※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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ゴースト事件終了

「翔ー!!」

「な、なんだ!?」

 

王妃のベルトの件を話し合った次の日。俺の部屋を蹴り破るようにして入ってくる娘がいた。

 

その大声に跳び起きた俺は声の主を見る。

 

「ララか!」

「ザスティンから連絡があったよ!」

 

その一言に俺の意識が完全に覚醒する。

 

「すぐに病院に来て欲しいって!!」

「了解!! すぐに行く!!」

「うん!」

「え」

 

ララが俺の肩に手を置いた。その手には見覚えのあるブレスレットが。

 

直後、俺達は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

藍子の病室には管理局での手続きが終わり、夜から病室にいたはやて、ユウキ、ついさっき到着したザスティン、御門先生がそろっていた。御門先生は藍子の主治医の代わりだ。

 

「ララ様には連絡したので翔殿もすぐに到着するでしょう」

「ララさん、うまく伝えてくれるかしら」

 

その疑問は御門先生のものだ。翔から聞くララの普段の様子を考えて不安になっているのだ。

 

「ララ様は別にふざけている訳ではありませんから。事の重大さを理解していれば正しい行動をとる方です」

「だといいけど……」

 

と、その時だった。

 

部屋の中に強烈な閃光が発生した。

 

「「「ッ!?」」」

 

はやてとザスティンが一瞬で戦闘態勢になる。

 

「「は?」」

「あら」

「へっ!?」

《わわっ!?》

 

そしてすぐにその姿勢を解くことになる。

 

閃光の中心にいたのは待ち人の翔、そして何故かララだった。しかも両方とも素っ裸の状態で。

 

一番混乱しているのは転移(と)んできた翔だった。

 

「あ、ザスティン! 翔連れて来たよ!」

 

振り返ったララのおっぱいがその勢いでぷるんと揺れた。恥ずかしがる様子もなく、自らの局部を隠すこともしないため、子供であるユウキはララの肢体を見て顔を真っ赤にしてしまう。はやてですらほんのりと赤らめる始末だ。スピーカーから聞こえる声を聴くと、藍子もそうなのかもしれない。

 

何も身に着けていないのは翔も同じだったが、翔は自分が置かれた状況をすぐに理解して黒影(ダークシャドウ)を使って体を隠していた。

 

「ラ、ララ様!! なんという恰好を……!! 早く何かお召し物を!! 翔殿!!」

「あ、ああ。ララ、ほら、お前も入って!」

「え? うん。分かった~」

 

ザスティンはに言われた翔はララを黒影(ダークシャドウ)の中に入れてあげた。

 

唯一くすくす笑っているだけだった御門先生が、2人の衣服を手配しながらボソッと言った。

 

「2人共裸で転移して来るなんて、もしかして昨日はお楽しみだったのかしら。ダメよ、慌てても服くらい着なくちゃ」

「翔殿、それは……!!」

 

ザスティンは顔を真っ青にして叫ぶ。何を想像しているのか簡単に予想出来てしまう。その想像も間違いで、早とちりでデビルークにでも報告されてしまえば大変なことになる。

 

「え、ホ、ホンマに……?」

《わ、わぁ……!!》

「え? 何が? どういうこと、姉ちゃん?」

《ダイジョブ、分からないなら分からなくても!》

「え~何で!? 気になるよ!!」

 

3人もざわざわと騒ぎ始めたことに翔は焦りを覚える。

 

「違いますから!! 御門先生も適当なことを言わないで下さい!」

「え、状況だけ見れば何も間違ってないと思うけど」

「そうかもしれないけど! 不用意な発言は控えて下さい!!」

 

こうして翔はせっかくワープで1秒かからずに病院に到着したにも関わらず、それによって生じた誤解を解くために時間を使ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

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落ち着いた俺達は全員で円になってザスティンの話を聞こうとしていた。ちなみに俺とララは病院着を借りている。

 

