月が意地悪そうな笑みを浮かべる。
那月が思い浮かべる護衛の顔というのは、もちろん翔のことだ。
「だがまあ、面倒を起こしてくれなければいいさ」
「これは、どういうことだ……!!」
目の前で起こる惨状を見て、那月が青筋を立てている。
「ラ、ララちゃん!? これ、どうやって止めればいいの!?」
「最悪、わたくしの能力で時間を巻き戻しますけれども……」
「あれ~? おかしいなぁ? ここかなぁ?」
ララの机には見覚えのない機械があった。
多数のアームが伸び、他の生徒の机の上にある銃のパーツに伸びている。それらが組み合わさり、得体のしれない何かが作成されている。
それだけではなく、教室にあるありとあらゆるものを取り込んで、新しい武器が作成されていく。
その机の周りに集まるアスナと狂三だが、その暴走を止めることは出来ないでいた。
「ふん!!」
那月は虚空から発射した鎖で暴走する機械を破壊する。
そして一言、
「1年の夜月 翔を呼んで来い……!!」
那月の怒気に全身から冷や汗を吹き出した生徒は、全速力で駆けだすのだった。
――――――――――――――――――――――
「なんで俺が呼ばれたんでしょうか?」
「お前が保護者だろう?」
「ごめんね~、私、何かやっちゃったみたいで」
腕を組み不機嫌になっている那月と、えへへと頭をかいているララ。
血相を変えた生徒に連れられ、向かった2年生の教室。そこには見たことの無い機械の残骸が転がっていた。
「これは、そもそもどういう状況なんでしょうか?」
「ララ王女、説明を」
「うん。今の時間は拳銃の組み立て、だったんだけど……」
ララが残骸のある机、その隣を指さす。
「隣の人が、この科目が苦手だって言うから、そのサポートをするアイテムを作ったんだ。パーツから、自動で拳銃をくみ上げちゃうマジックハンド。名前は―――」
「ちょっと待て。作った、だと?」
ララは様々なアイテムを作成できる天才的な頭脳を持っている。それを利用したんだろう。
「そもそもお姫様は問題なかったのか? お姫様は銃の組み立ては問題なく出来たというのか?」
「え? そのくらい、一回見れば覚えられるよ?」
「……なるほどな」
那月先生は非常に納得のいかないといった表情をしている。ララ様はこう見えて天才なのだ。
原作では、小さい頃に宇宙戦艦を解体していたってエピソードもあった気がするし。
「……なぜこの能天気なガキにそんな才能があるんだ」
那月先生! 口に出ていますよ!
「話を戻そう。それで?」
「うん、それでね、作って、最初はうまく動いてたんだよね。でも、装備科? の人がもっと動かしてほしいって言ってきたから」
「動かしたら暴走したと」
「うん」
「その生徒はどいつだ?」
「えっと~……あれ? いなくなってる?」
逃げたんだろうな。怒られるとわかっているのに、この場にとどまっているわけがない。相手が那月先生だと無謀な行動になるんだろうけど。
「ふぅ、そうか」
「那月先生?」
「お前たちはここにいろ。絶対に、逃げるな」
そう言い残し、那月先生の体は虚空に消えた。これは怒られるな。何故か俺も含めて。
「ごめんね、翔。私のせいで怒られちゃうね」
流石のララも、申し訳なさそうにしている。
「べつにいいよ。そんなこと気にしないで」
「うん……ありがとう。優しいね、翔は」
「や、そうじゃないけどね」
お姫様を相手にしてるんだ。この程度のトラブル、こっちも覚悟していただけだ。
2分後、那月先生が帰ってきた。
「さて、私の言いたいことは分かるな、ガキ共?」
「あの、俺はこれから六課に行かないといけないので手短にお願いしま―――痛っ!!」
「そんなことを言える立場だと思うなよ、夜月 翔」
俺の額を叩いた扇子を腰に当てる那月先生。
そして始まるお説教。
その時の俺は―――それどころか、那月先生も気が付いていなかっただろうが、
「……」
そんな俺達の様子を、覗いているヤツがいた。