※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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アナザーゴースト編
方針転換


魔術師組が帰った後、俺にも退院の許可が下りた。特に荷物が無かった俺は、日が沈む直前に帰宅した。

 

「ただいま」

「先輩!」

「おかえり、翔君!」

 

俺が帰ると、みんな―――雪菜、クロ、アスナ、狂三、理子、ティナ、ヤミ、耀、桜、セイバー、セイバーオルタ、コッコロがリビングにそろっていた。

 

荷物を部屋に置き、戻ってきて落ち着く。

 

「みんな聞いてるかもしれないけど、今回のことで2週間の謹慎になった」

 

特に隠すことでもなかったので、普通に告げる。

 

すると六課組の雪菜とアスナが頷いた。

 

「はい。その話はもうみんなに」

「翔君も災難だったね……」

「まあ、な」

 

聞いた話によると、あの時の戦闘記録は楯無さんのISに残っていた。それをブリーフィングで確認したらしい。何しろ監視カメラも停止していたのだ。その記録だけが当時の状況を知る手段になる。

 

当然、楯無さんや耀からは事前に俺がどのような状態になっていたのか、言葉では伝えられていたはずだ。

 

だが、実際に映像で見た衝撃は凄まじいものだっただろう。情け容赦のないハザードの攻撃は。

 

「一応聞いておきますけれど、もうあの姿にはならない、ということでよろしいんですの?」

「ああ。変身アイテムは六課が押収したし、手元にあっても使うつもりはないよ」

 

正直、ハザードの力は絶大だが、アレを使わなければいけないほど戦力がひっ迫しているわけではない。

 

制御アイテムが手に入れば話は別だけど、ハザードトリガーは六課の手にあり、一度暴走した俺に使用許可は下りないだろう。

 

「向こうに使われれば話は別だけど」

「謎の人物、ですか」

 

雪菜は深刻な顔で呟く。

 

「ああ。アイツが出てきて無理矢理使われれば……」

 

間違いなく抵抗できず、変身させられるだろう。

 

「ですが、怖がっているわけにはいきませんわ。こちらがおとなしくしていても、向こうが好き勝手動き回るだけですし」

 

狂三の言葉はもっともだ。こちらが抵抗をやめたとしても、向こうがおとなしくする理由にはならない。

 

「だよねぇ。攻めるとはいかなくても、撃退できるくらいには強くならないとだよねぇ」

 

理子も目をギラギラさせながら舌なめずりしている。ここにいない『獲物』を意識しているのだろう。

 

「……強く、か」

 

強くなる手段なんて、そんなものは簡単だ。だが、目的と手段は逆転させない。見誤ることはしたくない。

 

「……翔君、大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ。何も変わらない」

 

アスナの言葉にそう返す。

 

「ん? 何? 何か心当たりがあるの? 何が変わらないの?」

 

まだ仕組みを知らない理子が聞いてくる。

 

「や、何でもない―――」

「翔さん」

 

俺の言葉を狂三が遮る。

 

「ここはもう、話してしまったほうが良いのでは? ここには事情を知っても問題の無い人しかいませんわ」

「……そう、だな」

 

この中で俺の詳しい事情を知らないのは理子、ティナ、ヤミの3人。この3人だったら、情報を共有して困ることはない。どこかに漏らされることも無いだろうし。ここにララがいたら控えていたな。

 

ちなみに、ミッション達成のガチャでこの家に来たアルトリア達は、俺の事情について理解している。

 

俺は説明した。

 

俺の出自、能力について。そして、話題に上がる謎の男が俺と同じ境遇である可能性が高いことを。

 

女の子の召喚や、この世界が元の世界の創作物に似ているといった話は今回はやめておく。

 

「はへぇ~……」

「……なるほど」

「……?」

 

3者3様の反応をしていた。

 

理子とヤミは柔軟に受け止めてくれている。ティナは少し難しかったのか、ぽかんとしているが。

 

「え、つまり翔君はリアル異世界転生者? チートで無双しちゃってる感じ!?」

「そうなるか……いや、死んだ覚えはないから転生とは言えないかもな。チート、はチートかもしれないけど、そんなに無双してる覚えはないな」

「理子の計画はボッコボコに潰されちゃったけどね?」

 

そういやそうだったな。

 

「どうやって能力を増やしていたのかと思えば、そう言った手段だったとは……本当にえっちぃ人ですね」

 

ヤミがゴミを見るような視線を向けてくる。

 

「そんなこと言われても、俺が望んで手に入れた能力じゃないからな」

「女の子とラブラブセックスしてチート能力生み放題って、控えめに言っても最強じゃない。というか最高じゃない?」

 

理子のエンジンがかかってきた。

 

「らぶらぶせっくす……お兄さんといちゃいちゃするって意味ですよね」

「うんうん。ティナちゃんは流石に早いからね~。後5年くらいは」

 

