※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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六課復帰

久々の六課への出勤日になった。

 

2週間ぶりとなる六課。スバルさんやティアナさんなど、知っている人に挨拶していく。向こうもニコニコと迎えてくれた。はやてさんの話によると俺の事情は、六課でもあの3人しか知らないらしい。スポンサーである聖王教会や聖天子様にも秘密にしてくれている。

 

時が来れば話さなければいけないかもしれないが、今はまだ、といった感じだ。

 

それはそれとして、新しい問題が起きていた。

 

「よろしくお願いします」

 

俺は目の前にいる、俺が謹慎中に追加されたメンバーに頭を下げる。

 

「よろしく、夜月 翔」

「……こんにちは」

 

目の前にいる小柄な少年―――ではなく男性が、さわやかな笑みを浮かべながら握手を求めてきた。俺はそれに応える。

 

ロキ・ファミリアのフィン・ディムナ、そして後ろにいるのはアイズ・ヴァレンシュタインだった。

 

そう、ロキ・ファミリアが六課の訓練所に出入りするようになっていたのだ。目的は先のキーストーンゲート占拠事件を受けての戦力強化。

 

正確には追加メンバーではなく外部協力者と言ったところだ。今後は六課設立の後ろ楯である聖王教会、その強力な槍でもあるロキ・ファミリアとの連携を強化していくらしい。

 

六課の訓練参加もそれが目的だ。ちなみにメインのメンバーは持ち回りでこの訓練に参加するらしい。今日はフィンとアイズという訳だ。

 

これは俺が謹慎期間中に決まったことであって、はやてさん達に俺の事情を説明したからと言って『やっぱりナシ!』とはしにくいらしい。

 

逆にそんな手段を取ると何事かと怪しまれてしまう。これについてはタイミングが悪かったな。

 

「今日の訓練から君も参加するそうだね。期待しているよ」

「あはは、いやいや俺なんかがロキ・ファミリアについていけるかどうか」

「ははは、いや、謙遜する必要はないさ。君の実力はボクもしっかり理解しているからね」

「あはは」

「ははは」

「「あはははは」」

 

俺たちは笑い合う。特に他意はないよ? 俺にはね。

 

その様子に、周りの人がドン引きしていた。

 

そしてそんな俺を静かに見つめてくるアイズ・ヴァレンシュタイン。

 

見られている。声はかけてこないがめちゃくちゃ見られている。

 

この娘についてはまだまだ原作でも詳しい掘り下げがされてないんだよな。大体の予想はされてるんだけど。

 

ただし、行動原理については分かっている。それは強さを求めていること。力を得て何かを成そうとしていることだ。この世界の影響で少し差異はあるかもしれないけど、大まかな方向はあっているはず。

 

そして俺は力を見せつけている。前に聖王教会に行った時、ファミリアのメンバーであるベートを一蹴しているのだ。アイズも身内であるベートの実力はよく把握しているだろう。そこからの逆算で俺の力量を理解しているかもしれない。

 

そんなアイズを見るフィンは苦笑していた。アイズの心情を大まかに理解しているんだろう。

 

「それじゃあまた後で」

 

そう言って2人は俺のもとを去っていった。最後までアイズには無言の視線を向けられていたが。

 

そして追加されたメンバーはロキ・ファミリアだけではなかった。

 

ロキ・ファミリアと同じ理由で追加されていたメンバーがいる。

 

「お前が夜月 翔か」

「はい」

 

鋭い視線を向けてくるジャージ姿の美女。織斑 千冬が2人の少女を引き連れて訓練場に現れた。引き連れている2人の少女は『セシリア・オルコット』と『凰 鈴音』だった。

 

キーストーンゲートの襲撃事件の際、要請を受けたIS学園のメンバーが応援に来ていたのは知っていたが、その時の縁で六課の訓練に参加することになったらしい。

 

こちらも外部協力者だ。いざとなれば六課の作戦に参加することもある。ロキ・ファミリアと同じだな。

 

「今まで命令違反で謹慎だったらしいな」

「え、ええ。まあ」

 

千冬さんに言われて頷く。

 

俺はキーストーンゲート事件で命令違反を犯し2週間の謹慎。そう言う事になっている。

 

「だが、違うな」

「は?」

 

千冬さんが断言する。

 

「メンバーの空気を見ればわかる。命令違反を犯すような問題児が帰ってきたという雰囲気ではない。はやてやなのはもお前の命令違反の話題になると露骨に話しにくそうにしていた。何か別の理由があるな?」

「や、それは」

「別に説明は求めていない。せいぜい、ウチの馬鹿どもを揉んでやってくれ」

 

そう言って去っていった。

 

「フンッ!!」

「ふーん……」

 

セシリアがわざとらしく俺の目の前で鼻を鳴らし、鈴は興味なさげに横目で見ていた。

 

鈴はともかくとして、セシリアからの敵意がすごいな。俺、原作一夏と違って機嫌を損ねるようなことしてないはずなんだけど。

 