「私は専門家ではない。誤解を与えないよう、本国からの回答をそのまま読み上げます」

 

ザスティンは手に持ったデバイスに目を落とした。

 

「紺野 藍子殿のデータを精査した結果。我が国の医療での即時の治療は難しいと判断します」

 

その一文に俺達は息を呑む。

 

「我が国もその病気の研究は完全とは言えず、現在も研究を進めている最中になります」

 

流石のデビルークでも万能ではなかったか。

 

「ですが藍子殿が現在投与している薬品を確認したところ、過去に非常に似た成分の薬をデビルークでも試作し、期待した効果が得られなかったことを確認しています。現在は別方面から治療のアプローチを行っており、そちらでは一定の成果を確認しています」

 

何だって?

 

「つまり?」

 

はやてさんも聞き返していた。

 

「はい。藍子殿さえよければ、デビルークの治療を受けていただければ、現在の治療よりもより良い結果になるかと思います」

 

ザスティンは最後の部分を自分の言葉でまとめていた。

 

《そうなんですか!?》

「姉ちゃん……!」

「2人共、ザスティンさんが言ってたけど、完治が保証されるわけじゃないからね?」

 

御門先生が諫める言葉にも、ユウキは興奮を抑えられない。

 

「分かってるけど! でも! 姉ちゃん、この治療だったら受けてくれるよね!」

《うん、もちろんだよ!! 今度こそ元気になって見せるからね!!》

 

盛り上がる2人にはやてさんは涙し、ザスティンと御門先生は微笑んでいた。

 

「それで、その治療ってどんな感じなのかしら」

「こちらです」

 

喜びに水を差さないように御門先生が小声でザスティンに問う。見せられた資料を上から下に、目線が文章を追っていた。

 

その難しい表情に思わず問いかけていた。

 

「どうです?」

「そうね……流石はデビルークの最新医療。見たことない医療機器が使われてるわね」

「その辺りの用意に関してはこれから話を詰めようかと思っていました」

「なるべく早い方が良いけど、まあ大丈夫でしょう。ウチの病院には患者を治すためならなんだってするって言う最強の医者もいることだしね」

 

そいつは頼もしい話だ。

 

そしてこの話に繋がるためにはララの協力が不可欠だった。

 

「ララ、今回は本当にありがとう」

 

ユウキとはやてさんも頭を下げた。

 

「え、ぁ、う、うん。えへへ、翔のためだから!!」

 

何処か戸惑った様子で、だが次の瞬間にはいつもの笑顔で笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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こうして藍子の治療関係で俺が出来ることは終わった。

 

後はデビルークの医師団といつもの病院の医師たちの話し合いでコトが進んでいくだろう。藍子の立場は現在とあまり変わらないが、いつかは元気になることを祈るばかりだ。

 

ユウキについてはアインハルトの時と同じように厳重注意となった。

 

本人としてはチンピラとはいえ魂を抜き取ったことや殺意を持って攻撃したことについても処罰を求めたようだが、前者はアナザーゴーストの変身能力を失ったことによる証拠不足(自分が行ったという証拠が出せないという奇妙な状況)、後者は当時の状況を総合的に分析して不問となった。

 

まあ、殺意持って攻撃した程度で捕まるんなら、武偵なんて全員逮捕されてるからな。最終的な結果がすべてだってことだ。殺意がなくても人を殺したら武偵法に引っかかるかもしれないし。

 

というわけで、ユウキの最終的な処分は俺たちの予想通り『厳重注意』のみだった。それも『夜遅くに知らない人の呼び出しに応えるな』というもの。

 

先ほども言ったがアナザーゴーストの変身能力を失ったことで『裏路地の幽鬼』としての活動が、ユウキのものと認められていないのだ。それでも無理に自分の罪を主張しようとすると、逆に話が拗れて面倒なことになる。本物の幽鬼をかばおうとしてるんじゃないか、とかな。

 

