「ただいま~」
家に帰ってきた。
「お帰りなさい、ですわ」
「狂三……」
リビングには狂三が1人でソファーに座っていた。制服姿の所を見ると、帰ってきたばかりなのかな。
「帰ってたんだな」
「はい。ララさんを送り届けて」
「そりゃ、ありがとな」
「いえいえ、お礼されるようなことではありませんわ……あ、そうそう、今日の騒ぎの事ですが、デビルークが情報をコントロールしてくれることになりましたわ」
「ああ。俺にも来てたよ」
ザスティンからの連絡で、今回のことはなるべく外に漏れないようにすることになったと聞いている。
それはいいんだが。
「お前、俺の影に分身仕込んでただろ」
「何を言っていますの?」
表情を変えずにとぼける狂三だが。
「お前の分身、暗がりで俺のこと襲ってきたんだが?」
「はい?」
ちょっと嘘をついてみる。すると狂三の表情が面白いぐらいひきつった。
襲ってきたというのは、俺に攻撃してきたという意味ではない。そのことを一瞬で察したんだろう。ナニをしたのかってことが。
「ま、まさか、そんな破廉恥なわたくしがいる訳がありませんわ」
「そんなことありませんわ」
もう1人の狂三の声が俺の背後から聞こえて来た。あの後再度俺の陰に潜んだ狂三(分身)だ。
「なっ、あ、あなた!! 何をしていますの!?」
狂三(本体)がソファーから立ち上がって叫ぶ。
狂三の分身は個々に意識を持っていて、本体に絶対服従という訳ではない。さっきこの分身狂三が俺に言ったことを考えれば、本来は俺に知られる予定ではなかったんだろう。
「それはこっちのセリフですわ。翔さんの監視、それがどれほど大変な役目か、わたくしは分かっていますの?」
か、監視、ですか。そうだね。確か監視されてたんだね、俺は。
「そ、そんなに大変ですの? 見てるだけでは?」
「そうですわ。見ているだけ。それがどれだけ大変か……!」
「……」
その内容を知っている俺は、下手に突っ込めない。
「どういう意味ですの? 詳しく聞きますわ」
「それでは」
狂三2人が向かい合って座る。なんだこの絵面は。
「ストレスがすごいですわ」
「ストレス?」
ストレスか……
「翔さんがこの1週間何をしているのか、よーく思い出してくださいまし!」
「え、ええ。報告は受けていますが……いかにも翔さんらしいなと」
複数の女性と関係を持っているのが俺らしいですか。そうですか。そうでしょうね……。
「言葉だけで聞いていれば、その程度の反応で済むのかもしれませんわ。ですが、実際にその光景を見せられるわたくしの気持ちになって下さいまし」
「っ!! それは……」
狂三(本体)は息を吞んだ。
「とにかく、今後は同じ『わたくし』に翔さんの監視をさせるのはやめていただきたいですわ」
「……わかりましたわ。わたくしが浅はかでした……」
何だこの空気……でも、本人にしか分からない『何か』があるんだろう。話し合いは終わったみたいだ。
分身の狂三は本体の影に沈んでいく。その際、何やら耳打ちをしているみたいだ。
「ああ、ですが」
「はい?」
「わたくしのストレス発散のために、少し翔さんにはお付き合いいただきましたわ」
「どういうこと、ですの?」
「そんなこと、説明しなければ分かりませんか?」
「……」
分身が完全に影に沈んだ。それと同時に、狂三が俺を見る。
「翔さん? さっき分身のわたくしに襲われたって言いましたね?」
「ああ、ちょっと言い方には語弊があったかもしれないけど……ちょっと」
「何回ですの?」
「1回だけど……」
「それでは1度引いていただきましょうか」
「ここで?」
「ここで」
「すぐに?」
「すぐにですわ。わたくしには確認する権利があるはずです」
どういう理屈かは知らないが、俺は言われるがままにガチャを引いた。
不思議な鏡
念じることで自分と結ばれた相手を見ることが出来る。
さらに鏡越しに触れることも出来る。
「何ですのこれは」
「これは……」
最近ライダー系のアイテムが多かったから忘れそうになってたけど、このガチャってこういう物も出るんだな。
見たところ普通の鏡だ。念じろと書いてあることだし、試しに念じてみる。
「お」
「あら」
すると鏡に俺ではなく狂三が映し出された。鏡の角度を変えてみても、映し出されている狂三の角度は変わらない。
「ふーん」
さらに試しに、鏡の中に指を差し込み、狂三の頬をつついてみる。
「ひゃう!?」
狂三が少しのけぞった。
「触られた感覚あるか?」
「あ、ありますわ。触られた瞬間に頬っぺたも少しへこんでいますし……」
「はー、なるほどね」
こりゃ凄いかもしれない。使い方次第でなんにでも使えるじゃん。ちょっとよからぬことにも使えるかもしれない。
「これ、別の場所も映せるのかな?」
「別の場所?」
「例えば……」
念じる。狂三だけではなくもっと詳細に。
「えっ!? ちょ、な、なんで……!?」
狂三が焦って立ち上がり、スカートを押さえた。鏡には、肌色に挟まれて黒い布地が映っている。
狂三を見るに、その光景に見覚えがあるんだろう。そしてそれは俺のイメージ通りの結果が映し出されているという事。
「翔さん、まさか……」
「ああ。そうだ」
この鏡には今、狂三のスカートの中が映し出されているのだ。
「こういう使い方も出来てしまうと……」
頬っぺたよりも肉感たっぷりの太ももに指が跳ね返される。そのままなぞることだってできてしまう。
「ちょ、しょ、翔さんっ、くすぐったい……!!」
狂三が身をよじってスカートを押さえている。
太ももがぴったりと合わされても、鏡の中にある俺の指には何の影響もない。抵抗も許さず、俺の指はだんだんと黒い布地の方に。
「ふぅ、ぁ……」
いつの間にか狂三も脱力し俺に身を任せている。それはこの実験がこのままエスカレートしてしまっても良いという意思表示だ。
だがその時、
ガチャ!