ちなみに言うと、六課の人が増えたという話は、アスナや雪菜から聞いていた。当然ね。一緒に住んで今日の六課で何があったのかとか、そういう話をしているからな。

 

とにかく、俺がいない間に人がかなり増えた六課。不安を抱えながらも、訓練がスタートされた。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

訓練はつつがなく進行した。

 

どちらかと言うと連携の練度を高める訓練が中心だ。色々なところから人が集まってるし、個々の能力を高めるよりも、まずはお互いに信頼関係を気付くところからなんだろう。

 

俺はもちろんのこと、IS組やロキ・ファミリアも危なげなくこなしている。

 

アイズやフィンはもちろんだが、セシリアも鈴も優秀だった。だが、どこか傲慢さを感じさせる態度だ。織斑先生の前だから口に出さないけど。

 

専用のISを与えられた代表候補生だしな。聞いた話によるとラウラもシャルロットもまだIS学園にはいないみたいだし、そりゃ1年生では最強だろう。

 

日本の代表候補性である簪はいるかもだけど、楯無さんと一夏のサポートなしで専用機を完成させられるとは思えないし。

 

や、簪のISが完成してなかったのは急遽一夏の白式を作ることになったからだっけ? ちょっと確認しておきたいな。

 

織斑先生が揉んでやってくれって言ってたのは、同年代の刺激を与えてやってくれってことなんだろう。

 

それにしてもシャルロットは一夏が目的のためいないのは分かるが、ラウラは千冬がいれば転校してそうだったんだけどな。来てないらしい。

 

そういう意味じゃ、鈴がいるのも意外だったな。鈴も一夏狙いで転校してきたんだし。

 

織斑先生の期待に添えるかは、これから次第だな。

 

そんな感じで訓練をしていると、

 

「翔君、ちょっと」

 

なのはさんに呼び出された。今朝起きたアレについて確認するためだった。

 

訓練場を去っていく俺に突き刺さる複数の視線がとても痛かった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

六課の会議室。

 

この場にいるのは俺、なのはさん(訓練はフィンとヴィータさんに任せている)、フェイトさん、はやてさん。そして―――

 

《やっぱり見えてる~?》

「見えてる」

「見えてるんだ……」

 

フェイトさんは自分の横に視線を向けている。だが、俺が見えている存在には目線があっていない。それをいいことに半透明の少女はフェイトさんの周りをグルグルと回っている。

 

フェイトさん他、周りにいるはやてさんもなのはさんもその動きを目で追えていない。

 

「やっぱり、そう言う事なんだよね……」

「やな。話には聞いたことはあったけど……」

 

俺の話を聞いたお三方はすぐにとある可能性に辿り着いていた。

 

ちなみに視覚情報がある俺はもう確信していた。

 

「色々と話してもらってもいいかな? アリシアさん」

《うん。わかった》

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

気が付いた時。目の前に私の身体があった。

 

普通なら混乱すると思うけど、私はそうじゃなかった。ピクリとも動かないで寝ている私を見て、その横で泣きじゃくるママを見て、今、頭の中にある最後の記憶を思い出して、わかっちゃったんだ。

 

私がもう―――死んじゃってるってことが。今の私は幽霊だってことが。

 

それからの日常は、ピクリとも動かない私の身体を中心に動くようになった。

 

火葬どころか棺にも入れられず、ベッドに寝かされた私。ママが腐敗防止の強い魔法をかけてるおかげで腐ったりはしてないけど、幽霊の私はそこを中心にしてしか動けなかった。一応壁抜けとかは出来てたんだけどね。

 

あ、でも、ちょっとだけいいこともあったんだ。それはママがずっと家にいること。その時は分からなかったけど、たぶん魔法の研究をしてたんだと思う。

 

本当にずっと家にいて……うん。いてくれたのはうれしかったけど、全然しゃべれないんじゃ意味ないよね。私が周りを飛び回ってても何の反応もしれくれなかったし。

 

もう退屈すぎて、こっそり隣の人の家でTV見たりしちゃったこともあったっけ。

 

その生活が変わったのは……いつって言えばいいんだろう。

 

幽霊ってさ、やることなくてぼーっとしてると時間の感覚がなくなっちゃうんだよね。おなかも減らないし眠くもならないしで。

 

だからどのくらい時間が経ったのかはわからないんだけど……気が付いたら私が目の前で立ってたの!

 

もー、びっくりしたね! 自分が死んだと思った時よりもびっくりだったよ! ママもその娘のこと『アリシア』って呼ぶし!

 

私によく似たその子、アリシアって呼ばれたその娘はママと暮らし始めた。何が起きているのか分かんなかったけど、ママも『アリシア』も楽しそうだから良かった。『アリシア』のおかげでお出かけ出来るようにもなったし!

