闇夜を飛ぶプライベートジェット。それはイギリスの機体だった。
中に乗っているのは2人。そのうちの1人である長身、赤髪の魔術師であるステイル=マグヌスは、自動で動く操縦桿を見ていた。
「……ふん」
AI制御によって自動で操作され、目的地まで連れて行ってくれるシステムだ。ステイルには詳しい仕組みは分からない。だが目的地を設定したプログラマーも、この飛行機が何を乗せて目的地まで行くのかは知らない。
「学園島、か……」
そう呟いたステイルはコックピットを出る。
客室に戻ると、もう1人の同乗人がいた。ステイルが着ている黒い修道服とは対照的な、白地に金の刺繍が施された、高級なティーカップを思わせる修道服を着た少女だ。
「体調は? 問題ないか?」
「うん。予定日までまだ1週間あるから」
その言葉を聞いてステイルはほっと一安心する。ステイルの今回の任務は、この少女を学園島まで送り届け、とある儀式をすることだ。
「まったく、どうしてこんな大事な時期に移動なんて……!!」
ステイルは上司の無茶な指令に対して口を苛立たし気に吐き捨てる。彼が必要以上にイライラしているのは、ここが飛行機でタバコが吸えないことも大きい。
「むしろ、
「あの女にそんな考えがあるとは思えないけどね」
ステイルの頭に浮かんだのはおかしな日本語を話す上司だ。何も考えていないように見えて、アレはイギリス清教の
「(間違いないか? ホントか? 単純にこの娘のタイムリミットを忘れていただけなんじゃ……?)」
「ステイル? どうかしたの?」
「……いや、なんでもないさ」
どんな思惑があろうとも、ステイルの行動原理は変わらない。
「(障害はすべて焼き払う。それだけだ)」
学園島までは8時間。護送任務が始まった。
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インデックス移送当日。
俺は夕方、午後7:00。通常なら帰宅しているはずの時間に六課に出勤した。
「お疲れ様です」
「おう、来たか」
顔を出して挨拶する。事務所の椅子に座っているのは蛇倉さんだけだった。今日の待機メンバーは全員、この時間からの出勤になっている。俺が一番乗りだったみたいだ。
「蛇倉さんはもう終わりですか?」
「や、今日は普通に通常出勤プラス夜勤だ」
「……お疲れ様です」
管理局に労基法は無いんだろうか。
「人手不足だからな。事務方は特に。部隊長も実行部隊の補充には熱心なんだがなぁ」
そのしわ寄せが蛇倉さんに行ってるってことか。俺も出来るところはサポートしたいと思う。
「何か手伝いましょうか?」
「や、別にいいっつーの。お前はこれから仕事があんだから。力は残しとけよ。お前達がうまくやってくれれば、それだけ六課の評価が上がって人員の補充もしやすくなるだろ。志願者も出るかもしれないしな」
そりゃどうだろうね。目の敵にされるだけかもしれないよ。
「……じゃあ、ゆっくりしてます」
「どうぞ」
「どうも」
ラムがお茶を淹れて来てくれた。
お言葉に甘えてぐだーっとしていると、すぐになのはさんが出勤してきた。
「お疲れ様です~」
「お疲れ様です」
「お疲れ。ヴィヴィオちゃんは、今日はフェイトが?」
「はい。今日はご飯用意して、フェイトちゃんにバトンタッチです」
なのはさんとフェイトさんは仕事をうまいことして、ヴィヴィオちゃんを育てている。フェイトさんが長期の仕事の時はなのはさんが、なのはさんが家を空けないといけない時にはフェイトさんが面倒を見ているらしい。
「そういえば、フェイトさんですけど」
「うん。フェイトちゃんが?」
「こう……抽象的な質問ですけど、どうですか? どんな様子ですか?」
「……そうだね。まあ、普通だよ?」
それならいいけど。前に食堂ですれ違って以来、六課に来ていない俺はフェイトさんには会っていない。
ただ、ララに聞いた話だと……気になってしょうがない。入隊してすぐに人間関係でトラブルなんて勘弁だぞ。
「私達の前では普通ってだけだから。フェイトちゃんも初めてのことで戸惑ってるんだよ。色々ね。今はそっとしてあげて……って、言う相手、間違ってるかな?」
「でしょうね……」
フェイトさんの『その相手』がおそらく俺だからな。
「や、絶対そうだろ」
蛇倉さんからにやにやとしたツッコミが入った。
「この男は……」
ラムも呆れていた。
そうして話すこと30分。
「お、お疲れ様です……!!」
「ま、間に合った……!!」
スバルさんとティアナさんが集合時間ギリギリで滑りこんできた。
「ずいぶんとギリギリだったね、2人共」
確かに、ティアナさんとかきっちりしてそうなイメージだったんだけど。
「はぁはぁ、スバルが、起きてなくて、はぁ」
「仮眠してたんですけど、目覚ましつけ忘れちゃってたみたいで……」
「不安になって連絡してみたら、私の連絡で起きた、って返ってきて。急いで迎えに行ったんです」
「仮眠取るなら隊舎ですりゃあ良かったじゃねーか。ま、間に合ったならいいけどな」
「はい、どうぞ」
俺が水を差しだすと、2人は水をひったくるように奪い取り飲み干した。
時間ギリギリに集まったという事は、この後すぐに予定があるという訳で、
「はい、みんな集まって」
八神さんが顔を出した。
「お客さんや」
何時になく真面目な顔で告げるのだった。
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俺達は部隊長室に集められていた。