玄関の開く音が聞こえた。
「「っ!!」」
俺達は我に返る。鏡から指を抜き、とっさに後ろに隠す。
それから10秒ほどして、リビングに顔を出したのは、
「おや、主様。お帰りになられていたのですね」
両手にスーパーの袋を持ったコッコロ、アルトリア、オルタが帰ってきた。メールで話していた通り、今日はコッコロがおいしい料理を作ってくれるという事だろう。
「はい。今日はわたくし、腕によりをかけて料理をふるまわせていただきます」
「それは楽しみだな。それと2人も、荷物を持ってくれたんだな」
アルトリア達にもお礼を言う。
「我々も夕餉の準備は手伝うからな」
「実際に調理をするのはコッコロですが、微力ながら我々も翔の力になれればと」
微力か……ま、調理に関してはこの2人の王様の力も微力なものになってしまうだろう。コッコロのパワーが強すぎるともいえるけど。
話していると、狂三に袖を引っ張られた。
「それでは翔さん。わたくし達は部屋でゆっくりとしていましょうか」
「……狂三、妙なことを考えていないだろうな?」
オルタが目を細めている。何かを直感したんだろう。その口調には確信めいたものを感じる。
「いえ、まさかそんな。わたくしも翔さんにくつろいでいただきたいと思っているだけですわ。ここにいては、翔さんが料理のことを気にしてしまうでしょう?」
「……まあ、そういう事にしておいてやろう」
オルタには2人きりになる口実であることはバレバレだったようだが、今回は見逃してくれるらしい。
「それでは翔さん、行きましょうか」
「そうだな」
俺達は2人でリビングを後にした。
俺はあの鏡をポケットの中に入れた状態で。
―――――――――――――――――――――――――
「ちょっと焦ったかな」
「そうですわね……」
別に本格的な行為をしていたわけじゃないんだけど、あのままでは時間の問題だった。こういうHに使えそうな道具ってアブナイ魅力があるな。歯止めがきかなくなりそうだ。
「それで、どうします?」
「そうだな……」
どうする? というのは、『するのか』という意味だ。でも、この状況で何もしないなんてありえない。
「もちろん、狂三が良ければだけど」
「そんなこと言わせないで下さいまし」
俺達はお互いの顔を近づけ、
「んっ」
軽い口づけをした。
そのままベッドに向かう所で、
「ですが」
「ん?」
「いえ。最近、
狂三は能力を使うために自分の寿命を使っている。何もしていないと死んでしまうが、他人の寿命を奪う事で、能力で使う寿命を延ばすことが出来るのだ。
この世界では俺の『アレ』の寿命をいただくことで凌いでいるが、確かに夏の戦いを乗り越えてから『補給』していなかった。
「そういえばそうだったな……それも狂三がしたいのなら。俺は全然いいけれど」
「翔さんの『責め』をわたくし1人で何度も耐えるなんて無理ですわ」
「そんなバカな」
「翔さんは自分がどれだけの『モノ』をお持ちか、しっかりと理解したほうがいいですわ」
それって、相手に合わせて最適なサイズの息子になるっていう能力ありきだとは思うけど、ちょっと嬉しくなってしまう。
「ですので……『わたくし』」
「あ」
狂三の影の中から、もう1人の狂三が姿を現した。
「何ですの、わたくし。先ほどお休みを頂いたばかりですが」
どうやらさっき影の中に入った、俺のことを監視していた狂三らしい。
「ええ、あなたには今から翔さんとまぐわってもらおうと思いまして」
「はい……?」
呼び出されて突然そんなことを言われれば、そんな声も出してしまうだろう。
そして狂三の意図も理解出来た。
人手が足りないというのなら、増やしてしまえばいいという訳だ。能力の燃料を補給するために能力を使うのは本末転倒のような気もするが。
「えっと、わたくしは話についていけていないのですが……」
狂三の分身体は首を傾げている。
「貴方にはずいぶんと辛い役割を押し付けていました。わたくしの言いつけを破って、翔さんにバラしてしまうほどに。ですから、その欲求をここで解放していただきたいと思ったんですわ」
「まったく慮っている様には聞こえませんが。それに選択肢が無く強制では?」
それは俺もそう思う。
「翔さん、分からせてあげてください」
「分からせてって」
「これから何をするのか、その分からず屋に教えてあげて下さい」
「いえ、わたくしが分からないのは、何故そのような話になったのかという事なのですが……」
狂三(分身)が呆れ顔で更なる説明を求めている。
「……」
俺はこっそりと後ろから近寄り、幻想殺しをONにした右手で狂三(分身)の服に触れた。
その瞬間、
「ひあっ!?」
狂三(分身)の霊装がはじけ飛んだ。後ろにいる俺にはシミ一つない背中とお尻が、前にいる狂三(本体)には胸と下腹部が晒される。
霊装を着ている時は下着まで全て霊装になっているのか、本当に一糸まとわぬ姿になってしまった。頭についているものまで消えてしまっている。
一拍遅れて、狂三(分身)が自分の身に起こったことを理解する。自分の体を隠そうとするが、
「させませんわ!