ティナが視線を向けて来た。え、もうしましたよね? という視線だ。声には出さないが。本当に助かる。

 

「で? そんな簡単に能力が増やせるなら、毎日とっかえひっかえすればあっという間に最強じゃない?」

「そんなに簡単に行くのかは分かんないけどな」

「でも実際、ちょー強かったよねぇ? 眷獣をあんなふうにぼこぼこにするなんてさ」

 

否定できない。

 

オーズのメダルが増えてもいいし、ハザードトリガーとフルフルラビットタンクをセットで当ててもいい。

 

仮面ライダーに絞らなくてもガンダムやゲッターなどのスーパーロボット、ほかの異能力でもOKだ。

 

現に今も、悪魔の実の栽培を見送っている。

 

だが、

 

「下手に広めると、この世界のパワーバランスを崩すことになるだろ」

 

どちらかというと、俺が目をつけられている理由は、俺自身の強さよりも未知の能力を生み出せるところにあるんだと思う。

 

「それはそうだけどね。理子のスタンドだけでも全世界の人が持ったら、そりゃ大変だけどさぁ。アタシ達だけでもそういうので武装したほうがいいんじゃない?」

「みんなに共有できるような能力がない」

 

ジオウの力でライダーの能力を貸し出せるようにはなったけど、対象は1人だけ。スタンドにしたって、俺の『矢』はすでに使い切ってしまっている。

 

「それ、『今は』って言葉が付くんじゃないの?」

「……理子さん? 何を」

 

雪菜が警戒している。だが、俺は何となく読めて来た。

 

「だったらそういう能力が出るまでエッチすればいいじゃん」

「俺は能力のためにそう言う事は致しません」

「あー……頑固というかなんと言うか……」

 

めんどくさいヤツ~、と言いたげな顔だ。

 

「翔」

 

冷静な声が場に割り込んできた。オルタだ。

 

「お前の心意気は素晴らしいが、現状は正確に把握するべきだ。理想を並べるだけではどうにもならないことは、今回のことで貴様も理解出来たのではないか?」

 

冷静な瞳が俺を射抜く。

 

「戦力の強化は必須だ。間違いなくな。取れる手段があるのなら取る必要がある」

「あれ~!? 王様凄く話が分かるじゃん!」

 

オルタの発言に、理子は大喜びだ。

 

「そもそもさ。翔君が嫌なのって、能力を得るために義務的にするのが嫌だってことだよね? 理子、別にそんなつもりは無いよ? する理由が1つ増えるってだけ。理子がしたいからっていうのが一番大きいかな?」

 

そんなことを言いながら体をくねらせる。

 

「別に難しいこと考える必要は無いじゃん。したいからするって感じで。ま、理子は少し回数が増えちゃうかもしれないけどね?」

「心持ちはそれでいいだろう。翔もそれでいいな?」

「そう、だな……」

 

理子とオルタに押されて俺は頷いた。

 

能力のことを話した時点で、このことが頭をちらつくのは避けられない。だとすれば理子やオルタの言うように少し頭を空っぽにしてみるのがいいのかもしれない。

 

「他の者もそれでいいな。翔の意思を尊重し、計画的な能力の生産は行わない。だが戦力の強化は必須だ。後は『各々の行動に任せる』」

 

その一言で、場の空気がぴりっとしたような気がした。

 

「ちなみにさ。誰か個人を強化できるアイテムが出たとして、それを優先的に使えるのは当然、その時に相手をした娘だよね? や~、みんなゴメンね? 理子、どんどん強くなっちゃうかも」

 

その一言で、場の空気がさらにぴりついた。

 

「とりあえず、ご飯にしよっか?」

 

そう言うアスナの声も、何処か硬いような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

オルタの宣言後、夕食になった。談笑しながら食事を楽しみ、各々の自由時間になる。

 

その間、俺はずっと感じていた。何か空気が違うという事を。原因ははっきりしている。オルタの宣言があったからだ。

 

「ねえ、翔。みんなどうしたのかな?」

 

と、夕食直前に家に来たララにも心配される始末だ。でも俺から説明出来ることはない。みんなの心情を推し量ることは出来ないから。

 

「ん~? そうなんだ?」

 

ララも理解出来ていないようだ。ま、ララには事情は説明してないししょうがないか。

 

ちなみに今は俺の部屋にいる。夕食後の自由時間だが、この微妙な空気に耐え切れずに早々に部屋に引っ込んだのだ。

 

と、ここで思い出した。

 

「なあ、ララ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「ん? なぁに?」

 

「ララって妹居るよな?」

「うん。いるよ? それがどうかしたの?」

 

ここで何故知っているの? みたいな話にはならない。だって王族だしね。正式に認められている王女様なんだから、ちょっと調べれば情報は出てくるし。

 