俺、なのはさん、スバルさん、ティアナさんが並んで立ち、その前に今回の『お客さん』が俺達に背を向けて立っている。
お客さんが見ているのは、部隊長のデスクの前に立つ八神さんだ。
「
「特務六課部隊長、八神 はやてです。こちらこそ、よろしくお願いします」
2人はお互いに頭を下げた。日本人らしいお辞儀だ。
「……」
俺は無言で一歩下がる。
危ないんだよ、あの腰に下げた日本刀が! 2メートル近い日本刀を腰のウェスタンベルトに引っ掛けているもんだから、先っぽが俺に突き刺さりそうになってるんだけど。
「荷物、預かる人はいなかったんですかね?」
「ラムちゃんだからね……」
なのはさんは苦笑いしながら答える。そう言えばアイツ、ギリギリまで俺達とお茶飲んでたよね。じゃあ諦めるしかないな。
「すっごいね! 写真で見るよりも足長い!!」
「アンタも黙ってなさい……!!」
「痛たたた……!!」
スバルさんが太ももをつねられている。
ため息を吐いて視線を前に戻す。
六課に挨拶に来たのは予定通り、空港で待機する予定になっていた神裂 火織だった。前日にこの島に到着して今後の宿泊場所などの下調べをしていたとか。
神裂が後ろの気配を探っているように感じた。彼女の耳が、俺達が何を言っているのかを察知したのだろう。
「心配せんでも、みんなやる時はやる子やから。安心してな」
「そうですか……」
そのことを察した部隊長がフォローを入れてくれるが、神崎の声色は大分心配そうだ。
それは俺達が頼りないというよりも、自分に比べれば他人の戦力はそこまであてにする必要が無いことが大きいだろう。そのくらい神裂は『特別』なのだ。
神裂は『聖人』―――世界に20人ほどしかいない超人の1人なのだ。偶像の理論によって、『神の子』に似た身体的特徴や『聖痕』を持つ事で発現する先天的体質。
つまりはスーパーレアな才能を持っているのだ。
人体の存在レベルが違うと言わんばかりの性能を誇っており、音速で動いたり素手でコンクリートを破壊したり、テメーはワンパンマンかとツッコミを入れたくなる力を持っている。
原作では登場する時期が早すぎたせいで活躍に恵まれない or 当て馬にされることが多かったんだけど、設定だけ見れば頭のおかしいレベルだ。
その人から見れば、俺達の実力なんてたかが知れている。心配だと思われても仕方がない。
俺達は俺達に出来ることをするだけだ。
「それじゃあ、スバル、ティアナ。神裂さんと一緒に空港に向かってな」
「「はいっ!!」」
「分かりました」
3人は揃って空港へ向かっていった。
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で、空港組を見送った俺達なんだけど。
「暇ですね……」
「そうね。今のあなたは、給料泥棒の穀潰しだわ」
「にゃはは、何もないのが一番だけどね」
事件が起こらないと俺達はマジでやることが無い。その方が良いとわかっていても、こうしてお茶飲んで駄弁っているだけだと暇でしょうがないのだ。
「じゃ、俺は仮眠取ってきますわ」
あまりにもやることが無かったためか、蛇倉さんが仮眠室に行ってしまった。
その後ろ姿を見ながらコーヒーを啜る。
じゃあ新しく手に入れた能力の確認でもしておこうかな。
仮面ライダーアクセル変身セット
アクセルドライバー、アクセルメモリ、アクセルウォッチのセットパック。
Wのライドウォッチを手に入れている場合、ジオウで使用可能になる。
エンジンブレード + エンジンメモリセット
アクセルが使う剣。生身でも扱うことが出来るが、とてつもない重量があるため一般人には持ち上げることも難しい。
エンジンメモリをセットすることで、アクセルメモリから力を引き出して刀身に付与出来る。
メダルセット(重量系)
仮面ライダーオーズに変身するためのアイテムである、コアメダルの詰め合わせセット。
このセットにはサイ、ゴリラ、ゾウのメダルが入っている。
ウイングガンダム
新機動戦記ガンダムWに登場する兵器。
地球圏統一連合に対する一大テロ作戦『オペレーション・メテオ』のために建造されたガンダム。
飛行形態の『バード形態』、強力な射撃武器である『バスターライフル』を使った一撃離脱戦法を得意とする。バスターライフルは一回の出撃で最大出力で3発しか撃つ事が出来ない。ただし威力を調整すれば普通のビームライフルとして、3発を超えて撃つ事が出来る。
同時期に開発された他4機のガンダムの中では一番原型機に近い。
ガンダムバルバトス
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズに登場する兵器。
本編300年前、『厄災戦』にて開発されたガンダム・フレームを採用された機体の1つ。
本編で使用した兵装、追加装甲は一通り使用可能。
パイロットの三日月・オーガスは阿頼耶識システムを用いて機体の操作精度を上げているが、この作品ではパワードスーツ扱いなので特に関係がなくなっている。
こんな感じだった。
と、振り返ったところで本当にやる事がなくなってしまった。もう雑談くらいしかやる事が無い。
「フラグ立てておきますか?」
「やってみたら?」
それでは。なのはさんの許可も得たことだし。
「いやー、今回は何事もなく終わりそうだなー」
ビーッ!! ビーッ!!