気が逸れたところに、弾丸が命中する。
対象の時間を完全に止めるこの弾は、分身狂三の動きを完全に止める。
「だからさ……」
能力使っちゃダメでしょ……
「まあまあ、その分たっぷりといただきますから。それよりも、早く準備を」
「準備って」
怒涛の展開で下腹部の準備が全然できていないんですけど……いや。
「なるほど……」
「翔さん? どうかされましたか?」
目の前にいる身じろぎ1つしない狂三(分身)。
「この分身の狂三って、狂三本体との違いは無いんだよな?」
「そうですわね。この分身は過去のわたくしを
「だよな……」
「翔さん?」
つまり、この裸で立っている狂三(分身)は狂三(本体)と同じ身体なのか。
俺は後ろから狂三(分身)を抱きしめる。時間が止まっているが、触った感触は生身と同じだ。手を前に回せば柔らかなふくらみがあるし、その頂点にはまだ柔らかな突起がある。
すべすべのお腹をなぞり下腹部に手を這わせると、そこにはまだ全く濡れていない割れ目があった。
そのすべてが自分と同じ身体なのだ。
「あ、あの、翔さん? 目の前でそう触られると恥ずかしいのですが……」
「これから狂三の目の前で狂三(分身)とセックスするんだから、そんなこと言ってられないだろ?」
「……っ」
狂三が息を呑む気配があった。
忘れていたのか、それとも考えていなかったのか、狂三の顔に赤みがさす。
今は時間が止められているせいで狂三(分身)は何も言わないが、時間が動き出せばその口から嬌声が紡がれることになる。自分と全く同じ身体の女の子が獣のように交尾を行い、乱れる姿を見ることになる。
そうなれば、恥ずかしさは今の比ではなくなるだろう。
「……か、かまいませんわ。わたくしが言い出したことですから。お二人のセッ……行為、しっかりと見させていただきます」
赤くなりながらもきっぱりと宣言した。狂三のことだし、今さら引っ込みがつかないのかもしれない。
別に見る必要は無いんだけどね。終わるまで別室にいればいいだけだし。
だがそう言うのなら。
俺は狂三(分身)をベッドに横たえ、服を脱ぐ。すると、しっかり反り返った肉棒が顔を見せた。先ほど一度抜いたとは思えないほどパンパンに張りつめている。
「……もう、準備万端になってますのね」
「そりゃあ、狂三の体を味わわせてもらったからな」
「そ、そうですわね」
直前まで狂三(分身)の体をまさぐっていたのだ。これで興奮しないわけがない。
寝かせた狂三(分身)の足を開きM字にし、その間に入る。流石に時間が停止している最中に挿入は気が引ける。時間が動き出すまで待つとしよう。
「そろそろ
「ああ」
狂三の言葉通り、
「……、……、……、はっ!? わ、わたくしは、どうなって……? ひぅぅぅっ!?」
時間が動き出し、同時に体をよじった。時間停止中に触った感覚が一気に襲ってきたんだ。
「狂三、大丈夫か?」
「翔さん? な、なんですの、その格好は……!?」
すぐに自分の秘部に擦りつけられているモノの正体を確認した。俺も一気に溢れ出した粘液を潤滑油にペニスを擦りつける速度を早くする。
「『わたくし』」
「な、何ですの、わたくし」
「先ほど言った通りですわ。あなたにはこれから
何か覚悟を決めたのか狂三は淡々と告げている。
「イ、イヤという訳ではありませんが……わ、分かりましたわ。翔さん、お願いします……」
赤くなった狂三がこくりと頷くのだった。