 

でも、段々ママの笑顔が少なくなっていった。

 

理由は……うん。フェイトもわかってるよね。それは『アリシア』がアリシアじゃなかったから。

 

小さな差異が積み重なって、ママは『アリシア』のことをアリシアとして見れなくなった。それどころか、あんな……あっ、翔君、この話って……あ、大丈夫? 知ってること? 分かった。

 

ママがフェイトにつらく当たるようになった。記憶に魔法をかけて、フェイトって新しい名前を付けて……あの事件を引き起こした。

 

全部、誰よりも近い場所で見てたのに何も出来なかったんだよね。しょうがないけど。幽霊だし。

 

で、結局ママと私の身体はなくなっちゃって、でも私はこの世界に残った。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「―――で、ここにいるのが私ってわけよ。と言ってますね」

「そう、だったんだ……ずっと一緒にいたんだ……」

 

話が終わると、会議室がお通夜のようになってしまった。

 

俺がアリシアさんの言葉を聞いて伝えたこととはいえ、俺の発言でこうなってしまったことを思うと心苦しくなる。

 

「待てよ……」

 

俺に突然霊感が芽生えたのは、おそらくゴーストの力を継承したからだろう。それしか考えられない。

 

「ちょっとこれに触ってみてくれますか?」

 

俺はゴーストウォッチを取り出した。

 

触ったくらいで効果が波及するのかとも思ったが、実際やってもらうと、

 

「わっ!?」

「おお……っ!」

「ア、アリシア、さん、なの?」

 

3人ともアリシアさんのことを見ることが出来るようになった。ちなみにウォッチを離すと即見えなくなる。俺とは違って、あくまでも触っている時限定だった。

 

初めて3人に認識されたアリシアさんは気まずそうに頬をかいた。

 

「あはは、や~、こうして話せるなんて思ってなかったからさ~、いざとなると、ねぇ?」

 

意外と人見知りなところがあるみたいだ。俺のイメージだとめちゃくちゃな元気っ子で、はやてさんとは違ったタイプのトラブルメーカーって感じだったんだけど。

 

「や、そうじゃないのか……」

 

そうではないのだ。アリシアさんは小さいころに亡くなってずっと幽霊として生活してきた。基本的に誰とも接することなく。

 

だとすれば、まともに人と話すのは30年ぶり?くらいになるのかもしれない。精神は育っていても対人経験はまるでないのだ。

 

「それはそれとして、逃げないで話してください。せっかくの機会なんですから」

「ええ!? ヒドいよぉ! 夜月君と私の仲でしょ~!!」

「あなたと俺に一体どんな仲があるっていうんですか」

「私にとって君は妹の彼氏! 君にとって私は彼女の姉! そういう仲でしょ!!」

 

どういう仲だ。

 

「アイテム無しに私のこと見えるの、君だけなんだよぉ~!!」

「む……」

 

そう言われればそうだ。

 

や、俺もアイテム無しでって言われると微妙なところはあるが。ゴーストの力がなくなれば俺も見えなくなるかもしれない。

 

「ちょっと待ってお姉ちゃん」

「おぉ、フェイトちゃんがナチュラルにお姉ちゃんって呼んどる……」

「ずっと一緒にいるって言ってたよね?」

「うん。それはもうおはようからおやすみまで。私、フェイトからあんまり離れられないから~」

「じゃあ、昨日の夜も?」

 

俺達の間に緊張が走る。

 

昨日の、というのはアレしか思い当たらない。

 

「あ、あ~それね~……流石に妹の告白を覗き見するのはマズいかなぁって思って……なんか、様子も変だったし……」

 

何やら歯切れが悪いが、どうやら昨日のことは見ていないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

訓練終了後。

 

「翔、ありがとう」

 

フェイトさんがウォッチを返しに来た。

 

「話せましたか?」

「うん。案外」

「話してみると全然いけた!」

 

そりゃよかったよ。

 

晴れ晴れした顔でVサインしてくるアリシアさん。最初の一歩にまごついてただけで、やってしまえばすんなりいけたんだな。

 

「それで、相談なんだけどね。このこと、私の家族にも言っていいかな?」

「それは別に」

 

好きにすればいいんじゃないかとも思ったがそうじゃない。

 

話があると家族を呼び出し、何もない空間を指さして『アリシアが幽霊になってずっと取り付いてたんだよ! ホラ!』とか言い出したら、完全にヤベー奴だ。

 

つまり、説明の時にゴーストウォッチを借りたいという事だろう。

 

「うん。そうなんだけど……」

 

ダメかな? というフェイトさん。

 

それは相手次第だ。フェイトさんの家族を確認すると間違いなくクロノとリンディさんだったのでOKを出す。

 

むしろその時、俺の事情を話してしまうのもいいかもしれない。そうして少しずつ味方を増やしていくのだ。

 

「分かった。あ、でも、2人共忙しいから、すぐに時間は取れないと思うよ」

「その時は、俺の紹介もあるんですか?」

「し、した方が良いのかな? 早くない?」

「ご家族には言っておいた方が良いのでは? お兄さんとか気にするでしょう? かわいい妹の彼氏は」

「え、ええ……? クロノそんなこと気にするかな?」

 

俺達はひとしきり談笑し、それぞれの帰路に着くのだった。

 

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