「「「……」」」
けたましいサイレンが鳴り響いた。
「……出撃ですかね?」
「そうみたいだね」
「見事過ぎるわ」
ため息を吐くラムを背に、俺となのはさんは出撃準備を始めた。
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機体がミシミシと音を立てていた。
どこからともなく現れた細長い卵型のドローン達。飛行機が警告音を出した時にはすでに取り囲まれていたのだ。
空を飛んでいる事、飛行機が自動で救援信号を送っている事を考えたステイルは、飛行機内部への籠城を決意したのだが、
「ステイル……」
「……っ」
傍らにいる少女の不安そうな声に歯噛みする。
幸い、飛行機内部にドローンが入ってくる事はない。だが、窓の外を飛び交う様子やこちらに向けて放たれた光弾の衝撃は、十分すぎる恐怖を与えてくる。
その様子を見せまいと、ステイルはローブで少女の顔を覆った。
「大丈夫だ。何があっても僕から離れるな」
少女とは反対にステイルは落ち着いていた。
必要悪の教会の魔術師として数々の魔術結社を潰している彼にとって、この程度の荒事で心を乱す理由がない。心配があるとすればステイルに縋り付いている少女だ。むしろこの少女の存在によって、ステイルの心はかき乱されていた。
「(この狭い機内の中では僕の魔術は使いにくい。この子を巻き込むなんてヘマは万に一つもないけど、この飛行機がもたないだろう)」
機内の壁には、そのすべてを埋め尽くさん勢いでルーン文字が書かれたカードが張り付けてある。これらはステイルの魔術の起点だ。現在は飛行機全体に強化の魔術をかけているが、その気になればすぐに彼が得意とする炎の魔術を発動させることが出来る。
そうなればドローンの群れごとき、一瞬で焼き尽くすことが出来る。
だがその結果、飛行機まで破壊、最悪の場合墜落してしまったら元も子もない。
「(でも最悪の場合も想定しないとだね。このまま空港に行ければそれでいいけど、もしも内部に侵入された場合はこの機もろとも奴らを破壊する。この子は『歩く教会』を着ているから、落下してもそこまでのダメージにはならないはずだ)」
すでに飛行機はかなり島に近づいている。墜落する飛行機はどうするのかとか、自分の命はどうなのかとか、その手の計算はすべてステイルの頭からはすっ飛ばされている。
だがそれはあくまでも最後の手段。
「(このまま何も起こらなければ。空港には神崎がいるんだ。どうとでもなる―――っ!?)」
「あれ? なんか、傾いてる……?」
ステイルもその傍らの少女も異変に気が付いた。
明らかに機体が傾いている。
「(なんだ? 何か、エンジンにでも異常があったのか?)」
ステイルの予想は全く外れているわけではなかった。
正確には『この飛行機全体のコントロールを奪われつつある』だ。
ステイルが抵抗しないのをいいことに、操縦席にとりついたドローンが操縦AIにハッキングを仕掛けていたのだ。飛行機の防衛プラグラムも頑張ってはいたが、度重なる攻撃とかけられた時間にとうとう陥落。ウイルスプログラムに浸食されつつあった。
「(コンピュータの不調か? それともコントロールを奪われたのか? どちらにせよ、このまま乗っていてはこの娘に危険が及ぶ……!!)」
ステイルが決意を固めかけたところで、
「「っ!?」」
オレンジ色の爆発が窓の外で見えた。ドローンが撃つビームとは違う閃光―――ドローン自体が爆散したのだ。
「今度はなんだ……!?」
飛行機の窓を白い人影が通り過ぎる。小型の飛行機に乗った、トリコロールカラーの装甲を纏った人影だった。