それは、その能力も。

 

「モモって娘、植物と話せるんだって?」

 

だからこういう話題を出しても不自然じゃない。

 

「うん! モモはね、電脳空間に自分の植物園を持ってて―――」

 

ふんふん、と相槌を打つ俺。ララの口から出る言葉に引っかかることはない。モモについては原作通りと考えていいな。

 

「ちょっと育てたい植物があってさ。アドバイスをもらえないかなって」

 

手に入れてからずっと手元で腐らせていたアイテム、悪魔の実栽培キット。能力の不要な広まりを考えて今まで手を出さないでいたが、少し準備くらいはしておいた方がいいだろう、と考えるようになった。

 

まあ未知の植物?だし、モモに聞いたところでわかるとは思えないんだけど。ダメで元々、聞くならダダだし。

 

「いいよ。電話する?」

「突然電話して大丈夫か?」

 

向こうにも都合があるだろうし、とも思ったが、あの姉妹ララのことが大好きだからな。突然の電話でも大いに喜ぶだろう。

 

ララはさっそく取り出したデダイヤルで通話を開始した。

 

《お久しぶりです、お姉様》

「モモ~、元気だった?」

《はい。お姉様もお変わりなく》

 

電話の向こうにいるモモの声が少し聞こえてくる。今回はビデオ通話ではなく音声のみの通話だ。

 

姉妹はしばし談笑を楽しんだ後、ララではなくモモが用件を尋ねる。

 

《それで、お姉様? 本日はどのようなご用件で? 何か私に御用があったからお電話されたのでは?》

「そうなんだよ! よくわかったね~」

 

ララの場合、『便りの無いのは良い便り』とは違うんだろう。普通に連絡しなさそうだ。その辺りはペケが担当しているんだな。

 

そんなララがわざわざ連絡してきたというところに、モモは違和感を感じたんだ。

 

「実はね、モモにちょっとお願いがあって」

《私で力になれることがあれば、何なりと》

「ありがと! それでね、翔がモモに植物について聞きたいことがあるんだって」

《翔……お姉さまの婚約者候補の方、ですよね? ……わかりました。今からでしょうか?》

「翔、どうする?」

 

ララがこちらを見てくる。

 

「じゃあ今からで」

「うん。今からだって」

《わかりました》

 

ララからデダイヤルを受け取り耳に当てる。

 

「電話代わりました。はじめまして、夜月 翔です」

《はじめまして、モモ・ベリア・デビルークです。お姉様がお世話になっております♪》

 

俺と話すモモはあからさまに余所行きの、猫を被った声色だった。

 

「や、お世話だなんてそんな―――」

 

してるかもしれない。

 

《そんなかしこまらなくても大丈夫ですよ。普段のようにお話いただければ》

「そうか? それじゃあそうする」

 

許可をもらったことで口調を崩した。

 

《本日は植物について、何かご相談があるとか》

「そう……実は―――この島で品種改良された植物が手に入ってさ。せっかくだから育ててみようと思うんだけど」

 

そんな感じで話を始めたが、

 

《なるほど……それはどのような品種ですか?》

「品種? 品種……」

 

いきなり行き詰ってしまった。

 

分からん。悪魔の実の品種なんて。

 

《何か目でわかる特徴はありますか? あれば写真を撮って送っていただけると。例えば、葉の写真とか》

「や、まだ種だからな……一応送るけど」

 

色々な角度から種を撮影し送信するが、

 

《う~ん……これだけですとお答えするのは難しいですね……物自体を送っていただけければ、こちらで解析できるとは思いますが》

「それはちょっと……」

 

悪魔の実の効能について知っているのは俺だけ、とは言い切れない。そうでなくても輸送の最中に変な事故で紛失したら大変だ。デビルークに送ることはできないだろう。

 

《そうなると、アドバイスも難しいですね……》

「だよな……」

 

こちらもそこまで期待していたわけではない。運が良ければ、程度に考えていたことだ。

 

「申し訳ない、急に変な頼み事しちゃって」

《いえいえ、お気になさらず。こちらこそお役に立てず、申し訳ありません。もし私がそちらに行くようなことがあれば、その時は改めてお話を聞かせて下さい》

「計画してるのか?」

《―――いえまさか。自分勝手に出歩けるような身分ではありませんから》

「……そっか。じゃあ、その時にはよろしくな」

 

俺はそう言ってララに電話を返した。

 

モモの返答は自然だった。

 

俺が気が付けたのは、あらかじめそうだろうと予想―――ではなく確信していたからだ。あの2人がこのままおとなしく自分の国にいる訳がないという事を。

 

こりゃあ、色々と計画してそうだな。

 

楽しそうに妹と会話するララを見ながら、そんなことを思うのだった。

 

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