俺の方もゴーストの力を深く追及されるのは勘弁願いたいのでこれには助けられた。俺を助けると思って、と言ってユウキには納得してもらった。

 

そして、

 

「じゃ、行ってくる」

「うん、行ってらっしゃい」

 

アスナに見送られて俺は久しぶりの朝練に向かう。病院に詰める必要もなくなったので復帰するのだ。

 

実際、これって朝練とは名ばかりなんだけどね。

 

1時間も出来ないし、内容は軽いストレッチとランニングだけ。後は雑談だ。

 

初めの方―――俺がアインハルトや綺凛と付き合う前はそれなりにトレーニングしてたけど、今はどちらかというと恋人と過ごす時間という感覚の方が大きい。そうしないと2人と話す時間が一緒に住んでいる娘と比べてとても短くなってしまうからだ。

 

「あ、翔さん、おはようございます」

 

先に来ていたアインハルト。こうして顔を合わせるのは1週間ぶりだ。表情はいつも通りだが、どこかうれしさを滲ませている。俺に久しぶりに会えたからか、それともこの場にいる『新しいメンバー』に緊張しているからか。

 

「それで、これは……」

「ああ。メールで言った通りなんだけど……」

「おはようございます、先輩」

 

晴れ晴れとした表情の綺凛があいさつしてくる。

 

そしてもう1人。

 

「おはよ~、翔さん。今日からよろしくね!」

 

動きやすい服装に身を包んだユウキだ。どうやら事件を通して綺凛と仲良くなったらしく、今日からこの朝練に参加することになったのだ。

 

「ごめんね、アインハルトさん。勝手に参加することにしちゃって」

「いえ、私は構いませんが……ですがどうして突然?」

「まあ、色々あったからかな? ね、翔さん、綺凛」

「そうですね。色々ありましたから」

「え、翔さんだけじゃなくて綺凛さんも……? 知らないの私だけなんですか!?」

 

とりあえず今日の話題は、どうしてユウキが参加するようになったのかの説明になりそうだな。

 

さて、これから俺を待ち受けるのは……とりあえず六課への復帰と、隊長陣への説明か。

 

そんなことを考える、10月中旬の早朝だった。

 

 

 

 

 

 

 

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学園島のどこか、ウォズは本を広げていた。

 

「こうしてアナザーゴーストを巡る事件は終わりを告げた。初めての王妃も迎え、我が魔王の覇道をますます邁進することになるだろう」

 

ウォズのめくる本。そこにはこの事件の顛末、ウォズが介入していなかった場合の顛末が書かれていた。

 

綺凛がその場に行かず、ユウキが暴走してしまった後の顛末が。

 

復讐心に駆られチンピラを殺してしまったアナザーゴースト。だがその残り時間も少なかった。

 

綺凛というストッパーがいない事で1人を殺し、2人を殺し、3人4人―――逃げ出す者も追いかけて計26人ほど殺したところで、アナザーゴーストの体が崩壊しこの世から消え去る。

 

ユウキが跡形も無く消滅したことで証拠も残らず(管理局に出頭すれば自分たちの罪も明らかになり、そもそも犯人のユウキが消えているため意味がない)、事件は迷宮入りに。行方不明になったユウキは学園島でも時折ある、ありふれた事件として処理されることになる。

 

結果として翔はゴーストの力を手に入れ、六課への影響はなかった。だがユウキが消えたことで藍子が治療を望まなくなり、はやては心に深い傷を負うことになる。

 

「さて、次なる物語は……ふむ、イレギュラーはまだおとなしくしているか。では灼熱のハロウィンか、いや、時の列車か? まあいい。その時をお楽しみに」

 

楽しそうに告げ、そこから消えるのだった。

 

 

 

 

 

 

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御門は帰り支度をしている男性医師に近づいた。

 

「お疲れ様です。お帰りですか?」

「ああ、おつかれさまです、御門先生。そうですね、大きな仕事がなくなってしまいましたから」

 

この男性医師は藍子の担当医だった。

 

だが藍子がデビルークの治療を受けることになり担当が変わり、ほとんどを占めていた病院業務がぽっかりと空いてしまったのだ。とはいえ医師なのですぐに次の業務が割り振られるはずなのだが、

 

「これを機に、少し休暇を取ろうかと思っています。趣味に時間を使おうかと」

「良いと思いますよ。ずっと付きっ切りでしたもんね」

 

男性医師の言葉に御門は微笑んだ。

 

この医師の頑張りは院内の誰もが知っている。真剣に藍子に向き合い、必死で治療していたのだ。

 

真っ白な白衣から、黒のジャケットを羽織る男性医師。帰り支度がすべて終わり、御門に向き合う。

 

「それでは、御門先生」

「お疲れ様です。井坂先生」

 

男性医師―――井坂 深紅郎は軽くお辞儀をして、病院を後にする。

 

予め呼んでおいた自動操縦のタクシーに乗り込み、自宅への帰路に就いた。

 

誰もいないはずの車内、窓の外を見ていた井坂は不意に気配を感じた。それは彼も知る人物だった。

 

「貴方ですか。相変わらず、人のプライベートルームに無断で入り込むのが好きなようですね」

「そう言わないでくれ。今回はお使いを頼んで悪かったな」

「いえ、それほど手間ではありませんでしたが」

 

車内でもフードをかぶり、顔を見せない男だ。

 

「良かったんですか? 夜月 翔は無事ライダーの力を手に入れたようですが。妨害するのならいくらでも出来ましたよ」

「別に問題は無い。むしろお前が夜月翔に見られることの方がまずかった」

「いまだに信じられませんね。あなたの出身はともかくとして、私が創作上のキャラクターと酷似しているとは」

「その辺りの原理は俺にもわからない。だが事実だ。そのメモリに選ばれたこともそれを証明している」

 

男に言われて、井坂は懐からメモリを取り出す。

 

青い端子の『W』のメモリ。それが井坂と運命的に引き合ったメモリだった。男はそのメモリの試運転にも付き合っているが、その振る舞いからも井坂 深紅郎本人であると確信していた。

 

「それにライダーの力が回収されるのはデメリットばかりじゃない。アンタのそのメモリも、夜月 翔がWのウォッチを回収したから使えるようになったんだからな」

「確かにそれには感謝しなければいけませんね」

 

メモリをしまいながら言う。

 

「むしろ回収された方がその作品の『他のライダーの力』も使えるようになって便利だ。力は使われる相手を選ぶからな」

「ふむ?」

「アナザーライダーのウォッチを起動するにも、適当な奴じゃ無理なんだ。それが正規のライダーだろうがダークライダーだろうがな。AtoZのメモリの場合はWのウォッチが『継承』され、アナザーエターナルの適合者が見つかる必要があった」

 

メインライダーの適合者だと、言うこと聞いてくれる奴の方が少なそうだしな。と、男は笑った。

 

「なぜあなたが『継承』とやらをしないのですか? そうすれば思うがままに力を増やせるのでしょう?」

 

その指摘に男は黙った。そして沈黙。井坂が不審に思い視線を向けると、男は逃げるようにフードを深くかぶった。

 

「……巡り合わせが悪いんだよ。色々とな」

「……そうですか」

 

空気を変えるように男は手を打った。

 

「ま、俺のことはどうでもいいからさ。もうメモリは使えるんだし、後は好きにやってくれや」

「ええ。そうさせていただきますよ」

「そんなこと言って。もう満足できなくなってきてるんじゃないのか? メモリの力に」

「研究しがいのある力であることは認めましょう。それにまだこの力を受け取って数ヶ月です。飽きるには早すぎる」

 

そうかい、と言って男は消えた。

 

井坂は男のことを頭から追い出し、これからのことを考えるのだった。

 

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